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February 11, 2005

夜飛ぶ 加賀美雅之 『双月城の惨劇』

昨年のいつごろだったか、書店で『監獄島』という分厚い上下巻のミステリをみつけました。「ルパン(3世じゃないぞ!)の再来と言われた男が収監されている孤島で起きる連続殺人」という紹介に、すこぶるそそられたものの、カバーをよく見てみるとシリーズ第2作とのこと。じゃあまず1作目からよむっぺかと、本書をあちこち探したものの、これがなかなか見つからない。結局オンラインで購入。カッパノベルスからです。

ドイツはライン川のほとりに、双月城という城がありました。その城には、城主に仇なすものに亡霊が現れて首をチョンパするという、まことにおそがい伝説が伝えられておりました。現在(といっても1920年代)の当主は双子の美女。そこへ昔は城の使用人の息子で、今は映画スターになりあがったある男が、「映画の撮影」という名目で乗り込んできます。しかし彼の真の目的が、双子の妹をゲットすることであるのは、誰の目にも明らか。そのため城にはきな臭い空気がたちこめてきて、ついには殺人未遂とも思えるような事件が発生します。城に呼ばれていた主治医は、知人(ちなみに主人公)を通じてパリきっての名予審判事、シャルル・ベルトランに応援を要請するのですが・・・

「また双子か!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、小生、別に双子フェチではありません。本当に偶然なんです。
外国が舞台で、外人しか出てこない。だけど登場人物がちょっと浪花節がかっていて、訳文よりすごく読みやすい。それはなぜかって言うと、やっぱり日本人が書いているからなんですけど、この感覚昔どっかで・・・と思っていたら、そう、南洋一郎訳で出ていた児童版アルセーヌ・ルパンシリーズとなんかよく似ているんです。なるほど解説にも、本当は某有名作家の持ちキャラクターの贋作を書きたかったのだけど、著作権とかの事情で探偵役の名前をちょい変えたということ。このあたり、ルブランが自作でホームズをおもちゃにしていたらドイルにこっぴどく怒られ、名前をショルメスに変えたという逸話を思い出します。
古城、怪奇趣味、密室殺人、1920年代、名探偵の対決・・・ 本当にコテコテのゴシック本格ミステリ。楽しいのは中世の古城に関する色々なウンチクがもりこまれているところ。豊かなな風景描写とあいまって、なんだか当地を旅行しているような気分が味わえます。つーか、旅行いきてええええええええ! ・・・・・・失礼、取り乱しました。
肝心のトリック&犯人の正体も「驚天動地!」と言わないまでも「驚屋根動床!」くらいには驚きます。「ミステリにはムードも大事」と思っている方や、あの車みたいな名前の大家の作品が好きな方には是非ご一読をオススメします。

で、『監獄島』ですがまだ購入していません。なにせ買ったはいいけど、積んだままになっている本がたくさんありまして・・・ なんとか今年中には読めるといいなあ。

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Comments

こ、今回も面白すぎ・・・(爆笑)
この作家さんは非常に寡作ですが、『監獄島』出ているんですねえ。これもなんだかいかにも車みたいな名前(だから面白すぎ。車みたいっていうか車です(笑))の巨匠の作品みたいなタイトルです。
加賀美さん、なかなかゴシックでギシギシでゴテゴテで、雰囲気のあるお話を書かれる方ですよね~。
忘れないうちに『監獄島』読まなきゃ。めもめも。
旅行に行かれても、行った先で奇怪な殺され方をしちゃあたまったもんじゃございません。事件の舞台になるような場所には行かないのが身のためと存じます。せいぜい温泉探偵必ず女湯ポロリ程度に留めておくのがよろしいかと。(だから行かないって。)
もっともっと単にイッちゃってるゴシック探偵小説しかも今よりちょっと昔、であれば、世界最長(らしい)推理小説、二階堂黎人『人狼城の恐怖』(全4巻、講談社文庫)も是非お勧めしたいです。これのトリックはかなり、驚体育館屋根動小田原断層ぐらいのスケールはあります。

Posted by: 高野正宗 | February 11, 2005 at 10:54 PM

>車みたいな名前
高野さまならわかってくれると思っていました。探偵役の元ネタになった人は、あのホモ系少女ギャグマンガの某キャラと一緒なんですよね~

>旅行に行かれても
何かで金田一少年について「お前が旅行に行くと殺人事件が起きるからどこにも行くな! 家で寝てろ!」とかいうもっともな文章がありました。高野さまもハワイにお出かけの際は巻き込まれぬよう、是非お気をつけて。まあ、巻き込まれたらその時は片平なぎさを気取ってみるのもいいかもしれません。

>人狼城の恐怖
「完結したら読もう」と思っていたのに、いざそうなったらボリュームに気後れしてしまって・・・ いつかはリターンマッチしたい作品です。
蘭子シリーズでは二作目の『吸血の家』が気に入ってます。そういえば二階堂氏も○ーのパスティーシュ書いてましたね。

Posted by: SGA屋伍一 | February 11, 2005 at 11:15 PM

「う゛ぁんこあ~んvv」ですね。
あの漫画が単に見る側の思うホモ系ではなく本当にそうなのは、男同士で子供がいるからだと思います(笑)
>わいは
場所柄シャレになりません。かたせりの化も可。

二階堂氏、カー好きですよね~。
私も『吸血の家』好きです。
何か昔の作品の方が好きかも。

Posted by: 高野正宗 | February 12, 2005 at 12:55 PM

幼少のころはどうしてもマライヒとかが男性に見えず、でも「美少年」と書いてあるので首をひねりました。

>二階堂氏
そうですね。怪奇趣味が横溢というか、ホラーの域に入ってますが。「~の不思議」とか読むと、相当なオタクであることもわかる(笑)

Posted by: SGA851 | February 12, 2005 at 05:57 PM

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