在日挑戦人 行定勲『GO』
先日、ちょくちょく出入りしている「コールスロー(独特の文化論が興味深いブログ ttp://d.hatena.ne.jp/Akimbo)」のAkimboさまオススメの映画、『パッチギ!』を観ました。
でもそちらの前に、この『GO』の方をまず語りたいと思います。
タイトルには「行定勲」とつけましたが、金城一紀の原作(未読だが←コラ)、宮藤官九朗の脚本、どれが欠けてもこれほど面白い作品にはならなかったのでは。主演はいまやどこかへ飛んでいってしまった感のある窪塚くんですが、彼がクドカンと組んだ『池袋ウエストゲートパーク』(TVドラマ)、『ピンポン』、そして本作はとても好きな作品です。クドカンは原作付きの方がいい仕事をすると思うのは、自分だけでしょうか。
「これは僕の恋愛に関する物語だ」そういうモノローグで、この映画は始まります。しかし話はなかなか恋愛の方へは行きません。というか、全体の中で恋愛が占める割合はいいとこ3割くらい。在日朝鮮人の主人公“クルパー(すごい呼び名)”をとりまく家族、友人、ケンカ、進路など、とりとめもなく話は転がっていきます。でもこの散漫な語り口が、作品に奇妙な活気を与えているから不思議。
在日朝鮮人を主人公にしているからといって、あまり深刻にそっち方面の問題は語られません。なるほど、クルパーの直面する問題はわたしたちのそれより、いささか異質で厳しいものではあります。けれど、他人からの拒絶、将来への迷い、生まれる前から決まっていたこと・・・そうしたことは多かれ少なかれ、誰もが経験することではないでしょうか。そしてそうした障害に吼え狂い、笑い飛ばすクルパーが、あまりにもまぶしいのです。
好きなエピソードは夜の公園で、主人公と山崎務演じる父親がボクシングの果し合いをする一連のくだり。わけもなく張り切るタクシーの運ちゃん(大杉蓮)とか、ものすごくおかしい。
ワタクシ事ですが、主人公の親友で「ジョンイル」という少年が出てきます。このジョンイルの名が漢字で書かれたシーンがあるのですが、それが自分の下の名前と一緒でした(笑)。これには少々ヘコみました。
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