May 10, 2022

2022年4月の中頃に観た映画

ちょうど1ヶ月くらい前に観た作品群ですね。5本まとめてまいります。

 

☆『シャドウ・イン・クラウド』

クロエ・モレッツさんがグレムリンと戦うと聞いて「馬鹿かwww」と思いましたが、評判が良いうえに予告編見たら面白そうだったので行ってきました。

第二次大戦中の豪州の戦線。とある女性士官が密命を帯びて友軍の軍用機に乗り込むのだが、品も理解もないクルー、ゼロ戦の襲撃、さらに伝説の妖怪まで現れてクロエちゃんは大ピンチに。

前半は主に飛行機の下部銃座に萌えます。あの半球状のカプセルみたいな部分に機関砲がニョキッと突き出してるアレです。実際の戦争だったら狭い上に狙い撃ちされそうで、まず乗り込みたくない(というか戦争自体行きたくない)ポジションですが、映画で疑似体験してる分にはワクワクしてくるから不思議です。

そして本作品最大のウリであるグレムリン。正直「ストーリーにこれいるか!?」と思ってしまった自分がいます。ただこいつが出てこなけりゃ観に行かなかっただろうし、ぐっと地味な映画になってしまっただろうし、まあよしとしましょう。ギズモ君も出て来てくれたらもっとよかったです。

 

☆『ゴヤの名画と優しい泥棒』

一応本当にあったっぽいお話。1961年、ロンドンの美術館でゴヤの「ウェリントン公爵」が盗まれ、脅迫状が送られてくる。大胆不敵なその犯行に警察は国際的な犯罪組織によるものと推測するが、実際は田舎町に住む老人がNHK…じゃなくてBBCの料金徴収に腹を立てて行ったことだった…?

一応犯罪を題材にした作品ですけど、結末含めて誰も傷つかず、むしろほっこりとした気持ちにさせられる映画。なんというか良くも悪くもセキュリティや司法制度がガバガバだった時代だから成立する話だなあと。

で、事の真相に関して推理小説でいうところの「叙述トリック」みたいな技法が使われているのですが、映画でやるとあれはずるくないでしょうか。

先日の『ベルファスト』でも印象的な老夫婦が出てきましたが、あちらがベストカップルといっていいくらいアツアツだったのに対し、こちらの旦那さんは終始奥さんに怒られてて笑えました。

 

☆『アネット』

鬼才レオス・カラックス9年ぶりの新作にして初のミュージカル。コメディアン・ヘンリーとオペラ歌手のアンは熱烈な恋愛の末結ばれ、アネットという子供も授かるが、ヘンリーの人気が陰るに従い二人の間には暗い雲が立ち込めていく。

「アレックス三部作」や『ポーラX』など陰鬱で激しいロマンスで印象深いカラックスさん。こちらもまあ悲劇には悲劇なんですが主人公がコメディアンであったり、アネットちゃんがどう見ても人形だったり、次から次へ無茶な展開が続いたりとあまり悲しい気持ちにはなりません。最低な男がその行いにふさわしく転落していく話なので胸糞悪くもあるのですけど、エンディングでキャストたちが「気をつけて帰ってね~」と明るく見送ってくれるせいで、後味は妙にさわやかでした。

あとカラックスさんはやっぱり乗り物が大好きですね。今回も陸・海・空と色々乗りまくっておられました。

 

☆『コーダ あいのうた』

本年度アカデミー賞作品部門受賞作。ろうあ者の家族の中で、ただ一人耳が聞こえる娘の成長物語。おっさんなので女の子の青春ものとかあんましな~~~と食わず嫌い的にスルーしていたのですが、滅多に映画を褒めない友人が激賞していたので観ることにしました。

この映画の問題点?は予告編でほぼストーリーの8割を説明してしまっていて、そこまでは予想通りのことしか起きないこと。映画というより宣伝の問題でしょうか。ただいよいよクライマックスというところでこちらの想定を越える感動がやってきました。肝心要の歌唱シーンで無音になるという大胆な演出。「やっぱり聞こえないんだよね…」と悲しくなったところで、もう一度それを払拭するような歌の場面がありました。いや、よかったです。食わず嫌いはよくないですね。

あとお兄ちゃんが不器用ながらも妹に「家族の犠牲になっちゃいけない」と励ますくだり。ああいうの弱いのです。

これ、フランス映画『エール!』のリメイクで、こっちでは漁村だった舞台がオリジナルでは農村になってるとか。そちらの方も観たくなってきました(現金)。

 

☆『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』

日本ではネットフリックスのみでスルーされた『ヒットマンズ・ボディガード』の続編。続編だけが劇場公開ってちょっと珍しいケースであります。

内容はカリスマ的だったライアン・レイノルズ演じるボディーガードが、自分をその地位から引きずり下ろしたヒットマン(サミュエル・L・ジャクソン)と渋々手を組んでいやいや巨悪と戦うという話…だよな? 前作はまだボディーガードとしての矜持とか二人の奇妙な友情とか真面目な要素が3割くらいあったのですが、監督が続投してるのにも関わらず2作目は100%アホに振り切れてました。

『デッドプール』や『フリーガイ』などで何度も死んでるような役がよく回ってるレイノルズさん。この度も色々体当たりのアクションでがんばっておられました。ただ今回の彼はミュータントでもゲーキャラでもないのでひしひしと痛々しさが伝わってきました。もっと体を大事にしていただきたい。

タイトルにもなってる「ヒットマンの妻」サルマ・ハエックがまたはっちゃけてて最高でした。『エターナルズ』のインタビューで「情熱的なメキシコ女の役ばっかりでイヤだった」みたいなことを語ってましたが、ごめんなさい、やっぱりあなたは雄たけびをあげながら悪党の首をかっきるようなキャラがすごくよく似合ってます。

 

次回は『オッド・タクシー』を単品で書くか、『ファンタビ3』『アンネ・フランクと旅する日記』『TITANE』『スパークス・ブラザーズ』あたりをまとめて書きます。

 

 

 

 

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April 25, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る④4月編

第13回「幼なじみの絆」

痴話げんかもひと段落ついた時、鎌倉に不穏な知らせが入る。いま一人の源氏の棟梁・木曾義仲が平家と手を組んだ疑いがあるというのだ。頼朝はその真意を探るべく、義仲のもとに範頼と義時を向かわせる。それと並行しながら義時は諦めずに八重のもとに通い、けったいな土産を送り続けていた。

前回「亀の前事件」が1182年末。この回より1183年に突入です。第一話ラストで顔を見せたきりの義仲公が満を持しての登場となりました。「野蛮な田舎侍」と描かれがちな彼ですが、このドラマでは義を重んじるひとかどの英傑となっております。演じるは『西郷どん』で島津久光公をやってらした青木崇高氏。この方、中島哲也作品に出てくる時はすごい怖いんですよね… 余談ですが『武蔵坊弁慶』では佐藤浩市氏が義仲を、『義経』では巴御前を小池栄子さんが演じてました。

迷惑がっていたのにいつのまにか一途な思いに打たれて、とうとう八重さんは義時の思いを受け入れます。ちと強引な気もしましたが13回続いた八重さんのツンがようやくデレに転じて感激もひとしおでした。

その他、文覚と全成の呪術合戦、二人の元愛人を尋ねて散々な目にあう頼朝公など、前回に続きお笑いにおいても傑出した回でありました。

この回の重要でもないアイテム:範頼公のお腹を一発でクラッシュさせた川魚

この回の重要なアイテム:八重さんの氷の心を打ち砕いた義時の旬の贈り物一式

 

第14回「都の義仲」

子供同士の婚約を交わし友好ムードとなった頼朝と義仲だが、義仲がいち早く都を制圧し、平家を追放したことにより両者の間には再び緊張が走る。また鎌倉の御家人たちの間でも、先の不倫騒動や身内の争いなどで評判が落ちた頼朝を見限ろうとする動きが出始めていた。この危機を治めるべく義時は頭を悩ませる。

鎌倉への人質である源義高を演じるは現松本染五郎君17歳。前松本染五郎氏のお子さんで前松本幸四郎氏のお孫さんです。真に絵物語から出てきたような美少年で、鬼の政子さんも一発でメロメロになってしまいました。お父さんの義仲公とこれっぽっちも似てないんですけど、お母さん似だったのでしょうか。非の打ちどころのない御曹司でありながら「セミの抜け殻を集めるのが趣味」というところだけがちょっとひきます。

怒涛の勢いで時の権力者となったものの、京での作法まで学ぶ暇がなかったため、義仲はあっという間に立場が危うくなっていきます。前回での潔さなどからすっかり義仲びいきとなってる視聴者としては、意地悪そうな都の公家さんたちがどうにも頭に来ます。そもそもその統領である後白河陛下、生霊とはいえ「お前(頼朝)だけが頼りなの」とか言ってませんでしたっけ。それなのにあっちを頼ったりこっちを頼ったり、二股はよくないと思います。

そして裏で動き始める御家人たちの陰謀。歴史ドラマでは平家滅亡まで一枚岩のように描かれてる頼朝&坂東武者ですが、そうでもなかったのね…と思ったらこの謀反のくだりは三谷さんの創作なんだそうで。でもいかにもこんな話あったように思えます。次回の大いなる悲劇に向けての伏線なのでありますね。

この回の重要でもないアイテム:義高君が集めた200個以上のセミの抜け殻(うわあ)

この回の使える都作法:牛車(馬車だっけ?)に乗るのは後ろから・降りるのは前から

 

第15回「足固めの儀式」

一触即発の事態となってしまった頼朝と御家人たち。仲間同士で血が流れるのを防ぐため、義時は御家人の間で最も力を持つ上総広常に助力を仰ぐ。ひと騒動こそあったもののそれが功を奏し、無事事件は解決と思われた。だがそれは頼朝の参謀・大江広元が描いた策略の第一幕にすぎなかった。

放映されるやネットを阿鼻叫喚の地獄に叩き落した、本ドラマ始まって以来の衝撃回。わたしは上総さんが登場してすぐ検索してしまったので彼がどういう末路をたどるのか知ってましたが、それだけにクライマックスのシーンは胃がキリキリしました。まるでこの回だけ『鎌倉殿』というより『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいでした…というか、これからそうなっていくのかな?

上総殿も「老けたな」と言われただけで説得するはずの相手を切り殺してしまう凶状持ちではありましたが、三谷さんの脚本力と佐藤浩市氏の演技力で、すっかり「コワモテだけどかわいいところもあって憎めないおっさん」として認知されてしまいました。だから最後のあの「信じられない」という表情が本当に気の毒で。せめてもの救いはこれでマイナー人物だった上総広常の知名度がグーンとあがったことでしょうか。

で、これが数回前の義時だったら身を挺しても彼をかばったかもしれないのですよね。でももう彼にはやっとのことで結ばれた妻と、その妻の間に授かった子供もいる。だから心を鬼にしてでも広常を見捨てなければいけない。「お前はもうわかっている」「だんだん頼朝に似てきた」という義村のセリフがグサグサと突き刺さります。

この回の重要なアイテム:すごろくのサイコロと死後出てきた上総殿の計画表

 

第16回「伝説の幕開け」

明けて1984年。先に都に到着していた義経は、援軍が来るや否や破竹の勢いで義仲軍を撃退。その勢いを駆って休む間もなく一の谷に逃れていた平家追討に向かう。誰もが不可能と考えていた断崖絶壁からの奇襲を決行する義経。現代まで語り継がれる武神の伝説が始まろうとしていた。

先回に続いてお葬式ムードとなってしまった前半。これほど木曾義仲を清廉な人物として描いたのはこのドラマが初めてでは。そんな健気な義仲を「タイプじゃないし」と一蹴する後白河陛下。そんで代わりに来た義経がはかりごとをもちかけると「もうこの子めっちゃタイプ♪」とウキウキしてしまう。本当に困った法皇様でございます…

義経が駆け下ったと言われる鵯越は傾斜30度ほどで、たしかに騎乗したままでも走れないことはないんです。ですがこのドラマではさらなる急斜面から「馬を先に駆け下らせた」としていました。なるほど、こういう解釈もありかと。そのあまりの才能を嫉妬3割、感動7割で見つめてしまう梶原景時。これには『アマデウス』におけるサリエリを連想した人も多かったようです。

戦と次なる悲劇で息つく間もない中、わずかにほっとさせられたのが諸将の書いた報告書。和田義盛さんはさすがにかわいさアピールがくどくなってきました。

この回のそれなりに重要なアイテム:鹿のウンコ

 

気が付けば『鎌倉殿』も1/3。三谷さんに言わせると「頼朝が生きてる間はプロローグにすぎない」とのこと。プロローグ長くない??

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April 21, 2022

2022年3月に観たその他の映画と4月頭に観た映画

これまたなんつーなげやりな記事タイトル… まあ、そんな感じです。

 

☆『名付けようの無い踊り』

俳優としても知られる…というか、私たちのほとんどはむしろそっちの方で知ってる舞踏家・田中泯さんのドキュメンタリー。

泯さんのダンスは「場踊り」と呼ばれる一風変わったもので、路上や広場で突然即興のように始まるスタイルであります。時にはその場でゴロゴロねっころがったりしてしまう。背中が汚れますよ…と言いたくもなりますが、泯さんは一切お構いなしです。

そんな泯さんの幼少期の思い出がアニメで、若かりし頃の挑戦が記録映像・写真などで語られたりもします。血気盛んだったころにはチ〇コを布にくるんだだけのかっこうで踊り狂ったこともあったとか。しかしそれが世界のアートシーンに衝撃を与え、彼の名を一躍有名なものにしたというから驚きです。

正直言うとちょっとうとうとしたところもあったんですが、そんな夢うつつの状態がかえって映画への埋没感を深めてくれたような気もします。あと泯さんはたくさん猫を飼ってらしたので、猫に囲まれて踊る映像もちょっとほしかったです。

 

☆『SING/シング:ネクストステージ』

イルミネーションスタジオによる音楽アニメの傑作『SING』の6年ぶりの待望の続編。街のスターになったバスター・ムーンとその仲間たちは、今度はさらにその名を広めるべく、大都会のビッグステージへの出演を目論む。

そんなわけで序盤は華やかな巨大都市へ出た時の、地方者にしかわからない高揚感が存分に味わえます。また、ムーンさんたちがどんどんサクセスしていくその様子は、知る人ぞ知る作家だったガース・ジェニングスが前作で一躍世界的成功を収めた姿と重なります。

今回作品のカギを握るのは、はるか前に隠遁してしまった伝説のミュージシャン、クレイ・キャロウェイ。彼を表舞台に引っ張り出そうとするムーンですけど、キャロウェイは心を閉ざしてしまっていて、これが一筋縄では参りません。そのキャロウェイ、言語ではU2のボノ氏が、吹替ではB’zの稲葉浩志さんが声をあてておられます。お二人とも声優は初挑戦だそうなので、こちらでもオファーに際しいろいろ苦労があったのでは…と思っていたら、両名あっさり快諾されたとのこと。懐がお広い。自分は吹替で観ましたが、稲葉さん、なかなか自然に気難しいライオンの役をこなされていて、会話の場面では彼の顔は浮かんできませんでした。歌唱シーンになった途端「あ、B’zだw」となりますがw

そんな稲葉さん…じゃなくてキャロウェイをやさしく気遣うハリネズミのアッシュちゃんに泣かされました。『SING』のキャラではこの子がとりわけお気に入りです。

 

☆『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

本当にあった猫と青年の奇跡的な物語『ボブという名の猫』の続編…というか前作で語られなかった知られざるエピソード、というとこでしょうか。街角で会ったかつての自分と似た青年に、「5分だけ」と言って主人公がジェームズさんがえんえん1時間半語るという構成。ジェームズさん、なかなか強引な方であります。クリスマスムービーでもあるのですが、こちらでは遅れて公開されたこともあり完全に時季外れでありました。まあ細かいことです。

最近のハートウォーミングな洋画には「幸せの~」という邦題がつくことが多いですけど、この映画はボブさんがアップになる度に本当に幸せな気持ちになれます。主人公が立派になった状態から始まってるので、前作のようなどん底には落ちまい、という安心感もあります。その分ハラハラすることはありませんが、そういうのはこの映画に求めてないのでそれでいいのです。

前作に引き続きお話のモデルであるボブさんがご自身を演じておられます。が、悲しいことにこの映画を撮ってほどなくして、ボブさん亡くなられたのだとか。なんとも切ない… これ、世界的な損失だと思うのですよね… ともあれ、ボブさんに感謝の気持ちを捧げると共に、うちの猫を大切にしていこうと誓うのでした。

 

☆『モービウス』

ソニー独自のアメコミユニバース「SSU」の第3作。持病を治そうと禁断の療法を自分に試した天才医師が吸血鬼になってしまうというストーリー。そんなもんで最初はヒーローものなのかホラーものなのかわからない独特の緊張感が漂っていました。とりあえずアメコミキャラは自分の体で軽率に人体実験しがちだと思います。他人の体でやるよりかはいいと思いますが。

そんなモービウスと対決することになるのが、同じ病気を患い、彼と同じルートで超人化した無二の親友のマイロという男。力を抑えきれず暴走してしまうのですが、境遇がかわいそうなことを思うとついつい同情したくなってしまいます。また序盤の二人で仲良く苦労しながら散歩してたシーンを思い出すとまた悲しくなってしまったり。このコンビ、『AKIRA』の金田と鉄雄を彷彿とさせるところがあります。もしかしてSSUは「男同士の面倒くさい友情」をテーマにシリーズを続けていこうとしてるのでしょうか。

ビジュアル面ではなんでそうなるのかよくわからんのですが、高速移動の際生じるカラフルな墨流しのような効果がお洒落でよかったです。

SSUはこの後『クレイブン・ザ・ハンター』『マダム・ウェブ』といったマイナーなスパイダーマンキャラの映画化を進めていくとのことですが、なんでそんな企画を!? 本当に売れると思ってるの!?とプロデューサー連を問い詰めたい気持ちでいっぱいです。なんとかスパイダーマンを上手にひっぱってこれたらいいんですけどね。

 

☆『仮面ライダーオーズ10th 復活のコアメダル』

決定的なネタバレはしませんが、これから観ようという方は以下はスルーしてください。

 

 

 

TVシリーズ終了から10年。オリジナルキャストも全員集結した待望の続編… だったはずがどうしてこんなことに… まあ、なかなかに衝撃的な結末でした。そっちの方は観てないのですが『ゼロワン』といい『セイバー』といい、「ライダーの後日談は悲劇にしなければいけない」という呪いにでもかかっているのでしょうか。東Aさんは。こんなこと言いたくはないのですが、これならばTVシリーズの希望が持てる結末の方がずっとよかった。少なくとも映画をずっと覆ってる暗いムードは、オリジナルの『オーズ』のサンバのような明るいイメージとはだいぶかけ離れたものでした。

ただ、主演・渡部秀君のコメントなどを読むと、どうもこの結末は彼が望んでこうなったようなところがうかがえるのですよね。もしそうならば、私には何も言えません。彼の願いが果たされたことに「良かったね…」と思うのみです。

受け入れるのに少々苦労しましたが、自分としてはこの作品、「幾つかある世界線のひとつ」とすることで認めることにしました。大体日本が壊滅状態になってるのに歴代ライダーが誰も助けに来ないのはどう考えてもおかしい。だからこの作品は「オーズとバース以外ライダーのいない」パラレルな時空のお話なのですよ、きっと。

 

 

次回は『シャドウ・イン・クラウド』『ゴヤの名画と優しい泥棒』『アネット』『コーダ あいのうた』『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディーガード』などについて書きます。

 

 

 

 

 

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April 05, 2022

2022年3月に観た第94回アカデミー賞関連の作品

あの狂騒からはや一週間。先月はアカデミー賞作品部門にノミネートされた映画を5本観てたので、今回はそれらについて書きます。肝心の受賞作品『コーダ』を観てないわけですが… あと昨年公開された『ドライブ・マイ・カー』についてはこちらを、『DUNE』についてはこちらをごらんください。全然たいしたこと書いてませんが。

 

☆『ドリーム・プラン』

今年度の「実話を基にした」作品枠で主演男優部門受賞作。前人未到の業績を残したテニスのウィリアムズ姉妹を育てたお父さんの話です。

前半の舞台は『ストレイト・アウタ・コンプトン』で有名なコンプトン。ギャングとドラッグが溢れためちゃくちゃガラの悪い町です(とりあえず当時は)。そんな環境でヤンキーにからまれながら一生懸命娘をコーチするお父さんの姿には少々涙を誘われました。星一徹と違って子供たちをかわいがるときはめちゃくちゃかわいがりますし。よかったのはそんなお父さんの「我慢パート」があまり長くなかったことですね。サクセスの糸口をつかむと階段を軽快に駆け上がっていくように、一家の暮らしぶりもよくなっていきます。あと小さな女の子が弾丸のようなサーブをバチコーン!バチコーン!と放つアクションが小気味よかったです。

で、お父さん役のウィル・スミスはご存知の通り受賞の直前に司会のクリス・ロックに平手打ちを食らわせてしまい、現在苦境に立たされているようです。いまなお論議は絶えず、結局これが今年のアカデミー賞で最も印象に残った出来事になってしまったのはなんとも。

 

☆『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

今年度のネットフリックス枠その1にして、作品部門の最有力候補。ほかにも10部門にノミネートされてたのに結局監督部門のみの受賞に終わりました。しかしまあ、それを取ったのが久方ぶりにカムバックを果たしたジェーン・カンピオンというのはめでたいです。

一応西部劇の枠になるのかもしれませんが、銃撃戦とかは全くありません。だのに約二時間、なにかよくないことが起きるのでは…というヒリヒリした空気が漂い続けています。

いかにもカウボーイ然とした粗野な男・フィルが、自分のうちにある女性的な部分と葛藤するような話なのかな…と予想していたのですが、ちょっと違いました。中盤からは彼よりも、義妹の息子であるピーターの方が存在感を増していきます。このピーター君、線も細いしお花が好きだしとても強そうには見えないのですが、それがかえって異様な凄みというか迫力をかもし出すようなキャラクターでした。

シンプルながら雄大な山々の風景が美しく、やっぱりこれ配信よりスクリーン向けの映画では…と思いました。

 

☆『ナイトメア・アリー』

今年度のにぎやかし枠その1。我らがギレルモ・デル・トロ作品でいかにも異形のモンスターが出て来るような予告でありながら、今回は超自然的要素はにおわせ程度しかありません。善良な主人公が多いデルトロ作品にあって、ピカレスクな題材であったことも新機軸でありました。

前半のじめじめした南部っぽい風土はR・R・マキャモンの『少年時代』『遥か南へ』といった作品群を思い出させますが、後半では一転、雪の降る欲望にまみれた町でのノワール的な物語が展開されます。

ちょっと前だと『パッセンジャー』なんかもそうでしたが、「あー、この嘘絶対ばれるよな」というお話があります。こちらもその類の作品。ですので嘘がばれるその瞬間までひたすら悶々としながら画面を見続けることになります。

今年の作品部門にノミネートされたタイトルは、なんでか「親」が重要な要素となっているものが多かったですね。『ナイトメア・アリー』はそれが呪いっぽく描かれていたのが強烈でした。

 

☆『ベルファスト』

今年のモノクロ枠。7部門にノミネートされましたが脚本部門のみの受賞となりました。実は自分はこれが作品部門もっていくんじゃないかと予想してたのですが…

ケネス・ブラナー監督の自伝的作品。彼のキャリアって古典や名作のアレンジが目立つので、こういう一からオリジナルの映画はなんだか不思議な味わいでございました。1960年代、宗教・政治の問題が激化して暴動が茶飯事だったベルファストを舞台に、子供の目を通して当時の様子や悩む両親の姿が描かれます。

笑ったりひやひやしたり、はたまたしんみりさせられたりいい映画ではあるのですが、時間のコンパクトさと白黒画面のせいかちょっとインパクトに欠けるきらいはあります。ただブラナー少年が親しんだサブカル要素…恐竜百万年、チキチキバンバン、サンダーバードなどを目で追っていくのはオタク人として楽しゅうございました。あとシェイクスピアの第一人者であるブラナー氏も、別段上流階級の出ではなく、ごくごく普通の家庭で育ったというのは興味深いです。おばあちゃんと観にいってた『クリスマス・キャロル』が舞台へ感心を持つきっかけになったのかな…と想像したり。

 

☆『ドント・ルック・アップ』

にぎやかし枠にしてネットフリックス枠。ある天文学者が地球に向かって飛来する小惑星を発見。人類滅亡の危機を回避すべく主人公らは奔走するが、事態は『アルマゲドン』のようにはいかず…

せっかくネトフリ入ってるんだから授賞式の前に見とくか、くらいのモチベーションだったのですが、この馬鹿馬鹿しいムードが意外とツボにはまりました。世界が破滅にむかっていく話なのにねw でもこれうちで一応月額料のみで観たから楽しみましたが、映画館で観てたら虚無るか激怒してたかもしれません。

名だたる名優が(こんなアホらしい映画に)参加している中、とりわけ目を引いたのはいかにもスティーブ・ジョブズな社長を演じていたマーク・ライランスさん。この人も重厚な雰囲気あるのに役を全然選んでなくて素敵です。あとアリアナ・グランデが熱唱するコンサートのシーンが無駄に豪華でした。

 

観た作品を好きな順にあげると

①DUNE ②ドライブ・マイ・カー ③ドント・ルック・アップ ④ドリーム・プラン ⑤ナイトメア・アリー ⑥ベルファスト ⑦パワー・オブ・ザ・ドッグ

という感じでしょうか。次回は3月他に観た『名付けようのない踊り』『仮面ライダー000劇場版』『SING ネクストステージ』と、先週末観てきたばかりの『モービウス』『ボブという名の猫2』について書きます(予定) 

 

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April 02, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る③3月編

第9回「決戦前夜」

味方を増やし、石橋山の雪辱を晴らそうと盛り上がる頼朝軍。負けじと西からは清盛の孫・維盛を総大将に平家の軍が攻め上る。両者は駿河にて相対し、ここに世に名高い「富士川の戦い」が始まろうとしていた。

「決戦前夜」というタイトルでしたが、普通に戦の後までやり切った第9回。前半は頼朝を出し抜こうとする武田信義のこすからい策略が色々描かれてました。演じるは『新選組!』で武田観柳斎を演じた八島智仁人氏。今回もなかなかのうさん臭さです(失礼)。一説によるとこの戦い、頼朝が到着する前にほぼほぼ武田勢がカタをつけてしまった、なんて話もあるそうで。もしそうだとしたら武勲が現代にこれっぽっちも伝わってないのがいささか気の毒であります。

クライマックスにおける水鳥のはばたきの原因は、北条と三浦のおっさん同士のしょうもないケンカとアレンジされてました。このアホらしさに呆れた人が半分、大うけした人が半分というとこでしょうか。『修羅の刻』では陸奥鬼一が謎の拳法でもって驚かせた、ということになっています。

戦いに勝ったけど周りがついて来ず、落ち込む頼朝の前にやっとこ義経が到着。すぐさま感動の対面といかないのが三谷節。「顔そっくり!」のくだりは全国のお茶の間でツッコミの嵐が吹き荒れたことと思います。

この回の重要アイテム:平家を敗走に追いやった北条時政渾身のパンチと、安眠を妨げられた水鳥の皆さん

 

第10回「根拠なき自信」

平家の本軍を打ち破った鎌倉軍の前に、さらに多くの人材が集まってくる。切れ者、そうでもない者、うさん臭い者… そんな中義時は晴れてフリーとなった八重に果敢にアタックを試みるのだが。

ここにきてこの時点で生きていた頼朝の弟たちが勢ぞろい。少年漫画ならもうちょっとかっこいい絵面になるんでしょうけど、なんか当惑してる義経・怪しげな法力僧の全成・迷子でおろおろしてた範頼…といまひとつ締まりがありません。範頼さんはよく義経の話で引き立て役にさせられてますね。さらにいつに間にかいて勝手に場を取り仕切ってる足立遠元も登場。「一番得体が知れない」とか言われてましたが、一応十三人の一人で、平治の乱の頃からの歴戦の武将なんだそうです。

後半の山場は上総広常がメインとなった金砂城の戦い。直前に義経を「一人の勝手な振る舞いが」と諫めていたのにカっとなって話し合いを台無しにしちゃったのはわかりやすい特大ブーメランでした。このピンチを義経が解決する…のかと思いきやあっさり内通とかで勝ってしまう(笑) この辺の意表の突き具合というか予想を裏切るあたりが見事でした。

この回で激動の1180年が終了。第3回から8回もかけて扱ってたのですね。この次からもう少しまいていくペースとなります。

この回の重要でもないアイテム:三浦義村の腹をクラッシュさせた草餅と、和田義盛が捕まえてきた小鳥。なんつったっけアレ

 

第11回「許されざる嘘」

頼朝の今一人の弟である義円が鎌倉に到着。利発そうな義円がちはやほやされるのを見て、義経はどうも面白くない。一方京では巨星・平清盛が熱病により突然この世を去る。政子も再び懐妊し、いいことずくめの源さんご一家。しかしその裏で恐怖のアサシン・善児の影が再びちらつき始めていた。

『鎌倉殿』が始まって以来最もブラックな回。前半では義経が義円をだまくらかし、後半では頼朝がいったん許した伊東祐親親子を秘密裏に葬り去るという… このドラマの義経は天が二物(軍才・顔)を与えてしまったがゆえに、他が歪みまくりという大変困ったキャラになっております。ただ義円に関しては実際に頼朝と再会したという記録がなく、たぶん鎌倉には来てないんじゃないか…という説の方が有力のようです。それを思えばドラマに出られただけよかったのかもしれません。それくらい史劇で見かけない人物ですから。

そしてまたしても現れた『鎌倉殿』の死神・善児。彼が出てくる回は決まって誰かが血祭りにあげられるゆえ、オープニングでその名前が出てくるとTwitter上で悲鳴が沸き起こるようになってしまいました。鬼の監査役・梶原景時に拾われてしまったので、これからもいっぱい出番がありそうです(怖いなあ)。演じる梶原(笑)善さんは三谷さんの劇団時代からの盟友。『王様のレストラン』のひねたパティシエとか良かったんですが。

伊東の爺様が亡くなったのが1982年の初めとのこと。というわけで1981年はこの回だけで終わりとなりました。

この回のそこそこ重要なアイテム:梶原さんがセロテープで張り合わせた義円の別れのお手紙。

 

第12回「亀の前事件」

頼朝に待望の男児が誕生。政子がそちらにかかりきりなのをいいことに、鎌倉殿は愛妾・亀の前とますます懇ろになってしまう。このことを知った時政の妻・牧の方は、最近政子ばかりが目立っていることにいら立ちを覚えていたため、ストレス解消のため亀の前の「後妻打ち(うわなりうち=前妻が後妻の家を壊してもいいという京都の風習)」を決行しようとする。事態を収拾しようとするも右往左往するだけの義時は各方面にひたすら頭を下げ続ける。

ギャグ回(笑) 史実には確かに残ってる話ですが、要は頼朝の浮気がばれて政子が激怒した、という内容なので。その史実の合間を縫ってテンポのいい素っ頓狂なセリフの応酬が続きます。まさに三谷さんの脚本家としての真骨頂。これがあまりにも楽しかったせいか、ネット上では現時点の「ファンが選ぶベストエピソード」なんではないかという疑いすらあります。

で、台風の目たる亀さんが実にひょうひょうとしていて、自分を中心に周りがこじれまくっているのに、どこ吹く風とばかりにマイペースを貫く姿が痛快でした。家を燃やされて憔悴しちゃうのかと思いきや、意外と元気そうに上総殿の屋敷をふらついてたのでなんか安心いたしました。なんのかんの言いながら人死にの出ない回は平和でいいものです。

京都からさらにアドバイザーとして中原親能と大江広元が着任。苗字が違いますがこの二人はご兄弟で後の13人のメンバーであります。この回では大江さんが割と目立ってたのに対し、お兄さんの方は「いたの?」という感じでした。

この回のそこそこ重要なアイテム

見事に切断された牧宗親のモトドリ。この時代の社会人にとって髪を結ってる部分を切られるのは、公衆の面前でパンツを脱がされるようなものだったらしいですが… ホントか!?

 

次回からは木曾義仲が本格登場。いよいよ群雄割拠時代的に入り、平家との戦いも激化して参ります。がんばれ鎌倉殿とその一党。

 

 

 

 

 

 

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March 30, 2022

バットマン来るかとゴッサムの外れまで来てみたが マット・リーブス 『ザ・バットマン』

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世界有数の繁栄を誇りながら、犯罪や貧富の差など多くの闇を抱えた都市・ゴッサムシティ。選挙を目前に控えたその町で、市長がリドラーと名乗る愉快犯に惨殺されるという悲劇が起こる。2年ほど前から蝙蝠の装束に身を包み、自警団活動を続けていた富豪の青年ブルース・ウェインは、市警のゴードン警部と協力しながらリドラーを捕まえるべく奔走する。だが彼の捜査をあざ笑うかのように、リドラーは挑発めいたメッセージと共に第二、第三の犯行を繰り返すのだった。

1989年の『バットマン』から数えると、『バットマン・ビギンズ』(2005)、『バットマンVSスーパーマン』(2016)と来て、実写映画としては4度目の起点となる作品。今回の特色はまずバットマンであるブルース・ウェインが比較的「若い」ということ。『バットマン・ビギンズ』でも駆け出しのころは描かれてましたが、始めた時点で既にいい年だったのであまりヤングマンな印象はなく、むしろそれなりに落ち着いた感じでした。しかし今回のロバート・パティンソン演じるバットマンは自分の殻にこもりがちだったり、衝動のコントロールに苦労していたり…という面がこれまで以上に強調されていて、「大人」と呼ぶには未完成な若者として描かれております。自分を心配する執事のアルフレッドにまで心無い言葉を吐いたりして、まるで反抗期の中学二年生のよう。一方で子供や動物には気遣うそぶりを見せたりしていて、「根は悪くない子なんだな」と思わせられます。

もうひとつの特色はこれまでのシリーズの中で最も現実的である点。今回メインの悪役であるリドラーにせよ、町の顔役であるペンギンにしても実際に存在してそうなキャラであります。今回のリドラーのモデルは全米を震撼させた連続殺人鬼「ゾディアック」だそうですし、ペンギンにいたっては暗黒街の顔役にこんなタイプごろごろいそう。はっきり言っちゃうとバットマンが一番現実離れしております。…それはともかく、ブルースはリドラーとの戦いを通してゴッサムという町の抱える闇や社会問題とも対峙せざるを得なくなっていきます。この映画でいま一人バットマンの前に立ちふさがるのが、ペンギンのさらにボスであるファルコーネという男。コミックでは『イヤーワン』『ロング・ハロウィーン』などで重要人物として登場しますが、ぶっちゃけちゃうと名前の通りバットマン版ドン・コルレオーネ=ゴッドファーザーであります。警察内部も脅しと賄賂で掌握し、ブルースとゴードンを悩ませます。権力者の腐敗、それによりもたらされる不公正というのは、珍妙なヴィランよりよほどリアルで手ごわい相手であります。『ザ・バットマン』ではこれまで映画ではそんなに踏み込まれなかった、大都会のコンフィデンシャルに果敢に踏み込んでいきます。

いわゆるDCEUの作品ではスーパーマンと肩を並べ宇宙人と戦うバットマンが描かれました。自分はそういうのも嫌いじゃないですが、やはりバットマンって超自然や超科学の関わらない状況で、地道に町の問題に取り組んでいく姿が一番しっくり似合ってしまうんですよね… というわけでスーパーなヒーローとしてのバットマンはDCEUで、リアルな世界観で犯罪と戦うバットマンはこちらで…とユニバースを分けたのは賢明だと思いました。お子様たちに説明するのがちと難しいですけど。

「キャラクターが多くてストーリーがばらける」という批判もあるようです。しかし自分としては監督は「親を失ったブルース」「親に捨てられたセリーナ」「親のいないリドラー」の対比がやりたかったのかな…と思いました。家庭環境が恵まれなくても前向きに奮闘するものもいれば、ダークサイドに落ちてしまうものもいる。その狭間で揺れる者もいる…ということで。ただペンギンに関しては確かにいる意味そんなにあったかな?と思いました。この後スピンオフも作られるようですし、どうも監督のお気に入りキャラという疑いが晴れません。

ゴッサムについて調べていくうちに、父は本当に清廉だったのか信頼がゆらぎはじめるブルース。けれどもアルフレッドの言葉を信じて、父が目指していたものを自分なりに引き継ごうと成長していきます。バットマンといえば「取り締まる者」「制裁を加える者」というイメージがありますが、この映画では終盤「救出者」「奉仕者」としての面も描くことによってその成長を明らかにします。そういうバットマンってあまり観たことがなかったので、なんか新鮮でありました。

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さて、この時点でもう大概ネタバレですが、以下はさらにネタバレ大全開で好きな要素・ポイントを列挙してみます。

・夕焼け(朝焼け?)を背に浮かび上がるバットマンとセリーナの真っ黒なシルエット

・手持ちの武器が乏しくなった時、胸のシンボルをガチャッと取り外すバットマン。それ、着脱可能だったんだ…と

・警官たちに取り囲まれた際、「俺をなぐってカギを奪え」と小芝居でバットマンを逃がそうとするゴードン警部。自分の首が飛ぶかもわからんのに… おそらくこの前の2年間に色々あったんでしょうけど、そんな二人の絶対的な信頼関係が微笑ましゅうございました。

・その直後、ムササビスーツで滑空したものの、豪快に車両や地面にバウンドしてしまうバットマン。過去の映画でもそうでしたが、蝙蝠モチーフのくせに自由自在に飛べないんですよね。そんな不自由というか不器用なところが好きです。

・アルフレッドと言えばダークナイト三部作までは「じいや」、DCEUでは「叔父貴」という感じでしたが、今回は中二の青年を温かく包み込むようなオカンみに溢れていました。きつい言葉を言われてもじっと耐え、「ちゃんとバランスとってベリーも食べなさい」と健康の心配までする。演じるアンディ・サーキスはこれまでモーション・キャプチャーで怪獣・猛獣・妖怪を名演し、凶器と憤怒の権化みたいな方でしたが、人間体だとこんなに母性豊かになられるんだと…とその役者力に感服いたしました。あとこの人昨年『ヴェノム』続編の監督までやってましたよね。

・ラストシーン。バックミラーでつかの間セリーナの影を追い、きっとむきなおるブルース。こういう一抹の寂しさを感じながらも揺るがぬ決意を感じさせる描写がツボでありました。セリーナが口にしてた「ブルードヘイブン」は初代ロビン=ナイトウィングのホームグラウンドですが、ロビン登場の伏線でしょうか。

全米ではまたしても大ヒットを記録し、ほぼ続編も内定している『ザ・バットマン』。先に『猿の惑星』で神話を見事に完成に導いたマット・リーブスの手腕に期待してます。最後に映像作品を中心に各バットマンのキャラ付けをまとめた表をこしらえてみました。今回初めて闇の騎士に触れた方は今後の作品の鑑賞の参考になさってください。

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March 21, 2022

2022年2月に観た映画

☆『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

これは早くも記憶が薄れつつあるな…w 数年前全員女性キャストでリブートした『ゴーストバスターズ』ですが、今回は80年代のオリジナル版と直結した続編となっています(ややこしい)

これまでは大都会でドタバタお化け退治をする話だったのに対し、今回はさびれ気味の地方の町で、時にしんみりしながら子供たちががんばる話になっています。ぶっちゃけちゃうと「ゴーストバスターズ」というよりスティーブン・キングっぽいんです。その辺は親子の間柄ながらエンターテインメント職人で1・2作目を手掛けたお父さん(アイヴァン・ライトマン)と、等身大の人間ドラマを得意とする息子さん(ジェイソン・ライトマン=今回の監督)の資質の違いからくるものでしょうか。

この作品にとって不幸だったのは、ここ2,3年くらいの間にシリーズ総決算的な作品が続いたもんで、それらに比べると微妙に影が薄くなってしまったこと。少し前にも『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』や『マトリックス レザレクションズ』がありましたし…

個人的にツボだったポイントは専用車両から銃座がガコーン!と飛び出してくるギミック。あれはいい。

 

☆『大怪獣のあとしまつ』

これはちょっと感想が書きづらいな…w 突然死してしまった大怪獣の処理をめぐり日本政府が右往左往するお話です。監督が三木聡氏という時点でふざけた作品になるだろうと予想していたのですが、その独特のお笑いセンスにいら立った方が続出し、公開するやいなやネットでは怒りのコメントが殺到することとなりました。

ただまあわたしは料金分くらいは楽しみました。やっぱり大怪獣は大スクリーンで観た方がいいので。たとえ登場時から死んでいたとしてもです。

以下結末までネタバレで。

 

 

恐らく監督さんは「きちんと後片付けするウルトラマン」を描きたかったのかと憶測します。ウルトラマンっていつも怪獣倒したら速攻で帰っちゃいますからね。ただ最初から変身してさっさと後片付けすりゃいいのに、ラストまでそうしない。これはたぶん「人間体であらゆる努力を尽くしてからでないと変身できない」、『帰ってきたウルトラマン』(通称「新マン」)オマージュなんだと思います。だから主人公の名前が「アラタ」なのでは。どうでしょう。

 

☆『鹿の王 ユナと約束の旅』

東洋的ファンタジーの名手、上橋菜穂子先生の小説のアニメ映画化。『もののけ姫』に関わったスタッフの作品ということで、なるほど背景や美術は目を見張るものがありましたが、この個性的な世界観に入り込むのにいささか努力を要しました。これはいい悪いというより、私個人の好みに負うところが大きいかも。あるいは先に原作を読んで作品世界になじんでおけば、もっとすんなり没入できたのかな? …と言いながら、最後の方ではヒロイン?のユナが泣きじゃくる様が下の姪っ子とよく似てたので、ちょぼちょぼ鼻水が垂れたりしました。あと主人公ヴァンの岩壁のような顔面と、ユナの歯の抜けたキャラデザは割と好きです。

 

☆『さがす』

新鋭の片山慎三監督作品。「凶悪犯を見つけた。捕まえて懸賞金をもらう」と言って、姿を消した父。残された娘は父を懸命に探し求めるが。

力作でございます。ストーリーテーリング、脚本の構成・伏線、キャストの鬼気迫る演技、ラストに残された余韻、全てに深いため息をつかされました。もちろんがっかりして、ということではなく、しみじみ感じ入って…ということです。特にいつも福田雄一作品なのですっとぼけた姿を見せている佐藤二郎氏が苦悩したり闇を見せたりする場面などは、失礼ながら「こんなことも出来るんだ」と感服させられました。

監督はポン・ジュノ氏の助監督をつとめてたこともあるそうで。そのせいか近年の韓国ノワールに近い空気を強く感じました。一方で非情になりきれない作風に慰められたりもしました。

偶然にも『ドライブ・マイ・カー』と共通するところも幾つかあり。妻に先立たれた男が、娘(あるいは娘に似た存在)に救われたり、血の匂いのするイケメンに振り回されたり…などなど。

趣味の悪いところもあるので、そういうのが苦手な人にはすすめられませんが、もしかしたら今年はこれを越える邦画には出会えないかも。

 

☆『アンチャーテッド』

人気ゲームの映画化。これまた記憶がぼちぼちおぼろげ。そんなのど越し爽やかな生ビールのような作品です。

財宝を追って姿を消した兄を追い、トレジャーハンターの青年が怪しげな美術商のおっさんとコンビを組んで、冒険したりバトルしたり…という内容。前半はあまりにも『インディ・ジョーンズ』のそっくりで「もう少しひねろうよ」と思いましたが、クライマックスのシーンでは今まで見たことがないようなビジュアルを披露してくれて興奮いたしました。

 

☆『シラノ』

これまで何度も映像化されたり翻案化されてきた『シラノ・ド・ベルジュラック』の最新バージョン。先に上演された戯曲が元になっていて、シラノと言えば「鼻がでかい」というのが特徴だったのに、今回は小人症という設定になっております。主演は舞台版も務めたピーター・ディンクレイジ氏。様々な作品で名バイプレイヤーとして活躍されてきましたが、メジャー映画で堂々たる主役というのは初めてでは。その点でなにやらほっこりとさせられました。あとあの体でチャンバラとかできるのかな…と思ってましたがこれまた見事にアクションをこなしており、これまた心配ご無用でありました。

ジョー・ライト監督お得意の静謐で美しい舞台背景も堪能。今年のアカデミー賞では衣装デザイン部門にノミネートされています。

 

☆『ナイル殺人事件』

2017年に公開されたアガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』の続編…というか同じシリーズ。冬景色の列車旅行から、今回はトロピカルなエジプトの船旅を楽しむことができます。もちろん連続殺人込みで…

「背景があまりにもCGっぽい」という意見もありますが、こちとら合成ラインが浮きまくってるような特撮で育った世代なので、そういうのは全く気になりませんでした。むしろ少し前にプレイした『アサシンクリード オリジンズ』を思い出してワクワクさせられました。

探偵というのは基本傍観者・観察者であり、こちらの名探偵ポアロも前作ではそうだったのですが、今回は親友が事件に深く関わってしまったこともあって強い葛藤に苦しめられたりします。また、容疑者らの愛の情念を見せつけられて自身のつらい過去を思い出してしまったり。自分はそういう人間味の濃いポアロの方が好きですけど、そのために今回は色々傷ついてしまったようで何やら気の毒でありました。

ちなみに犯人ですが、見事に意表をつかれました。前作『オリエント~』の犯人はあまりにも有名なのでサプライズがありませんでしたが、今回は普通に驚かされました。ただひとつ犯人につっこませてもらえるならば、どうしてポアロを同じ船に乗せちゃったのかと言いたい。自分たちの計画に相当自信があったのかもしれませんが、「世界最高の探偵」を同行させちゃったらどうやったって真相を暴かれちゃうでしょうよ…

 

3月は『名付けようのない踊り』『ドリームプラン』『ザ・バットマン』『仮面ライダーオーズ』『SING ネクストステージ』と観ました。あと『ナイトメア・アリー』『ベルファスト』を鑑賞予定なので。次はその辺の感想を。

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March 02, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る②2月編

『鎌倉殿の13人』も本格的に戦が始まり、だいぶ大河ドラマらしくなってきました。そんな5~8話を振り返ってみます。

 

第5回「兄との約束」

平家方の代官・山木兼隆の襲撃に成功し、初戦を勝利で飾った頼朝軍。だが次なる相手・相模の大庭景親は数で勝る上に挑発合戦でも上を行き、源氏勢は敗走を強いられる。そしてふてくされた頼朝の命で単独行動を取っていた義時の兄・宗時に、不気味な影が迫っていた。

頼朝軍が最大のピンチを迎える「どん底編」の前編。お話が深刻になっていく中、源氏方には申し訳なかったのですが、この回はわたしのご近所の出番が多く大変はしゃいでおりました。特に政子たちが避難する「伊豆山権現(現・伊豆山神社)」は本当に家から近くで、そういえばむかーしの大河ドラマ『草燃える』でもロケに使われてたことを思い出したり。明治までは寺も兼ねてたそうで今は神社なんですけど、ドラマではお坊さんがちょろちょろうろついてましたね。

そして先週予告から死亡フラグを立てまくっていた片岡愛之助氏演じる北条宗時。頼朝とは別の方向で「調子のいいやつだなあ」と思っていましたが、胸の底では熱い思いを抱いていた人だったのですね… そして図らずも最後に交わした言葉が以後の義時のモチベーションになっていきます。

この回のそこそこ重要なアイテム。佐殿が髪飾りに使っていたミニチュア観音

 

第6回「悪い知らせ」

敵のはずの梶原景時に見逃してもらったりして平家の追撃を振り切り、なんとか安房までたどりついた頼朝たち。生き残っていた郎党たちも三々五々、その地に集まってくる。だがいつまで経っても宗時は姿を現さない。そして散々な目にあった頼朝はすっかり戦へのやる気を失っていた。

引き続き地元にスポットがあたっていた「どん底編」後編。佐殿たちがたどり着いた海岸もよく知ってるとこなんですが、あそこから千葉県まで小舟で渡っていくなんて到底無理な話です。それでも必死にこぎまくって渡り切ってしまう坂東武者たち。昔の武士の体力がすごいのか、命がかかっているから超人的な力をひねり出せたのか…

そんなドタバタ劇の最中描かれる、二組の子を失った親の姿に胸が締め付けられました。自分も今度千鶴丸のお墓探して弔ってきますかね…、いや、たぶんもうないか、「伊豆山神社に作った」というのはこのドラマの創作なんでしょうけど。

義時の説得に胸打たれ、思い直して再起を誓う佐殿。それを晴れやかに見つめる法皇様の生霊w 成仏したのか(生きてる)生霊コーナーはこの回でひとまずおしまいとなりました。

この回の重要でないアイテム:政子さんが八つ当たりに蹴っ飛ばしたバケツ

 

第7回「敵か、あるいは」

この辺からアニメ『平家物語』にどんどん追い抜かれていきます。まあちらは全11話なので… 巻き返しを図るには安房の豪族・上総広常を味方に引き入れることが必須と考えた頼朝は、義時と脳筋の和田義盛を使者に使わす。しかし大庭景親もそのことには気づいていて、一足先に梶原景時を広常のもとに送っていた。屋敷で鉢合わせした二組の使者は広常を自分の側につけるため知恵をめぐらす。

傲岸不遜そのものの上総広常を演じるは、三谷ドラマの常連佐藤浩市さん。まんま『新選組!』の芹沢鴨でございました。結局策をめぐらすのではなく、真正面から「面白いこと一緒にやりましょうよ!」と説き伏せる義時君。お兄ちゃんもあの世から喝采を送っていたことでしょう。

そしてこの回から変に神がかってくる佐殿。刺客の襲来を間男してたことで切り抜けたのには爆笑ものでした。そしてキャバクラ戦法では不興を被ることに気づいたのか、逆に一喝することで広常を感服させます。やはりこの男、「何か持ってる」と言わざるを得ません。

平行して登場する佐殿の二人の弟。一人は怪しげな妖術が不発に終わった全成(今若)。そのうち成功してくれることを願います。もう一人の弟はご存じ日本史きっての大スター・源義経。ちなみにこの時点で頼朝(三男)の兄弟は長男・次男・四男・五男が死んでいて、六~九男が反平家軍に加わることになります。

この回の重要でもないアイテム:和田義盛が剃ろうとした眉毛

 

第9回「いざ、鎌倉」

急激に膨れ上がった軍勢をひきつれ、本拠地と定めた鎌倉に乗り込んだ頼朝軍。すっかりいい気になった佐殿は前回知り合った亀の前といちゃつきまくり、郎党から「調子にのってね?」と心配される。そのころ兄の軍に加わろうと南下していた義経とその一党は、ついつい観光地に立ち寄ったりでなかなか合流できないでいた。

「なんかもってるわ」ということで勢いを増していく源氏側。梶原さんやイケメンの畠山重忠、これまでごねてた武田信義までその傘下に加わります。わずか一回でガラッと形勢が逆転してしまうのですから、現実というか歴史は怖いですね… 敵ながら大庭景親や伊東のじさまが気の毒になります。

これまでと違った視点で、しかも説得力ある人物像を描くのがテーマ(のような気がする)の三谷歴史劇。梶原景時などは義経を陥れた卑怯者…というイメージでしたが演じる中村獅童の迫力もあり、なかなか風格あるキャラクターになってます。『新選組!』の時はえらいかっこ悪かったので、その点佐藤さんとは対照的ですね。

そしていよいよ本格登場の九郎君は良くも悪くも空気を読まない衝動的な青年として描かれております。ウサギ一匹のために猟師をコロッとだまし討ちにしたり… Twitterでは「『火の鳥 乱世編』の義経を思い出す」と評判?でした。一方でその天真爛漫さが憎めなかったりもします。源氏と平家、政子と亀の前の激突を予感させてお話は次回へ。

この回の重要のような気がするアイテム:かの山で追われていたウサギと里芋の煮っころがし

 

そういえば平家の面々まだほとんど出てきませんね。3月はその辺を期待してます。

 

 

 

 

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February 28, 2022

2022年1月に観た映画

というわけで『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』以外の1月に観た映画の感想です。今年も一ヶ月遅れがデフォルトになりそうな感じです。

 

☆『レイジング・ファイア』

原題『怒火』。かつて警察組織に裏切られた男は復讐を果たし、同時に大金を得るため大胆かつ非道な犯行を繰り返す。その前に立ちはだかったのはかつて男が慕っていた先輩刑事だった。

この復讐と強盗の両方を一緒にやっちゃおうというのが少々無理があると思いました。案の定序盤こそジョーカーよろしく警察を翻弄していた男(ンゴウ)ですが、欲をかいたせいでどんどん追い詰められていきます。つか、アクション映画監督の皆さん、本当に『ヒート』お好きですよね。自分はたまたま地上波でやってた時片付けものしながら観てたので未だにその魅力があまりわかってないのですが。

ラストの対決場面、二人がえんえんとドつき合ってるのになかなか警官隊が到着しません。「思う存分戦わせてあげてから逮捕しよう」と物陰で待ってた疑いがあります。その優しさに涙しました。

 

☆『マークスマン』

☆『クライ・マッチョ』

2本まとめて。たまたま色々似通ってしまった映画です。メキシコ国境に住む老人があることから少年と共に旅をすることになり、自分の人生を見つめなおしたり、暴力沙汰に巻き込まれたり…というストーリー。

一応アクションもありますが、それぞれの主演(イーストウッドとリーアム・ニーソン)がお年を召されてるせいか、だいぶ控えめ。イーストウッドなんてもう90代ですから出来ることに限界があります。それに比べるとリーアムさんはもう少し動いてましたが、昨年暮れの『アイス・ロード』よりもいたわられてる感じでした。

でもまあお年寄りがよろよろしながら無頼漢を相手にがんばっているのを観てると、俄然応援したくなります。また「ジジイになったらもう家やカネに執着せず、断捨離して若い世代の助けになれや」みたいなメッセージがこめられています。自分はなかなかなモノが捨てられないタイプの人間なのでそんな風になれる自信は全くありませんが、そうできるよう努力はしてみたいです。

『マークスマン』はリーアムさんの去り際にホロホロと泣き、『クライ・マッチョ』は一昔前のメキシコの観光旅行を楽しませてもらいました。あと2作品見比べると今はものものしいメキシコ国境も、かつてはずいぶんのんびりしてたんだな…と感傷にふけってしまうのでした。

 

☆『サンダーバード55/GOGO』

60年大人気を博したSF人形劇『サンダーバード』。今回は残された朗読劇のレコードを元に、新たに3本の新エピソードをこしらえたというから驚きです。ビーグルよりもヒロインのペネロープの活躍が目立ってた気もしますが、まあよいでしょう。第1話の基地の超システムを社会科見学のように案内してくれるくだりなどは、自分の中の小学生がキュピーン!と目ざめて大興奮しちゃいましたし。そして何より「人形劇の映画」というのがワン・アンド・オンリーというかめちゃくちゃ貴重なのであります。

 

☆『ハウス・オブ・グッチ』

『フォックスキャッチャー』や『アメリカンスナイパー』のような「欧米の人々はみんな顛末を知ってるんだろうけど、我々は知らない」実録ものの1本。ブランドの帝王グッチ家の内部で、どんなドロドロしたスキャンダルが繰り広げられてたのだろう…と週刊文春のえぐい記事を読むようにワクワクして臨みました。で、大変面白かったのですが、そのあまりの無情さにどっと疲れました。やっぱ文春なんて読むもんじゃありません。

レディ・ガガ演じる嫁も、最初から富が欲しかったわけじゃないと思うのです。普通のアパートでのんびり暮らしてた時代はそれはそれでとても幸せそうでしたし。地位と莫大な財産が彼女を変えてしまったのか。やっぱお金は人を狂わせるな… でもお金欲しいな… でもお金は人を(繰り返し)

 

☆『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊』

タイトルなげええええええよ!! 熱心なファンを持つウェス・アンダーソン監督の最新作。「フレンチ・ディスパッチ」という架空の雑誌の1号分をまるごと映画化するという、これまたキテレツな作品。雑誌と言っても文〇みたいな下世話なものではなく、『BURUTUS』みたいな趣味の世界に没頭しているような本…かな?

相変わらずおもちゃ箱のような凝った絵作りに感心させられます。ただ彼のおもちゃ箱というのはとっちらかってなくて、配置とか構図とか綿密に計算されてるんですよね。そういうところはアートでもあるのですが、自分はやはり遊び心の方を強く感じます。

そんなわけで今回も十分に楽しませてもらいましたが、オムニバス形式ゆえかシャッキリしてる時に観ないと猛烈な眠気に襲われるやもしれません。

ちなみに自分のアンダーソンベスト3は『グランド・ブダペスト・ホテル』『ダージリン急行』『ファンタスティックMr.フォックス』。『フレンチ~』はその次くらいに気に入りました。

 

次回は『鎌倉殿』レビュー2回目。そのまた次に『ゴーストバスターズ/アフターライフ』『大怪獣のあとしまつ』『鹿の王』『さがす』『アンチャーテッド』『シラノ』『ナイル殺人事件』の感想を一気に書けたらよいのですが。

 

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February 15, 2022

僕の前に道はできる ジョン・ワッツ 『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』

Dsc_0130 一本の映画でひとつの記事を書くのもこれまた本当に久しぶり。本日ははやくも2022年の映画ベストワンになってしまいそうなMCU最新作にしてジョン・ワッツ版スパイダーマン完結編『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』を紹介いたします。

前作ラストでヴィランのミステリオにより正体を暴かれ、殺人の濡れぎぬまで着せられたスパイダーマン=ピーター・パーカーはメディアの猛バッシングを受けることに。そのせいで恋人MJや親友ネッドの大学進学まで絶望的になってしまい、責任を感じたピーターは戦友の魔術師ドクター・ストレンジに、魔法の力で人々の記憶から「スパイダーマンの正体」を除き去るよう頼み込む。願いを聞き入れたストレンジだったが、ピーターの注文が細かかったために魔法は失敗。それどころか平行世界からスパイダーマンを憎む者たちを呼び寄せることになってしまう。

以後、さらにどんどんネタバレしていくのでご了承ください。

今回の元ネタのひとつは2007年に発表されたコミック『スパイダーマン/ワン・モア・デイ』。「シビルウォー」事件において世界に正体を明かしたピーターですが、そのことがきっかけで彼に恨みを持つヴィランがメイおばさんを殺害するという悲劇が起きます。己の行為を悔やんだピーターは悪魔メフィストと取引をし、自分の正体を忘れさせることとメイおばさんを生き返らせることの代償として、MJとの結婚をなかったものにしてしまう…というストーリー。この作品は発表当時賛否両論…というか圧倒的不評を持って迎えられました。そんな黒歴史を巧みにアレンジして全米歴代3位はほぼ確定なほどにヒットさせてしまうMCUスタッフには恐れ入ります。

それはともかく、今回の『ノー・ウェイ・ホーム』はスパイダーマンというヒーローの特質をよく表していたと思います。そのひとつはスパイダーマンが「いつも犠牲を払っている」ヒーローだということ。軽口叩いて陽気なイメージのあるスパイディですが、映画作品ではどれも何かしらの悲劇に見舞われています。それは親しい人を辛い目に合わせたり、死なせてしまったり、あるいは私生活が忙殺されたり…ということです。それでいて彼がいい目を見ることはほんのちょびっとしかありません。ヒーローなんてやってても正当な報いを得ることなんてほとんどない。それでもピーターは自分の信念を曲げませんし、生き生きと活動を続けます。

もうひとつの特質はスパイダーマンはレスキューマンであること。アメコミヒーローも数多くいますし、その目的や動機も実に様々。で、スパイダーマンが活動するのは悪を倒すことや組織の命令ではなく、困っている人・死の危険に見舞われてる人を助けること。それがたとえヴィランであってもです。今回の事件なんてパニッシャーが当事者だったら秒速で箱のスイッチが押されてあっという間に解決する話です。ストレンジ先生も冷たく「それが運命だ」と言います。それでも断固として彼らの命をあきらめないピーター。簡単に人命が諦められてしまう今のご時世ならばこそ、そんな少年の純真な姿は胸を打ちます。

さて、これからがいよいよこの作品のキモとも言えるネタバレ部分ですが…

 

 

マルチバースの扉が開いてやってきたのは旧作品の悪役だけではなく、2002年から始まった元祖スパイダーマン(トビー・マグワイア)と、2012年から2014年にかけて作られたアメイジング・スパイダーマン(アンドリュー・ガーフィールド)までもが集結します。これ、公開前から噂にはなってましたが、本当に実現するとは思いませんでした。ガーフィールド君なんて「僕はその映画に出る予定ない」なんて公言してたし… だましやがったな!! いや、だましてくれて本当にありがとうw

第1作からリアルタイムでこのシリーズを追いかけてきた自分にとって、このコラボは本当に心躍るものでした。そしてこれ、今のスパイダーマンだからこそ成しえた企画かもしれません。トビーもアンドリューもまだ健在で、さらにヴィランの面々も含め、ファンが狂喜するであろうことを望んで出演を快諾してくれました。これがスーパーマンやバットマンだったら演者に故人もいますし、「大人の事情」で出てくれなそうな方もいます。

また、この映画が素晴らしいのは、好きだったのに中途半端に終わってしまった映画、続編のキャラたちも、私たちが知らない・見られないだけでどこかの時空で変わらず元気にやってるんだな、と実感させてくれたところです。スパイダーマンも元祖・アメイジング共に「この後大丈夫かな?」と不安が残る状態でシリーズ終了となっていました。それが久しぶりに「本人」がスクリーンに登場し、「なんとか元気でやってるよ」と安心させてくれたのですからこれが泣かずにおられましょうか。

泣かずにおれない、といえばトム・ホランド演じるピーターの最後の決断も胸を締め付けられました。またしても大きな犠牲を払わされるスパイダーマン。しかしその顔は意外にも晴れやかです。この世界の誰からも忘れられようと、平行世界で同じようにがんばってる兄弟がいることを知って励まされたのでしょうか。

アメコミ映画によくあるエピソードのひとつに「ヒーローが恋人にだけ正体を明かす」というものがあります。まあ東西を問わず中二少年の妄想がたぎるシチュエーションです。しかし前作でそれをやらかしたピーターは、今回MJのためを思いもう一度それを繰り返したりはしません。相手の平穏を願い自分の望みを捨てた時、人は大人になるのでしょう。スパイダーマン「ホーム3部作」は少年が幾つかの出会いと別れを繰り返し、大人に成長していく物語だったのだと思います。

このシリーズに欠かせないポッチャリ二人組、ネッドとハッピーにも大いに泣かされました。特に今までお笑いしか提供しかしてこなかったネッドに泣かされるとは思わなかった… そしてMCU1作目から登場しヒーローを支え続けてるハッピー。これでお別れみたいなムードが漂ってましたが、これからもこのユニバースの顔であってほしいものです。ただ中の人ジョン・ファブローも映画に出演する傍ら、監督作も待機しててスターウォーズのドラマのプロデューサーもやって料理番組も司会して、過労で死なないか本気で心配です。人のことは言えませんがなかなか不健康な体型してるし… もう少し健康に気を使って末永く活躍していただきたいものです。

果たしてこれから映画スパイダーマンはどこに向かっていくのか。トムホ君もソニー・マーベルの首脳陣もまだ具体的なことは言及してませんが、自分としては3作くらいソニーのヒーロー世界に出張させて、ヴェノムやマイルズ・モラレスとの共演作でも作れば盛り上がると思います。ソニーさん、この企画5千円くらいで買いません?

さしあたって再来月にはソニーのユニバースで『モーヴィウス』が、5月には今回やらかしてくれた『ドクター・ストレンジ』の新作が公開予定。秋にはアニメ作品『スパイダーバース』の続編が二部作で待機しています。スパイダーマンの世界はクモの巣のようにまだまだ広がっていくようです。

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February 06, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る①1月編

今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』があまりに楽しいので、実に『天地人』以来13年ぶりとなる大河レビューを書いてみます。途中で挫折する可能性大ですが… 

 

第1回「大いなる小競り合い」

時は西暦1175年。伊豆の豪族・北条時政が都での勤めを追え、数年ぶりに領地に戻ってくるところから話は始まります。その祝賀会の最中、伊東祐親の屋敷で養われていた流人・源頼朝が北条の屋敷を来訪。伊東の娘・八重に手を出して祐親の逆鱗に触れた頼朝は、北条にかくまってほしいと頼みこむのだが…

冒頭で義時が馬に誰かを乗せて走っている場面、妙に作り物っぽかったので頼朝に似せたダミー人形なのでは?と思っていましたが普通に本物でした。一話で一番印象に残ったシーンと言えばやはりこの大泉洋氏演じる頼朝が「姫」に扮して逃亡しようとするところ。コメディ作家三谷幸喜氏の本領とも言えるくだりであります。一方頼朝と八重の子どもである千鶴丸はあっさり…となってしまい、時代性とはいえその無情さに戦慄いたしました。題材が題材なのでこれからいくらでもえぐいエピソードが出てくると思うのですが、それにいかに調和よくユーモアをまぶしていくかがこのドラマの課題のひとつでしょう。北条氏・伊東氏・三浦氏の関係は全然わかっていなかったので勉強になりました。あとラストで各地の群雄が順々に紹介されてくところはテンションあがりました。

この回の重要でもないアイテム:時政が都から持ってきた定員割れのお土産

 

第2回「佐殿の腹」

北条と伊東の衝突は突如として現れた相模の豪族・大庭景親の仲裁により回避される。これにより頼朝は正式に北条の客人となることが決定。時政の娘・政子は雅な頼朝にすっかりぞっこんになってしまい、波乱を予感した弟の義時は頭を悩ませる。

このドラマでまず上手いな~と感じたのが、どこまで本気でどこまでノリで言ってんだかわからない、頼朝の実に適当な人物造形。これまで頼朝といえばくそ真面目で陰気そうに描かれるのが定番でしたが、斬新なうえにやけに説得力があります。で、風貌も性格もすっとぼけた感じなのになぜかよくもてる。こんな大泉さんかつてあったかしら?と思いましたが大河『真田丸』でも三角関係の一点にありました。

さんざんぶーたれてたのに「お前が頼りだ」と力強く言われるところっと心酔しちゃう義時君。この時まだ15歳なので純真なんでしょうね。近所の湯河原での入浴シーン(男のみ)、薄衣羽織って温泉につかるところが面白かったです。「13人」の一人である比企能員が初登場。この名前読めね~

この回の重要でもないアイテム:政子さんが丁寧に小骨をのぞいて作ったアジ料理。伊豆のアジの干物はおすすめです。

 

 

第3回「挙兵は慎重に」

あっというまに5年の月日が経ち(飛ばされた部分はアニメ『平家物語』でどうぞ)、頼朝は政子との間に一子をもうけ、すっかりマイホームパパとして落ち着いてしまっていた。ところが平清盛を苦々しく思う後白河法皇の息子・以仁王が打倒平家を掲げて挙兵。全国の反平家勢力にむけて参戦するよう文を送る。頼朝と北条は戦いに加わるべきか判断を迫られる。

この回も珍エピソードが色々ありました。まず『ステキな金縛り』よろしく頼朝の夢枕に立つ法皇様。このドラマは法皇様を超能力者か陰陽師とでも思っているのでしょうか。次いでうさんくさい山師丸出しの文覚上人。演じるは大河『風林火山』で武田信玄だった市川猿之助氏。だいぶ雰囲気が違います。この文覚さんも良く知らなかったんですが、調べたらかなり波乱の人生だったようですね。

そして頼朝に決起を促した一通の文。「慌て者の早とちりが歴史を動かすこともある」ということで。以仁王を演じたのは現ジャイアン木村昴君。「大河に出るのが夢だった」とのことですがその出番はあまりにも…

この回の重要でもないアイテム:文覚さんがもってた限りなく信頼性の薄い義朝公のしゃれこうべ。「他にもある」そうなので。あと堤さんが踏みにじった北条家自慢の夏野菜

 

 

第4回「矢のゆくえ」

ついに挙兵を決意した頼朝。だが集まるはずの兵は予想より大幅に少なく、不安は増すばかり。とりあえず初戦に勝てばおいおい人も増えるだろうということで、第1戦のターゲットを代官・山木兼隆に定める。討ち漏らさないよう山木が確実に屋敷にいる日を義時はなんとか探ろうとする。

最初はごねてたくせに、やってきた坂東武者たちに「あなただけが頼りなの」とハグしまくる佐殿。某所で「キャバクラ幕府」と揶揄されておりましたが、これ『吾妻鏡』にも記されてるれっきとした史実なんだそうです。それはともかく続々と味方に加わる陽気なヘンテコキャラたちがなかなか楽しい。三谷さんはこういうの得意ですよね。ただ数も質も頼りないことこの上なく、こんなんで天下の平家に勝てるとはとても思えず。わたしらは歴史知ってるからいいけれど、佐殿や義時の心細さが痛いほどに察せられました。

男たちが戦の準備の盛り上がっている裏で、頼朝のことを忘れられずなんとか助け出そうと苦慮する八重さん。地元紙では彼女を主人公にした小説が連載されてたこともありますが、ドラマでスポットがあたることは大変珍しいのでは。ガッキーこと新垣結衣さんがキツめの性格の役をふられるのもちょっと珍しいですね。

戦の前にびびる義時に声をかける父さん・兄さんのシーンが微笑ましくてようございました。これから首チョンパしにいくわけですけど。

この回の重要なアイテム:源平の戦の端緒となった二本の矢

 

…こんな感じで。根性が続けばまた来月。

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January 25, 2022

2021年12月後半に観た映画

年も改まりまして、ようやく今年最初の更新であります。内容はまだ昨年をひきずっておりますが… そんなわけで昨年どん詰まりに観賞してた5本の感想をさらっと。

 

☆『マトリックス:レザレクションズ』

これまでも度々噂されてた『マトリックス』シリーズの続編が、18年の歳月を経てついに実現。人類の都市「ザイオン」を守るため、宿敵とも言える「マトリックス」に自らを捧げたネオ。それから月日は経ち、別人としてある世界で暮らしていた彼は、最愛のパートナー・トリニティと再会を果たす。だが彼女は以前の記憶を持っていなかった…

今回の新作のためにがんばって前3作を復習いたしました。いやあ、小難しかった。それはさておき前までは「生きるか死ぬか・やるかやられるか」的な、殺伐としたムードに包まれていた本シリーズ。監督の心境の変化でもあったのか、今回はずいぶんと和やかなタッチになっておりました。不倶戴天の敵とも言えたエージェント・スミスとネオがジャンプの漫画のように共闘しちゃってるし、そもそも黒幕とも言えるマトリックスのプログラムが「ネオに死なれると困る」なんて言ったりしてます。

わたくしマトリックスというのは倒さなきゃいけないファシスト政権だとばかり思い込んでいたのですが、そうじゃなかったんですね。我々に夢を与えながらエネルギーを吸い取るような存在…娯楽産業のほうがよりその実態に近い。この二十年でネットとゲームが発達したことにより、ほとんど動かないで様々なエンターテインメントが楽しめるようになってしまいました。それにどっぷりつかりすぎると危険ですが、日々を生きていくための潤いでもあるわけです。というわけで今回も人類とマトリックスの関係は煮え切らない感じで終わってしまいましたが、不思議とそれが心地よかったです。

これをもって新たなシリーズが開始するとか、そういうことはなさそうです。シリーズを愛してきた人たちへの、二十年後のサプライズ・プレゼントのような作品でした。

 

☆『皮膚を売った男]

事情で故国シリアから欧州へ亡命してきた男が、恋人に会うために国境を越えようとするも金と法に阻まれてしまう。そこで彼はある芸術家の提案にのり、自らの背にタトゥーを彫らせ「美術作品」となって「展示」されることで願いをかなえようとする。

まるで現代のおとぎ話のような映画ですが、これ実話からインスパイアされたお話なんだそうです。アーティストって「芸術のためなら」と、時々えらく傲慢になることがありますよね。そんな傲慢さがよく現れた作品。そして被害者である彼も、その恋人も、芸術家の秘書もみんな自分のことばかり考えていて微妙に好きになれません。ところが最後の方になってくると、なぜかそれらの登場人物に愛着がわいてきてしまったりして。

ラスト数分は削った方が衝撃的だし政治的メッセージもよく伝わると思うのですが、さわやかな気持ちで映画館を出られるようにしてくれた監督に感謝です。

 

 

☆『キングスマン/ファーストエージェント』

当初の予定から2年も遅れて公開された悲劇の作品。マシュー・ボーンが生み出したトンでもスパイ組織「キングスマン」の成り立ちを描いた内容。当然いつものようなオチャラケバトルがえんえんと展開されるのかと思いきや、第一次大戦の前線のパートで突然笑うに笑えない沈うつなエピソードが入ってきます。まるで木多康昭先生の漫画みたいでした。

そんな風に戸惑うところもございましたが、この時代の実在の怪人たちがレトロな背景&アナログなガジェットで縦横無尽に暴れまわるのはやはり楽しい。特にリス・エヴァンス演じる怪僧ラスプーチンは本物そっくりでした(本物見たことないけど)。正編の第3作と同時に、この前日談の第二部も構想されてるとのこと。今度は第二次大戦が舞台となるのでしょうか。実現するといいですね…

 

 

☆『モスラ』(1961)

『ゴジラ』『ラドン』と並び称される伝説の怪獣映画。「午前10時の映画祭」のおかげで4K修復版をスクリーンで拝むことが出来ました。モスラが出てくるまでがなかなかに長いのですが、そこは秘境探検物として楽しむことが出来ました。

主演をつとめるフランキー堺氏が行動力抜群で、記者なのに悪漢を相手に引けをとらなかったりなかなかにかっこいい役回り。とはいえやっぱりその風貌のせいか、ユーモラスな空気を漂わせております。

ゴジラと違うのはモスラはアイドルであり愛でるべき存在ということですね。自衛隊の砲火が浴びせられたりするととても痛々しい気持ちにさせられます。ゴジラだったらあれくらい屁でもないのでしょうけど。一方でその機動力でもってアメリカ(劇中ではロシリカ)まで飛んでいって大暴れするあたりはさすがに大怪獣でした。

 

 

☆『劇場版 呪術廻戦0』

人気コミック『呪術廻戦』の前日談を劇場アニメ化。超ド級の怨霊「折本里香」に取りつかれていることで、同級生に重傷を負わせてしまった高校生・乙骨憂太は、その力を人の役に立てるよう使うため、また里香の呪いを解くために呪術を学ぶ「呪術高専」の門を叩く。

原作は読んでたのですが、取り立ててそれほどのインパクトは受けませんでした。だのに迫力ある効果と声優さんの力強い演技が加わるとまるで別物のように興奮・感動してしまうから面白いですね。それともやはりそれだけのポテンシャルを秘めた原作だったということでしょうか。

邦画の定番ジャンルに純愛ものとホラーがありますが、食い合わせが悪いようで、上手に掛け合わせるとお互いを引き立てるようなアクセントになるんだな…という発見がありました。

自分が特にひきつけられたのは正ヒロイン?である里香ちゃん。いわば主人公のバディであり恋人とも言える存在ですが、エイリアンじみた外見といい玉藻の前がモブに見えてしまうほどのパワーといい、何から何までが規格外です。本当にこんなキャラよく考え付いたなあ… ちょっと前例が見当たりません。このカップルに比べたらエディとヴェノムは全然普通でしたね。こちらはこちらで微笑ましくて好きですが。

おじさんですけど乙骨君の「あいつを倒したいんだ。その後はもう何もいらない」や、夏油さんの「最後くらい…」には涙と鼻水を搾り取られました。我ながらちょろい。ただその辺にやられた人は多いようでぼちぼち興行収入が100億円に達しそうです。

 

やっとこ昨年の宿題が終わりました。次回は『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』で1本書くか、『レイジング・ファイア』『マークスマン』『クライ・マッチョ』と抱き合わせで書くか…というところです。

 

 

 

 

 

 

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December 30, 2021

2021年、この映画がアレだ!!

はい、アレです。今年スクリーンで鑑賞した映画のうち上位30本とその他少々を振り返ってみます。まずは順序良くどん尻から。

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☆ワースト:『ビバリウム』

この映画が公開された時期は何本か主人公たちが無理ゲー的状態に追い詰められる作品があったのですが、それらには大体登場人物への「愛」がありました。対してこの映画には全くそれが感じられません。作品の出来や美術はともかくそういった意地悪極まりない視点が嫌いです。

ワーストで思いつくのはこれくらいかな… 

つづいて特別賞

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☆リバイバル部門 川本喜八郎・岡本忠成特集上映

人形アニメーションのレジェンドお二人のそれぞれ没後10年・30年を記念し、4K修復された作品群の特集上映。特に岡本先生の『チコタン』は改めてトラウマを刻みなおされ、『おこんじょうるり』は涙と鼻水を搾り取られました。本当に(いい意味で)ひどい。企画スタッフに感謝でございます。

 

では上位30本を下から順に

第30位 『夏への扉』 今年の猫映画ベスト

第29位 『ジャスト6.5 闘いの証し』 麻薬はイラン!

第28位 『モンスターハンター』 君たちの戦いはこれからだ!

第27位 『燃えよ剣』 試衛館から五稜郭まで2時間半1本勝負!

第26位 『ゴジラvsコング』 ウホッ いいゴジラ! 豪雨の中ビビりながら観に行きました…

第25位 『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』 風間くん、まだ生きてる!

第24位 『アイス・ロード』 リーアム・ニーソン寒冷地三部作完結編(かどうかは知らない)

第23位 『キーパー ある兵士の奇跡』 奇跡のあとはトラウマが待ってます…

第22位 『ガンズ・アキンボ』 ハリー・ポッターと死の遊戯

第21位 『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』 デッドショットさんのことも時々は思い出してください

第20位 『とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー』 ♪ぷいぷい~ かけまわれ~ ぷいぷい~ べそをかけ~

第19位 『クーリエ 最高機密の運び屋』 あの雑誌とは関係ありません

第18位 『ノマドランド』 本年度アカデミー作品賞受賞作。競った『ミナリ』も車がおうちの話でした

第17位 『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』 現場で足場を壊されると大変困ります!

第16位 『コンティニュー』 バトル・アクションとタイム・リープの見事な融合

第15位 『ドライブ・マイ・カー』 観ておいて、よかったとは思っているよ。やれやれだ

第14位 『東京リベンジャーズ』 ヤンキー・アクションとタイム・リープの見事な融合(またか) 日本でタイムリープすると大体青春が絡んできますね

第13位 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 2部の予定、はよ!!

第12位 『返校 言葉が消えた日』 かえってきた『ク―リンチェ少年殺人事件』。台湾も昔から和やかな国ではなかったという…

第11位 『シャン・チー』 つかもうぜ! ドラゴンリング!!

 

この辺は割と順位決め適当で特に16位~30位あたりは数日後考えたらまた順位変わってるかもしれません。

ではいよいよベスト10です。

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第10位 『マトリックス レザレクションズ』

色々ロングシリーズが終わった2021年。これもその1本…というか18年前に一応終わってたんですが、ひょっこり付けたしのように戻ってこられました。兄弟監督が姉妹監督になったり、そんで今回は姉のみが関わってたり、作風がずいぶん丸くなってたりするあたりに時の流れを感じました。

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第9位 『エターナルズ』

今年を代表する監督を一人選ぶとしたらクロエ・ジャオ監督になるかと思います。オスカーを獲得した『ノマドランド』や『ザ・ライダー』とはだいぶ毛色の違った作品のようで、根底に流れている暖かな視点や雄大な自然を背景とする美術には確かに通じるものを感じました。アメコミ映画の新たなる可能性を切り開いた1本でもあります。

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第8位 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

2006年から始まったダニエル・クレイグの007もこちらで完結となりました。コロナ禍で1年延期になってしまいましたが、じらされた分かえってこの結末が一層感慨深くなってしまった気はします。アマゾン・プライムで配信中のドキュメンタリー『ジェームズ・ボンドとして』と併せて観るとさらにこみ上げてくるものがあるかもしれません。ボンド役に彼が決まった時、本当に非難轟轟だったのですね… それを実力で跳ね返しシリーズに革新をもたらした功績に拍手。でも次回作でもクレイグさん続投を希望します。この際CGでもいいです。

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第7位 『DUNE/デューン 砂の惑星』

今年の秋は二時間半くらいのポンポさんが怒りそうな話題作が立て続けに公開されたのですけど、その中で自分が一番好みの作品を挙げるとするならこれかなあと。「続きは1作目の売上次第」という製作にもサンドウォームの襲撃と同じくらいスリルを感じました。またこれと併せて伝説の(笑)リンチ版も見たのですが、35年の技術の差と同じ話でこうも演出が変わるんだなあ…ということが感じられて大変面白い映画体験となりました。

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第6位 『ブラック・ウィドウ』

約2年の空白の後、ついにスクリーンに帰ってきたMCU。その間自分がいかにこのシリーズに支えられてるか…ということがよくわかりました。これを皮切りに下半期はどやどやとアメコミ映画が公開されましたが、「おかえりなさい」の感動が大きかった本作品が今年のアメコミムービー第1位です。スカーレット・ヨハンソン(スカヨはん)も卒業おめでとう&訴訟お疲れさまでした。

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第5位 『劇場版 呪術廻戦0』

昨日観たてホヤホヤの映画。それだけにまだ正式な評価があまり定まってない気もするのですが、今年の〆にふさわしい興奮と感動を与えてもらったので勢いで第5位。邦画お得意のジャンルにアニメ、純愛、伝奇アクション、ホラーがありますが、それらを全部混ぜ合わせてしかも面白い。原作既読の身でもそう感じました。

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第4位 『ラーヤと龍の王国』

公開時TOHOとデ〇ズニーが大喧嘩したためあおりをくって注目をあびなかった不遇の作品。最近のD社の作品は土壇場で「いい人が実は極悪だった」と明かされるパターンが多いですが、こちらはそれを前提としてるという新しい試み。ラーヤが「わたしが一歩を踏み出す」というシーンは思い出すだけで鼻水が垂れます。おじさんこういうのダメなんです。

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第3位 『竜とそばかすの姫』

本年度興行収益も第3位。細田監督の作品というのはいびつな部分も欠点もそれなりにあるんですが、不器用ながらもいま一番情熱と本音が伝わってくるアニメ作家であります。この作品を通じ中村佳穂さんの透き通る歌声にあえたのもよかったです。来年は新海監督の新作がスタンバイ。ジブリの衰退が著しい今、この二人に加えもう一人ビッグスターの登場が欲しい所です。そいで1年ごとにローテーションが組めたら理想なんですが。

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第2位 『JUNK HEAD』

ポッコリーノ ペッコリーナ ポッコリーノ ペッコリーナ サーイ ナーイ タイカイ ゼー ダンボー! ビンビンパンパン ビンビンパンパン ビンビンパンパン ビンビンパンパン…

 

そして2021年度のトップです。

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第1位 シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』

傷ついた友達さえ 置き去りにできるソルジャー…ってなかなかひどい歌詞ですよね。いや、そうじゃなくて。

やっぱりTVシリーズ1話からリアルタイムで観てた身からすると、このエヴァがちゃんと誰からも祝福される形で完結したというのが2021年の何よりもビッグイベントだったのでした。この25年間、「エヴァの完結編が微妙だった」という悪夢に何度悩まされたことか… 公開日の『エンドゲーム』以来の超殺伐としたネットの空気も懐かしく思い出されます。

『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』も控えている庵野監督。10年後くらいに『劇場版シン・シン・エヴァンゲリオン』でまたなつかしい面々に会えますように(やめましょう)

というわけで1~5位までがすべてアニメ作品になってしまいました。自分ももうかなりいい年ですしもう少し情操とか教養とか身に着けたいものです。

まだコロナウィルスが予断を許さないところではありますが、来年もいい映画、楽しい映画に出会えますように。では皆さまよいお年を。

 

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December 29, 2021

第18回SGA屋漫画文化賞

とうとう18回を迎えたSGA屋漫画文化賞(どこの誰も読んでないというのに)。1回目の時に生まれた世代がもう高校卒業なわけですよ。ふううう… 気を取り直してまいりましょう。例によって賞金も賞品もありません。むしろわたしがほしい。では去年に引き続いて私を今年支えてくれた3作くらいから。

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☆スポーツ漫画部門 コージィ城倉(原案:ちばあきお)『プレイボール2』『キャプテン2』

今年完結を迎えた『プレイボール2』。甲子園への道が危うくなったクライマックスのあたりとか、読んでて具合が悪くなるくらいでした。で、これで谷口君ともまたお別れか…と感傷的になっていたら、なんと並行連載されてた『キャプテン2』に引き続き彼も登場するという超絶ギミック。アメコミとかならともかく、野球漫画では前例のないことでは。というわけで来年も期待してます。

 

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☆格闘漫画部門 丸山恭右 『TSYYOSHI 誰も勝てない、アイツには』

「なめてたコンビニ店員が史上最強の男だった」を地で行くこの漫画も第4部に突入。そのあまりの強さ故とうとう国家権力を敵に回してしまった川畑強。一個人では無敵でも絶対的な社会のシステムに対しその強さはどこまで通用するのか…? 納得のいかないことが多いこの世の中に川畑さんの必殺拳が炸裂することを願ってやみません。

 

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☆日常漫画部門:萩原天晴・上原求・新井和也 『1日外出録ハンチョウ』『上京生活録イチジョウ』

完結した『トネガワ』の後を受け新たに始まった『カイジ』スピンオフ新作が画像の『イチジョウ』。若いころなれない一人暮らしや都会での生活をした経験のある人なら「あるあるあるある」と言いたくなるネタが目白押しです。ただ楽しい反面おっさんが読むと、輝かしき青春時代を思い出してちょっぴり切なくなってしまうかも。それに対して『ハンチョウ』はひたすら癒ししかありません。ネタが尽きたらハンチョウの独特な視点で映画・マンガレビューなどしてほしいな…と思うわたくしでした。

 

続きまして今年に入って初めて読んだ4作品。

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☆アメコミ関連部門:宮川サトシ/後藤慶介 『ワンオペJOKER』

『デッドプールSAMURAI』や『スーパーマンVS飯』などゆるいアメコミ関連ジャパコミが目立った2021年。その中で1作選ぶならこれを。事情で赤子になってしまったブルース・ウェイン。自分の生きる目的を失ってしまったジョーカーは「なら俺がバットマンに育てりゃいいじゃん!」という発想の大回転をかまします。そんなアホらしい話でありながら1話に1回はほっこりするハートウォーミングな作品。それでいいのかジョーカー(面白いからいいです)

 

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☆人間ドラマ部門 和山やま『カラオケ行こ!』

『女の園の星』も人気の和山先生の1巻完結のコミック。そのコンパクトさがいいよね! 実はこれ『アメト―――ク』の「漫画芸人」特集でどなたかに7割方ストーリーをばらされてしまったのですが、そしたら結末が気になってしまい翌日書店で買ってきてしまいました。どう考えても接点のなさそうな二人のすれ違いドラマ、みたいなのが好きな人におすすめ。

 

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☆ギャグマンガ部門 酒井大輔 ゴリせん~パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師~』

こういうタイトルになってますが本当にすぐ死んだら漫画は1話で終わってしまうわけで。普通なら瞬殺されてしまいそうな状況を異常な頑丈さで死亡フラグを叩き折っていく…という内容です。なぜか次々と怪物、宇宙人、殺し屋襲い来る学校で、己の教師人生を邁進しつづけるゴリせん(本名明らかになってたっけ?)。自分もこんな熱くてあったかい先生に教わりたかったな。

 

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☆時代・歴史漫画部門 松井優征 『逃げ上手の若君』

時は室町黎明期。南朝により滅ぼされた鎌倉幕府執権の遺児である北条時行は、諏訪神社の助力を得て足利尊氏らに戦いを挑む… 言うても主人公の特技は「逃げる」ことなので、それを武器にどうやって逆転するのか…というのがこの漫画のキモのひとつです。

あと天下の少年ジャンプでこんなマイナーな時代のマイナーな人物を扱うとは、それだけでも応援したくなります。幸い現時点ではそこそこ人気ある模様。打ち切りにならずに無事ちゃんとした完結まで行けますよう。まあわたし検索して時行君の生涯読んでしまったのですが、歴史を踏襲するのか改変してしまうのか。

 

こちらはマンガじゃないのですが

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☆漫画関連書籍部門 萩尾望都 『一度きりの大泉の話』

幻想コミックの大家萩尾望都先生が、若き頃交流してた竹宮恵子先生率いる「大泉サロン」を振り返った自伝。若き二人の天才の意気投合、切磋琢磨、そしてすれ違いは本当にドラマチックでございました。萩尾先生はこの本を「大泉での話を封印するために著した」とのことですが、これはかえってあのサロンの伝説性を高めてしまうのでは。駆け出しのころの萩尾先生のエピソードもひとつひとつが興味深かったです。

 

そして大賞です。

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☆大賞 みなもと太郎 『風雲児たち』『風雲児たち 幕末編』

今年は終盤に来てさいとう・たかを先生、白土三平先生、平田弘史先生といった巨星が次々とこの世を去られましたが、このロングシリーズ『風雲児たち』を描き続けておられたみなもと太郎先生もお亡くなりになってしまいました。

多くのピンチを乗り越えて明治維新の数年前までた来ていたこの作品、きっとまた先生と共に復活するであろうことを心待ちにしていたのですが… この緻密な歴史模様をギャグで表現するという手法、継承できる人を見つけるのは至難の業ではあると思います。しかし誰か先生の遺志を継いで、たどり着いたであろう結末までひっぱってくれることを切望いたします。そして微力ながら先生が残した多くの遺産を次世代に向けて語り継いでいきたいとおもっています。

 

少ししんみりしてしまいました。明日はこれまた恒例の映画ベストをまとめます。

 

 

 

 

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December 21, 2021

2021年12月前半に観た映画

2021年もあと10日。心なしか除夜の鐘が聞えてきたような(まだはやい)。とりあえず見たてほやほやの今月前半に鑑賞した作品の感想をまとめます。今回は割りと結末近くまでばらしちゃってるのでご了承ください。

 

☆『ほんとうのピノッキオ』

一昨年イタリアで公開され、名だたる映画賞にノミネートされまくった作品。内容はというと、タイトルの通り誰もが知ってるあの童話を忠実に映像化したものとなっております。『ピノキオ』の映像化といえば昔のディズニー版やTVアニメ『樫の木モック』などが思い浮かびますが、今回はVFXを多用してるものの一応実写。そしてあのエグみたっぷりのファンタジー『五日物語』のマッテオ・ガローネが手がけるといぅ。どんなダークで残酷なピノキオになるのかと思いきや、なんとか子供たちが観ても楽しめる・ためになる映画になっておりました。「勉強もせず遊びほうけてばかりいると悲惨な目にあう」という教訓も非常に強く伝わってきましたし。ガローネ監督もやればできるじゃないですか。

ただ実写になったことで、ファンタジーなのに現実のきびしい面もよく描写されておりました。法の規制がしっかりしてない社会では、保護者のいない子供はずる賢い大人たちからひたすら酷使され、搾取されるしかないという。そういう点では昨年の『異端の鳥』なども思い出されました。

 

☆『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』

ソニー独自のアメコミ世界「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の第二作。宇宙からやってきた陽気な寄生生物「ヴェノム」と、適当なジャーナリスト・エディのお気楽コンビが、自分たちのサイコパス・バージョン「カーネイジ」と激闘を繰り広げます。

わたしが昔読んだヴェノム初登場のコミックでは、この寄生体ってもっと冷血というかマシン的で無感情なキャラだったんですけど、この二部作ではすっかりかわいげのあるゆるキャラと化してしまいました。ま、映画のヒット具合や面白さを考えますとそれが正解だったといわざるを得ません。

ただ人外と人間のコンビというのは最後にかなしいお別れが待ってるもの。『うし○ととら』しかり、『寄○獣』しかり、『キル○キル』しかり(例外は『ド根性○エル』)。ヴェノムとエディもそうならなければいいな…と心配しながら観てました。嘘です。まだまだ2作目ですしドル箱であるこのシリーズをソニーさんがそう簡単に手放すわけはないんです。そんなわけで今年有数の安心感と共に一人と一匹の活躍とコントをたのしませてもらいました。

半善半悪であるヴェノムに対し、全く同情の余地も善性もないのがカーネイジ。その凶悪っぷりに、自らが生み出された存在なのにも関わらずノムさんはすっかりビビッてしまって「あいつは赤いから勝てない」などと言ったりします。なぜ… 赤いと3倍速いから? ともかくこの自分たちのスペックを上回る強敵を、ヴェノム&エディが彼らにしかない強みで逆転するくだりは燃えました。これは恐らく石川賢先生の名作コミック『ゲッターロボ対ゲッターロボG』のオマージュであるかと思われます。間違いあるけどない。

 

☆『アンテベラム』

☆『ラストナイト・イン・ソーホー』

この2本は共通点多かったのでまとめて。『アンテベラム』は現代に生きる黒人女性が南北戦争の時代にワープし、『ラストナイト~』は2020年代に生きる女の子と1960年代の幻想が時を越えて結び合わされます。ほんで先回紹介した『マリグナント』もそうなんですけど、非力な女性がすごく理不尽な目に合わされ、それでも最後は自分の力で決死の抵抗を試みるという流れ。途中であっと驚く意外性が用意されてるところもおんなじ。わたしそんなに怖い映画観てないんですが、最近のホラーの傾向なんでしょうか。

もちろん各作品それなりに差異もあります。一番幻想味が濃いのが『ラストナイト~』。島田荘司先生が提唱する「本格ミステリー」的なのが『アンテベラム』。ギリギリSFなのが『マリグナント』といった感じです。

『ラストナイト・イン・ソーホー』はエドガー・ライト監督の出世作『ショーン・オブ・ザ・デッド』を思い出させるところもあり。ロンドンが舞台の友情物語であったり、一応ホラー風味であったり、ほっとするようなぞっとするようなオチなどなど。面白く観ましたが終盤あまりにも殺伐としてたので口直しにそれこそ『ホット・ファズ』など観ていやされたくなりました。

 

次回は『マトリックス:レザレクションズ』『皮膚を売った男』『キングスマン:ファーストエージェント』あたりの感想となるか、先に本年度漫画ベスト・映画ベストの記事となるか。

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December 13, 2021

2021年11月に観た映画。

今年の感想、今年のうちに… というわけで11月に観た映画の感想です。

☆『エターナルズ』

劇場でのMCU最新作。伝説で語られていた神々が、実は太古地球にやってきた宇宙人だったら…というストーリー。

わたしこういう話好きなんですよね。はるかとおい昔と現代のつながりを綺麗に描いている物語。あくまでフィクションではありますが、想像するだけで気が遠くなるような太古の時代がぐっと身近に感じられる気がして。

悠久の時を生きてる神々たちがやけに人間くさく、お互いくっついたり離れたりを繰り返してるのが違和感ある人もいるようですが、それはたぶん本ネタのギリシャ神話の神々が欠点含め人間に近い存在…というかやらかしばかりだからですね。まだエターナルズの皆さんの方が元ネタの神々よりちゃんとしてると思います。

監督は春にアカデミー作品賞・監督賞をゲットしたクロエ・ジャオ氏。『ノマドランド』と同じく俳優の素の性格に合わせてキャラを形作っていったとのことですが、そんな三谷幸喜的な「あて書き」でアメコミ映画を撮ったというのがなんとも面白いじゃないですか。

無理にMCUに組みこまずとも一本の作品として成立できたのでは…とも思いますが、そうでなければ企画が成立しなかっただろうし、ここまで注目もされなかっただろうし。そもそも原作マーベルですし。むずかしいところであります。

 

☆『アイの歌声を聴かせて』

こういうタイトルですが歌うのはアイちゃんじゃなくてシオンという名のAI。そして主人公は彼女じゃなくサトミさんという普通の高校生…というところがちょっとややこしいです。

このアニメはスルー予定だったのですが、ネットの評判があまりによかったので半ば流される形で鑑賞しました。あと共同脚本が『コードギアス』『プラネテス』の大河内一楼氏だったから、という理由もあります。彼は本当に気落ちしてる時に自分の大切な人に暴言を吐いて傷つけてしまう…というシチュエーションが好きですね… それはともかく私が気に入ったのはイケメン優等生の「ごっちゃん」に関するくだり。なんでもそれなりに出来ちゃうために物事に対する情熱が抱けない、『桐島、部活やめるってよ』の東出君みたいなキャラ。「親友がいない」と寂しげに語る彼がシオン、サトミらと事件に巻きこまれていくうちに、本当の友達を得ていくのがなんとも微笑ましく。それは主人公のサトミちゃんもそうなんですけど。

少し前の『竜とそばかすの姫』と共通する要素も幾つかありましたが、あちらのテーマがネットであるのに対し、こちらはAIであるのが監督の嗜好を表わしてる気がします。

 

☆『アイス・ロード』

ついつい観てしまうリーアム・ニーソン主演のアクション映画。今回はカナダの氷上で『恐怖の報酬』じみたミッションに挑みます。といってもトラックにニトロを積んでるわけでもなく、いつ割れるかわからない凍った湖の上をひたすらぶっ飛ばすお話です。カナダには実際に冬季限定のそういう道があり、暖かくなると当然通行禁止になるんですけど、タイミングよく?ギリギリ封鎖の時に人命救助のため走らなければならなくなるという。そういう面白い設定を見つけてきたところをまず評価します。

これ、海外の評論サイトではなかなかきびしい点がついていますが、たぶんむこうでは配信限定だったからでは…と思います。巨大なトラックの爆走音も、分厚い氷がバキバキ割れていく迫力も、テレビサイズではどうしても半減しますからね。スクリーンで観てこそ映える作品です。

ただ氷の上を走るだけだと100分もたないので、もたせるための工夫が幾つかあります。その辺を「よく考えた」と取るか「よけいな要素」と取るかで意見が分かれそう。自分はもちろん前者です。

 

☆『マリグナント 凶暴な悪夢』

『ワイルドスピード/スカイミッション』『アクアマン』のジェームズ・ワン監督が制作費をぐっとおさえて(前2本の1/4くらい)、それでも赤字になってしまった作品。だのにホラーファンからは大絶賛という… ホラー苦手なんですけど、こちらもネットでの評判に押されて観ました。つくづく流されやすい人間です。

そんなわけでビクビクもので臨みましたが、やたらとにぎやかだったせいか、あまりびびらずに楽しめました。いざブツが出て来る時にはBGMで心の準備をさせてくれたり、息抜きのコメディパートがあったのもチキンにはありがたかったです。そして怪物の正体がとうとう明らかになるシーンでは失礼ながらちょっと笑ってしまったり。その一発ネタを明かすまでの話の運び方がなかなか上手だったと思います。

感心したのは主人公を一生懸命支えようとする妹さん。本人は悪くないとはいえ、あんな明らかに尋常じゃないお姉さんの秘密を目の当たりにしたらドンびきしそうなものですが、それでも彼女への愛に一点の曇りもないという。一昔前だったらこういう役回り、イケメンの恋人が担ったんでしょうね。というかつい一昨日観て来たホラーはそうでした。

 

☆『カオス・ウォーキング』

厳密にいうとこれは12/1に観た作品。監督にダグ・リーマン、キャストにトム・ホランド、マッツ・ミケルソン、デイジー・リドリー…といった布陣でいかにも鉄板そうだったのにこれまた大赤字となってしまい、日本では遅れた上にやや小規模公開となってしまいました。

思考が周囲に駄々漏れになってしまう惑星の、男だらけの開拓村に、久方ぶりに母星からの女性がやってきて…という話。発想はユニークだしストーリーも誠実なんですけど、「宇宙SFなのにほぼ背景が森林と農村」だったのが敗因のひとつかと。原作が真面目なジュブナイルSFだと時々起こる現象です。なぜかひたすら地味になってしまう。『ギヴァー』とか… あれ、ほかにもっとなんかあったような。

それでもトム・ホランド演じる純朴な少年が傷つき、それをヒロインのデイジーさんが慰めるシーン等は少々鼻水を搾り取られました。そのホランド君が傷ついた原因については大激怒でしたが。えー、トータル的にはこれも鑑賞料金くらいには楽しめました。

 

11月に観た作品は『エターナルズ』以外はそんなに楽しみにしてたわけでもなく、ちょっと消化作業に近いモチベーションではありましたが、そのせいかどれも期待以上に楽しかったので良かったです。次は『本当のピノッキオ』『ヴェノム レット・ゼアー・ビー・カーネイジ』『アンテベラム』『ラストナイト・イン・ソーホー』について書きます。

 

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November 30, 2021

2021年10月に見た映画②

奇跡の2日連続更新… というわけで今日は主に10月後半に観た4本についてばばばっと書きます。

 

☆『ジュゼップ 戦場の画家』

第二次大戦時、スペインの内乱からフランスへ逃れてきた画家ジュゼップは、そこで同郷の人々と共に収容所に放りこまれ、過酷な扱いを受ける。しかしどれほどどん底な状況にあっても、彼は描くことをやめなかった。

架空の人物の話かと思ったら一応実在のアーティストの物語でした。あのフリーダ・カーロと恋仲だったこともあったようで、途中そのカーロさんもがっつり出てきます。

「戦場の画家」というタイトルですが、ほぼ7割くらいは収容所のお話。人間の残酷姓があぶりだされるえぐいエピソードも幾つか出てきますが、タンタンのようなシンプルな絵柄がきつさを弱めています。また、語り手である心やさしい看守との友情が映画全体に温かみをそえておりました。

 

☆『最後の決闘裁判』

今年一番感想を書くのに慎重になってしまう映画。少し前某監督が頓珍漢なレビューをして軽く燃えたりしてたもので…

中世実際に行われていた、戦って神の保護を得た=勝利した者が正しいとする「決闘裁判」。それを題材に権威を持つ者の傲慢と尊厳を汚された者の苦闘を描いた物語…でいいのかな? 3幕構成でそれぞれ違う者の視点からストーリーが進行していきますが、同じ場面を写しているのに微妙に登場人物の反応が違っていたり。そういう手法を取ることで人…特に権力者は自分の都合のいい方に真理をねじまげてしまうということが巧みに描かれております。

わたしはこのリドリー・スコット監督の『グラディエイター』が結構好きなんですけど、あちらがヒロイズムを高らかにうたいあげた映画なのに対し、こちらではヒロイズムに酔うことの滑稽さ・醜さが強調されております。ただ『グラディエイター』も奴隷というマイノリティに落とされた主人公が自分の尊厳のために必死に戦うお話なので、根底のテーマは共通してるんじゃないかなあと。

わたしなんか何の権力もないし、人一倍人に迷惑をかけることを恐れてる小心者ですけど、自分に都合のいいように考えて自分より弱い人を傷つけてしまうことが絶対にないとは言い切れません。ひきつづきその辺気をつけていきたいと思いました。

で、その頓珍漢な感想を書いてしまった監督の最新作が↓

 

☆『燃えよ剣』

数ある新撰組を扱った物語の中でも王道中の王道とも言える司馬遼太郎の小説を映画化。原作は上下二冊ながらもぎゅっと内容が濃縮された作品なので、そいつを2時間30分で描ききるのは不可能やろーと思っていたのですが、これが意外や意外。駆け足ではありましたが大事なところはきっちり押さえて一本の映画に収めきったのは見事でした。

見事といえば新撰組や幕末の群像のキャスティングが、これまたぴたっとはまっていました。特に印象に残ったのはどう見ても近藤さんだった鈴木亮平氏、爆弾のようにワイルドなのに沖田だけにはめっちゃやさしい芹沢鴨=伊藤英明氏、そして童子のような純真さと酷薄さを併せ持つ沖田総司=山田涼介君。その山田沖田君が血を吐いて伏しているところを舞妓さんがやさしく介抱するシーンは、それこそ一級の絵画のような美しさがありました。新撰組のダーティな面もきっちりしっかり描写してたことも高ポイントです。

原○監督の映画票は総じて辛口な割りに的外れなものが多いのですが(たぶん人に読まれることを考えてない)、さすがベテランだけあって本業はちゃんとしたものをこしらえてきますね。そんなところに人間の不思議さを感じます。

 

☆『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』

これまで2本が作られたオモチャ原作映画『G.I.ジョー』のリブート第1作(ただ2作目があるかどうかはかなり雲行きがあやしい)

人気の忍者キャラ「スネークアイズ」にスポットをあて、彼がどういう生い立ちで、なぜ漆黒のエージェントになったのか…ということが明かされていきます。

全体の8割ほどが日本で進んでいきますが、そこにあるのはありそうでなさそうな海外映画によくある珍妙な日本。日光江戸村あたりが一番近いかもしれません。でもこういうカリフォルニア巻きみたいな映画、時々観たくなることありません? わたしはあります。

春にやっていた『モータル・コンバット』に近いところもあります。あちらの方が随分現実離れした内容ではありますが、トンチキ具合は負けていません。富三郎だからトミーとかその辺がもう… ただこれは原作の時点で既にそうだったのかも。

日本でも米国でも大コケに終わってしまったのは残念。忍者といえば世界共通で人気の題材だと思っていたのにそうでもなくなってしまったのかなあ。またそのうち気合の入ったトンチキな忍者映画が作られることを望んでやみません。

 

次は11月に観た『エターナルズ』『アイの歌声を聞かせて』『アイス・ロード』『マリグナント』について書きます。

 

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November 29, 2021

2021年10月に観た映画①

気がつけば今年もあと一ヶ月ちょい。年々歳月が過ぎる速さが増してる気がする小生です。それはともかく本日は10月前半に観た映画についていまさらまとめてみます。

 

☆『アナザーラウンド』

つい『アンダーグラウンド』と間違えてしまう1本。さえない高校教師マーティンは、一杯飲んだ方が授業が盛り上がる!ということに気づき、仲間たちと能力の向上を図るため仕事中ガンガンアルコールを摂取し始めるが… 普通すぐバレるだろ。

そんな無茶な着想のお話ではございましたが、デンマークの素朴な人々の等身大のドラマにほっこりと胸があったかくなりました。トリアーとかレフンとか、デンマークの映画ってなんかえぐい印象が強かったのでその意外性も手伝って。

しかしほっこりするだけでなく、人生の秋を迎えた者たちが遭遇する様々な切なさ寂しさも描かれており、飲酒が全てを解決するわけではない(当たり前か)こともよくわかるようになっています。かつてはハンニバルとして不可能なことなど何一つなかったマッツさんが、家族との意思の疎通さえ満足にできないで涙する様子には胸が痛みました(『ファーザー』の時も同じこと書いてたわ)

デンマークでは15歳からお酒を飲んでいいというのは驚きでした。ポスターがさわやかで弾けてて印象的なんですが、いつこの絵が出て来るのかと待ってたらラストシーンだったのは減点です。

 

☆『キャッシュトラック』

春の『ジェントルメン』がまだ記憶にあたらしいガイ・リッチー監督の最新作。とある現金輸送会社の運転手にふらっと応募してきた男。試験では射撃の腕は平凡だったのに、いざ事件に見舞われたら無双とも言える戦いぶりを見せ… そんな「なめてたステイサムがいつものステイサムだった」とでも言うべき映画。時系列を行きつ戻りつしながら、主人公の動機と謎が少しずつ明らかになっていきます。

ガイ・リッチーといえばアクションの合間に軽妙なお笑いをまぶした作風で知られていますが、今回はそのコメディ部分を封印。主人公の怒りと不気味さを執拗に強調し、どのキャラにも感情移入が出来ないような作りとなっています。そしてバタバタと死体があふれた果てに迎えるENDの虚無感。こういうのも悪かないけど、やはりリッチーには普通にお笑いがほしいなあ。まあそれでもマイ・リッチー・ワーストの『リボルバー』よりは遥かに面白かったです。

 

☆『DUNE/デューン 砂の惑星』

ホドロフスキーが頓挫し、デビッド・リンチが大コケした伝説のSF小説の映画化を、少し前『ブレードランナー2049』で大赤字を出したばかりのドゥニ・ヴィルヌーヴがチャレンジ。正気か。ちなみに製作はかつて「客の観たいものより俺たちが見たいものを作る」と言い切ったレジェンダリー・ピクチャーズでした。

しかし今回は不思議なことにこういうSF叙事詩にみんな飢えていたのか、パート2の製作が決まるくらいにはヒットしました。そう、これシリーズ第1作の前半部分だけしか描かれてないのですね… ですからそこそこキリのよいところでバサッと終わっちゃいます。二時間半もあるのに。

ただ自分は秋に連発された長尺映画の中ではこれが一番好きです。なぜかというと怪獣が出てくるから(低偏差値)。あとタイムボカンに出てきそうなトンボ型飛行機がこれまたよかったです。

そしてこれの後にリンチ版を見ると、30年の技術の差がよくわかってとても面白いんですよね。パート2より先に結末がわかっちゃいますけど、ぜひ2バージョン合わせての鑑賞をおすすめします。

この作品は湘南のIMAXで観ました。映画の前に同じ施設のガーリック料理専門店でたらふく食べたら半端ないニンニク臭を放っていたようで、周りのお客さんたちに多大なる迷惑をかけてしまいました。反省してます。

 

☆『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

結末に思いっきり触れてるので未鑑賞の方はご了承ください…

 

 

今回主演も試写会組も「終わり終わり」と未だかつてないくらい完結を強調してた007。「いくら終わり言うてもまさか死ぬこたないだろー」と思ってたのですが、普通に亡くなられましたね… これじゃタイトルに偽りアリじゃないですか!! 絶対ラストで『怪傑ズバット』みたく「実は生きてた!?」ことを匂わせて幕だと予想してたのですが。

ダニエル・クレイグ氏の007は当ブログを始めて間もないころからずーーーっとつきあって来たので、さすがに感慨深いものがあります。前作『スペクター』よりは確かに感動したけど、あそこで終わっておけばボンちゃんも幸せなままフェードアウト出来たのになあ。

そんなわけで無理を承知で次作もダニエル・クレイグ続投でお願いします。エンドロールの最後にも「ジェームズ・ボンドは帰ってくる」って書いてあったし。リブートととか仕切り直しとかそういうのは認めません。自分は頭がかたいので。

 

 

なんとか年末ベストをまとめる前には少しずつでも前作の感想を書いておきたいものです。次は主に10月後半に観た『ジュゼップ 戦場の画家』『最後の決闘裁判』『燃えよ剣』『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』について書きます。

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November 15, 2021

2021年9月に観た映画

あっとまた一ヶ月放置してた… このごろ講習やら接待やら色々ありまして。そんなわけでようやく先々月に観た映画のまとめです。

 

☆『モンタナの目撃者』

『最後の追跡』、『ボーダーライン』2部作、『ウィンド・リバー』に続くテイラー・シェリダンのアメリカ辺境シリーズ第5弾。今回は社会風刺的要素は見当たらず、純粋に追跡劇とモンタナの大自然がメインとなっております。

悪者コンビが腕利きらしいのに度々ドジを踏んだり、本格的にアクションが始まるまでに時間がかかったり…とあえて娯楽作品の定型を崩してるようなところがあるんですが、それも彼の持ち味でしょうか。

シェリダン関連では3回目の当番となるジョン・バーンサル氏はこれまで最も出番が長く、しかもいい役でした。よかったですね! ただ幸せかというと(略)

 

☆『シャン・チー/テン・リングスの伝説』

本格的にエンジンがかかってきたマーベル・シネマティック・ユニバースのフェイズ4第2作。わたしマーベルのキャラはそれなりに知ってるつもりでしたが彼に関しては映画化が決まるまで聞いたことがなく。だのにそれなりに歴史の古いヒーローだと知って驚きました。本当に底が知れない世界です。予告編を観ると単に腕っ節の強い兄ちゃんが都会で大暴れする、くらいのストーリーに見えます。ところがどっこい後半からはこちらの想像を越えて中国神話のファンタジックな世界が展開されていきます。ですからはここはあえて後半を全く写さなかった予告編をほめたい。

そしてわたしがなによりツボだったのがこのモーリスという生き物(画像参照)

Hundun 頭がケツみたいな実に奇怪な生き物ですが、これがまたなんとも愛らしい。ポケモンからインスパイアされたと思いきや、これ古の史書にちゃんと書かれてる「混沌」という由緒正しき神獣なんだとか。このモーリスだけで1億点差し上げたいと思います。あとシャン・チーの輪っかをスプリングや玉すだれみたいにして操る武術も独特で楽しゅうございました。

 

☆『ドライブ・マイ・カー』

村上春樹の幾つかの短編を1本の映画に再構成・アレンジしたもの。村上さんは正直よくわからんのですが、この映画は面白かったです。

序盤はとてもインモラルというか他人の秘密を覗き見してるようなイケナイ気分にさせられます。しかし中盤過ぎからは地方の演劇祭の話になり、これが実にまったりと癒されるムードで、傷ついた主人公・家福と同様心がだんだんあたためられるような気持ちになっていきます。そんなムードに水を刺すのが不穏を具現化したような岡田春生君。彼が家福の再生をまたぶち壊しにしてしまうのでは、とハラハラしながら観てました。

印象的だったのが、極力感情をこめずに行うセリフの練習や、幾つかの言語が入り混じった状態で行われる演劇の様子。そうした要素はすぐ目の前で普通に会話していて、お互い意思が通ってるように思えても、実は全然わかりあえてないかもしれないコミュニケーションの難しさを表わしていたのかな…と。

あともう一つ重要なモチーフにドライブ・車があります。運転というのは免許と車があれば自分ひとりでもできるものですが、時には誰かに乗せてもらって周囲の景色を眺めるのもよいもので。たまにはそんなドライブもしてみたくなりました。運転手募集中。

 

 

☆『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
1995年に公開されその後映像作品に多大な影響を与えたマイルストーン的なアニメ映画。この度のリバイバにより初めて「ああ、こういう話だったのか」と。

この少し前に大都市を舞台にしたSFアクションとしては『AKIRA』があるわけですが、そちら…大友作品が肉体にこだわるのに対し、こちらの押井作品は肉体と実存の不確かさがひたすら強調されてた気がします。

主人公が警察の特殊部隊で、正体不明のテロリストを追うとなれば当然最後は両者の激しい対決が待っている…と思いますが、予想を裏切り両者が同調してどこかへ旅立ってしまうというのはなかなか驚愕の展開でございました。

それにしてもWindows95くらいしかなかった時代に既にネット社会の発達をここまで予期していた押井・士郎両先生の炯眼には恐れ入ります。

 

 

☆『レミニセンス』

これまた近未来サイバーSFか…と思いきや科学的なガジェットは「記憶再現装置」くらいで、全体的には古めかしいハードボイルドかフィルムノワールのような雰囲気が濃厚に立ち込めております。半ばを世を捨てているような主人公のもとに突然訪れるファム・ファタール。運命にたぐりよせられるように彼女を巡る陰謀に巻き込まれていく探偵。実にコテコテのパルプフィクションでありました。

あと印象に残るのはやはり記憶再生装置。自分の思い出を3D映像に再現してくれるという優れもの。劇中の警察では予算が無いため2D版しかない、というくだりがあって笑いました。それはさておき年齢が上であればあるほど、この装置使いたくなるのでは。自分はこれで亡くなった先代の猫2匹に会いたくなりましたねえ…

町が水に沈みかかってるアフター『天気の子』みたいなビジュアルもよかったです。

 

 

☆『クーリエ:最高機密の運び屋』

米ソの対立が激化しつつあった1960年代。東側からの情報をえるためCIAとMI6がかの国に送り込んだのは一人の平凡なセールスマンだった。

これはすごい話でした。『クレヨンしんちゃん』のヒロシさんみたいなお父さんが、世界の命運を賭けた重要任務を任されてしまう。しかも実話。任せるやつらも任せるやつらだと思いますが、実話なんだからしょうがありません。

実話ゆえにつらいのはフィクションだったら全てめでたし、よかったね…で終わるところがそうはならないところですね… 少々ネタバレになりますがずっとビクビクしてたヒロシさんが、異国の地での友人を救うために勇気を振り絞るシーンは本当に胸が熱くなります。しかしいつでもその必死の勇気が報われるとは限らないのです。泣けます。

『シャーロック』では完全無欠の超人を演じていたベネディクト・カンバーバッチさんがこちらでは肝の小さい小市民を好演。本作品では製作総指揮も努めておられるのでこの題材に並々ならぬ思い入れがあったようです。

 

 

なんとか9月の分まとめ終わりました。次回は10月前半に観た『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』『アナザーラウンド』『キャッシュトラック』『DUNE』などについて書きます。

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October 14, 2021

2021年8月後半に観た映画

よし、ペース速まってるな… というわけで8月後半に観た映画4本です。

 

☆『ドント・ブリーズ2』

1作目は怖そうなので劇場ではスルーしてしまったんですが、2作目はツボな感じがしたので予習してから行ってきました。ちなみに1作目は金を溜め込んでると噂の老人の家に若者の泥棒チームが侵入するのですが、この老人というのが元軍人で盲目なのにめちゃくちゃ戦闘スキルが高く、若者たちは一人また一人と狩られていく…というストーリー。強盗を企む若者たちも殺しが派手派手なじいちゃんにも感情移入が出来ないのがつらい作品でした。ただ1時間半家の周囲をおっかけっこしてるだけなのに飽きさせない脚本力は見事でした。

で、2作目。前作からの共通キャラはじいちゃんと犬だけ。そしてじいちゃんはわけありの少女を育てているのですが、この少女がどういうわけかプロの戦闘集団に狙われて…という話。1作目のモンスターが2作目ではヒーローになるという流れ、まるで『ターミネーター』シリーズみたいです。

で、こちらはやっぱり『ジョン・ウィック』の1と2を1本に凝縮したような構成が大変好みでした。大画面&大音量で観てもあんまし怖くなかったのも良かったです。尿意をこらえてエンドロール後もチェックしたらすごく曖昧な感じの映像がちょろっと流れました。観客の想像に任せます、ということなんでしょうがちょっとイラッとしましたよ?

 

☆『妖怪大戦争 ガーディアンズ』

さほどヒットしたとも思えない『妖怪大戦争』(2005)の精神的続編。あの大魔神が出て来るというので観てきました。で、確かに大暴れしてくださるんですがもう既にあんまり覚えていません… あ、「大戦争」というタイトルなのに戦争を否定するというか「やさしい心が大事だよ」という結論だったのは大変良かったと思います。

 

☆『スペースプレイヤーズ』

あまりメジャーでもない『スペース・ジャム』(1996)の一応続編。電脳空間でNBAのレジェンド、レブロン・ジェームズがアニメのキャラたちとバスケ勝負をするという内容。アイアン・ジャイアントが出て来るというので張り切って観てきました。が、この前に家系大盛り豚骨ラーメンを食べたのが良くなかったのか前半だいぶ寝てしまいました。でもアイアン・ジャイアントが画面にチラチラ映るだけで1億点です。あとDCキャラをたくさんにぎやかしに使えるのがワーナーさんの強みですね。

 

☆『オールド』

私のツイッターではクリストファー・ノーランと並んで最も愛されているナイト・M・シャマラン最新作。アジアのリゾート地にやってきたある家族が、ホテルの支配人に「秘密のビーチ」に案内されるが、そこは一日で人が何十年も老いてしまう恐怖のエリアだった。

予算も舞台空間も限られた中で、息つく間も与えないサスペンスを終盤までひっぱり続けるあたりはさすがシャマラン。『アフターアース』『エアベンダー』のころの不調は完全に脱したとみてよいでしょう。あとやっぱり彼はみんなが思いつきそうで思いつかない、奇妙なアイデアを生み出す力に長けております。

ただ今回は批評家からの反応があまりよくないようで。たぶんもっと救いのない結末にして、強引な理屈付けをオミットして不条理なスタイルに徹すればそっちの評価も上がったと思います。でも自分はあえてそうせず普通にエンターテインメントに仕上げたシャマランを支持したいです。

 

次は『モンタナの目撃者』『シャン・チー』『ドライブ・マイ・カー』『攻殻機動隊 ゴースト・イン・ザ・シェル』『レミニセンス』『クーリエ』についてちょっとずつ書きます。

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