December 04, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑪ だいたい11月編

第41回「義盛、お前は悪くない」

一時は回避されたかに見えた和田勢との衝突。しかし不幸な行き違いから、義盛の郎党たちは幕府に向けて進軍を開始してしまう。ここに幕府内乱で最も激しかったと言われた「和田合戦」が始まった。

和田義盛退場編の後編。和田さんに関してはドラマを見る前から名前だけ知ってましたが、本当に名前だけ。その性格は三谷さんの誇張によるところが大きいとは思いますが、歴史の記号みたいだった人物が、またしてもこれで全国の皆さんの親しみやすい人気者になったのでは。それだけにその壮絶な最期がつろうございました。和田さんを葬った後何とも言えない表情を見せる義時にも…

数少ない笑いどころは、追討に向かう際なぜかべろんべろんに酔っぱらってた泰時。几帳面な彼にしては珍しい乱れっぷりでした。

大抵源平ものでは義仲の死と共に姿を消す巴御前は、この41回までねばりを見せてくれました。秋元才加さん演じる凛とした巴と髭もじゃの熊さんみたいな義盛公は、実に微笑ましいカップルでしたねえ。

この回の重要なアイテム:大江さんが別人のような刀さばきで取り戻してきたドクロと、朝時が思いついたことにされたファランクス戦術

 

第42回「夢のゆくえ」

和田合戦を経て、平和な鎌倉を作ろうと心に誓う実朝は、実権を取り戻すべく義時と対立していく。そんな折都から宋の匠・陳和卿が鎌倉を来訪。船を作り宋との交易を興すことをすすめ、実朝は大いに乗り気になる。

西暦1216年の出来事で、豪快に失敗したプロジェクトXみたいなお話。若いなりに一生懸命がんばってる実朝君の努力が報われないのが、これまた切ない…んだけど、裸の男たちがギャースカわめきながら船を引っ張ってる絵はなかなか笑えました。なぜか脚本に「脱いでる」と書かれてた義村。書いてないのになぜか脱いでた八田さん。見事な胸筋を披露してくださりありがとうございました。

他にはお父さん譲りの超能力なのか、冒頭で実朝の夢枕に現れる後鳥羽上皇がインパクト大でした。あとエピローグで3回ぶりに姿を見せ、そのままナレ死した時政パッパにほっこり。

この回の造船マメ知識:船を陸で重く作り過ぎてはいけない

 

第43回「資格と死角」

1217年。後継者に将軍職を譲ることに決めた実朝は、京より帝の子息をその地位に据えることを提案。そこへ運悪く僧として修業していた二代将軍の忘れ形見公暁が鎌倉に戻ってくる。鎌倉殿を継ぐ気満々だった公暁に義村が要らないことを色々吹き込んだせいで、新たなる悲劇がまた幕を開ける。

これまでも辛いエピソードが山ほどあった「鎌倉殿」ですが、ここからの3回で言わばつらみのピークを迎えます。キーパーソンとなる公暁は役の上では頼家、役者さんとしては佐藤浩市氏のギラツキぶりを見事に継承していてお若いのに凄みを感じさせます。

一方でのんきだったのが政子とトキューサが都を訪れるエピソード。政子×シルビア・グラブの交渉戦とトキューサ×上皇様のリフティング勝負は両方とも見応えありました。

この回の珍妙なアイテム:政子が一杯のツマミに持ってきた干しダコ

 

第44回「審判の日」

1218年。都より皇子を将軍職に迎える準備が着々と進んでいた。だがその陰で義時は朝廷と接近しすぎた実朝を排除することを決意。公暁もまた自分が鎌倉殿となるべくクーデターの計画を練っていた。そして公暁のターゲットには実朝だけではなく、父を葬った義時も含まれていた。

某所で「みなもとの なんかむかつくなかあきら かおはいいのに かおはいいのに」と歌われていた源仲章。本当にむかつくというか、怒りの煽り方がうますぎる。演じる生田斗真君は『いだてん』や『脳男』などが印象に残っていますが、それぞれ全然別の役どころで感心いたします。

運命の日の直前に会話を交わす実朝と公暁。表向きは和解できたように見えましたが、公暁の闇は実朝の光を受け入れることが出来ません。まっすぐで清らかな心がかえって相手の心をかたくなにしてしまうこともあるという。

ここに至って本当にギャグがなくなってしまった『鎌倉殿』。前半のコメディ調が嘘のよう、というか別のドラマのようです。三谷作品としてもここまでドス黒いものは例がないのでは。雪の降る中階段を上っていく実朝。物陰で息をひそめる公暁。ぽっかり口を開けて義時を嘲る仲章。緊張が極に達したところで生殺しのように次回へ。

この回の謎の動物:義時の夢に出てくるソフトバンクのお父さん

 

いよいよ残り一ヶ月。さびしいようなホッとするような…

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November 20, 2022

2022年9月に観た映画

☆『NOPE/ノープ』

『ゲットアウト』『アス』に続くジョーダン・ピール監督最新作。予告では突然上空に舞い上げられる人の映像があり、『ツイスター』みたいな竜巻の映画かと思いきや、これがなかなか意外な方向へ進みます。

ジョーダンさんは『ゲットアウト』のお笑い混じりのムードが好きだったのに、『アス』はただ普通に怖い感じの映画になっていて、今回もそうだったらイヤだな…と思いながら観ておりました。果たして前半こそホラー調でありましたが、後半はなんというかこう、「燃える」展開になっていて手に汗握らせられました。こういう風に共通したタッチも持ちながら、1作ごとに趣向を変えていく作家さんもちょっと珍しい。

合間合間に昔のオランウータンのシットコムに関するエピソードが挿入されます。これ、別になくてもいいような気もしましたが、これが作品にある種の不気味さや個性を添えていてぬぐいがたい印象を残します。

 

☆『この子は邪悪』

さるご縁で、自主映画を作られてるころから追いかけさせていただいてた片岡翔監督の長編第3作。前2作は一応原作付であったので、一からストーリーをこさえた長編となると初…ということになりますか。

事故にあって以来、心身共に傷を抱えたある精神科医の家族。ただ一人無傷だった長女が、同年代の少年と交流を持ち始めたころから、保たれていた見せかけの平安が崩れていきます。

建物等の古めかしい様子や「犬神家」のようなマスクをかぶった少女などから、現代が舞台であるにも関わらず戦前の探偵小説のような空気が漂っております。クライマックス近くにはなかなかびっくりする超展開もあり。ここがこの作品の賛否が特に別れるところかもしれません。自分は夢野久作や楳図かずおのオマージュと捉えて「アリ」といたしました。

病院に放たれているたくさんのウサギが可愛くも不気味。でもやっぱりかわいい(笑) 片岡氏は映画と並行して小説も発表されていて、特に近作の2冊『ひとでちゃんに殺される』(ホラー)と『その殺人、本格ミステリに仕立てます』(本格ミステリ)はなかなか力が入っていて唸らされました。『ひとでちゃん~』には『この子は邪悪』に共通するアイデアもあって合わせて読むと面白いかと。

 

☆『ブレット・トレイン』

伊坂幸太郎のノワール小説を『デッドプール2』の監督が映画化。ハリウッド製作なもので、登場人物がみんな外国人に置き換えられたりしてます。予告から漂うお茶らけたムードからも、かなり原作からかけ離れてそうなことがうかがえますが、自分未読なんでもしかしたらそれなりに忠実なのかも…?

とある任務をピンチヒッターで引き受けた殺し屋が、ミッション遂行のために新幹線に乗り込むもアクシデントの連続で降りるに降りられず、終点の京都まで旅行する羽目になる…というストーリー。珍妙な殺し屋たちが次から次へと登場するのですが、そういったたくさんのキャラの「交通整理」が実に見事でした。

自分が特に興が乗ったのはあまり向こうの映画には出てこない東海道新幹線の駅名が色々出てきたことですね。この辺実際に旅行したことがあるので。地元の静岡は横に長いので中盤けっこう時間を割いてもらって地味に嬉しかったです。そして北陸本線に乗り換える時利用した米原駅も登場。地元の人には申し訳ないのですが、この駅、新幹線の駅なのに本当に周りにほとんど何もないんですよね。その寂しさが上手に再現されてて笑いました。

 

☆『HiGH&LOW THE WORST X 』

「ハイロー」シリーズ最新作にしてコミック『WORST』とのコラボ第二弾。鬼邪高校に現れた新星・花岡楓士雄と仲間たちの新たな戦いが描かれます。前作からちょびっとしか経ってない設定のようですが、現実世界では3年くらい月日が流れてるのでその辺のギャップに少し戸惑いました。

自分はやっぱり主人公のフジオちゃんがお気に入りですかね。バカで能天気なんだけどケンカは鬼のように強いし締めるところはきちっと締める。今回はいつの間にやら鬼邪高のリーダーになってたみたいで、自分一人のことだけ考えていればいい、というわけにはいかず悩んだりもしてました。あとわたし最近「職長・安全衛生責任者」という資格の講習に行ってきたのですが、あらためてハイローの山場のバトルって工事現場でやっちゃいけない事例のオンパレードだな、と感じました。たぶん撮影現場ではちゃんと安全対策が取られているとは思いますが。現場猫たちが泣いちゃうことがありませんように。

ケンカの合間にみんなで放課後にプールサイドで焼きそば作って食べてるシーンとか特に好きです。青春ですよね。

 

今年も残りあと40日ほど… 10月は『ロード・オブ・ザ・リング』などのリバイバルばかり観てたのでたぶん次はそれを書きます。

 

 

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October 30, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑩ 10月編

第38回「時を継ぐ者」

鎌倉で更なる権力を得るため、実朝に退位を迫る時政。だがそれは最初から失敗することを覚悟しての、自滅的な行動だった。

タイトル元ネタはJ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』からでしょうか。牧氏の変、というか時政パッパ退場編の後編。なぜそれなりに分別もある時政が妻に煽られるままに暴走したのか…というのは不思議なところですが、Twitterでどなたかが「我々の世代は宮沢りえにお願いされたら絶対に断れない刷り込みのようなものがある」ということを申されていて納得いたしました。

北条時政という人は「風格のある老獪な戦国武将」に近い…それこそ武田信玄みたいな…イメージだったのですが、このドラマを見てからは「やる時はやるけど、作物を愛する気のいい田舎のおっちゃん」という風に変わりました。

なぜ最後まで自分のそばにいてくれないのか、涙ながらに父に詰め寄る義時。もしかしてこれが彼の流す最後の涙だったりして。いよいよ権力の頂点に上り詰め、腹の底から真っ黒黒スケになってしまいました。『ゴッドファーザー』のマイケルそのものでございます。:

この回のまず使わない日本語:「羽林」 やっぱ「武衛」の方がかっこいい

 

☆スペシャルトークショー

残り10回の最終章突入の前に突然放映されたトークショー。飽くことない権謀術数の連打に疲れていた視聴者にちょうどよい癒しとなりました。

まあやはり一番印象に残ったのは大泉洋氏の「日本国民全員の『全部あいつのせい』を僕が受け止める」発言でしょうか。本当に劇中の頼朝そのものでイラっと来ました(笑) スタジオでも概ねそんな反応。ただやっぱり彼の退場と共にお話の陰残さがどんどん増してきたことを考えると、貴重なキャラだったんだなあ…と認めざるを得ません。

あと胸に迫ったのはこれまで退場していった多くの方たちのまとめムービー。中には「死んだ」とも言われずいつの間にか消えてた土肥実平みたいな人も… もっと扱いがひどいのはムービーにすら出てこなかった文覚とかですね。

三谷さんからラストの脚本を頂いて震えあがったという小栗・小池のお二方。ガイドブックには詳しく描かれてなかったですけど、果たしてどんな結末なのか。アガサ・クリスティの某名作からヒントを得たとのことですが…

 

第39回「穏やかな一日」

牧氏の変の後から和田合戦の間の1207~1212年あたりの出来事を、さらっと一日に編集したエピソード…ということを冒頭で説明する実体長澤まさみ。あなたは一体誰なんですか!?

それはともかくこの回は義時よりも将軍実朝のデリケートな心情を細やかに描いた内容となっておりました。勘のいい方は先のおばばとの面談でお気づきになっていたようですが、このドラマでは実朝はやはり同性愛者だった…と捉えているようです。ただその意中の相手が泰時だったとは意外でした。女子からは「朴念仁で面白みがない」と言われる泰時ですが、一体彼のどこに惹かれたのか。やっぱり顔が坂口健太郎だからか。ノンケの気持ちのいいやつに恋してしまって苦しむという話、最近吉田秋生先生の『詩歌川百景』でも読みました。

オリキャラなのか実在の人物なのか不明だった鶴丸は、この回で「平盛綱」だったことが判明。彼と泰時主従は見ていて微笑ましいですね。あと「殺しときゃよかった」と言った直後に「父上にうまいもんでももってってやれ」と言う義時はかなり屈折してます。

この回の重要なアイテム:間違えて渡した…ということだったけど本当は間違いじゃなかった恋の歌

 

第40回「罠と罠」

1213年。鎌倉ではトップに立った義時の専横を苦々しく思う御家人たちが、歴戦の勇士である和田義盛の元に集まるようになっていた。義盛自身は何の野心も抱いていなかったが、その勢力を無視できなくなった義時は和田の一党を滅ぼすことを画策する。

どうですこの粗筋。どう読んでも悪役としか思えない人物が大河ドラマの主人公なんだからすごいとしか言いようがありません。

幕府草創期最大の内紛と言われる「和田合戦」への過程を描いたエピソード。今まで愛すべき多くの人たちを見送ってきましたが、今度はとうとう和田さんまで… 何とか助かってほしい… まあもう検索しちゃってどうなるかわかってるんですけど。

そんな重苦しいムードに和田さんの女装という強烈なギャグをぶっこむ三谷脚本。あわや成功するかと思いきややっぱり悲劇に向かってしまうのがこのドラマのセオリーです。

ただ義時も心の底では和田さんが好き…というところを指摘されて肯定してしまうところは切ない。自分の中に望んでいる正反対のことがある。でも鎌倉を守るために誰かを犠牲にする方を選んでしまうわけですね。修羅の道であります。

この回のそれなりに重要なアイテム:あんまり意味なさそうな女物の上っ張り

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October 16, 2022

2022年8月に観た映画

今年もあと二か月半で終わりとか本当に恐ろしいことでございます。とりあえずまたしても今頃ではありますが、夏の盛りに見た映画について覚え書くとします。

☆『劇場版 Gのレコンギスタ』

放映時見そびれてた富野由悠季監督の最新作が、劇場版5部作が完結するころになって盛り上がってきたので慌てて1~3部をアマゾンプライムで予習、4・5部を映画館で観てきました。

富野監督というとやはりガンダム・イデオン中心の重厚なイメージで語られることが多い方ですが、『ザブングル』『ダイターン3』のような力の抜けた元気いっぱいの作品も作れる人。この『Gレコ』はそこまでくだけちゃいないけど、「重富野」と「軽富野」の中間くらいのムードになっておりました。かつてにくらべると丸くなったな…という印象がある反面、若かった時の「元気」は衰えていないようで頼もしい限りです。

今までのガンダムもそうなんですが、こういう近未来SFというのは異なる二つの勢力の争う単純な構図になりがちなもの。しかし『Gレコ』では主に4つの国家が登場し、それぞれに和平派と好戦派がいたりします。各勢力から和平を望む者たちが寄り集まり、その集団が戦いを収束させていく流れが面白かったです。独特なセンスで描かれた宇宙建造物も見応えがありました。

 

☆『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち

マイBESTコミックである『風雲児たち』で最も好きなパート「大黒屋光太夫」編を、同作のファンである名脚本家三谷幸喜氏が歌舞伎化。それをさらに「シネマ歌舞伎」として映画館用にアレンジした作品。

まあこれ当たり前のことなのかもしれませんが、原作の大事なところはおさえつつも、漫画の忠実な舞台化というよりは、これはこれでひとつの「三谷幸喜作品」になっておりました。代表的な漂流民のキャラクターも微妙に性格が違ってたりしてて。あと歌舞伎というより新劇に近い印象。

現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』といっぱいかぶっていたのが楽しかったです。やはり三谷さんの歴史劇って「みなもと太郎メソッド」をお手本にして作られてるんだな…と改めて思いました。少し前亡くなられたみなもと先生の絵が、冒頭でスクリーンいっぱいに動いていたのにも感動しました。

 

☆『ソニック・ザ・ムービー ソニックVSナックルズ』

コロナ禍でありながら早くも続編を作ってきた『ソニック ザ・ムービー』の2作目。はっきり言うと「今回も面白かった」くらいしか感想が浮かんでこないという… それでもひねり出してみると

・『鎌倉殿の13人』で活躍中だったイケメン・中川大志君の吹替がめっちゃうまい

・なぜ宇宙からやってくるエイリアンがそろいもそろってモフモフの可愛い動物なのか(可愛いからゆるす)

・ロシアでのダンスバトルが楽しかったが今の情勢を思うと悲しい。

あと今夏観たキッズムービー三作品、クライマックスがなぜかみな怪獣映画でした。『ゴジラVSコング』ヒットの影響でしょうか。

 

☆『バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー』

フランス発のアメコミヒーローパロディ映画。さえない俳優が主役に抜擢された作品『バッドマン』撮影中に事故にあい、自分を本物のバッドマンだと思い込んでしまうお話。ポスターはアベンジャーズ風ですが、どっちかというと中心になってるのはバットマン。ただ一応マーベルのネタも色々入ってます。

監督が海外版『シティハンター』の人ゆえか、恐ろしく下ネタが多く、そういうのあまり気にしない私でさえ「これどっかから叩かれないだろうか」と心配になりました。今やアメリカよりも欧州の方が下ネタに寛容なのでしょうか。なんとか料金分くらいは楽しみましたが、これスクリーンよりうちで寝っ転がって観た方が楽しいかも。

 

☆『DC がんばれ!スーパーペット』

DCの数あるキャラクターの中でも、まず映画化されなさそうなスーパーヒーローたちのペット、特にスーパーマンの飼い犬「クリプト」にスポットをあてた物語。一発ネタ的映画かと思いきや、これがなかなか人間関係における重要な教訓が含まれていて深い内容となっておりました。例えば一人の友達にべったり依存しすぎちゃいけない、他にも等しく親しい友人を何人か作っておいた方がいい…とか。実際にすんなりそうできたらなんも苦労はないわけですが。

他にもクリプトのよき理解者となるバット犬エースの悲しい過去とか、モルカーをほうふつとさせる珍妙スーパーモルモット軍団とか、クリプト決死の最終奥義とか、動物たちの見どころがあまりに多く、本来なら一番目立ちそうなジャスティスリーグの面々がちゃんと脇固めになってるところがなかなかすごい。

自分的には年間ベストの一本に入るくらいお気に入りの作品となりましたが、日本では壮絶にぶっこけてしまったのが悲しい。本国ではきちんと売れてるようなのがせめてもの救いです。

 

次回は9月に観た『NOPE』『この子は邪悪』『ブレット・トレイン』『ハイ&ロー ザ・ワーストX』などについて書きます

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October 02, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑨9月編

第34回「理想の結婚」

後味の悪い頼家暗殺の後、鎌倉は実朝を中心とした体制を一層強いものとしていく。さすがに自分の罪の重さに落ち込んでいた義時だったが、影の薄さナンバー1だった13人の一人二階堂行政から孫娘を嫁にとすすめられ、年甲斐もなく(地味に)浮かれ出す。

タイトル元は『最高の離婚』でしょうか。たぶんまだ1204年ごろのお話。陰残な内ゲバがず――――――っと続いていて疲れ切った視聴者たちに、オアシスのように訪れた息抜き回。「義時最後の妻」である「のえ」さん、清純派であまり菊地凛子っぽくないなあと思っていたら終了間際にやらかしてくれたというか笑わせてくれたというか。これをもって義時の「おなごはキノコが好き」説は完全に誤りであったことが証明された感。

この回は実朝を鍛えるべく各御家人たちが各々得意分野を代わる代わる教授するシーンも楽しかったですね。義村の「おなごとのあとくされの無い別れ方」講座はいらない、というか無い方がいいと思います。

この回の重要なアイテム:何度目かの山盛りキノコ ナベになった鹿之助

 

第35回「苦い盃」

実朝がまだ若いため、実質鎌倉のトップに立っているのは執権・北条時政。だが基本は田舎のおっさんなので、その治めっぷりは情に流されやすくいい加減な采配も多い。そこへ来て妻のりくに煽られて、さらなる領地拡大を狙い始める。そのことが発端で、婿であり同胞である畠山重忠との間柄に亀裂が入っていく。

前回に引き続き笑える場面も多いのですけど、それと並行して畠山さん退場の前奏曲が奏でられていくのがつらい回。引き続き、といえばいまひとつ掴みどころのなかった実朝君はアットホームな和田邸で鹿鍋をいただいてから、どんどん彼と奥さんになついていきます。その様子が大変微笑ましいのですけど、不在の間に御所は大騒ぎになってしまい、こいつら絶対あとですげえ怒られるぞ…とハラハラしました。

そして抜き打ち的に出てきた謎の老婆=大竹しのぶ。悩める実朝君に「お前の悩みはお前だけのものではない」と、見かけとは裏腹にとてもいいアドバイスを送ります。それを聞いてさめざめと泣く実朝君。なんていい子なんでしょう。前二代がアレすぎたというのもありますが、この子は一体誰に似たのでしょう。

この回の重要な教訓:よくわからない書類にハンコは押さない 雪の日は出歩かない たまには風呂に入る

 

第36回「武士の鑑」

悪妻に煽られまくった時政パパはとうとう重忠を陥れることに成功。ここに「畠山重忠の乱」が勃発。ただ重忠は軍勢を集めることはせず、恭順もせず、少数の兵で武士の誇りを守ることで歴史に名を残そうとする。

1205年の出来事。この回はもう畠山重忠&中川大志君の独壇場でありました。顔もいい、頭も切れる、武芸も達者となればちょっと嫌味なキャラになりそうですが、おごるところは少しもなく、質実剛健を地で行く畠山殿にただただ感服し、泣かされた回でありました。まだ若いのに貫禄たっぷりにそれを演じきった中川君がまたすごい。

また、悲痛なエピソードに笑いを添えてくれた和田さんとのあれこれも印象深かったです。「あいつとは同じものを感じるのです」とか「なんでわかったんだ!」とか「腕相撲で決めよう」とか。この「美男と野獣」コンビも見納めと思うと寂しい限りでした。クライマックスにおける小四郎との『クローズ ZERO』みたいなヤンキーバトルも迫力ありましたね。

結局なんでいるのかわからないままに足立遠元氏もこの回でフェードアウト。「13人」も残り7人となりました。

この回の重要なアイテム:重忠と和田さんの別れの水杯

 

第37回「オンベレブンンビンバ」

時政の悪政により無実の罪で討たれた重忠。鎌倉でさらなる悲劇が起こらないようにするため、政子と義時は父と戦う決意を固める。両者の激突は必至…かと思われたが、なぜか時政は酒と魚持参で一人政子たちの元を訪れる。そして北条親子の最後の宴が始まる。

突然の謎タイトル。ネットでは「イタリア語で『子供のための影』の意味では」という考察が流れてましたが、単に大姫の呪文「オンタラクソワカ」を適当に覚えていた、ということでした。誰もちゃんと覚えていなくて放送禁止すれすれのワードまで飛び出して来ましたが、そのあまりの和やかさに「毎回こういうのでいいんだよ! もう史実も無視していいから!!(駄目です)」と思わずにはいられませんでした。

時政さんも色々ひどいことやってんですけど、「もうこここまでかな」と悟ったような笑顔を見せられると坂東彌十郎さんの人柄もあってか、速攻で許したくなってしまうのがずるいですね。和田さんが結果的に上総広常の思い出話をしてたのにも和みました。

この回の重要でもないアイテム。トキューサがモチモチモチモチしてた餅

 

先ごろ「全48回」という発表がありましたので、『鎌倉殿』もあと残り11回。早くも寂しくなってきました…

 

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September 04, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑧8月編

第30回「全成の確率」

この題は『寄生獣 セイの格率』からでしょうか… 頼家をプチ呪いしていた証拠が見つかってしまった全成は、死罪こそ免れるが常陸の国に流される。事態は収拾したかに見えたが、比企と頼家の軋轢が原因で彼はさらに追い込まれることに。

1203年のお話。数ある頼朝ブラザーズの中でも最もうさんくさく、そして最後の一人となってしまった全成の退場回。「大した能力はない」と自ら認めていた彼ですが、今わの際の大一番で見事な暴風雨を呼び起こしてくれました。これ、日蓮上人が処刑されそうになった時、異様な光がひらめいたとかいう伝説を意識してたのかな。ともかく貴重なお笑い要員がまた一人減ってしまいました。『七人の侍』の「笑わせてくれるやつがいなくなるといよいよ厳しい」みたいな言葉が思い出されます。実際の全成さんはもっと豪放磊落な人物で、頼家に睨まれたのも呪ったからではなく堂々と逆らったから…ということのようですが。

比企能員を追い詰めるべく謀略を巡らすものの、いるべき場所に頼家はおらず豪快に空振りしてしまう義時。思わずテレビの前で「かっこわり~~~」とつぶやいてしまいました。

この回の重要な教訓:見つかったらまずいものを回収する時はしっかり数を確認するべき

この回の久しぶりに聞いたフレーズ:臨兵闘者開陣列在前

 

第31回「諦めの悪い男」

突如として病に倒れ、重篤となってしまった頼家。息を吹き返す見込みは乏しく、その死後鎌倉を動かしていくのは北条か比企か。二つの一族はとうとう全面対決に突入する。

引き続き1203年のお話。まあこの回は佐藤二朗さんのほぼ独断場でですね。彼は「僕はこの前の回で見せ場は終わったと思ったんだけど、小栗君や坂東さんがさらなる高みにひきあげてくれた」というようなことをおっしゃってました。そう、時政演じる坂東彌十郎氏との「これから殺し合うことがわかってるのに、和みながら語り合う」シーンは『鎌倉殿』屈指の名場面でした。 正直数回前から「はよ〇ね」と思っていた比企殿ですが、亡くなってしまうとそれはそれで寂しくなってしまうのがこのドラマの不思議なところです。あの独特な「こしろう~」という口調をついつい真似して寂しさを紛らわせています。

この回はお盆でこっちに来ていた姪っ子と観ていたのですが、クライマックスの鬼気迫る暗殺シーンで姪ちゃんはひたすら無言で顔をひきつらせてました。NHK&三谷さん、もっと子供の情操のこともかんが…いや、いいです。

この回の使ってみたいフレーズ:「手段を選ばねえのが坂東武者よ! 名前に傷がつくくらい屁でもねえ!」

 

 

第32回「災いの種」

九死に一生を得て息を吹き返してしまった頼家。彼の妻や舅を殺してしまった北条の面々は頭を抱える。なんとかごまかそうと悪あがきを試みるが、結局母の政子が真相を伝えることに。

いや、世の中こういうこともあるのですね… 一時は「ダメだこいつ」と思ってた頼家君ですが、この回は気の毒で気の毒で気の毒でなりませんでした。他にもしみじみと悲しいエピソードがバンバン連発された回。義時のためを思い自ら離れていく比奈、息子に拒絶される政子、将軍職を追われ泣き崩れる頼家、そして意外や意外、一幡を殺せと言われ動揺する善児… 本当に大河の主人公が「後々禍根になるから」と子供を殺そうとするってどんだけ容赦ないんですか。視聴者にわずかな逃げ場所すら用意してくれません。

この回の重要なアイテム:兄の形見のヒスイ玉だったかなんだか。時房くんが「兄上~」と必死に語り掛けてたのに義時は自分の兄のことを考えてたのは貴重なお笑いシーン

 

 

第33回「修善寺」

修善寺追われた頼家に代わり、鎌倉では頼朝の次男・実朝が新たなる将軍となった。しかし当然頼家がそれで納得するわけはなく、流された地で現政権への陰謀を練り続ける。一時は静観していた義時だが、とうとうそのままにはしておけない事態となり…

1204年のお話。悲運の将軍・頼家の末路が粛々と描かれていきます。が、びっくりしたのは超絶アサシン・善児もこの回で最期を迎えたこと。それも弟子であったトウの手によって。三谷さんはトウ役の女優さんに「『火の鳥』って読んだことある?」と尋ねたそうですが、このコンビ「黎明編」のナギと猿田彦を意識してたのかなあ。あちらはラストは親子の絆で結ばれたのですが。

頂点を極めた男と、時代の影に隠れ続けた者の壮絶な死。この回の放送が終わった時はしばし呆然としてしまいました。本当にわたしはなんでこんなしんどいドラマをしんどい思いして夢中で観てるんでしょうね。自分で自分がよくわからなくなってきました。

悲劇の地として記憶に刻まれてしまった修善寺ですが、現在は自転車競技が盛んでサイクルスポーツセンターという遊園地もあります。

この回の重要なアイテム:猿楽のお面とか哀しみの干しアワビとか

 

『鎌倉殿』も残り1/3。なんとか耐えてラストまで見届けたいです。

 

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August 28, 2022

2022年7月後半に観た映画

☆『炎のデス・ポリス』

『THE GREY』『コンティニュー』などのジョー・カーナハン監督作品。彼の映画が好きなのでただそれだけの理由で観ました。砂漠の孤立した刑務所にサイコ犯罪者が集結。モブの警官たちはサクサクやられてしまい、血の気の多い女子ポリスのみがほとんど独力で彼らと戦うことになります。サイコさんたちは比較的信用できそうな詐欺師(フランク・グリロ)、絶対信用できなさそうな殺し屋(ジェラルド・バトラー)、会話が成立しないサイコ中のサイコ(トビー・ハス←知らない人)の3名様。最後の一人は完璧に無理として、便宜上詐欺師と殺し屋のどちらかとは手を組まなきゃならない。だけど基本的にどっちにも勝ってもらっては困る… そんな『エイリアンVSプレデター』のようなジレンマが面白かったです。どっちかというと前作『コンティニュー』の方が好きだけど

 

☆『ミニオンズ・フィーバー』

ご存じ大人気シリーズ『怪盗グルー』スピンオフの第二弾。グルーと出会ったばかりのミニオンたちの活躍が描かれます。正直言うとスピンオフの方はグルーは切り離してミニオンだけのお話にしてほしかったような。前作『ミニオンズ』がそんな感じで滅法面白かったので。でもまあこれはこれで水準の面白さは保っておりました。どう見てもイーストウッドのような老ギャングとグルーの世代を越えた友情は微笑ましかったですし。

あとは70年代的なミュージックシーンとか、カトリックに怒られそうなエクソシスト・シスターとか、唐突に始まる燃えよドラゴンオマージュとか… 私は世代的にちょっと後ですけど、大人たちは当時を懐かしみながら観てもよいかも。最後のはっちゃけぶりも楽しませてもらいましたが、色々後発の『ソニック2』や『スーパーペット』とかぶってしまったのはなぜなんだろう。

 

☆『キングダムⅡ 遥かなる大地へ』

大ヒットコミックの映画版『キングダム』の続編。王宮の陰謀を阻止した奴隷の少年・信は、いよいよ大将軍への夢をかなえるため、初陣となる戦場へ赴くことになります。今回は原作の6~8巻あたりでしょうか。最初から最後まで秦と魏の合戦のみが描かれます。だから話としてはすごくわかりやすい。自分前作は年間2位にしたくらい好きな映画なんですが、それでも邦画にありがちな欠点…とにかくキャラが絶叫する等…が多かったことは否めません。ただ今度は広い平原で殺し合ってる話なので、むしろ絶叫してる方が自然だったり。そんなわけでややくどさが抑えられたような印象があります。あとやっぱり古代の戦車戦って滅多に見られないだけに燃えますね。『マッドマックス 怒りのデスロード』のオマージュ的なものも感じました。

特に好きなのは予告でも使われてた信とキョウカイの別れのシーン。かっこよく拳を突き出し合って決めるのかと思ったら…w そのあとキョウカイの笑顔がまたよかったです。

早くも来年第3作が公開予定。全編映画化するのは確実に無理なので、ドラマ化するか『ちはやふる』のように映画で独自に上手に終わらせるしかないと思います。

 

☆『神々の山嶺』

夢枕獏の小説を谷口ジロー氏が劇画化し、それをさらにフランスのスタッフがアニメ化した…というややこしい経緯のアニメ。小説の方は『エヴェレスト』の題で実写映画化されたこともありますね。伝説のアルピニストを追う雑誌ライターが、彼の足跡をたどるうちに共にエベレストを登ることになる…というストーリー。日本の70~80年代くらいの懐かしい街の景色がフランス風のお洒落なタッチで再現されていたのは、なにやら不思議な感覚でした。懐かしいのにどこが違う…みたいな印象。実際の70年代日本の映像にある、雑然として垢抜けないような空気が抜けちゃってるんですよね。それはそれでひとつの映像美として楽しみました。雄大な山々の風景に関してはただただ圧倒されるばかりでした。

で、この映画時々ホラー的な演出もチラチラ入るんですよね。それくらい登山には怖い一面もあるわけです。なぜそんな怖かったりしんどい思いをしてまである人たちは山に登りたがるのか。その結論を「わかんない」で〆ていたのは大変すがすがしかったです。

友を死なせた悔い」「極限へ挑戦」「次世代へ継承」そして「こういう生き方しかできない」という愚直な主人公像などは今大ヒット公開中の『トップガン マーヴェリック』にかなり近かったです。

 

☆『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

1993年から続く『ジュラシック・パーク』シリーズの完結編(前にも1回終わってたけど)。恐竜が人間社会に出現するようになってしまった世界で、新旧三部作の登場人物たちが新たな陰謀に挑みます。以後、完全ネタバレなのでご了承ください。

このシリーズをきれいに終わりにするとしたら、「人類が恐竜に淘汰される」「恐竜がまた世界から姿を消す」「今度こそ完全に安全なジュラシックパークが建造される…」というあたりかと思うんですが、そのどれでもありませんでした(笑)新三部作の主人公たちが家族として結ばれた…というとこだけなんとなく完結編っぽかったです。

今回の作品に期待したのは我々の身近な都市部でいろんな恐竜が暴れる映像。前半のヴェロキラプトルとのチェイスシーンは見事にその期待に応えてくれましたが、後半に入ったらまたいつもの研究施設内で右往左往する流れになってしまい… ただ恐竜の活躍が見られる映画ってほぼほぼこのシリーズしかないので、それでも貴重といえば貴重なのです。

新三部作の製作も務めたコリン・トレボロウ監督は「これで僕の役割は終わり」と言ってますが、ジュラシックパークでも他の映画でもいいので数年に一度は恐竜をスクリーンで拝みたいところです。

 

次回は『劇場版 Gのレコンギスタ』『三谷かぶき 風雲児たち』『ソニック・ザ・ムービー2』『バッドマン』『がんばれ! スーパーペット』などについて書きます。

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August 21, 2022

2022年7月前半に観た映画

7月はがんばって?10本も観たので2回に分けます

☆『ザ・ロストシティ』

サンドラ姉さんがディスコダンサーが着るようなキラキラした服でジャングルをさまよってて「大変そうだなあ」と思ったのと、突然お腹がアレになってトイレに行ったら不在の間にキャラが一人死んでたのが特に印象に残っております。

どなたかが「こういう毒にも薬にもならないような映画もこの世には必要」と評しておられました。本当にその通りだと思います。観ている間はとても楽しゅうございました。

チャニング・テイタムが沼の中でヒルに食いつかれるシーンは『スタンド・バイ・ミー』のオマージュですかね。

 

☆『エルヴィス』

言わずと知れたエルヴィス・プレスリーの一代記…であると同時に、矢吹丈の手綱を手放すまいと必死になる極悪な丹下段平の話でもありました。

こういうロックスター映画というのはサクセスすると大抵ホテルや邸宅で乱交にふけってたりするシーンがあるのですが、エルヴィスさんはストイックなタイプだったのかこの作品にはそういうのはありませんでした。お薬はガバガバ服用してたようですが、楽しみのためではなく不安を紛らわすためだったようですし。

そんな風に命を削ってステージで熱唱するシーンは圧巻でございました。主演のオースティン・バトラー君に脱帽です。あとB・B・キングとの友情のエピソードにほっこりしました。

☆『バズ・ライトイヤー』

あの『トイ・ストーリー』の名玩具「バズ・ライトイヤー」は、一体どんな映画を元にして作られたのか…という話。ユーモラスなメカ群、ウラシマ効果の悲哀、『トイ・ストーリー』ファンへのサービス、ピクサーお得意のお笑い要素など、全体的にソツなく上手に作られてるんですが、後発の『ミニオンズ・フィーバー』などと比べるとちょっと地味な印象がぬぐえません。基本的に未開の荒れ果てた惑星の周辺だけで収まっちゃってる話なので… まあたまにはこんな渋いSFアニメもいいかな、とは思いますが、日米ともに興行がイマイチ振るわなかったのが気の毒。

 

☆『モガディシュ 脱出までの14日間』

ようやく今年初の韓国映画。1990年、お互いの国際的を地位を高めるべく、北朝鮮と韓国の大使たちはソマリアで競争のようにロビー活動にいそしんでいた。しかしクーデターが勃発。彼らは武装ゲリラの攻撃かいくぐり、命からがら国外へ逃げ出さねばならなくなる。

『タクシー運転手』同様実在の事件に材を取った話…にしてはかなりエンターテインメント色が強く、恐らくそれなりに脚色がなされているものとは思いますが、それにしてもよくこんな面白い話を見つけてきたなあと。あと異国の地で現地の人を大量にエキストラをやとい、派手にドンパチを撮影できる韓国映画のパワーには圧倒されました。

最初角突き合ってた2グループが呉越同舟するうちにうとちけあってく…というのも定番といえば定番ですが、自分やっぱりそういうのに弱いのでアリです。あと最近観てなかったけど、この「南北分断」という問題、韓国ならではのテーマですよね。この3年後の話が『ブラックホーク・ダウン』になるようです。

 

☆『ソー ラブ&サンダー』

映画のMCU最新作。4作目にしてタイトルから「マイティ」の冠が外されました。シリーズの途中でさくっといなくなってたソーの元カノ・ジェーンが、元ハンマーのムジョルニアを携えて「新ソー」として復帰するというストーリー。お茶らけた作風のタイカ・ワイティティ監督だけあって隙あらばお笑いがねじ込まれてくるんですが、同時進行でヴィランやジェーンの悲しい背景も語られて観終わるとなんだかしんみりした気分になっちゃいました。

MCUのヒーローたちは大抵なにかしら大切なものを映画で失っていくのですが、特にそれが顕著なのがソー。シリーズが続くうちに故郷も友人も家族も最初のトンカチもことごとく失っていきます。それでもあんまり悲しみを引きずらず、ニコニコしながら次の冒険に向かうソーさんを観ていると元気をわけてもらったような気分になります。アベンジャーズのBIG3のうち二人が去り、もはやBIG1となってしまいましたが、役者さんもいやがってないようですし、いけるところまで出来る限りスクリーンに姿を見せてほしいものです。

今回特に印象に残ったキャラ?はマサカリのストームブレイカーさん。なかなか嫉妬深いということが判明。モノがモノだけにソーにズズズ…と詰め寄るシーンは迫力がありました。ギリシャその他多神教の適当な神様たちへのイジリにも笑わせてもらいました。

 

次は『ミニオンズ・フィーバー』『炎のデス・ポリス』『キングダムⅡ』『神々の山嶺』『ジュラシックワールド 新たなる支配者』について書きます。

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August 07, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑦7月編

第26回 「悲しむ前に」

突如意識を失い重体となってしまった頼朝。医師の見立てではもう数日の命とのこと。悲嘆にくれる政子をよそに、御家人たちは次の「鎌倉殿」が誰になるのか思慮をめぐらせていた。

お茶らけ回だった前回とは打って変わり、沈痛なムードが続く26話。ネットでは「まだ死んでなかったの?」という反応がたくさん見受けられましたが…

周囲がさっさと見切りをつけてる中で、最後まで諦めようとしない政子様がつろうございました。あんなに浮気したり子を苦しめたりした男でしたが、それでも彼女は純粋に頼朝を愛してたのだなあと。そしてずっと「元グラビアアイドル」というイメージが抜けなかった小池栄子さん、このドラマが始まってからはその演技力に唸らせられっぱなしでしたけど、この回でそれがひとつの頂点に達した感があります。

あともう一人彼の死を悲しんでた義時。頼朝はもしかして彼に暗殺されたのでは…なんて予想もしてたのですが、それが外れてほっとしました。伊豆に引きこもろうとする彼を「ふざけんな」とばかりに引き留める政子様。いよいよこのドラマの「本編」が開幕いたします。

この回の重要なアイテム:政子が最後に頼朝にもっていった料理。結局あれって正体明らかになったんだっけ

 

第27回 「鎌倉殿と十三人」

母にはっぱをかけられて、二代目鎌倉殿となる決意をした頼家。しかしその一方で北条家と比企家は自分たちの勢力をより強くすべく、将軍の相談役の選出を競い合っていた。最終的に出そろったのは十三名。「十三人の合議制」の時代がいま、始まる…のか?

西暦1199年くらいの内容でようやくタイトルが回収?された27話。番組が始まる前はさぞかし頼もしい豪傑たちが一堂に会しババーン!と見栄を切るのかと思いましたが、実際見てみると小ずるそうだったり幸も影も薄そうなおじさんたちが大半であったり… 三谷さんが脚本である時点で予想すべきでした。

ちなみにわたしの13人の印象は次の通り

北条義時…主人公。ゴッドファーザーのマイケル
北条時政…主人公の父。いい加減
三浦義澄…時政の親友。佐藤B作
比企能員…権力大好きおじさん。佐藤二郎
和田義盛…脳筋。可愛いもの好き
梶原景時…義経のサリエリ

安達盛長…頼朝の爺や
八田知家…突然出てきたワイルド大工
足立遠元…得体が知れない人畜無害の人
大江広元…腹黒・讒言大将。一番怖いかも
三善康信…『古畑任三郎』の向島巡査
中原親能・二階堂行政…大江さんにくっついてきた文官。影が薄すぎる

当然こんなおじさんたちを頼家が信用しようはずもなく、事態は「元鎌倉殿の十三人衆」VS「現鎌倉殿の親衛隊5人衆」の対決へとなだれ込んでいきます。

この回の重要なテロップ:十三人がそろうたびに画面に出てきたカウント。数えやすくてよかったです。

 

第28回 「名刀の主」

頼家に取り入ろうとするも失敗した梶原景時。これまでの「告げ口役」という悪評も手伝って、急速に鎌倉での居場所を失っていく。そんな彼に朝廷からの誘いがあり、景時は鎌倉に見切りをつける決意を固める。だがそれが頼家に耳に入り…

梶原景時退場を丸々一話使って描いた29回。「義経を追い落とした」ということで全くいいイメージのなかった彼を、オーベルシュタインのような愛されキャラにまで持っていった脚本力に脱帽です。あと中村獅童氏は『新選組!』『いだてん』のようなひょうきんな役も上手ですが、やはり今回や『ピンポン』みたいな重厚な豪傑役の方がしっくり来ますね。その死が「想像してくれよ」と言わんばかりでオマケコーナーで語られる演出はあっさりというかお洒落というか。

今回初登場だった重要キャラはアバンタイトルで出てきた後鳥羽上皇。演じる尾上松也氏は見てるとどうしても「リブモ」CMの「なんですって、奥さん!」を思い出してしまっていけません。あと退場したのは三幡の死を悲しんで鎌倉を離れてしまった中原親能さん。存在感がないままの脱落となりました。そろったと思ったらもう2名いなくなってしまった「十三人」。『アルスラーン戦記』の十六翼将みたいです。

この回の重要で不穏なあいてむ:「善児」 そんなもんのこしてくんじゃね~~~!

 

第29回 「ままならぬ玉」

御家人の嫁を略奪しようとしたり、サッカーにかまけたり、頼家の悪評が止まらない。そんな彼を失墜させようと北条パパは婿である全成に「ちょっとだけ」呪うよう説き伏せる。ただ傍若無人に見える頼家ではあったが、彼は彼で内に不安と孤独を抱えていた。

先回で「こいつ駄目だわ」と見放した頼家公を、「やっぱりこの子かわいそう!」と思わせてしまう脚本に翻弄される回。演じる金子大地君は松田翔太氏にも似た危うさを感じさせます。でも同情しちゃうとこの先の展開が辛くなるわけで… こういうの本当にやめていただきたい。

一方でほっこりする二世がこの回で改名した北条泰時君。庶民の立場に立って政治を行ったり、女子に空気の読めてないプレゼントをつっかえされたりと好感度が爆上がりでした。ちなみに私がTwitterで行ったアンケートによるとそれなりの女子が「キノコ好き」と答えていて、義時説ももまんざら間違いではなさそう。問題は量と渡し方でしょうか。

コントのような井戸落ち(史実だそうです)から、心和む夫婦エピソード。しかしラスト直前で入る火曜サスペンス効果音。このヒキは『太陽がいっぱい』のオマージュだと思います。そしてこの回でまた二人合議制のメンバーが脱落(三浦義澄・安達盛長)。自然死だったのがせめてもの救いです。

この回の重要なアイテム:マリ(「しゅうぎく」って言うのね)・キノコ・縄・藁人形

 

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July 31, 2022

2022年6月に観た映画

☆『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』

企画の情報を聞いた時は多くのファンが「正気か…」と感じた『機動戦士ガンダム』第1作の番外編。ほぼ外れのない「ファーストガンダム」テレビシリーズにおいて、ただひとつ「微妙」とされているエピソード、「ククルス・ドアンの島」の島を安彦良和御大自らがリメイクした作品。なんだかんだで上半期とりわけ楽しみにしていた1本です。

オリジナルはまだ兵士となることになじめずよくごねていたアムロ君が、突然「いい子」になってしまった印象があるのですが、こちらでは彼特有の繊細さ・多感さも残しつつ少年らしい純真さもあり、わたしたちが良く知ってる「アムロ」になっていたと思います。

全体的な印象としては安彦版『未来少年コナン』みたいなところがあり。ロボットの見せ場もちゃんとありますけど、「人間やっぱり額に汗して働いて飯を作らにゃいかんのだ」というメッセージが伝わってきます。この辺ミスターガンダムの富野由悠季氏と比べると安彦監督はもっとシンプルで健康的な作家だなあ…と改めて感じました。

特にテンションが上がったのは雷鳴・お馴染みのBGMと共にクライマックスでガンダムがヌオッと姿を現すシーン。あとさすがにTV版から40年以上経ってるので、オリジナルの声優さんたちのほとんどが鬼籍に入られてしまったことを実感してしんみりしちゃいました。いまなお現役の古屋徹・池田秀一・古川登志夫3氏はいつまでもお元気でいてください。

 

☆『トップガン マーヴェリック』

これまた80年代の超懐かしい洋画の、だいぶ年を経た「その後」を描いた映画。公開予定が遅れに遅れまくったため実に2年近く予告編を映画館で観させ続けられた作品です。

かつて海軍きっての暴れん坊パイロットだったマーヴェリック。しかし時代は無人操縦の戦闘機が主流となりつつあり、彼のような個人技にモノを言わす飛行機乗りは必要とされなくなりつつあった。そんな中無人機では達成が難しいミッションが発生。マーヴェリックは若き「トップガン」たちを作戦から生還させるため古巣に教官として舞い戻る。

既にいろんな方が言ってると思いますが、空戦も生身の危険な撮影もハイテクのおかげで人間がやる必要がなくなりつつあります。でもそれは「今日じゃない」と言わんばかりに飛行機にとびついたり戦闘機を操縦したりするトム・クルーズ。「体を大事に…」と思いながらもその超絶アクションには感嘆せずにはいられませんし、ネームバリューと共に他の追随を許しません。昔の『トップガン』では役柄はともかく素のキャラはそんな無茶ばかりやるような方ではなかったのですが… 40年近く年が流れたうちに中の人までマーベリックになってしまった感があります。

あともう一点驚いたのはそんなにド派手な題材でもない、かつて1本だけ作られた映画の続編が、日米ともに爆発的なヒットを飛ばしているということ。先に懐かし映画の続編と言えばマトリックスやゴーストバスターズもありましたが、これらはそんなに話題にならなかったような。もちろん「出来がいいから」というのはあるでしょうけど、それだけでは映画はここまで売れないもので。二年間予告編が流れ続けた効果もあったのか… 謎であります。

わたしといえば昔の『トップガン』にいい印象がなかったのとやけに売れてるのでやや斜に構えながら鑑賞してたのですが、アイスマンとの友情や親友の息子ルースターとのわだかまりが解けるところなどはブシュッと鼻水が噴き出たりしました。あと前作『オンリー・ザ・ブレイブ』が大コケした(いい映画なのに…)ジョセフ・コシンスキー監督が大大ブレイクしたことも喜ばないといけません。

 

☆『FLEE』

アニメ映画でありながら今年のアカデミー賞で国際長編部門・ドキュメンタリー部門にもノミネートされた骨太の作品。アフガンで生まれた青年が苦労して欧州に逃れた後で、思い出したくなかった過去の経験を少しずつ振り返っていく内容。難民というだけでも大変なのに、彼はゲイゆえに同胞からも疎まれるという辛い背景があります。

そんなわけで胸と胃がキリキリするようなエピソードが多く語られるのですが、彼の持ち前の明るさか、監督の語り口ゆえかほっこりしたり笑わせてくれるところもチラチラあるのが救いだったり。亡命する時居合わせた美青年に恋しちゃったりとか、初めてゲイクラブに行った時のいきさつだったりとか。主人公が憧れてるのがジャン・クロード・ヴァン・ダムだったりとか。今年はなぜかヴァン・ダムオマージュを各所で見かけたり本人もがんばってたりヴァンダム再評価の年でありますね。

あと平和な国に住んでる我々とは程遠い話のようで、「周囲の期待と自分の望みが反するゆえに苦しむ」というあたりはどこにでもある経験だな、と思いました。

 

☆『鋼の錬金術師 完結編 反逆者スカ―/最後の錬成』

荒川弘先生の名作コミックを、連載20周年ということで実写版も完結させた二部作。先に製作されていた第1作が評判も興行も芳しくなかったのによく踏み切ったな…と変に感心してしまいました。でもまあ見てみると映画紹介漫画『邦キチ 映子さん』で言うところの「ヅラ感」が気になりつつも演者さんがみながんばってたり、原作の重要エピソードをちゃんと取捨選択して編集してたりして、尻上がりに印象がよくなっていきます。特に第3作は山田涼介君・渡邉圭佑君・内野聖陽氏三者がそれぞれに「顔は同じなんだけど人格が違う」2役をそれぞれ上手に演じ分けしていて感心しました。また、スカ―役の新田真剣佑は『ジョジョ』の時を彷彿とさせるような役への憑依ぶりが見事でした。あと原作読んでだいぶ経ってるので久しぶりに思い出したキャラ・話が多数あって色々懐かしい気分にさせてもらいましたよ。

 

☆『ベイビー・ブローカー』

世界でも評価の高い是枝裕和監督が舞台・キャストともに韓国で撮影した作品。いわゆる「赤ちゃんポスト」を利用して乳児の売買を企む二人組と、赤ん坊の母親のロードムービー。主演はやはり世界的名声を誇るソン・ガンホ氏なのですが、監督の性向ゆえか小悪党なのに仏のようにやさしい。いつものガンホさんだったら「シバ〇マ!」と叫んで切れ散らかしそうな場面でも、穏やかに「仕方ねえなあ」と微笑みを絶やしません。自分はそんな誰にでも優しい視点がすごく心地よかったのですが、実際によくある社会問題を題材にしてるゆえに「そんな綺麗ごとで納まるわけねえだろ」と感じられた方もおられるようで。まあでも、是枝さん、この映画のガンホさんとその弟分のような優しさは忘れずにいたいと思います。

 

7月は頑張って10本くらい観ました。次回はその前半の『ロストシティ』『エルヴィス』『バズ・ライトイヤー』『モガディシュ』『ソー ラブ&サンダー』などについて書ければ

 

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July 17, 2022

2022年5月に観た映画

2ヶ月以上前の記憶を掘り起こして書きます。

☆『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』

いまやMCUにおいて中心人物の一人となってしまった感のあるストレンジ博士、単体としては5年ぶりの続編。元カノの結婚式に意気沈々として向かった彼のもとへ、「多元宇宙」から逃亡してきた少女が現れる。ストレンジはその手の問題に詳しいワンダの元を訪れるが…

恐らく今回はコミックの『アベンジャーズ ディスアッセンブルド』を底本にしているかと思われます。当時人気の低迷していたアベンジャーズを、編集部が「一度ぶっこわすか!」ということでワンダを闇落ちさせ、チームを壊滅にまでおいやったというひどい作品です。そんなわけでコミックファンには前知識があるからいいけれど、映画ファン&お子様たちにはかなりショックな内容。原作と同じくまたヒーローとして復帰することを願ってやみません。

ショックと言えば久しぶりに映画監督として復帰したサム・ライミ氏が、MCUの世界観を尊重しつつも彼独特のグロ描写を惜しげもなく発揮しまくったことでも話題になりました。この辺彼のファンからは長年忘れていた「おふくろの味」に再会できたようでたまらなかったみたいです。

面白かったのは、この作品には4バージョンのストレンジ先生が登場するのですが、本家以外はみんな闇落ちしてるのですね。それくらいついダークサイドにいってしまいそうな下地がある人なのです。しかしそれは「素質がある」というだけで絶対的なものではない。先の『スパイダーマン』で悔いながらもピーターを救えなかった先生が、今回は同じ思いを繰り返さないために一人の少女のために奮闘します。そして「このストレンジのいる世界に来てよかった」と彼女が笑顔で言うところにおじさんの鼻水が噴き出ました。

一点不満というか要望を言わせてもらうとシュマゴラスという名前だったガルガントスというキャラクター、大きなお目目がかわいかったのにあっさりやられてかわいそうでした。こちらも次回は善玉として復活させてあげてください

 

☆『スパークス・ブラザーズ』

実に50年以上活躍している米国の兄弟バンドを題材に、『ショーン・オブ・ザ・デッド』などで知られるエドガー・ライトが監督したドキュメンタリー。わたし彼らのことはなんも知らなかったのですが、監督の映画が好きなのと近くでやってたので観てきました。そんなに洋楽には詳しくないんですけど、彼らはそんなに第1級メジャーというわけではないようで。「なつかしのオールディーズベストヒット」みたいな選集でも名前見たことないし。しかしこんだけ長く続いてきたのには、やはり一過性ではない魅力と、マンネリに陥らないよう試行錯誤を続けてきたからということがなんとなくわかりました。一時は本当に仕事が無い時もあったようですが、「ドラッグなどで散財せず堅実に暮らしてために生活に困らなかった」というのには感心させられました。

驚いたのは池上遼一氏が少年サンデーで描いてたマイナーなSF漫画『舞』を彼らが映画化しようとしていたこと。これたまたま読んでてあまり話題に上がったこともない作品だったので「???」となりました。残念ながらその企画は頓挫。それ以前のジャック・タチとの企画も中断となった彼らですが、昨年3度目の正直的にカラックスの『アネット』で映画音楽を担当。夢をあきらめてはいかんですね。

 

☆『バブル』

ネットフリックス先行公開し、一週間後に劇場公開という珍しい形式で発表された長編アニメ。しかし先行の時点でなかなか評判が悪く、びくびくしながら観に行きましたが、これが映像もアクションもストーリーも大変ツボにはまり、「TVサイズで観ないと真価が伝わらないのかな」と思っておりました。しかし劇場で観た人たちの感想も総じてあまりよくなく… 自分、映画を見る目があまりないのかな、と改めて思ったりしました(笑)

好きな点は全体的にりんたろう版『メトロポリス』を思い起こさせてくれたところ。あと十代の恋愛ものであるのに「うわっ これは不可抗力で…」「いやー! エッチ!バカー!!」みたいなコテコテのラブコメ描写がなかったところです。

 

☆『犬王』

湯浅政明×野木亜紀子×松本大洋という超強力布陣で製作された伝奇SFアニメ。先行してTV放映・配信された『平家物語』とそこはかとなく関係あるようなないような、やっぱりあんまりないかな?という作品です。

大胆なのは全体のほぼ半分近くが演奏シーンというほぼライブみたいな構成であること。その無茶な作りを森山未來君と女王蜂アヴちゃんさんとか迫力ある歌声で強引に持っていきます。

ただ突飛なようで根底には親から捨てられたような犬王と親を失った友有(友魚だったり友一だったり)のガキ同士の友情物語があり、その無邪気さが微笑ましかったり胸に沁みたりしました。一方で彼らを翻弄する時の権力者・足利義満には強い怒りを感じます。『一休さん』の「のんびりした将軍様」だったイメージが一気に急降下いたしました。時を越えてよみがえった二人の絆を見届けることで、鑑賞後はさわやかな気持ちになれましたけど。

『どろろ』や湯浅監督の『デビルマン cry baby』を想起させるようなところもありました。

 

5月は他に『シン・ウルトラマン』を2回観たり『鋼の錬金術師 完結編』第1部を観てました。ハガレンに関しては次回『ククルス・ドアンの島』『トップガン マーヴェリック』『FLEE』『ベイビー・ブローカー』などと一緒に書きます

 

 

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July 03, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑥ 6月編

いつも『鎌倉殿』は地上波・BSと2回観ているのですが、先月はスケジュールの都合で1回ずつしか見られず。おぼろげな記憶をたどって頑張って書きます。

 

第22回「義時の生きる道」

突然の八重の死。義時は悲しみをこらえながら彼女が残した大量の子どもたちのワンオペ育児に励む。一方頼朝は都へ上洛。法皇と対面を果たし正式に征夷大将軍の位を授かる。

1190~1192年くらいの話。ずっと裏切り・暗殺・愛する人の死ときついイベントが続いてた『鎌倉殿』で、突然訪れたエアポケットのような癒し回。この回で生霊になったりピンポン玉で死を偽装したりしてた後白河法皇がとうとう本当にお亡くなりになります。「歴史をひっかきまわすだけひっかきまわして」というナレーションの落とし芸が冴えてました。

後半は義時が子供たちのケンカで頭を悩ませます。これとほぼ同じシチュエーションがモーニング不定期連載中の『ワンオペJOKER』であったばかりなんですが、偶然かぶっちゃったんでしょうね。弟が心配で屋敷をのぞきに来た政子さん。「むかし姉上によく首をしめられました」「そういえばよくしめてたわね」 まあ姉というのはそういうものです。

この回の重要でもないアイテム:保育業が大変ですっとんでった義時の烏帽子

 

第23回「狩りと獲物」

1193年、頼朝は御家人たちを集め富士で巻狩りを行う。それに乗じまたしても反乱を企む動きがあった。中心となったのはかつて父親を工藤祐常に殺された曾我兄弟。ここに後世に語り継がれる伝説の仇討が始まる…?

忠臣蔵、荒木又右エ門の鍵屋の辻、そしてこの曾我兄弟の仇討が日本3大敵討ちなんだそうですが、忠臣蔵がメジャーすぎて正直ほかの二つは「何?」という感じであります。で、美談とされてるこの仇討ちが、このドラマでは手違いの上に義時により脚色されたことになっていたり。

前半の巻狩りで印象的なのは鎌倉の時代を担う二人の若者。金剛=泰時は明らかに短期間で背丈が倍以上伸びてるのですが、「成長著しい金剛」のテロップで強引に納得させられました。いま一人の次期暴れん坊将軍・万寿=頼家は悪くない若者なんだけどいまひとつ頼りなさそう。鹿一匹狩らせるのに御家人たちも撮影スタッフも大変だったようです。

スケベ心が幸いしてまたしても難を逃れた頼朝公。しかし今回は「もうわたしのすべきことはないのかも」としょんぼり顔。いよいよ大物退場の序曲が流れ始めます。

この回の一応重要なアイテム:ダミー鹿。および義時と後妻の間を取り持つ鹿のウンコ(2回目)

 

第24回「変わらぬ人」

謀反は未然に防がれたが、その際不審な発言があったということで、範頼は半ば言いがかりのような形で修善寺へ流される。頼朝は自信の衰えを自覚してはいたが、それを認めず大姫を天皇と后とすべく運動を始める。彼女は未だ義高を忘れられずにいるというのに…

1193から98年初めくらいの内容。せっかく比較的ほのぼの回が続いてたのにまたどん底へ突き落される回。大姫に関しては自分も周囲(頼朝以外)もなんとか幸せな方向に導いてあげようとがんばるのに、結局初恋の人への思慕には勝てず…というのが辛すぎるお話でした。あと後白河法皇の未亡人の丹後局が怖かった。鈴木京香さんは『君の名は』(連ドラ)では姑からいびられる側だったのにいつも間にいびる方に…(いつの話だ)。全成殿のイタコ芸が数少ないギャグシーンでございました。

もう一人お気の毒だったのは源範頼公。ドラマでは大抵義経の引き立て役でしかありませんでしたが、『鎌倉殿』では不器用だけど実直で純粋な人柄に描かれてて大幅にイメージアップになったかと思われます。それだけにあの退場の仕方は残酷すぎる。このドラマを毎週見ている姪っ子(小6)のトラウマがまたひとつ増えたのではと心配です。

この回の悲しいアイテム:蒲殿が植える予定だった甜瓜

 

第25回「天が望んだ男」

さんざんナレーションで「最後最後」とあおられつづけた頼朝公。恐怖新聞に寿命を削られる鬼形君のように衰弱が著しくなっていく。それでも生きる望みをあきらめない鎌倉殿。数々の死亡フラグを乗り越えて、果たして生き延びることはできるか!?

…ま、歴史でこの時死ぬことになってるので、どうしようもないんですけどね。ただ上総之介や九郎の時と違い、さんざん笑いを振りまいて去っていくのが彼らしい。あんだけひどいこといっぱいやらかしてたくせに、この幕引きはずるいよ。演じてる大泉さんのキャラのせいで、いなくなったらやっぱり寂しくなるんでしょうね。

ちなみに今ニュース番組の司会もされてる三谷さん、その司会中堂々と脚本を書いてる姿がリークされてました。それを読むと頼朝が善児に必死に命乞いをしてるのですが、あれは完全なるフェイクでしたね。だまされました。

ひとりの英傑が去ろうとする時、彼に関わった者たちの耳に鳴り響く不思議な鈴の音。それが義時だけに聞こえなかったのはいかなる意味が…

あといつの間にか巴御前とだいぶ仲良くなってる和田殿は役得。

この回のまぎらわしいアイテム:頼朝の死をフライングさせかけた餅

 

というわけでなんとか半分までついていくことができました。残り半分もがんばります。たぶん

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June 22, 2022

シンは神学のシン 樋口真嗣 『シン・ウルトラマン』

謎の巨大生物「禍威獣」の頻出に悩まされる近未来の日本。政府はその脅威に対処するため、各方面のスペシャリストにより結成されたチーム「禍特対」を発足させる。禍特対が何度目かに出動した際、突如として上空より謎の巨人が飛来。禍威獣を圧倒的なパワーで退ける。「ウルトラマン」と名付けられた彼は人類の味方なのか、それとも…

庵野・樋口コンビが『ゴジラ』の次に挑んだリメイクは、やはり日本人なら誰でも知るあの巨大ヒーローでした。『シン・ウルトラマン』について今回はダラダラと書きます。以後完膚なきまでにネタバレしてしまうので、ご了承ください。まずは自分の最初の印象から。

最初に冒頭の超『ウルトラQ』オマージュには大興奮でした。続くネロンガ戦、ガボラ戦も大いに楽しませられました。しかしその後ザラブが宇宙人の格好のままコートを着て現れたのには、「これ、普通の人ひかないか?」と心配になったり。さらに追加で巨大な長澤まさみが登場した際には、元ネタ知ってる我々ならともかく、そうでない特撮慣れしてない方々はこのシュール表現の暴走に途中退場してしまうのでは…と(こちらの劇場ではいませんでしたが)。

そんな杞憂をよそに終盤へと進んでいくストーリー。結末がどうなるかハラハラしながら観てましたけど、この一風…というか十風くらい変わった作風に当惑を抑えきれないまま終わってしまった、というのが初見の感想です。

大抵はそこで「微妙に合わないところがあった」で終わってしまう話ですが、この映画にはなんか不思議な吸引力があって、鑑賞後1週間くらいずっとテーマや場面・セリフの意味などについて考えさせられてしまいました。そして自分の中で作品についてのあれやこれやを熟成させた後、もう1回観てみたら今度はしみじみと感動できたのですね。映画は毎週それなりに観てますけど、そんな風に味わえた作品というのはあまりありません。

 

で、最初すんなり入らなかったのが、なんでウルトラマンがそんなに地球人にひかれたのか、というところ。これに関しては彼自身も「色々考えたけどよくわからない」と述べています。思えば私たちも何かを好きになるとき、「なぜ好きになったのか」ということについてはあまり考えないし、よくわからないもの。「かっこよかったから」「綺麗だったから」とそれらしい理屈をつけることはできます。しかし「じゃあなぜかっこよい・美しいと感じたのか?」と問われたらこれはもう理屈では説明できないものです。そもそもあのウルトラマンの前衛的なデザインもヒーローにしては独特すぎる気がしますが、こんだけ世代を超えて絶大的な支持を得ているのですから不思議といえば不思議であります。

あと今回のウルトラマン、昨年エヴァンゲリオンがあったせいかやけに宗教的というかキリスト教的な話に感じられました。

・人間が超越的存在に生殺与奪の権を握られている構図は、旧約聖書で神が度々人々を災厄により滅ぼそうとした話を思い出させます。そのまま実行されたこともあれば、行いの良い僕のために思いとどまった例もあり

・ザラブやメフィラスはまんま悪魔。いかにもその人のため…みたいな風を装って、権力をエサにしたり欲望をあおって人間を堕落させようとします。アダムやエバは成功した例、ヨブやキリストは失敗した例

・超存在だったウルトラマンが人間と融合するところは神、もしくは神のようだったキリストが人間の形で地上に来たことを思わせます。で、キリストは人々に自己犠牲の精神を説き、最後は身を持ってそれを示しました(宇宙に展開されるゼットンのシルエットは十字架を連想させます)。その姿に心を打たれた人はキリストの弟子となるわけですが、本作品では禍特対の面々や迫害者の立場だったゾーフィがそれに当たるのかもしれません。

もう1点強く印象に残ったのは、アナログ的なもの…マーキング、匂い、情熱といったものがザラブ、メフィラス、ゾーフィら外星人のデジタル的な戦略に勝利するというもの。この映画もCGが多用されておりますが、樋口監督があるインタビューで言っていた「特撮は『諦め』の技術ではあるが、そこに実在するものには確かな力がある」という言葉を思い出させます。これからさらに徐々にこの「特撮」というスタイルは消えていくのかもしれませんが、情熱あるクリエイターが研鑽して用い続けるなら、将来も生き残っていくのでは…と希望を抱いてしまうわけです。この辺は図らずもいま同時期に公開されてる『トップガン マーヴェリック』と重なるところでもありますね。
わたしの好きなシーンをふたつ。ひとつはウルトラマンが時々山に行って神永の死体を眺めてるところ。「こいつなんであんなことしたんだろうな」とか考えてたんでしょうか。もうひとつはウルトラマンが犠牲になることに瞬発的に班長が反対する場面。人類のことを思えば土下座してでも「悪いけど頼む」と言うべきなのですけど、彼もまたウルトラマンが好きになっちゃったのでしょうね。
ラストで禍特対の面々は神永に「おかえり」と言いますが、そこにもう共に戦った銀色の巨人の魂はありません。そのことを知った時の彼らの気持ちを想像すると何とも切ないものがあるのでした。
ゴジラはともかく、ウルトラマンが一般の映画でやってどれくらいいくのだろう…と危惧しておりましたけれど、長澤まさみ・西島秀俊・米津玄師のネームバリューか、庵野・樋口のブランド力か、力の入った作りに往年の子どもたちが引き寄せられたのか、はたまたメフィラス山本耕史のキャラが強力すぎたのか…ともかく興行収入40億にはなんとか手が届きそうでホッとしております。
このあと樋口さんはまた西島氏と一緒に(監督ではないですが)『仮面ライダー Black Sun』に加わり、庵野氏は監督として『シン・仮面ライダー』を手がけるとのこと。引き続き注目して参ります。「デザインワークス」に書かれていた「その後の物語」もいつかぜひ観てみたい…



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June 20, 2022

2022年4月後半に観た映画諸々

6月終わる前に上半期観た映画の短評をまとめたかったんですが、なんか無理っぽいですね(諦めが早い)

悪あがき的に4月見た作品の感想だけでも仕上げておきます。

☆『アンネ・フランクと旅する日記』

製作国がベネルクス3国にフランス・イスラエルも加わった実に5か国共同製作アニメ。現代の少女がアンネの生涯を追いかけて旅をする…という内容かと予想していたら、なんと彼女が愛用していた日記が付喪神?となって21世紀に蘇るというなかなかファンタジックな作品でした。

監督は『戦場でワルツを』や『コングレス』のアリ・フォルマン。その2作と比べるとややメロウというか少女漫画チックな作風ではありましたが、これはこれでいいんじゃないでしょうか。

印象的だったのはアムステルダムのいたるところにアンネの名を冠した劇場やら図書館やら博物館やらが乱立してること。もしかしたらいまだに世界で最も著名なオランダ人は彼女なのかも。アンネさんは有名になることより、市井の女性として普通に生きることを望んだでしょうけどね。

 

☆『ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密』

ハリー・ポッター前日談第3弾。1作目はけっこう好きでしたが2作目でキャラが入り乱れてよくわからなくなり…というところでの最新作。また「つづく」で終わったらやだなあ、と思ってましたが、以外にも色々解決して幕となったのでよかったです。興行的に微妙なところらしく、全5作予定ということでしたが、さらに続くかどうかは五分五分のところらしいです。

正直言うと直前に昼飯をがっつり食べてしまったために序盤は割とウトウトしてましたが、ニュートさんとお兄さんが懸命にカニ歩きしてるところでシャキッと目が覚めました。あとタイトルにダンブルドアの名前が冠されてますけど、今回も一番光ってたのは太っちょのジェイコブ氏。彼に改めて惚れ直す約二時間でした。自分もあんなおっさんになりたい。体型だけは近いです。

 

☆『TITANE/チタン』

フランスの新鋭ジュリアーノ・デクルノーがメジャー2作目にしてパルムドールをもぎ取っていったという話題の作品。…なんだけど、生理的にじくじくと痛いシーンが多くちょっと苦手な作品でした。

あらすじは幼いころ事故で体に金属を埋め込まれた女の子が、成長して車に欲情するようになり、ついでになぜか殺人衝動まで抑えきれなくなってしまうというぶっとんだもの。うーん、カンヌよくわかんないね! さらには車とセックス(これが本当のカーセックスか)した結果謎の子どもまで宿してしまうという、罰当たりなマリア様のお話でもあります。

彼女を息子と勘違いして保護しようとするおっさんもよくわからない。少し前の『ロボコン』なみに「そうはならんやろ」のオンパレードで構成されています。これがデビュー作となる主演女優さんには「もっち自分を大事にしてください」という思いでいっぱいになりました。アート作品に造詣の深い評論家の解説が読みたいところであります。

 

☆『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』

昨年配信され絶賛されたアニメシリーズの劇場版。というかむしろアニメ本編の感想を。

小戸川は無愛想なタクシー運転手。彼の周りに引き寄せられるようにして集まってくるチンピラ、不良警官、ネット配信者、謎めいた看護師、仮面アイドル、拳銃魔といった不穏な者たち。そして彼らがすれ違うことで偶発的な事件が幾つか生じ、やがて大がかりな犯罪計画が持ち上がることに。

まるで『傷だらけの天使』か大沢在昌の小説のようなハードボイルドなストーリーですが、問題?はこれが全て動物キャラとなっていること。小戸川はセイウチでチンピラの「どぶ」はマンドリル、不良警官はミーアキャット…という具合に。これ何の意味があるのか? それとも意味なんてないのか?と思いながら観てましたが、その答えはというと(略)。

まあ動物になっているせいでどんな問題児もそれなりにかわいらしいというか、にくめなくなってる効果はありました。

特に評価したいのは最終話。それまでの伏線が見事に実を結んでいき、ラスト数分で最大の謎が明らかにされます。そして………な幕切れ。

劇場版ではその後も描かれるということで完全に釣られて観に行きました。非常にすっきりしました。これ、「映画からでも楽しめる」と宣伝されてましたが、やっぱりTVシリーズを愛した人たちへのご褒美みたいな映画だと思いましたよ。

 

次回は『ドクターストレンジMoM』『スパークス・ブラザーズ』『バブル』『犬王』などについて書くか、『シン・ウルトラマン』で1本書くか、というところです。

 

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May 31, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑤ 5月編

第17回「助命と宿命」

一の谷で平家を破り、勢いに乗る源氏の軍勢。だが鎌倉方には頭の痛い問題がひとつあった。それは今や賊軍の遺児となってしまった木曽義高の処遇。禍根を断とうとする頼朝に対し、義時らはなんとかして彼を救おうと奔る。

私は大体BSと地上波で二度この作品を観てるのですが、これまでで一番二度目を観るのが辛かった回。大体源平物では義経が義高を助けるべくいろいろがんばるのですけど、今回はその役割が義時に回ってきました。でも歴史的に見ても三谷さんの大河的にも助かるわけないんですよね…

義高君は恋というより大姫がなついてくれる妹のようでかわいくて仕方なかったんでしょうね(大姫の方はガチ恋)。泣けます。

この一件のせいで天下争いから脱落する武田信義。この先出番はありやなしや。

この回の重要なアイテム:義高の刀に絡んだ鞠の紐。鬼のような脚本だ…と思ったらこれは演出さんの発案だそうです。

 

第18回「壇ノ浦に舞った男」

明けて1985年。義経の快進撃が止まらない。屋島、そして壇ノ浦と平家を追い詰め、とうとう長きに渡る戦いに終止符が打たれる。戦無しでは生きられない彼を、この先待ちうける運命とは。

「義経転落編」前編。ぶつかればぶつかるほど息があっていく九郎と梶原景時にはついわくわくしてしまう少年漫画脳。漫画といえば20年以上愛読してる義経漫画『ますらお』はとうとうこの回で追い抜かれてしまいました。あとある方がツイッターで「今年は『平家物語』、『犬王』、本作と3回も平家の滅亡を見た」とおっしゃってました。ある意味グランドスラムですかね。お疲れ様でした。

後半はいわゆる「腰越状」のエピソード。専ら回想ではありましたが、源氏・平家・北条氏三つの兄弟の比較が見事でありました。死に際にあっても取り乱さない宗盛(小泉孝太郎)も印象に残ります。まあ彼の余計なアイデアのせいで頼朝義経はよけいこじれちゃうんですけど。

この回の重要なアイテム:草薙の剣とか腰越状とか里芋のにっころがしとか

この回のほっこりしたギャグ:八重さんのちょび髭

 

第19回「果たせぬ凱旋」

深まっていく頼朝と義経の対立。二人を和解させようとする義時・政子らの努力もむなしく、嫁の恨みも手伝って事態はどんどん悪化していく。

「義経転落編」中編。ことをこじれさせた原因の一人源義家殿はこの回でナレ死。「彼が味方につくと必ず負けた死神のような男」と痛烈に語る長澤まさみさん。まさみナレーションといえば法皇様の使った古典推理小説トリックに「まねをしてはいけない」と突っ込むところでも冴え渡っておられました。

あまりにも手のひらの返しっぷりがひどいゆえ、自分でも頼朝と義経がごっちゃになっていく法皇様。このドラマ海外の人にもぜひ見てほしいんですけど、ネックになりそうなのがこの「よ」で始まる人名が多すぎなところですね。向こうでは向こうで「ジョン多過ぎ」「アン多過ぎ」とかあるんでしょうけど。

この回の重要でもないアイテム:法皇の脈を止めてたピンポン球。この人いいとこひとつもなしだな

 

第20回「帰ってきた義経」

行方をくらませていた義経が、平泉に身を寄せているとの情報が鎌倉にもたらされる。最後の敵対勢力である奥州藤原氏を下すべく、頼朝と義時が企てた策とは。

1187年から1189年にかけてのストーリーで「義経転落編」の完結編。天才なんだけど人の心がわからぬ我儘坊やが色々経験して成長するも、その時もう彼の生涯は終わりに近づいていて…というあたりは『新選組!』の沖田総司を思い出させます。

帰ってきた首を前にして泣き崩れる鎌倉殿。どうしてもっと素直になれなかったのかねえ…と思いつつこのドラマで初めてもらい泣きさせられました。ちなみに他のドラマだと義経が死んだ時頼朝の反応は『義経』(中井貴一)では今回と大体一緒で、『武蔵坊弁慶』(菅原文太)ではのんきにあくびしてたり。

で、大抵の源平ものではここまでしかやらないんですよね。この後も描いたものというとそれこそ『草燃える』くらいかと。

義時はすっかり汚れ仕事を淡々とこなすようになり、『ゴッドファーザー』のマイケルぶりがだいぶ板についてきました。それもこれも愛する妻子のためなのですが…

この回の重要でもないアイテム:義経の畑を荒らしてたコオロギと弁慶の立ち往生アーマー

 

第21回「仏の眼差し」

義経が討たれるや否や奥州を平定する鎌倉軍。ここに頼朝は日本の覇者となった。戦も終わり久しぶりに人死にの出ない穏やかなエピソードになるかな…と思いきや幸せムードをまき散らせて死亡フラグを立てまくっていた方が約一名…

伝承ではもっぱら八重姫は子供を殺されて世をはかなみ、自らも湖に身を投げたという方が主流だったりするのですが、その話をこういう風にアレンジするか…と。キャスト発表で「義時の妻」役で他の女優さんが出てきた時、遠からず退場されるのだろうな、とは思ってましたが。ネットでは上総介、義経と同じくらい惜しむ声が大きかったです。『鎌倉殿』って個人的には「人の変化」を描くドラマだとも思ってるんですよね。八重さんも登場時のきつい感じからだいぶ変わられて、それこそ仏様のようになってしまわれました。文字通りの仏さまにもなってしまったのが辛くてなりません。

あとこの回でやっとこ13人最後の一人八田知家が登場。こんないかにもぽっと出みたいな人が、どうして合議制のメンバーになれたのか…

この回の重要でもないアイテム:天然ちゃんになってしまった大姫ちゃんが配ってたイワシの頭

 

先日ガイドブックpart2が出ました。32話まで粗筋が出てたんですけど、引き続き胃の痛くなる話が続きそうです。「亀の前事件」のあたりはあんなに楽しかったのにねー

 

 

 

 

 

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May 10, 2022

2022年4月の中頃に観た映画

ちょうど1ヶ月くらい前に観た作品群ですね。5本まとめてまいります。

 

☆『シャドウ・イン・クラウド』

クロエ・モレッツさんがグレムリンと戦うと聞いて「馬鹿かwww」と思いましたが、評判が良いうえに予告編見たら面白そうだったので行ってきました。

第二次大戦中の豪州の戦線。とある女性士官が密命を帯びて友軍の軍用機に乗り込むのだが、品も理解もないクルー、ゼロ戦の襲撃、さらに伝説の妖怪まで現れてクロエちゃんは大ピンチに。

前半は主に飛行機の下部銃座に萌えます。あの半球状のカプセルみたいな部分に機関砲がニョキッと突き出してるアレです。実際の戦争だったら狭い上に狙い撃ちされそうで、まず乗り込みたくない(というか戦争自体行きたくない)ポジションですが、映画で疑似体験してる分にはワクワクしてくるから不思議です。

そして本作品最大のウリであるグレムリン。正直「ストーリーにこれいるか!?」と思ってしまった自分がいます。ただこいつが出てこなけりゃ観に行かなかっただろうし、ぐっと地味な映画になってしまっただろうし、まあよしとしましょう。ギズモ君も出て来てくれたらもっとよかったです。

 

☆『ゴヤの名画と優しい泥棒』

一応本当にあったっぽいお話。1961年、ロンドンの美術館でゴヤの「ウェリントン公爵」が盗まれ、脅迫状が送られてくる。大胆不敵なその犯行に警察は国際的な犯罪組織によるものと推測するが、実際は田舎町に住む老人がNHK…じゃなくてBBCの料金徴収に腹を立てて行ったことだった…?

一応犯罪を題材にした作品ですけど、結末含めて誰も傷つかず、むしろほっこりとした気持ちにさせられる映画。なんというか良くも悪くもセキュリティや司法制度がガバガバだった時代だから成立する話だなあと。

で、事の真相に関して推理小説でいうところの「叙述トリック」みたいな技法が使われているのですが、映画でやるとあれはずるくないでしょうか。

先日の『ベルファスト』でも印象的な老夫婦が出てきましたが、あちらがベストカップルといっていいくらいアツアツだったのに対し、こちらの旦那さんは終始奥さんに怒られてて笑えました。

 

☆『アネット』

鬼才レオス・カラックス9年ぶりの新作にして初のミュージカル。コメディアン・ヘンリーとオペラ歌手のアンは熱烈な恋愛の末結ばれ、アネットという子供も授かるが、ヘンリーの人気が陰るに従い二人の間には暗い雲が立ち込めていく。

「アレックス三部作」や『ポーラX』など陰鬱で激しいロマンスで印象深いカラックスさん。こちらもまあ悲劇には悲劇なんですが主人公がコメディアンであったり、アネットちゃんがどう見ても人形だったり、次から次へ無茶な展開が続いたりとあまり悲しい気持ちにはなりません。最低な男がその行いにふさわしく転落していく話なので胸糞悪くもあるのですけど、エンディングでキャストたちが「気をつけて帰ってね~」と明るく見送ってくれるせいで、後味は妙にさわやかでした。

あとカラックスさんはやっぱり乗り物が大好きですね。今回も陸・海・空と色々乗りまくっておられました。

 

☆『コーダ あいのうた』

本年度アカデミー賞作品部門受賞作。ろうあ者の家族の中で、ただ一人耳が聞こえる娘の成長物語。おっさんなので女の子の青春ものとかあんましな~~~と食わず嫌い的にスルーしていたのですが、滅多に映画を褒めない友人が激賞していたので観ることにしました。

この映画の問題点?は予告編でほぼストーリーの8割を説明してしまっていて、そこまでは予想通りのことしか起きないこと。映画というより宣伝の問題でしょうか。ただいよいよクライマックスというところでこちらの想定を越える感動がやってきました。肝心要の歌唱シーンで無音になるという大胆な演出。「やっぱり聞こえないんだよね…」と悲しくなったところで、もう一度それを払拭するような歌の場面がありました。いや、よかったです。食わず嫌いはよくないですね。

あとお兄ちゃんが不器用ながらも妹に「家族の犠牲になっちゃいけない」と励ますくだり。ああいうの弱いのです。

これ、フランス映画『エール!』のリメイクで、こっちでは漁村だった舞台がオリジナルでは農村になってるとか。そちらの方も観たくなってきました(現金)。

 

☆『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』

日本ではネットフリックスのみでスルーされた『ヒットマンズ・ボディガード』の続編。続編だけが劇場公開ってちょっと珍しいケースであります。

内容はカリスマ的だったライアン・レイノルズ演じるボディーガードが、自分をその地位から引きずり下ろしたヒットマン(サミュエル・L・ジャクソン)と渋々手を組んでいやいや巨悪と戦うという話…だよな? 前作はまだボディーガードとしての矜持とか二人の奇妙な友情とか真面目な要素が3割くらいあったのですが、監督が続投してるのにも関わらず2作目は100%アホに振り切れてました。

『デッドプール』や『フリーガイ』などで何度も死んでるような役がよく回ってるレイノルズさん。この度も色々体当たりのアクションでがんばっておられました。ただ今回の彼はミュータントでもゲーキャラでもないのでひしひしと痛々しさが伝わってきました。もっと体を大事にしていただきたい。

タイトルにもなってる「ヒットマンの妻」サルマ・ハエックがまたはっちゃけてて最高でした。『エターナルズ』のインタビューで「情熱的なメキシコ女の役ばっかりでイヤだった」みたいなことを語ってましたが、ごめんなさい、やっぱりあなたは雄たけびをあげながら悪党の首をかっきるようなキャラがすごくよく似合ってます。

 

次回は『オッド・タクシー』を単品で書くか、『ファンタビ3』『アンネ・フランクと旅する日記』『TITANE』『スパークス・ブラザーズ』あたりをまとめて書きます。

 

 

 

 

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April 25, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る④4月編

第13回「幼なじみの絆」

痴話げんかもひと段落ついた時、鎌倉に不穏な知らせが入る。いま一人の源氏の棟梁・木曾義仲が平家と手を組んだ疑いがあるというのだ。頼朝はその真意を探るべく、義仲のもとに範頼と義時を向かわせる。それと並行しながら義時は諦めずに八重のもとに通い、けったいな土産を送り続けていた。

前回「亀の前事件」が1182年末。この回より1183年に突入です。第一話ラストで顔を見せたきりの義仲公が満を持しての登場となりました。「野蛮な田舎侍」と描かれがちな彼ですが、このドラマでは義を重んじるひとかどの英傑となっております。演じるは『西郷どん』で島津久光公をやってらした青木崇高氏。この方、中島哲也作品に出てくる時はすごい怖いんですよね… 余談ですが『武蔵坊弁慶』では佐藤浩市氏が義仲を、『義経』では巴御前を小池栄子さんが演じてました。

迷惑がっていたのにいつのまにか一途な思いに打たれて、とうとう八重さんは義時の思いを受け入れます。ちと強引な気もしましたが13回続いた八重さんのツンがようやくデレに転じて感激もひとしおでした。

その他、文覚と全成の呪術合戦、二人の元愛人を尋ねて散々な目にあう頼朝公など、前回に続きお笑いにおいても傑出した回でありました。

この回の重要でもないアイテム:範頼公のお腹を一発でクラッシュさせた川魚

この回の重要なアイテム:八重さんの氷の心を打ち砕いた義時の旬の贈り物一式

 

第14回「都の義仲」

子供同士の婚約を交わし友好ムードとなった頼朝と義仲だが、義仲がいち早く都を制圧し、平家を追放したことにより両者の間には再び緊張が走る。また鎌倉の御家人たちの間でも、先の不倫騒動や身内の争いなどで評判が落ちた頼朝を見限ろうとする動きが出始めていた。この危機を治めるべく義時は頭を悩ませる。

鎌倉への人質である源義高を演じるは現松本染五郎君17歳。前松本染五郎氏のお子さんで前松本幸四郎氏のお孫さんです。真に絵物語から出てきたような美少年で、鬼の政子さんも一発でメロメロになってしまいました。お父さんの義仲公とこれっぽっちも似てないんですけど、お母さん似だったのでしょうか。非の打ちどころのない御曹司でありながら「セミの抜け殻を集めるのが趣味」というところだけがちょっとひきます。

怒涛の勢いで時の権力者となったものの、京での作法まで学ぶ暇がなかったため、義仲はあっという間に立場が危うくなっていきます。前回での潔さなどからすっかり義仲びいきとなってる視聴者としては、意地悪そうな都の公家さんたちがどうにも頭に来ます。そもそもその統領である後白河陛下、生霊とはいえ「お前(頼朝)だけが頼りなの」とか言ってませんでしたっけ。それなのにあっちを頼ったりこっちを頼ったり、二股はよくないと思います。

そして裏で動き始める御家人たちの陰謀。歴史ドラマでは平家滅亡まで一枚岩のように描かれてる頼朝&坂東武者ですが、そうでもなかったのね…と思ったらこの謀反のくだりは三谷さんの創作なんだそうで。でもいかにもこんな話あったように思えます。次回の大いなる悲劇に向けての伏線なのでありますね。

この回の重要でもないアイテム:義高君が集めた200個以上のセミの抜け殻(うわあ)

この回の使える都作法:牛車(馬車だっけ?)に乗るのは後ろから・降りるのは前から

 

第15回「足固めの儀式」

一触即発の事態となってしまった頼朝と御家人たち。仲間同士で血が流れるのを防ぐため、義時は御家人の間で最も力を持つ上総広常に助力を仰ぐ。ひと騒動こそあったもののそれが功を奏し、無事事件は解決と思われた。だがそれは頼朝の参謀・大江広元が描いた策略の第一幕にすぎなかった。

放映されるやネットを阿鼻叫喚の地獄に叩き落した、本ドラマ始まって以来の衝撃回。わたしは上総さんが登場してすぐ検索してしまったので彼がどういう末路をたどるのか知ってましたが、それだけにクライマックスのシーンは胃がキリキリしました。まるでこの回だけ『鎌倉殿』というより『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいでした…というか、これからそうなっていくのかな?

上総殿も「老けたな」と言われただけで説得するはずの相手を切り殺してしまう凶状持ちではありましたが、三谷さんの脚本力と佐藤浩市氏の演技力で、すっかり「コワモテだけどかわいいところもあって憎めないおっさん」として認知されてしまいました。だから最後のあの「信じられない」という表情が本当に気の毒で。せめてもの救いはこれでマイナー人物だった上総広常の知名度がグーンとあがったことでしょうか。

で、これが数回前の義時だったら身を挺しても彼をかばったかもしれないのですよね。でももう彼にはやっとのことで結ばれた妻と、その妻の間に授かった子供もいる。だから心を鬼にしてでも広常を見捨てなければいけない。「お前はもうわかっている」「だんだん頼朝に似てきた」という義村のセリフがグサグサと突き刺さります。

この回の重要なアイテム:すごろくのサイコロと死後出てきた上総殿の計画表

 

第16回「伝説の幕開け」

明けて1184年。先に都に到着していた義経は、援軍が来るや否や破竹の勢いで義仲軍を撃退。その勢いを駆って休む間もなく一の谷に逃れていた平家追討に向かう。誰もが不可能と考えていた断崖絶壁からの奇襲を決行する義経。現代まで語り継がれる武神の伝説が始まろうとしていた。

先回に続いてお葬式ムードとなってしまった前半。これほど木曾義仲を清廉な人物として描いたのはこのドラマが初めてでは。そんな健気な義仲を「タイプじゃないし」と一蹴する後白河陛下。そんで代わりに来た義経がはかりごとをもちかけると「もうこの子めっちゃタイプ♪」とウキウキしてしまう。本当に困った法皇様でございます…

義経が駆け下ったと言われる鵯越は傾斜30度ほどで、たしかに騎乗したままでも走れないことはないんです。ですがこのドラマではさらなる急斜面から「馬を先に駆け下らせた」としていました。なるほど、こういう解釈もありかと。そのあまりの才能を嫉妬3割、感動7割で見つめてしまう梶原景時。これには『アマデウス』におけるサリエリを連想した人も多かったようです。

戦と次なる悲劇で息つく間もない中、わずかにほっとさせられたのが諸将の書いた報告書。和田義盛さんはさすがにかわいさアピールがくどくなってきました。

この回のそれなりに重要なアイテム:鹿のウンコ

 

気が付けば『鎌倉殿』も1/3。三谷さんに言わせると「頼朝が生きてる間はプロローグにすぎない」とのこと。プロローグ長くない??

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April 21, 2022

2022年3月に観たその他の映画と4月頭に観た映画

これまたなんつーなげやりな記事タイトル… まあ、そんな感じです。

 

☆『名付けようの無い踊り』

俳優としても知られる…というか、私たちのほとんどはむしろそっちの方で知ってる舞踏家・田中泯さんのドキュメンタリー。

泯さんのダンスは「場踊り」と呼ばれる一風変わったもので、路上や広場で突然即興のように始まるスタイルであります。時にはその場でゴロゴロねっころがったりしてしまう。背中が汚れますよ…と言いたくもなりますが、泯さんは一切お構いなしです。

そんな泯さんの幼少期の思い出がアニメで、若かりし頃の挑戦が記録映像・写真などで語られたりもします。血気盛んだったころにはチ〇コを布にくるんだだけのかっこうで踊り狂ったこともあったとか。しかしそれが世界のアートシーンに衝撃を与え、彼の名を一躍有名なものにしたというから驚きです。

正直言うとちょっとうとうとしたところもあったんですが、そんな夢うつつの状態がかえって映画への埋没感を深めてくれたような気もします。あと泯さんはたくさん猫を飼ってらしたので、猫に囲まれて踊る映像もちょっとほしかったです。

 

☆『SING/シング:ネクストステージ』

イルミネーションスタジオによる音楽アニメの傑作『SING』の6年ぶりの待望の続編。街のスターになったバスター・ムーンとその仲間たちは、今度はさらにその名を広めるべく、大都会のビッグステージへの出演を目論む。

そんなわけで序盤は華やかな巨大都市へ出た時の、地方者にしかわからない高揚感が存分に味わえます。また、ムーンさんたちがどんどんサクセスしていくその様子は、知る人ぞ知る作家だったガース・ジェニングスが前作で一躍世界的成功を収めた姿と重なります。

今回作品のカギを握るのは、はるか前に隠遁してしまった伝説のミュージシャン、クレイ・キャロウェイ。彼を表舞台に引っ張り出そうとするムーンですけど、キャロウェイは心を閉ざしてしまっていて、これが一筋縄では参りません。そのキャロウェイ、言語ではU2のボノ氏が、吹替ではB’zの稲葉浩志さんが声をあてておられます。お二人とも声優は初挑戦だそうなので、こちらでもオファーに際しいろいろ苦労があったのでは…と思っていたら、両名あっさり快諾されたとのこと。懐がお広い。自分は吹替で観ましたが、稲葉さん、なかなか自然に気難しいライオンの役をこなされていて、会話の場面では彼の顔は浮かんできませんでした。歌唱シーンになった途端「あ、B’zだw」となりますがw

そんな稲葉さん…じゃなくてキャロウェイをやさしく気遣うハリネズミのアッシュちゃんに泣かされました。『SING』のキャラではこの子がとりわけお気に入りです。

 

☆『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

本当にあった猫と青年の奇跡的な物語『ボブという名の猫』の続編…というか前作で語られなかった知られざるエピソード、というとこでしょうか。街角で会ったかつての自分と似た青年に、「5分だけ」と言って主人公がジェームズさんがえんえん1時間半語るという構成。ジェームズさん、なかなか強引な方であります。クリスマスムービーでもあるのですが、こちらでは遅れて公開されたこともあり完全に時季外れでありました。まあ細かいことです。

最近のハートウォーミングな洋画には「幸せの~」という邦題がつくことが多いですけど、この映画はボブさんがアップになる度に本当に幸せな気持ちになれます。主人公が立派になった状態から始まってるので、前作のようなどん底には落ちまい、という安心感もあります。その分ハラハラすることはありませんが、そういうのはこの映画に求めてないのでそれでいいのです。

前作に引き続きお話のモデルであるボブさんがご自身を演じておられます。が、悲しいことにこの映画を撮ってほどなくして、ボブさん亡くなられたのだとか。なんとも切ない… これ、世界的な損失だと思うのですよね… ともあれ、ボブさんに感謝の気持ちを捧げると共に、うちの猫を大切にしていこうと誓うのでした。

 

☆『モービウス』

ソニー独自のアメコミユニバース「SSU」の第3作。持病を治そうと禁断の療法を自分に試した天才医師が吸血鬼になってしまうというストーリー。そんなもんで最初はヒーローものなのかホラーものなのかわからない独特の緊張感が漂っていました。とりあえずアメコミキャラは自分の体で軽率に人体実験しがちだと思います。他人の体でやるよりかはいいと思いますが。

そんなモービウスと対決することになるのが、同じ病気を患い、彼と同じルートで超人化した無二の親友のマイロという男。力を抑えきれず暴走してしまうのですが、境遇がかわいそうなことを思うとついつい同情したくなってしまいます。また序盤の二人で仲良く苦労しながら散歩してたシーンを思い出すとまた悲しくなってしまったり。このコンビ、『AKIRA』の金田と鉄雄を彷彿とさせるところがあります。もしかしてSSUは「男同士の面倒くさい友情」をテーマにシリーズを続けていこうとしてるのでしょうか。

ビジュアル面ではなんでそうなるのかよくわからんのですが、高速移動の際生じるカラフルな墨流しのような効果がお洒落でよかったです。

SSUはこの後『クレイブン・ザ・ハンター』『マダム・ウェブ』といったマイナーなスパイダーマンキャラの映画化を進めていくとのことですが、なんでそんな企画を!? 本当に売れると思ってるの!?とプロデューサー連を問い詰めたい気持ちでいっぱいです。なんとかスパイダーマンを上手にひっぱってこれたらいいんですけどね。

 

☆『仮面ライダーオーズ10th 復活のコアメダル』

決定的なネタバレはしませんが、これから観ようという方は以下はスルーしてください。

 

 

 

TVシリーズ終了から10年。オリジナルキャストも全員集結した待望の続編… だったはずがどうしてこんなことに… まあ、なかなかに衝撃的な結末でした。そっちの方は観てないのですが『ゼロワン』といい『セイバー』といい、「ライダーの後日談は悲劇にしなければいけない」という呪いにでもかかっているのでしょうか。東Aさんは。こんなこと言いたくはないのですが、これならばTVシリーズの希望が持てる結末の方がずっとよかった。少なくとも映画をずっと覆ってる暗いムードは、オリジナルの『オーズ』のサンバのような明るいイメージとはだいぶかけ離れたものでした。

ただ、主演・渡部秀君のコメントなどを読むと、どうもこの結末は彼が望んでこうなったようなところがうかがえるのですよね。もしそうならば、私には何も言えません。彼の願いが果たされたことに「良かったね…」と思うのみです。

受け入れるのに少々苦労しましたが、自分としてはこの作品、「幾つかある世界線のひとつ」とすることで認めることにしました。大体日本が壊滅状態になってるのに歴代ライダーが誰も助けに来ないのはどう考えてもおかしい。だからこの作品は「オーズとバース以外ライダーのいない」パラレルな時空のお話なのですよ、きっと。

 

 

次回は『シャドウ・イン・クラウド』『ゴヤの名画と優しい泥棒』『アネット』『コーダ あいのうた』『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディーガード』などについて書きます。

 

 

 

 

 

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April 05, 2022

2022年3月に観た第94回アカデミー賞関連の作品

あの狂騒からはや一週間。先月はアカデミー賞作品部門にノミネートされた映画を5本観てたので、今回はそれらについて書きます。肝心の受賞作品『コーダ』を観てないわけですが… あと昨年公開された『ドライブ・マイ・カー』についてはこちらを、『DUNE』についてはこちらをごらんください。全然たいしたこと書いてませんが。

 

☆『ドリーム・プラン』

今年度の「実話を基にした」作品枠で主演男優部門受賞作。前人未到の業績を残したテニスのウィリアムズ姉妹を育てたお父さんの話です。

前半の舞台は『ストレイト・アウタ・コンプトン』で有名なコンプトン。ギャングとドラッグが溢れためちゃくちゃガラの悪い町です(とりあえず当時は)。そんな環境でヤンキーにからまれながら一生懸命娘をコーチするお父さんの姿には少々涙を誘われました。星一徹と違って子供たちをかわいがるときはめちゃくちゃかわいがりますし。よかったのはそんなお父さんの「我慢パート」があまり長くなかったことですね。サクセスの糸口をつかむと階段を軽快に駆け上がっていくように、一家の暮らしぶりもよくなっていきます。あと小さな女の子が弾丸のようなサーブをバチコーン!バチコーン!と放つアクションが小気味よかったです。

で、お父さん役のウィル・スミスはご存知の通り受賞の直前に司会のクリス・ロックに平手打ちを食らわせてしまい、現在苦境に立たされているようです。いまなお論議は絶えず、結局これが今年のアカデミー賞で最も印象に残った出来事になってしまったのはなんとも。

 

☆『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

今年度のネットフリックス枠その1にして、作品部門の最有力候補。ほかにも10部門にノミネートされてたのに結局監督部門のみの受賞に終わりました。しかしまあ、それを取ったのが久方ぶりにカムバックを果たしたジェーン・カンピオンというのはめでたいです。

一応西部劇の枠になるのかもしれませんが、銃撃戦とかは全くありません。だのに約二時間、なにかよくないことが起きるのでは…というヒリヒリした空気が漂い続けています。

いかにもカウボーイ然とした粗野な男・フィルが、自分のうちにある女性的な部分と葛藤するような話なのかな…と予想していたのですが、ちょっと違いました。中盤からは彼よりも、義妹の息子であるピーターの方が存在感を増していきます。このピーター君、線も細いしお花が好きだしとても強そうには見えないのですが、それがかえって異様な凄みというか迫力をかもし出すようなキャラクターでした。

シンプルながら雄大な山々の風景が美しく、やっぱりこれ配信よりスクリーン向けの映画では…と思いました。

 

☆『ナイトメア・アリー』

今年度のにぎやかし枠その1。我らがギレルモ・デル・トロ作品でいかにも異形のモンスターが出て来るような予告でありながら、今回は超自然的要素はにおわせ程度しかありません。善良な主人公が多いデルトロ作品にあって、ピカレスクな題材であったことも新機軸でありました。

前半のじめじめした南部っぽい風土はR・R・マキャモンの『少年時代』『遥か南へ』といった作品群を思い出させますが、後半では一転、雪の降る欲望にまみれた町でのノワール的な物語が展開されます。

ちょっと前だと『パッセンジャー』なんかもそうでしたが、「あー、この嘘絶対ばれるよな」というお話があります。こちらもその類の作品。ですので嘘がばれるその瞬間までひたすら悶々としながら画面を見続けることになります。

今年の作品部門にノミネートされたタイトルは、なんでか「親」が重要な要素となっているものが多かったですね。『ナイトメア・アリー』はそれが呪いっぽく描かれていたのが強烈でした。

 

☆『ベルファスト』

今年のモノクロ枠。7部門にノミネートされましたが脚本部門のみの受賞となりました。実は自分はこれが作品部門もっていくんじゃないかと予想してたのですが…

ケネス・ブラナー監督の自伝的作品。彼のキャリアって古典や名作のアレンジが目立つので、こういう一からオリジナルの映画はなんだか不思議な味わいでございました。1960年代、宗教・政治の問題が激化して暴動が茶飯事だったベルファストを舞台に、子供の目を通して当時の様子や悩む両親の姿が描かれます。

笑ったりひやひやしたり、はたまたしんみりさせられたりいい映画ではあるのですが、時間のコンパクトさと白黒画面のせいかちょっとインパクトに欠けるきらいはあります。ただブラナー少年が親しんだサブカル要素…恐竜百万年、チキチキバンバン、サンダーバードなどを目で追っていくのはオタク人として楽しゅうございました。あとシェイクスピアの第一人者であるブラナー氏も、別段上流階級の出ではなく、ごくごく普通の家庭で育ったというのは興味深いです。おばあちゃんと観にいってた『クリスマス・キャロル』が舞台へ感心を持つきっかけになったのかな…と想像したり。

 

☆『ドント・ルック・アップ』

にぎやかし枠にしてネットフリックス枠。ある天文学者が地球に向かって飛来する小惑星を発見。人類滅亡の危機を回避すべく主人公らは奔走するが、事態は『アルマゲドン』のようにはいかず…

せっかくネトフリ入ってるんだから授賞式の前に見とくか、くらいのモチベーションだったのですが、この馬鹿馬鹿しいムードが意外とツボにはまりました。世界が破滅にむかっていく話なのにねw でもこれうちで一応月額料のみで観たから楽しみましたが、映画館で観てたら虚無るか激怒してたかもしれません。

名だたる名優が(こんなアホらしい映画に)参加している中、とりわけ目を引いたのはいかにもスティーブ・ジョブズな社長を演じていたマーク・ライランスさん。この人も重厚な雰囲気あるのに役を全然選んでなくて素敵です。あとアリアナ・グランデが熱唱するコンサートのシーンが無駄に豪華でした。

 

観た作品を好きな順にあげると

①DUNE ②ドライブ・マイ・カー ③ドント・ルック・アップ ④ドリーム・プラン ⑤ナイトメア・アリー ⑥ベルファスト ⑦パワー・オブ・ザ・ドッグ

という感じでしょうか。次回は3月他に観た『名付けようのない踊り』『仮面ライダー000劇場版』『SING ネクストステージ』と、先週末観てきたばかりの『モービウス』『ボブという名の猫2』について書きます(予定) 

 

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April 02, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る③3月編

第9回「決戦前夜」

味方を増やし、石橋山の雪辱を晴らそうと盛り上がる頼朝軍。負けじと西からは清盛の孫・維盛を総大将に平家の軍が攻め上る。両者は駿河にて相対し、ここに世に名高い「富士川の戦い」が始まろうとしていた。

「決戦前夜」というタイトルでしたが、普通に戦の後までやり切った第9回。前半は頼朝を出し抜こうとする武田信義のこすからい策略が色々描かれてました。演じるは『新選組!』で武田観柳斎を演じた八島智仁人氏。今回もなかなかのうさん臭さです(失礼)。一説によるとこの戦い、頼朝が到着する前にほぼほぼ武田勢がカタをつけてしまった、なんて話もあるそうで。もしそうだとしたら武勲が現代にこれっぽっちも伝わってないのがいささか気の毒であります。

クライマックスにおける水鳥のはばたきの原因は、北条と三浦のおっさん同士のしょうもないケンカとアレンジされてました。このアホらしさに呆れた人が半分、大うけした人が半分というとこでしょうか。『修羅の刻』では陸奥鬼一が謎の拳法でもって驚かせた、ということになっています。

戦いに勝ったけど周りがついて来ず、落ち込む頼朝の前にやっとこ義経が到着。すぐさま感動の対面といかないのが三谷節。「顔そっくり!」のくだりは全国のお茶の間でツッコミの嵐が吹き荒れたことと思います。

この回の重要アイテム:平家を敗走に追いやった北条時政渾身のパンチと、安眠を妨げられた水鳥の皆さん

 

第10回「根拠なき自信」

平家の本軍を打ち破った鎌倉軍の前に、さらに多くの人材が集まってくる。切れ者、そうでもない者、うさん臭い者… そんな中義時は晴れてフリーとなった八重に果敢にアタックを試みるのだが。

ここにきてこの時点で生きていた頼朝の弟たちが勢ぞろい。少年漫画ならもうちょっとかっこいい絵面になるんでしょうけど、なんか当惑してる義経・怪しげな法力僧の全成・迷子でおろおろしてた範頼…といまひとつ締まりがありません。範頼さんはよく義経の話で引き立て役にさせられてますね。さらにいつに間にかいて勝手に場を取り仕切ってる足立遠元も登場。「一番得体が知れない」とか言われてましたが、一応十三人の一人で、平治の乱の頃からの歴戦の武将なんだそうです。

後半の山場は上総広常がメインとなった金砂城の戦い。直前に義経を「一人の勝手な振る舞いが」と諫めていたのにカっとなって話し合いを台無しにしちゃったのはわかりやすい特大ブーメランでした。このピンチを義経が解決する…のかと思いきやあっさり内通とかで勝ってしまう(笑) この辺の意表の突き具合というか予想を裏切るあたりが見事でした。

この回で激動の1180年が終了。第3回から8回もかけて扱ってたのですね。この次からもう少しまいていくペースとなります。

この回の重要でもないアイテム:三浦義村の腹をクラッシュさせた草餅と、和田義盛が捕まえてきた小鳥。なんつったっけアレ

 

第11回「許されざる嘘」

頼朝の今一人の弟である義円が鎌倉に到着。利発そうな義円がちはやほやされるのを見て、義経はどうも面白くない。一方京では巨星・平清盛が熱病により突然この世を去る。政子も再び懐妊し、いいことずくめの源さんご一家。しかしその裏で恐怖のアサシン・善児の影が再びちらつき始めていた。

『鎌倉殿』が始まって以来最もブラックな回。前半では義経が義円をだまくらかし、後半では頼朝がいったん許した伊東祐親親子を秘密裏に葬り去るという… このドラマの義経は天が二物(軍才・顔)を与えてしまったがゆえに、他が歪みまくりという大変困ったキャラになっております。ただ義円に関しては実際に頼朝と再会したという記録がなく、たぶん鎌倉には来てないんじゃないか…という説の方が有力のようです。それを思えばドラマに出られただけよかったのかもしれません。それくらい史劇で見かけない人物ですから。

そしてまたしても現れた『鎌倉殿』の死神・善児。彼が出てくる回は決まって誰かが血祭りにあげられるゆえ、オープニングでその名前が出てくるとTwitter上で悲鳴が沸き起こるようになってしまいました。鬼の監査役・梶原景時に拾われてしまったので、これからもいっぱい出番がありそうです(怖いなあ)。演じる梶原(笑)善さんは三谷さんの劇団時代からの盟友。『王様のレストラン』のひねたパティシエとか良かったんですが。

伊東の爺様が亡くなったのが1982年の初めとのこと。というわけで1981年はこの回だけで終わりとなりました。

この回のそこそこ重要なアイテム:梶原さんがセロテープで張り合わせた義円の別れのお手紙。

 

第12回「亀の前事件」

頼朝に待望の男児が誕生。政子がそちらにかかりきりなのをいいことに、鎌倉殿は愛妾・亀の前とますます懇ろになってしまう。このことを知った時政の妻・牧の方は、最近政子ばかりが目立っていることにいら立ちを覚えていたため、ストレス解消のため亀の前の「後妻打ち(うわなりうち=前妻が後妻の家を壊してもいいという京都の風習)」を決行しようとする。事態を収拾しようとするも右往左往するだけの義時は各方面にひたすら頭を下げ続ける。

ギャグ回(笑) 史実には確かに残ってる話ですが、要は頼朝の浮気がばれて政子が激怒した、という内容なので。その史実の合間を縫ってテンポのいい素っ頓狂なセリフの応酬が続きます。まさに三谷さんの脚本家としての真骨頂。これがあまりにも楽しかったせいか、ネット上では現時点の「ファンが選ぶベストエピソード」なんではないかという疑いすらあります。

で、台風の目たる亀さんが実にひょうひょうとしていて、自分を中心に周りがこじれまくっているのに、どこ吹く風とばかりにマイペースを貫く姿が痛快でした。家を燃やされて憔悴しちゃうのかと思いきや、意外と元気そうに上総殿の屋敷をふらついてたのでなんか安心いたしました。なんのかんの言いながら人死にの出ない回は平和でいいものです。

京都からさらにアドバイザーとして中原親能と大江広元が着任。苗字が違いますがこの二人はご兄弟で後の13人のメンバーであります。この回では大江さんが割と目立ってたのに対し、お兄さんの方は「いたの?」という感じでした。

この回のそこそこ重要なアイテム

見事に切断された牧宗親のモトドリ。この時代の社会人にとって髪を結ってる部分を切られるのは、公衆の面前でパンツを脱がされるようなものだったらしいですが… ホントか!?

 

次回からは木曾義仲が本格登場。いよいよ群雄割拠時代的に入り、平家との戦いも激化して参ります。がんばれ鎌倉殿とその一党。

 

 

 

 

 

 

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