August 07, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑦7月編

第26回 「悲しむ前に」

突如意識を失い重体となってしまった頼朝。医師の見立てではもう数日の命とのこと。悲嘆にくれる政子をよそに、御家人たちは次の「鎌倉殿」が誰になるのか思慮をめぐらせていた。

お茶らけ回だった前回とは打って変わり、沈痛なムードが続く26話。ネットでは「まだ死んでなかったの?」という反応がたくさん見受けられましたが…

周囲がさっさと見切りをつけてる中で、最後まで諦めようとしない政子様がつろうございました。あんなに浮気したり子を苦しめたりした男でしたが、それでも彼女は純粋に頼朝を愛してたのだなあと。そしてずっと「元グラビアアイドル」というイメージが抜けなかった小池栄子さん、このドラマが始まってからはその演技力に唸らせられっぱなしでしたけど、この回でそれがひとつの頂点に達した感があります。

あともう一人彼の死を悲しんでた義時。頼朝はもしかして彼に暗殺されたのでは…なんて予想もしてたのですが、それが外れてほっとしました。伊豆に引きこもろうとする彼を「ふざけんな」とばかりに引き留める政子様。いよいよこのドラマの「本編」が開幕いたします。

この回の重要なアイテム:政子が最後に頼朝にもっていった料理。結局あれって正体明らかになったんだっけ

 

第27回 「鎌倉殿と十三人」

母にはっぱをかけられて、二代目鎌倉殿となる決意をした頼家。しかしその一方で北条家と比企家は自分たちの勢力をより強くすべく、将軍の相談役の選出を競い合っていた。最終的に出そろったのは十三名。「十三人の合議制」の時代がいま、始まる…のか?

西暦1199年くらいの内容でようやくタイトルが回収?された27話。番組が始まる前はさぞかし頼もしい豪傑たちが一堂に会しババーン!と見栄を切るのかと思いましたが、実際見てみると小ずるそうだったり幸も影も薄そうなおじさんたちが大半であったり… 三谷さんが脚本である時点で予想すべきでした。

ちなみにわたしの13人の印象は次の通り

北条義時…主人公。ゴッドファーザーのマイケル
北条時政…主人公の父。いい加減
三浦義澄…時政の親友。佐藤B作
比企能員…権力大好きおじさん。佐藤二郎
和田義盛…脳筋。可愛いもの好き
梶原景時…義経のサリエリ

安達盛長…頼朝の爺や
八田知家…突然出てきたワイルド大工
足立遠元…得体が知れない人畜無害の人
大江広元…腹黒・讒言大将。一番怖いかも
三善康信…『古畑任三郎』の向島巡査
中原親能・二階堂行政…大江さんにくっついてきた文官。影が薄すぎる

当然こんなおじさんたちを頼家が信用しようはずもなく、事態は「元鎌倉殿の十三人衆」VS「現鎌倉殿の親衛隊5人衆」の対決へとなだれ込んでいきます。

この回の重要なテロップ:十三人がそろうたびに画面に出てきたカウント。数えやすくてよかったです。

 

第28回 「名刀の主」

頼家に取り入ろうとするも失敗した梶原景時。これまでの「告げ口役」という悪評も手伝って、急速に鎌倉での居場所を失っていく。そんな彼に朝廷からの誘いがあり、景時は鎌倉に見切りをつける決意を固める。だがそれが頼家に耳に入り…

梶原景時退場を丸々一話使って描いた29回。「義経を追い落とした」ということで全くいいイメージのなかった彼を、オーベルシュタインのような愛されキャラにまで持っていった脚本力に脱帽です。あと中村獅童氏は『新選組!』『いだてん』のようなひょうきんな役も上手ですが、やはり今回や『ピンポン』みたいな重厚な豪傑役の方がしっくり来ますね。その死が「想像してくれよ」と言わんばかりでオマケコーナーで語られる演出はあっさりというかお洒落というか。

今回初登場だった重要キャラはアバンタイトルで出てきた後鳥羽上皇。演じる尾上松也氏は見てるとどうしても「リブモ」CMの「なんですって、奥さん!」を思い出してしまっていけません。あと退場したのは三幡の死を悲しんで鎌倉を離れてしまった中原親能さん。存在感がないままの脱落となりました。そろったと思ったらもう2名いなくなってしまった「十三人」。『アルスラーン戦記』の十六翼将みたいです。

この回の重要で不穏なあいてむ:「善児」 そんなもんのこしてくんじゃね~~~!

 

第29回 「ままならぬ玉」

御家人の嫁を略奪しようとしたり、サッカーにかまけたり、頼家の悪評が止まらない。そんな彼を失墜させようと北条パパは婿である全成に「ちょっとだけ」呪うよう説き伏せる。ただ傍若無人に見える頼家ではあったが、彼は彼で内に不安と孤独を抱えていた。

先回で「こいつ駄目だわ」と見放した頼家公を、「やっぱりこの子かわいそう!」と思わせてしまう脚本に翻弄される回。演じる金子大地君は松田翔太氏にも似た危うさを感じさせます。でも同情しちゃうとこの先の展開が辛くなるわけで… こういうの本当にやめていただきたい。

一方でほっこりする二世がこの回で改名した北条泰時君。庶民の立場に立って政治を行ったり、女子に空気の読めてないプレゼントをつっかえされたりと好感度が爆上がりでした。ちなみに私がTwitterで行ったアンケートによるとそれなりの女子が「キノコ好き」と答えていて、義時説ももまんざら間違いではなさそう。問題は量と渡し方でしょうか。

コントのような井戸落ち(史実だそうです)から、心和む夫婦エピソード。しかしラスト直前で入る火曜サスペンス効果音。このヒキは『太陽がいっぱい』のオマージュだと思います。そしてこの回でまた二人合議制のメンバーが脱落(三浦義澄・安達盛長)。自然死だったのがせめてもの救いです。

この回の重要なアイテム:マリ(「しゅうぎく」って言うのね)・キノコ・縄・藁人形

 

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July 31, 2022

2022年6月に観た映画

☆『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』

企画の情報を聞いた時は多くのファンが「正気か…」と感じた『機動戦士ガンダム』第1作の番外編。ほぼ外れのない「ファーストガンダム」テレビシリーズにおいて、ただひとつ「微妙」とされているエピソード、「ククルス・ドアンの島」の島を安彦良和御大自らがリメイクした作品。なんだかんだで上半期とりわけ楽しみにしていた1本です。

オリジナルはまだ兵士となることになじめずよくごねていたアムロ君が、突然「いい子」になってしまった印象があるのですが、こちらでは彼特有の繊細さ・多感さも残しつつ少年らしい純真さもあり、わたしたちが良く知ってる「アムロ」になっていたと思います。

全体的な印象としては安彦版『未来少年コナン』みたいなところがあり。ロボットの見せ場もちゃんとありますけど、「人間やっぱり額に汗して働いて飯を作らにゃいかんのだ」というメッセージが伝わってきます。この辺ミスターガンダムの富野由悠季氏と比べると安彦監督はもっとシンプルで健康的な作家だなあ…と改めて感じました。

特にテンションが上がったのは雷鳴・お馴染みのBGMと共にクライマックスでガンダムがヌオッと姿を現すシーン。あとさすがにTV版から40年以上経ってるので、オリジナルの声優さんたちのほとんどが鬼籍に入られてしまったことを実感してしんみりしちゃいました。いまなお現役の古屋徹・池田秀一・古川登志夫3氏はいつまでもお元気でいてください。

 

☆『トップガン マーヴェリック』

これまた80年代の超懐かしい洋画の、だいぶ年を経た「その後」を描いた映画。公開予定が遅れに遅れまくったため実に2年近く予告編を映画館で観させ続けられた作品です。

かつて海軍きっての暴れん坊パイロットだったマーヴェリック。しかし時代は無人操縦の戦闘機が主流となりつつあり、彼のような個人技にモノを言わす飛行機乗りは必要とされなくなりつつあった。そんな中無人機では達成が難しいミッションが発生。マーヴェリックは若き「トップガン」たちを作戦から生還させるため古巣に教官として舞い戻る。

既にいろんな方が言ってると思いますが、空戦も生身の危険な撮影もハイテクのおかげで人間がやる必要がなくなりつつあります。でもそれは「今日じゃない」と言わんばかりに飛行機にとびついたり戦闘機を操縦したりするトム・クルーズ。「体を大事に…」と思いながらもその超絶アクションには感嘆せずにはいられませんし、ネームバリューと共に他の追随を許しません。昔の『トップガン』では役柄はともかく素のキャラはそんな無茶ばかりやるような方ではなかったのですが… 40年近く年が流れたうちに中の人までマーベリックになってしまった感があります。

あともう一点驚いたのはそんなにド派手な題材でもない、かつて1本だけ作られた映画の続編が、日米ともに爆発的なヒットを飛ばしているということ。先に懐かし映画の続編と言えばマトリックスやゴーストバスターズもありましたが、これらはそんなに話題にならなかったような。もちろん「出来がいいから」というのはあるでしょうけど、それだけでは映画はここまで売れないもので。二年間予告編が流れ続けた効果もあったのか… 謎であります。

わたしといえば昔の『トップガン』にいい印象がなかったのとやけに売れてるのでやや斜に構えながら鑑賞してたのですが、アイスマンとの友情や親友の息子ルースターとのわだかまりが解けるところなどはブシュッと鼻水が噴き出たりしました。あと前作『オンリー・ザ・ブレイブ』が大コケした(いい映画なのに…)ジョセフ・コシンスキー監督が大大ブレイクしたことも喜ばないといけません。

 

☆『FLEE』

アニメ映画でありながら今年のアカデミー賞で国際長編部門・ドキュメンタリー部門にもノミネートされた骨太の作品。アフガンで生まれた青年が苦労して欧州に逃れた後で、思い出したくなかった過去の経験を少しずつ振り返っていく内容。難民というだけでも大変なのに、彼はゲイゆえに同胞からも疎まれるという辛い背景があります。

そんなわけで胸と胃がキリキリするようなエピソードが多く語られるのですが、彼の持ち前の明るさか、監督の語り口ゆえかほっこりしたり笑わせてくれるところもチラチラあるのが救いだったり。亡命する時居合わせた美青年に恋しちゃったりとか、初めてゲイクラブに行った時のいきさつだったりとか。主人公が憧れてるのがジャン・クロード・ヴァン・ダムだったりとか。今年はなぜかヴァン・ダムオマージュを各所で見かけたり本人もがんばってたりヴァンダム再評価の年でありますね。

あと平和な国に住んでる我々とは程遠い話のようで、「周囲の期待と自分の望みが反するゆえに苦しむ」というあたりはどこにでもある経験だな、と思いました。

 

☆『鋼の錬金術師 完結編 反逆者スカ―/最後の錬成』

荒川弘先生の名作コミックを、連載20周年ということで実写版も完結させた二部作。先に製作されていた第1作が評判も興行も芳しくなかったのによく踏み切ったな…と変に感心してしまいました。でもまあ見てみると映画紹介漫画『邦キチ 映子さん』で言うところの「ヅラ感」が気になりつつも演者さんがみながんばってたり、原作の重要エピソードをちゃんと取捨選択して編集してたりして、尻上がりに印象がよくなっていきます。特に第3作は山田涼介君・渡邉圭佑君・内野聖陽氏三者がそれぞれに「顔は同じなんだけど人格が違う」2役をそれぞれ上手に演じ分けしていて感心しました。また、スカ―役の新田真剣佑は『ジョジョ』の時を彷彿とさせるような役への憑依ぶりが見事でした。あと原作読んでだいぶ経ってるので久しぶりに思い出したキャラ・話が多数あって色々懐かしい気分にさせてもらいましたよ。

 

☆『ベイビー・ブローカー』

世界でも評価の高い是枝裕和監督が舞台・キャストともに韓国で撮影した作品。いわゆる「赤ちゃんポスト」を利用して乳児の売買を企む二人組と、赤ん坊の母親のロードムービー。主演はやはり世界的名声を誇るソン・ガンホ氏なのですが、監督の性向ゆえか小悪党なのに仏のようにやさしい。いつものガンホさんだったら「シバ〇マ!」と叫んで切れ散らかしそうな場面でも、穏やかに「仕方ねえなあ」と微笑みを絶やしません。自分はそんな誰にでも優しい視点がすごく心地よかったのですが、実際によくある社会問題を題材にしてるゆえに「そんな綺麗ごとで納まるわけねえだろ」と感じられた方もおられるようで。まあでも、是枝さん、この映画のガンホさんとその弟分のような優しさは忘れずにいたいと思います。

 

7月は頑張って10本くらい観ました。次回はその前半の『ロストシティ』『エルヴィス』『バズ・ライトイヤー』『モガディシュ』『ソー ラブ&サンダー』などについて書ければ

 

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July 17, 2022

2022年5月に観た映画

2ヶ月以上前の記憶を掘り起こして書きます。

☆『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』

いまやMCUにおいて中心人物の一人となってしまった感のあるストレンジ博士、単体としては5年ぶりの続編。元カノの結婚式に意気沈々として向かった彼のもとへ、「多元宇宙」から逃亡してきた少女が現れる。ストレンジはその手の問題に詳しいワンダの元を訪れるが…

恐らく今回はコミックの『アベンジャーズ ディスアッセンブルド』を底本にしているかと思われます。当時人気の低迷していたアベンジャーズを、編集部が「一度ぶっこわすか!」ということでワンダを闇落ちさせ、チームを壊滅にまでおいやったというひどい作品です。そんなわけでコミックファンには前知識があるからいいけれど、映画ファン&お子様たちにはかなりショックな内容。原作と同じくまたヒーローとして復帰することを願ってやみません。

ショックと言えば久しぶりに映画監督として復帰したサム・ライミ氏が、MCUの世界観を尊重しつつも彼独特のグロ描写を惜しげもなく発揮しまくったことでも話題になりました。この辺彼のファンからは長年忘れていた「おふくろの味」に再会できたようでたまらなかったみたいです。

面白かったのは、この作品には4バージョンのストレンジ先生が登場するのですが、本家以外はみんな闇落ちしてるのですね。それくらいついダークサイドにいってしまいそうな下地がある人なのです。しかしそれは「素質がある」というだけで絶対的なものではない。先の『スパイダーマン』で悔いながらもピーターを救えなかった先生が、今回は同じ思いを繰り返さないために一人の少女のために奮闘します。そして「このストレンジのいる世界に来てよかった」と彼女が笑顔で言うところにおじさんの鼻水が噴き出ました。

一点不満というか要望を言わせてもらうとシュマゴラスという名前だったガルガントスというキャラクター、大きなお目目がかわいかったのにあっさりやられてかわいそうでした。こちらも次回は善玉として復活させてあげてください

 

☆『スパークス・ブラザーズ』

実に50年以上活躍している米国の兄弟バンドを題材に、『ショーン・オブ・ザ・デッド』などで知られるエドガー・ライトが監督したドキュメンタリー。わたし彼らのことはなんも知らなかったのですが、監督の映画が好きなのと近くでやってたので観てきました。そんなに洋楽には詳しくないんですけど、彼らはそんなに第1級メジャーというわけではないようで。「なつかしのオールディーズベストヒット」みたいな選集でも名前見たことないし。しかしこんだけ長く続いてきたのには、やはり一過性ではない魅力と、マンネリに陥らないよう試行錯誤を続けてきたからということがなんとなくわかりました。一時は本当に仕事が無い時もあったようですが、「ドラッグなどで散財せず堅実に暮らしてために生活に困らなかった」というのには感心させられました。

驚いたのは池上遼一氏が少年サンデーで描いてたマイナーなSF漫画『舞』を彼らが映画化しようとしていたこと。これたまたま読んでてあまり話題に上がったこともない作品だったので「???」となりました。残念ながらその企画は頓挫。それ以前のジャック・タチとの企画も中断となった彼らですが、昨年3度目の正直的にカラックスの『アネット』で映画音楽を担当。夢をあきらめてはいかんですね。

 

☆『バブル』

ネットフリックス先行公開し、一週間後に劇場公開という珍しい形式で発表された長編アニメ。しかし先行の時点でなかなか評判が悪く、びくびくしながら観に行きましたが、これが映像もアクションもストーリーも大変ツボにはまり、「TVサイズで観ないと真価が伝わらないのかな」と思っておりました。しかし劇場で観た人たちの感想も総じてあまりよくなく… 自分、映画を見る目があまりないのかな、と改めて思ったりしました(笑)

好きな点は全体的にりんたろう版『メトロポリス』を思い起こさせてくれたところ。あと十代の恋愛ものであるのに「うわっ これは不可抗力で…」「いやー! エッチ!バカー!!」みたいなコテコテのラブコメ描写がなかったところです。

 

☆『犬王』

湯浅政明×野木亜紀子×松本大洋という超強力布陣で製作された伝奇SFアニメ。先行してTV放映・配信された『平家物語』とそこはかとなく関係あるようなないような、やっぱりあんまりないかな?という作品です。

大胆なのは全体のほぼ半分近くが演奏シーンというほぼライブみたいな構成であること。その無茶な作りを森山未來君と女王蜂アヴちゃんさんとか迫力ある歌声で強引に持っていきます。

ただ突飛なようで根底には親から捨てられたような犬王と親を失った友有(友魚だったり友一だったり)のガキ同士の友情物語があり、その無邪気さが微笑ましかったり胸に沁みたりしました。一方で彼らを翻弄する時の権力者・足利義満には強い怒りを感じます。『一休さん』の「のんびりした将軍様」だったイメージが一気に急降下いたしました。時を越えてよみがえった二人の絆を見届けることで、鑑賞後はさわやかな気持ちになれましたけど。

『どろろ』や湯浅監督の『デビルマン cry baby』を想起させるようなところもありました。

 

5月は他に『シン・ウルトラマン』を2回観たり『鋼の錬金術師 完結編』第1部を観てました。ハガレンに関しては次回『ククルス・ドアンの島』『トップガン マーヴェリック』『FLEE』『ベイビー・ブローカー』などと一緒に書きます

 

 

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July 03, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑥ 6月編

いつも『鎌倉殿』は地上波・BSと2回観ているのですが、先月はスケジュールの都合で1回ずつしか見られず。おぼろげな記憶をたどって頑張って書きます。

 

第22回「義時の生きる道」

突然の八重の死。義時は悲しみをこらえながら彼女が残した大量の子どもたちのワンオペ育児に励む。一方頼朝は都へ上洛。法皇と対面を果たし正式に征夷大将軍の位を授かる。

1190~1192年くらいの話。ずっと裏切り・暗殺・愛する人の死ときついイベントが続いてた『鎌倉殿』で、突然訪れたエアポケットのような癒し回。この回で生霊になったりピンポン玉で死を偽装したりしてた後白河法皇がとうとう本当にお亡くなりになります。「歴史をひっかきまわすだけひっかきまわして」というナレーションの落とし芸が冴えてました。

後半は義時が子供たちのケンカで頭を悩ませます。これとほぼ同じシチュエーションがモーニング不定期連載中の『ワンオペJOKER』であったばかりなんですが、偶然かぶっちゃったんでしょうね。弟が心配で屋敷をのぞきに来た政子さん。「むかし姉上によく首をしめられました」「そういえばよくしめてたわね」 まあ姉というのはそういうものです。

この回の重要でもないアイテム:保育業が大変ですっとんでった義時の烏帽子

 

第23回「狩りと獲物」

1193年、頼朝は御家人たちを集め富士で巻狩りを行う。それに乗じまたしても反乱を企む動きがあった。中心となったのはかつて父親を工藤祐常に殺された曾我兄弟。ここに後世に語り継がれる伝説の仇討が始まる…?

忠臣蔵、荒木又右エ門の鍵屋の辻、そしてこの曾我兄弟の仇討が日本3大敵討ちなんだそうですが、忠臣蔵がメジャーすぎて正直ほかの二つは「何?」という感じであります。で、美談とされてるこの仇討ちが、このドラマでは手違いの上に義時により脚色されたことになっていたり。

前半の巻狩りで印象的なのは鎌倉の時代を担う二人の若者。金剛=泰時は明らかに短期間で背丈が倍以上伸びてるのですが、「成長著しい金剛」のテロップで強引に納得させられました。いま一人の次期暴れん坊将軍・万寿=頼家は悪くない若者なんだけどいまひとつ頼りなさそう。鹿一匹狩らせるのに御家人たちも撮影スタッフも大変だったようです。

スケベ心が幸いしてまたしても難を逃れた頼朝公。しかし今回は「もうわたしのすべきことはないのかも」としょんぼり顔。いよいよ大物退場の序曲が流れ始めます。

この回の一応重要なアイテム:ダミー鹿。および義時と後妻の間を取り持つ鹿のウンコ(2回目)

 

第24回「変わらぬ人」

謀反は未然に防がれたが、その際不審な発言があったということで、範頼は半ば言いがかりのような形で修善寺へ流される。頼朝は自信の衰えを自覚してはいたが、それを認めず大姫を天皇と后とすべく運動を始める。彼女は未だ義高を忘れられずにいるというのに…

1193から98年初めくらいの内容。せっかく比較的ほのぼの回が続いてたのにまたどん底へ突き落される回。大姫に関しては自分も周囲(頼朝以外)もなんとか幸せな方向に導いてあげようとがんばるのに、結局初恋の人への思慕には勝てず…というのが辛すぎるお話でした。あと後白河法皇の未亡人の丹後局が怖かった。鈴木京香さんは『君の名は』(連ドラ)では姑からいびられる側だったのにいつも間にいびる方に…(いつの話だ)。全成殿のイタコ芸が数少ないギャグシーンでございました。

もう一人お気の毒だったのは源範頼公。ドラマでは大抵義経の引き立て役でしかありませんでしたが、『鎌倉殿』では不器用だけど実直で純粋な人柄に描かれてて大幅にイメージアップになったかと思われます。それだけにあの退場の仕方は残酷すぎる。このドラマを毎週見ている姪っ子(小6)のトラウマがまたひとつ増えたのではと心配です。

この回の悲しいアイテム:蒲殿が植える予定だった甜瓜

 

第25回「天が望んだ男」

さんざんナレーションで「最後最後」とあおられつづけた頼朝公。恐怖新聞に寿命を削られる鬼形君のように衰弱が著しくなっていく。それでも生きる望みをあきらめない鎌倉殿。数々の死亡フラグを乗り越えて、果たして生き延びることはできるか!?

…ま、歴史でこの時死ぬことになってるので、どうしようもないんですけどね。ただ上総之介や九郎の時と違い、さんざん笑いを振りまいて去っていくのが彼らしい。あんだけひどいこといっぱいやらかしてたくせに、この幕引きはずるいよ。演じてる大泉さんのキャラのせいで、いなくなったらやっぱり寂しくなるんでしょうね。

ちなみに今ニュース番組の司会もされてる三谷さん、その司会中堂々と脚本を書いてる姿がリークされてました。それを読むと頼朝が善児に必死に命乞いをしてるのですが、あれは完全なるフェイクでしたね。だまされました。

ひとりの英傑が去ろうとする時、彼に関わった者たちの耳に鳴り響く不思議な鈴の音。それが義時だけに聞こえなかったのはいかなる意味が…

あといつの間にか巴御前とだいぶ仲良くなってる和田殿は役得。

この回のまぎらわしいアイテム:頼朝の死をフライングさせかけた餅

 

というわけでなんとか半分までついていくことができました。残り半分もがんばります。たぶん

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June 22, 2022

シンは神学のシン 樋口真嗣 『シン・ウルトラマン』

謎の巨大生物「禍威獣」の頻出に悩まされる近未来の日本。政府はその脅威に対処するため、各方面のスペシャリストにより結成されたチーム「禍特対」を発足させる。禍特対が何度目かに出動した際、突如として上空より謎の巨人が飛来。禍威獣を圧倒的なパワーで退ける。「ウルトラマン」と名付けられた彼は人類の味方なのか、それとも…

庵野・樋口コンビが『ゴジラ』の次に挑んだリメイクは、やはり日本人なら誰でも知るあの巨大ヒーローでした。『シン・ウルトラマン』について今回はダラダラと書きます。以後完膚なきまでにネタバレしてしまうので、ご了承ください。まずは自分の最初の印象から。

最初に冒頭の超『ウルトラQ』オマージュには大興奮でした。続くネロンガ戦、ガボラ戦も大いに楽しませられました。しかしその後ザラブが宇宙人の格好のままコートを着て現れたのには、「これ、普通の人ひかないか?」と心配になったり。さらに追加で巨大な長澤まさみが登場した際には、元ネタ知ってる我々ならともかく、そうでない特撮慣れしてない方々はこのシュール表現の暴走に途中退場してしまうのでは…と(こちらの劇場ではいませんでしたが)。

そんな杞憂をよそに終盤へと進んでいくストーリー。結末がどうなるかハラハラしながら観てましたけど、この一風…というか十風くらい変わった作風に当惑を抑えきれないまま終わってしまった、というのが初見の感想です。

大抵はそこで「微妙に合わないところがあった」で終わってしまう話ですが、この映画にはなんか不思議な吸引力があって、鑑賞後1週間くらいずっとテーマや場面・セリフの意味などについて考えさせられてしまいました。そして自分の中で作品についてのあれやこれやを熟成させた後、もう1回観てみたら今度はしみじみと感動できたのですね。映画は毎週それなりに観てますけど、そんな風に味わえた作品というのはあまりありません。

 

で、最初すんなり入らなかったのが、なんでウルトラマンがそんなに地球人にひかれたのか、というところ。これに関しては彼自身も「色々考えたけどよくわからない」と述べています。思えば私たちも何かを好きになるとき、「なぜ好きになったのか」ということについてはあまり考えないし、よくわからないもの。「かっこよかったから」「綺麗だったから」とそれらしい理屈をつけることはできます。しかし「じゃあなぜかっこよい・美しいと感じたのか?」と問われたらこれはもう理屈では説明できないものです。そもそもあのウルトラマンの前衛的なデザインもヒーローにしては独特すぎる気がしますが、こんだけ世代を超えて絶大的な支持を得ているのですから不思議といえば不思議であります。

あと今回のウルトラマン、昨年エヴァンゲリオンがあったせいかやけに宗教的というかキリスト教的な話に感じられました。

・人間が超越的存在に生殺与奪の権を握られている構図は、旧約聖書で神が度々人々を災厄により滅ぼそうとした話を思い出させます。そのまま実行されたこともあれば、行いの良い僕のために思いとどまった例もあり

・ザラブやメフィラスはまんま悪魔。いかにもその人のため…みたいな風を装って、権力をエサにしたり欲望をあおって人間を堕落させようとします。アダムやエバは成功した例、ヨブやキリストは失敗した例

・超存在だったウルトラマンが人間と融合するところは神、もしくは神のようだったキリストが人間の形で地上に来たことを思わせます。で、キリストは人々に自己犠牲の精神を説き、最後は身を持ってそれを示しました(宇宙に展開されるゼットンのシルエットは十字架を連想させます)。その姿に心を打たれた人はキリストの弟子となるわけですが、本作品では禍特対の面々や迫害者の立場だったゾーフィがそれに当たるのかもしれません。

もう1点強く印象に残ったのは、アナログ的なもの…マーキング、匂い、情熱といったものがザラブ、メフィラス、ゾーフィら外星人のデジタル的な戦略に勝利するというもの。この映画もCGが多用されておりますが、樋口監督があるインタビューで言っていた「特撮は『諦め』の技術ではあるが、そこに実在するものには確かな力がある」という言葉を思い出させます。これからさらに徐々にこの「特撮」というスタイルは消えていくのかもしれませんが、情熱あるクリエイターが研鑽して用い続けるなら、将来も生き残っていくのでは…と希望を抱いてしまうわけです。この辺は図らずもいま同時期に公開されてる『トップガン マーヴェリック』と重なるところでもありますね。
わたしの好きなシーンをふたつ。ひとつはウルトラマンが時々山に行って神永の死体を眺めてるところ。「こいつなんであんなことしたんだろうな」とか考えてたんでしょうか。もうひとつはウルトラマンが犠牲になることに瞬発的に班長が反対する場面。人類のことを思えば土下座してでも「悪いけど頼む」と言うべきなのですけど、彼もまたウルトラマンが好きになっちゃったのでしょうね。
ラストで禍特対の面々は神永に「おかえり」と言いますが、そこにもう共に戦った銀色の巨人の魂はありません。そのことを知った時の彼らの気持ちを想像すると何とも切ないものがあるのでした。
ゴジラはともかく、ウルトラマンが一般の映画でやってどれくらいいくのだろう…と危惧しておりましたけれど、長澤まさみ・西島秀俊・米津玄師のネームバリューか、庵野・樋口のブランド力か、力の入った作りに往年の子どもたちが引き寄せられたのか、はたまたメフィラス山本耕史のキャラが強力すぎたのか…ともかく興行収入40億にはなんとか手が届きそうでホッとしております。
このあと樋口さんはまた西島氏と一緒に(監督ではないですが)『仮面ライダー Black Sun』に加わり、庵野氏は監督として『シン・仮面ライダー』を手がけるとのこと。引き続き注目して参ります。「デザインワークス」に書かれていた「その後の物語」もいつかぜひ観てみたい…



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June 20, 2022

2022年4月後半に観た映画諸々

6月終わる前に上半期観た映画の短評をまとめたかったんですが、なんか無理っぽいですね(諦めが早い)

悪あがき的に4月見た作品の感想だけでも仕上げておきます。

☆『アンネ・フランクと旅する日記』

製作国がベネルクス3国にフランス・イスラエルも加わった実に5か国共同製作アニメ。現代の少女がアンネの生涯を追いかけて旅をする…という内容かと予想していたら、なんと彼女が愛用していた日記が付喪神?となって21世紀に蘇るというなかなかファンタジックな作品でした。

監督は『戦場でワルツを』や『コングレス』のアリ・フォルマン。その2作と比べるとややメロウというか少女漫画チックな作風ではありましたが、これはこれでいいんじゃないでしょうか。

印象的だったのはアムステルダムのいたるところにアンネの名を冠した劇場やら図書館やら博物館やらが乱立してること。もしかしたらいまだに世界で最も著名なオランダ人は彼女なのかも。アンネさんは有名になることより、市井の女性として普通に生きることを望んだでしょうけどね。

 

☆『ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密』

ハリー・ポッター前日談第3弾。1作目はけっこう好きでしたが2作目でキャラが入り乱れてよくわからなくなり…というところでの最新作。また「つづく」で終わったらやだなあ、と思ってましたが、以外にも色々解決して幕となったのでよかったです。興行的に微妙なところらしく、全5作予定ということでしたが、さらに続くかどうかは五分五分のところらしいです。

正直言うと直前に昼飯をがっつり食べてしまったために序盤は割とウトウトしてましたが、ニュートさんとお兄さんが懸命にカニ歩きしてるところでシャキッと目が覚めました。あとタイトルにダンブルドアの名前が冠されてますけど、今回も一番光ってたのは太っちょのジェイコブ氏。彼に改めて惚れ直す約二時間でした。自分もあんなおっさんになりたい。体型だけは近いです。

 

☆『TITANE/チタン』

フランスの新鋭ジュリアーノ・デクルノーがメジャー2作目にしてパルムドールをもぎ取っていったという話題の作品。…なんだけど、生理的にじくじくと痛いシーンが多くちょっと苦手な作品でした。

あらすじは幼いころ事故で体に金属を埋め込まれた女の子が、成長して車に欲情するようになり、ついでになぜか殺人衝動まで抑えきれなくなってしまうというぶっとんだもの。うーん、カンヌよくわかんないね! さらには車とセックス(これが本当のカーセックスか)した結果謎の子どもまで宿してしまうという、罰当たりなマリア様のお話でもあります。

彼女を息子と勘違いして保護しようとするおっさんもよくわからない。少し前の『ロボコン』なみに「そうはならんやろ」のオンパレードで構成されています。これがデビュー作となる主演女優さんには「もっち自分を大事にしてください」という思いでいっぱいになりました。アート作品に造詣の深い評論家の解説が読みたいところであります。

 

☆『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』

昨年配信され絶賛されたアニメシリーズの劇場版。というかむしろアニメ本編の感想を。

小戸川は無愛想なタクシー運転手。彼の周りに引き寄せられるようにして集まってくるチンピラ、不良警官、ネット配信者、謎めいた看護師、仮面アイドル、拳銃魔といった不穏な者たち。そして彼らがすれ違うことで偶発的な事件が幾つか生じ、やがて大がかりな犯罪計画が持ち上がることに。

まるで『傷だらけの天使』か大沢在昌の小説のようなハードボイルドなストーリーですが、問題?はこれが全て動物キャラとなっていること。小戸川はセイウチでチンピラの「どぶ」はマンドリル、不良警官はミーアキャット…という具合に。これ何の意味があるのか? それとも意味なんてないのか?と思いながら観てましたが、その答えはというと(略)。

まあ動物になっているせいでどんな問題児もそれなりにかわいらしいというか、にくめなくなってる効果はありました。

特に評価したいのは最終話。それまでの伏線が見事に実を結んでいき、ラスト数分で最大の謎が明らかにされます。そして………な幕切れ。

劇場版ではその後も描かれるということで完全に釣られて観に行きました。非常にすっきりしました。これ、「映画からでも楽しめる」と宣伝されてましたが、やっぱりTVシリーズを愛した人たちへのご褒美みたいな映画だと思いましたよ。

 

次回は『ドクターストレンジMoM』『スパークス・ブラザーズ』『バブル』『犬王』などについて書くか、『シン・ウルトラマン』で1本書くか、というところです。

 

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May 31, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑤ 5月編

第17回「助命と宿命」

一の谷で平家を破り、勢いに乗る源氏の軍勢。だが鎌倉方には頭の痛い問題がひとつあった。それは今や賊軍の遺児となってしまった木曽義高の処遇。禍根を断とうとする頼朝に対し、義時らはなんとかして彼を救おうと奔る。

私は大体BSと地上波で二度この作品を観てるのですが、これまでで一番二度目を観るのが辛かった回。大体源平物では義経が義高を助けるべくいろいろがんばるのですけど、今回はその役割が義時に回ってきました。でも歴史的に見ても三谷さんの大河的にも助かるわけないんですよね…

義高君は恋というより大姫がなついてくれる妹のようでかわいくて仕方なかったんでしょうね(大姫の方はガチ恋)。泣けます。

この一件のせいで天下争いから脱落する武田信義。この先出番はありやなしや。

この回の重要なアイテム:義高の刀に絡んだ鞠の紐。鬼のような脚本だ…と思ったらこれは演出さんの発案だそうです。

 

第18回「壇ノ浦に舞った男」

明けて1985年。義経の快進撃が止まらない。屋島、そして壇ノ浦と平家を追い詰め、とうとう長きに渡る戦いに終止符が打たれる。戦無しでは生きられない彼を、この先待ちうける運命とは。

「義経転落編」前編。ぶつかればぶつかるほど息があっていく九郎と梶原景時にはついわくわくしてしまう少年漫画脳。漫画といえば20年以上愛読してる義経漫画『ますらお』はとうとうこの回で追い抜かれてしまいました。あとある方がツイッターで「今年は『平家物語』、『犬王』、本作と3回も平家の滅亡を見た」とおっしゃってました。ある意味グランドスラムですかね。お疲れ様でした。

後半はいわゆる「腰越状」のエピソード。専ら回想ではありましたが、源氏・平家・北条氏三つの兄弟の比較が見事でありました。死に際にあっても取り乱さない宗盛(小泉孝太郎)も印象に残ります。まあ彼の余計なアイデアのせいで頼朝義経はよけいこじれちゃうんですけど。

この回の重要なアイテム:草薙の剣とか腰越状とか里芋のにっころがしとか

この回のほっこりしたギャグ:八重さんのちょび髭

 

第19回「果たせぬ凱旋」

深まっていく頼朝と義経の対立。二人を和解させようとする義時・政子らの努力もむなしく、嫁の恨みも手伝って事態はどんどん悪化していく。

「義経転落編」中編。ことをこじれさせた原因の一人源義家殿はこの回でナレ死。「彼が味方につくと必ず負けた死神のような男」と痛烈に語る長澤まさみさん。まさみナレーションといえば法皇様の使った古典推理小説トリックに「まねをしてはいけない」と突っ込むところでも冴え渡っておられました。

あまりにも手のひらの返しっぷりがひどいゆえ、自分でも頼朝と義経がごっちゃになっていく法皇様。このドラマ海外の人にもぜひ見てほしいんですけど、ネックになりそうなのがこの「よ」で始まる人名が多すぎなところですね。向こうでは向こうで「ジョン多過ぎ」「アン多過ぎ」とかあるんでしょうけど。

この回の重要でもないアイテム:法皇の脈を止めてたピンポン球。この人いいとこひとつもなしだな

 

第20回「帰ってきた義経」

行方をくらませていた義経が、平泉に身を寄せているとの情報が鎌倉にもたらされる。最後の敵対勢力である奥州藤原氏を下すべく、頼朝と義時が企てた策とは。

1187年から1189年にかけてのストーリーで「義経転落編」の完結編。天才なんだけど人の心がわからぬ我儘坊やが色々経験して成長するも、その時もう彼の生涯は終わりに近づいていて…というあたりは『新選組!』の沖田総司を思い出させます。

帰ってきた首を前にして泣き崩れる鎌倉殿。どうしてもっと素直になれなかったのかねえ…と思いつつこのドラマで初めてもらい泣きさせられました。ちなみに他のドラマだと義経が死んだ時頼朝の反応は『義経』(中井貴一)では今回と大体一緒で、『武蔵坊弁慶』(菅原文太)ではのんきにあくびしてたり。

で、大抵の源平ものではここまでしかやらないんですよね。この後も描いたものというとそれこそ『草燃える』くらいかと。

義時はすっかり汚れ仕事を淡々とこなすようになり、『ゴッドファーザー』のマイケルぶりがだいぶ板についてきました。それもこれも愛する妻子のためなのですが…

この回の重要でもないアイテム:義経の畑を荒らしてたコオロギと弁慶の立ち往生アーマー

 

第21回「仏の眼差し」

義経が討たれるや否や奥州を平定する鎌倉軍。ここに頼朝は日本の覇者となった。戦も終わり久しぶりに人死にの出ない穏やかなエピソードになるかな…と思いきや幸せムードをまき散らせて死亡フラグを立てまくっていた方が約一名…

伝承ではもっぱら八重姫は子供を殺されて世をはかなみ、自らも湖に身を投げたという方が主流だったりするのですが、その話をこういう風にアレンジするか…と。キャスト発表で「義時の妻」役で他の女優さんが出てきた時、遠からず退場されるのだろうな、とは思ってましたが。ネットでは上総介、義経と同じくらい惜しむ声が大きかったです。『鎌倉殿』って個人的には「人の変化」を描くドラマだとも思ってるんですよね。八重さんも登場時のきつい感じからだいぶ変わられて、それこそ仏様のようになってしまわれました。文字通りの仏さまにもなってしまったのが辛くてなりません。

あとこの回でやっとこ13人最後の一人八田知家が登場。こんないかにもぽっと出みたいな人が、どうして合議制のメンバーになれたのか…

この回の重要でもないアイテム:天然ちゃんになってしまった大姫ちゃんが配ってたイワシの頭

 

先日ガイドブックpart2が出ました。32話まで粗筋が出てたんですけど、引き続き胃の痛くなる話が続きそうです。「亀の前事件」のあたりはあんなに楽しかったのにねー

 

 

 

 

 

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May 10, 2022

2022年4月の中頃に観た映画

ちょうど1ヶ月くらい前に観た作品群ですね。5本まとめてまいります。

 

☆『シャドウ・イン・クラウド』

クロエ・モレッツさんがグレムリンと戦うと聞いて「馬鹿かwww」と思いましたが、評判が良いうえに予告編見たら面白そうだったので行ってきました。

第二次大戦中の豪州の戦線。とある女性士官が密命を帯びて友軍の軍用機に乗り込むのだが、品も理解もないクルー、ゼロ戦の襲撃、さらに伝説の妖怪まで現れてクロエちゃんは大ピンチに。

前半は主に飛行機の下部銃座に萌えます。あの半球状のカプセルみたいな部分に機関砲がニョキッと突き出してるアレです。実際の戦争だったら狭い上に狙い撃ちされそうで、まず乗り込みたくない(というか戦争自体行きたくない)ポジションですが、映画で疑似体験してる分にはワクワクしてくるから不思議です。

そして本作品最大のウリであるグレムリン。正直「ストーリーにこれいるか!?」と思ってしまった自分がいます。ただこいつが出てこなけりゃ観に行かなかっただろうし、ぐっと地味な映画になってしまっただろうし、まあよしとしましょう。ギズモ君も出て来てくれたらもっとよかったです。

 

☆『ゴヤの名画と優しい泥棒』

一応本当にあったっぽいお話。1961年、ロンドンの美術館でゴヤの「ウェリントン公爵」が盗まれ、脅迫状が送られてくる。大胆不敵なその犯行に警察は国際的な犯罪組織によるものと推測するが、実際は田舎町に住む老人がNHK…じゃなくてBBCの料金徴収に腹を立てて行ったことだった…?

一応犯罪を題材にした作品ですけど、結末含めて誰も傷つかず、むしろほっこりとした気持ちにさせられる映画。なんというか良くも悪くもセキュリティや司法制度がガバガバだった時代だから成立する話だなあと。

で、事の真相に関して推理小説でいうところの「叙述トリック」みたいな技法が使われているのですが、映画でやるとあれはずるくないでしょうか。

先日の『ベルファスト』でも印象的な老夫婦が出てきましたが、あちらがベストカップルといっていいくらいアツアツだったのに対し、こちらの旦那さんは終始奥さんに怒られてて笑えました。

 

☆『アネット』

鬼才レオス・カラックス9年ぶりの新作にして初のミュージカル。コメディアン・ヘンリーとオペラ歌手のアンは熱烈な恋愛の末結ばれ、アネットという子供も授かるが、ヘンリーの人気が陰るに従い二人の間には暗い雲が立ち込めていく。

「アレックス三部作」や『ポーラX』など陰鬱で激しいロマンスで印象深いカラックスさん。こちらもまあ悲劇には悲劇なんですが主人公がコメディアンであったり、アネットちゃんがどう見ても人形だったり、次から次へ無茶な展開が続いたりとあまり悲しい気持ちにはなりません。最低な男がその行いにふさわしく転落していく話なので胸糞悪くもあるのですけど、エンディングでキャストたちが「気をつけて帰ってね~」と明るく見送ってくれるせいで、後味は妙にさわやかでした。

あとカラックスさんはやっぱり乗り物が大好きですね。今回も陸・海・空と色々乗りまくっておられました。

 

☆『コーダ あいのうた』

本年度アカデミー賞作品部門受賞作。ろうあ者の家族の中で、ただ一人耳が聞こえる娘の成長物語。おっさんなので女の子の青春ものとかあんましな~~~と食わず嫌い的にスルーしていたのですが、滅多に映画を褒めない友人が激賞していたので観ることにしました。

この映画の問題点?は予告編でほぼストーリーの8割を説明してしまっていて、そこまでは予想通りのことしか起きないこと。映画というより宣伝の問題でしょうか。ただいよいよクライマックスというところでこちらの想定を越える感動がやってきました。肝心要の歌唱シーンで無音になるという大胆な演出。「やっぱり聞こえないんだよね…」と悲しくなったところで、もう一度それを払拭するような歌の場面がありました。いや、よかったです。食わず嫌いはよくないですね。

あとお兄ちゃんが不器用ながらも妹に「家族の犠牲になっちゃいけない」と励ますくだり。ああいうの弱いのです。

これ、フランス映画『エール!』のリメイクで、こっちでは漁村だった舞台がオリジナルでは農村になってるとか。そちらの方も観たくなってきました(現金)。

 

☆『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』

日本ではネットフリックスのみでスルーされた『ヒットマンズ・ボディガード』の続編。続編だけが劇場公開ってちょっと珍しいケースであります。

内容はカリスマ的だったライアン・レイノルズ演じるボディーガードが、自分をその地位から引きずり下ろしたヒットマン(サミュエル・L・ジャクソン)と渋々手を組んでいやいや巨悪と戦うという話…だよな? 前作はまだボディーガードとしての矜持とか二人の奇妙な友情とか真面目な要素が3割くらいあったのですが、監督が続投してるのにも関わらず2作目は100%アホに振り切れてました。

『デッドプール』や『フリーガイ』などで何度も死んでるような役がよく回ってるレイノルズさん。この度も色々体当たりのアクションでがんばっておられました。ただ今回の彼はミュータントでもゲーキャラでもないのでひしひしと痛々しさが伝わってきました。もっと体を大事にしていただきたい。

タイトルにもなってる「ヒットマンの妻」サルマ・ハエックがまたはっちゃけてて最高でした。『エターナルズ』のインタビューで「情熱的なメキシコ女の役ばっかりでイヤだった」みたいなことを語ってましたが、ごめんなさい、やっぱりあなたは雄たけびをあげながら悪党の首をかっきるようなキャラがすごくよく似合ってます。

 

次回は『オッド・タクシー』を単品で書くか、『ファンタビ3』『アンネ・フランクと旅する日記』『TITANE』『スパークス・ブラザーズ』あたりをまとめて書きます。

 

 

 

 

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April 25, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る④4月編

第13回「幼なじみの絆」

痴話げんかもひと段落ついた時、鎌倉に不穏な知らせが入る。いま一人の源氏の棟梁・木曾義仲が平家と手を組んだ疑いがあるというのだ。頼朝はその真意を探るべく、義仲のもとに範頼と義時を向かわせる。それと並行しながら義時は諦めずに八重のもとに通い、けったいな土産を送り続けていた。

前回「亀の前事件」が1182年末。この回より1183年に突入です。第一話ラストで顔を見せたきりの義仲公が満を持しての登場となりました。「野蛮な田舎侍」と描かれがちな彼ですが、このドラマでは義を重んじるひとかどの英傑となっております。演じるは『西郷どん』で島津久光公をやってらした青木崇高氏。この方、中島哲也作品に出てくる時はすごい怖いんですよね… 余談ですが『武蔵坊弁慶』では佐藤浩市氏が義仲を、『義経』では巴御前を小池栄子さんが演じてました。

迷惑がっていたのにいつのまにか一途な思いに打たれて、とうとう八重さんは義時の思いを受け入れます。ちと強引な気もしましたが13回続いた八重さんのツンがようやくデレに転じて感激もひとしおでした。

その他、文覚と全成の呪術合戦、二人の元愛人を尋ねて散々な目にあう頼朝公など、前回に続きお笑いにおいても傑出した回でありました。

この回の重要でもないアイテム:範頼公のお腹を一発でクラッシュさせた川魚

この回の重要なアイテム:八重さんの氷の心を打ち砕いた義時の旬の贈り物一式

 

第14回「都の義仲」

子供同士の婚約を交わし友好ムードとなった頼朝と義仲だが、義仲がいち早く都を制圧し、平家を追放したことにより両者の間には再び緊張が走る。また鎌倉の御家人たちの間でも、先の不倫騒動や身内の争いなどで評判が落ちた頼朝を見限ろうとする動きが出始めていた。この危機を治めるべく義時は頭を悩ませる。

鎌倉への人質である源義高を演じるは現松本染五郎君17歳。前松本染五郎氏のお子さんで前松本幸四郎氏のお孫さんです。真に絵物語から出てきたような美少年で、鬼の政子さんも一発でメロメロになってしまいました。お父さんの義仲公とこれっぽっちも似てないんですけど、お母さん似だったのでしょうか。非の打ちどころのない御曹司でありながら「セミの抜け殻を集めるのが趣味」というところだけがちょっとひきます。

怒涛の勢いで時の権力者となったものの、京での作法まで学ぶ暇がなかったため、義仲はあっという間に立場が危うくなっていきます。前回での潔さなどからすっかり義仲びいきとなってる視聴者としては、意地悪そうな都の公家さんたちがどうにも頭に来ます。そもそもその統領である後白河陛下、生霊とはいえ「お前(頼朝)だけが頼りなの」とか言ってませんでしたっけ。それなのにあっちを頼ったりこっちを頼ったり、二股はよくないと思います。

そして裏で動き始める御家人たちの陰謀。歴史ドラマでは平家滅亡まで一枚岩のように描かれてる頼朝&坂東武者ですが、そうでもなかったのね…と思ったらこの謀反のくだりは三谷さんの創作なんだそうで。でもいかにもこんな話あったように思えます。次回の大いなる悲劇に向けての伏線なのでありますね。

この回の重要でもないアイテム:義高君が集めた200個以上のセミの抜け殻(うわあ)

この回の使える都作法:牛車(馬車だっけ?)に乗るのは後ろから・降りるのは前から

 

第15回「足固めの儀式」

一触即発の事態となってしまった頼朝と御家人たち。仲間同士で血が流れるのを防ぐため、義時は御家人の間で最も力を持つ上総広常に助力を仰ぐ。ひと騒動こそあったもののそれが功を奏し、無事事件は解決と思われた。だがそれは頼朝の参謀・大江広元が描いた策略の第一幕にすぎなかった。

放映されるやネットを阿鼻叫喚の地獄に叩き落した、本ドラマ始まって以来の衝撃回。わたしは上総さんが登場してすぐ検索してしまったので彼がどういう末路をたどるのか知ってましたが、それだけにクライマックスのシーンは胃がキリキリしました。まるでこの回だけ『鎌倉殿』というより『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいでした…というか、これからそうなっていくのかな?

上総殿も「老けたな」と言われただけで説得するはずの相手を切り殺してしまう凶状持ちではありましたが、三谷さんの脚本力と佐藤浩市氏の演技力で、すっかり「コワモテだけどかわいいところもあって憎めないおっさん」として認知されてしまいました。だから最後のあの「信じられない」という表情が本当に気の毒で。せめてもの救いはこれでマイナー人物だった上総広常の知名度がグーンとあがったことでしょうか。

で、これが数回前の義時だったら身を挺しても彼をかばったかもしれないのですよね。でももう彼にはやっとのことで結ばれた妻と、その妻の間に授かった子供もいる。だから心を鬼にしてでも広常を見捨てなければいけない。「お前はもうわかっている」「だんだん頼朝に似てきた」という義村のセリフがグサグサと突き刺さります。

この回の重要なアイテム:すごろくのサイコロと死後出てきた上総殿の計画表

 

第16回「伝説の幕開け」

明けて1184年。先に都に到着していた義経は、援軍が来るや否や破竹の勢いで義仲軍を撃退。その勢いを駆って休む間もなく一の谷に逃れていた平家追討に向かう。誰もが不可能と考えていた断崖絶壁からの奇襲を決行する義経。現代まで語り継がれる武神の伝説が始まろうとしていた。

先回に続いてお葬式ムードとなってしまった前半。これほど木曾義仲を清廉な人物として描いたのはこのドラマが初めてでは。そんな健気な義仲を「タイプじゃないし」と一蹴する後白河陛下。そんで代わりに来た義経がはかりごとをもちかけると「もうこの子めっちゃタイプ♪」とウキウキしてしまう。本当に困った法皇様でございます…

義経が駆け下ったと言われる鵯越は傾斜30度ほどで、たしかに騎乗したままでも走れないことはないんです。ですがこのドラマではさらなる急斜面から「馬を先に駆け下らせた」としていました。なるほど、こういう解釈もありかと。そのあまりの才能を嫉妬3割、感動7割で見つめてしまう梶原景時。これには『アマデウス』におけるサリエリを連想した人も多かったようです。

戦と次なる悲劇で息つく間もない中、わずかにほっとさせられたのが諸将の書いた報告書。和田義盛さんはさすがにかわいさアピールがくどくなってきました。

この回のそれなりに重要なアイテム:鹿のウンコ

 

気が付けば『鎌倉殿』も1/3。三谷さんに言わせると「頼朝が生きてる間はプロローグにすぎない」とのこと。プロローグ長くない??

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April 21, 2022

2022年3月に観たその他の映画と4月頭に観た映画

これまたなんつーなげやりな記事タイトル… まあ、そんな感じです。

 

☆『名付けようの無い踊り』

俳優としても知られる…というか、私たちのほとんどはむしろそっちの方で知ってる舞踏家・田中泯さんのドキュメンタリー。

泯さんのダンスは「場踊り」と呼ばれる一風変わったもので、路上や広場で突然即興のように始まるスタイルであります。時にはその場でゴロゴロねっころがったりしてしまう。背中が汚れますよ…と言いたくもなりますが、泯さんは一切お構いなしです。

そんな泯さんの幼少期の思い出がアニメで、若かりし頃の挑戦が記録映像・写真などで語られたりもします。血気盛んだったころにはチ〇コを布にくるんだだけのかっこうで踊り狂ったこともあったとか。しかしそれが世界のアートシーンに衝撃を与え、彼の名を一躍有名なものにしたというから驚きです。

正直言うとちょっとうとうとしたところもあったんですが、そんな夢うつつの状態がかえって映画への埋没感を深めてくれたような気もします。あと泯さんはたくさん猫を飼ってらしたので、猫に囲まれて踊る映像もちょっとほしかったです。

 

☆『SING/シング:ネクストステージ』

イルミネーションスタジオによる音楽アニメの傑作『SING』の6年ぶりの待望の続編。街のスターになったバスター・ムーンとその仲間たちは、今度はさらにその名を広めるべく、大都会のビッグステージへの出演を目論む。

そんなわけで序盤は華やかな巨大都市へ出た時の、地方者にしかわからない高揚感が存分に味わえます。また、ムーンさんたちがどんどんサクセスしていくその様子は、知る人ぞ知る作家だったガース・ジェニングスが前作で一躍世界的成功を収めた姿と重なります。

今回作品のカギを握るのは、はるか前に隠遁してしまった伝説のミュージシャン、クレイ・キャロウェイ。彼を表舞台に引っ張り出そうとするムーンですけど、キャロウェイは心を閉ざしてしまっていて、これが一筋縄では参りません。そのキャロウェイ、言語ではU2のボノ氏が、吹替ではB’zの稲葉浩志さんが声をあてておられます。お二人とも声優は初挑戦だそうなので、こちらでもオファーに際しいろいろ苦労があったのでは…と思っていたら、両名あっさり快諾されたとのこと。懐がお広い。自分は吹替で観ましたが、稲葉さん、なかなか自然に気難しいライオンの役をこなされていて、会話の場面では彼の顔は浮かんできませんでした。歌唱シーンになった途端「あ、B’zだw」となりますがw

そんな稲葉さん…じゃなくてキャロウェイをやさしく気遣うハリネズミのアッシュちゃんに泣かされました。『SING』のキャラではこの子がとりわけお気に入りです。

 

☆『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

本当にあった猫と青年の奇跡的な物語『ボブという名の猫』の続編…というか前作で語られなかった知られざるエピソード、というとこでしょうか。街角で会ったかつての自分と似た青年に、「5分だけ」と言って主人公がジェームズさんがえんえん1時間半語るという構成。ジェームズさん、なかなか強引な方であります。クリスマスムービーでもあるのですが、こちらでは遅れて公開されたこともあり完全に時季外れでありました。まあ細かいことです。

最近のハートウォーミングな洋画には「幸せの~」という邦題がつくことが多いですけど、この映画はボブさんがアップになる度に本当に幸せな気持ちになれます。主人公が立派になった状態から始まってるので、前作のようなどん底には落ちまい、という安心感もあります。その分ハラハラすることはありませんが、そういうのはこの映画に求めてないのでそれでいいのです。

前作に引き続きお話のモデルであるボブさんがご自身を演じておられます。が、悲しいことにこの映画を撮ってほどなくして、ボブさん亡くなられたのだとか。なんとも切ない… これ、世界的な損失だと思うのですよね… ともあれ、ボブさんに感謝の気持ちを捧げると共に、うちの猫を大切にしていこうと誓うのでした。

 

☆『モービウス』

ソニー独自のアメコミユニバース「SSU」の第3作。持病を治そうと禁断の療法を自分に試した天才医師が吸血鬼になってしまうというストーリー。そんなもんで最初はヒーローものなのかホラーものなのかわからない独特の緊張感が漂っていました。とりあえずアメコミキャラは自分の体で軽率に人体実験しがちだと思います。他人の体でやるよりかはいいと思いますが。

そんなモービウスと対決することになるのが、同じ病気を患い、彼と同じルートで超人化した無二の親友のマイロという男。力を抑えきれず暴走してしまうのですが、境遇がかわいそうなことを思うとついつい同情したくなってしまいます。また序盤の二人で仲良く苦労しながら散歩してたシーンを思い出すとまた悲しくなってしまったり。このコンビ、『AKIRA』の金田と鉄雄を彷彿とさせるところがあります。もしかしてSSUは「男同士の面倒くさい友情」をテーマにシリーズを続けていこうとしてるのでしょうか。

ビジュアル面ではなんでそうなるのかよくわからんのですが、高速移動の際生じるカラフルな墨流しのような効果がお洒落でよかったです。

SSUはこの後『クレイブン・ザ・ハンター』『マダム・ウェブ』といったマイナーなスパイダーマンキャラの映画化を進めていくとのことですが、なんでそんな企画を!? 本当に売れると思ってるの!?とプロデューサー連を問い詰めたい気持ちでいっぱいです。なんとかスパイダーマンを上手にひっぱってこれたらいいんですけどね。

 

☆『仮面ライダーオーズ10th 復活のコアメダル』

決定的なネタバレはしませんが、これから観ようという方は以下はスルーしてください。

 

 

 

TVシリーズ終了から10年。オリジナルキャストも全員集結した待望の続編… だったはずがどうしてこんなことに… まあ、なかなかに衝撃的な結末でした。そっちの方は観てないのですが『ゼロワン』といい『セイバー』といい、「ライダーの後日談は悲劇にしなければいけない」という呪いにでもかかっているのでしょうか。東Aさんは。こんなこと言いたくはないのですが、これならばTVシリーズの希望が持てる結末の方がずっとよかった。少なくとも映画をずっと覆ってる暗いムードは、オリジナルの『オーズ』のサンバのような明るいイメージとはだいぶかけ離れたものでした。

ただ、主演・渡部秀君のコメントなどを読むと、どうもこの結末は彼が望んでこうなったようなところがうかがえるのですよね。もしそうならば、私には何も言えません。彼の願いが果たされたことに「良かったね…」と思うのみです。

受け入れるのに少々苦労しましたが、自分としてはこの作品、「幾つかある世界線のひとつ」とすることで認めることにしました。大体日本が壊滅状態になってるのに歴代ライダーが誰も助けに来ないのはどう考えてもおかしい。だからこの作品は「オーズとバース以外ライダーのいない」パラレルな時空のお話なのですよ、きっと。

 

 

次回は『シャドウ・イン・クラウド』『ゴヤの名画と優しい泥棒』『アネット』『コーダ あいのうた』『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディーガード』などについて書きます。

 

 

 

 

 

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April 05, 2022

2022年3月に観た第94回アカデミー賞関連の作品

あの狂騒からはや一週間。先月はアカデミー賞作品部門にノミネートされた映画を5本観てたので、今回はそれらについて書きます。肝心の受賞作品『コーダ』を観てないわけですが… あと昨年公開された『ドライブ・マイ・カー』についてはこちらを、『DUNE』についてはこちらをごらんください。全然たいしたこと書いてませんが。

 

☆『ドリーム・プラン』

今年度の「実話を基にした」作品枠で主演男優部門受賞作。前人未到の業績を残したテニスのウィリアムズ姉妹を育てたお父さんの話です。

前半の舞台は『ストレイト・アウタ・コンプトン』で有名なコンプトン。ギャングとドラッグが溢れためちゃくちゃガラの悪い町です(とりあえず当時は)。そんな環境でヤンキーにからまれながら一生懸命娘をコーチするお父さんの姿には少々涙を誘われました。星一徹と違って子供たちをかわいがるときはめちゃくちゃかわいがりますし。よかったのはそんなお父さんの「我慢パート」があまり長くなかったことですね。サクセスの糸口をつかむと階段を軽快に駆け上がっていくように、一家の暮らしぶりもよくなっていきます。あと小さな女の子が弾丸のようなサーブをバチコーン!バチコーン!と放つアクションが小気味よかったです。

で、お父さん役のウィル・スミスはご存知の通り受賞の直前に司会のクリス・ロックに平手打ちを食らわせてしまい、現在苦境に立たされているようです。いまなお論議は絶えず、結局これが今年のアカデミー賞で最も印象に残った出来事になってしまったのはなんとも。

 

☆『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

今年度のネットフリックス枠その1にして、作品部門の最有力候補。ほかにも10部門にノミネートされてたのに結局監督部門のみの受賞に終わりました。しかしまあ、それを取ったのが久方ぶりにカムバックを果たしたジェーン・カンピオンというのはめでたいです。

一応西部劇の枠になるのかもしれませんが、銃撃戦とかは全くありません。だのに約二時間、なにかよくないことが起きるのでは…というヒリヒリした空気が漂い続けています。

いかにもカウボーイ然とした粗野な男・フィルが、自分のうちにある女性的な部分と葛藤するような話なのかな…と予想していたのですが、ちょっと違いました。中盤からは彼よりも、義妹の息子であるピーターの方が存在感を増していきます。このピーター君、線も細いしお花が好きだしとても強そうには見えないのですが、それがかえって異様な凄みというか迫力をかもし出すようなキャラクターでした。

シンプルながら雄大な山々の風景が美しく、やっぱりこれ配信よりスクリーン向けの映画では…と思いました。

 

☆『ナイトメア・アリー』

今年度のにぎやかし枠その1。我らがギレルモ・デル・トロ作品でいかにも異形のモンスターが出て来るような予告でありながら、今回は超自然的要素はにおわせ程度しかありません。善良な主人公が多いデルトロ作品にあって、ピカレスクな題材であったことも新機軸でありました。

前半のじめじめした南部っぽい風土はR・R・マキャモンの『少年時代』『遥か南へ』といった作品群を思い出させますが、後半では一転、雪の降る欲望にまみれた町でのノワール的な物語が展開されます。

ちょっと前だと『パッセンジャー』なんかもそうでしたが、「あー、この嘘絶対ばれるよな」というお話があります。こちらもその類の作品。ですので嘘がばれるその瞬間までひたすら悶々としながら画面を見続けることになります。

今年の作品部門にノミネートされたタイトルは、なんでか「親」が重要な要素となっているものが多かったですね。『ナイトメア・アリー』はそれが呪いっぽく描かれていたのが強烈でした。

 

☆『ベルファスト』

今年のモノクロ枠。7部門にノミネートされましたが脚本部門のみの受賞となりました。実は自分はこれが作品部門もっていくんじゃないかと予想してたのですが…

ケネス・ブラナー監督の自伝的作品。彼のキャリアって古典や名作のアレンジが目立つので、こういう一からオリジナルの映画はなんだか不思議な味わいでございました。1960年代、宗教・政治の問題が激化して暴動が茶飯事だったベルファストを舞台に、子供の目を通して当時の様子や悩む両親の姿が描かれます。

笑ったりひやひやしたり、はたまたしんみりさせられたりいい映画ではあるのですが、時間のコンパクトさと白黒画面のせいかちょっとインパクトに欠けるきらいはあります。ただブラナー少年が親しんだサブカル要素…恐竜百万年、チキチキバンバン、サンダーバードなどを目で追っていくのはオタク人として楽しゅうございました。あとシェイクスピアの第一人者であるブラナー氏も、別段上流階級の出ではなく、ごくごく普通の家庭で育ったというのは興味深いです。おばあちゃんと観にいってた『クリスマス・キャロル』が舞台へ感心を持つきっかけになったのかな…と想像したり。

 

☆『ドント・ルック・アップ』

にぎやかし枠にしてネットフリックス枠。ある天文学者が地球に向かって飛来する小惑星を発見。人類滅亡の危機を回避すべく主人公らは奔走するが、事態は『アルマゲドン』のようにはいかず…

せっかくネトフリ入ってるんだから授賞式の前に見とくか、くらいのモチベーションだったのですが、この馬鹿馬鹿しいムードが意外とツボにはまりました。世界が破滅にむかっていく話なのにねw でもこれうちで一応月額料のみで観たから楽しみましたが、映画館で観てたら虚無るか激怒してたかもしれません。

名だたる名優が(こんなアホらしい映画に)参加している中、とりわけ目を引いたのはいかにもスティーブ・ジョブズな社長を演じていたマーク・ライランスさん。この人も重厚な雰囲気あるのに役を全然選んでなくて素敵です。あとアリアナ・グランデが熱唱するコンサートのシーンが無駄に豪華でした。

 

観た作品を好きな順にあげると

①DUNE ②ドライブ・マイ・カー ③ドント・ルック・アップ ④ドリーム・プラン ⑤ナイトメア・アリー ⑥ベルファスト ⑦パワー・オブ・ザ・ドッグ

という感じでしょうか。次回は3月他に観た『名付けようのない踊り』『仮面ライダー000劇場版』『SING ネクストステージ』と、先週末観てきたばかりの『モービウス』『ボブという名の猫2』について書きます(予定) 

 

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April 02, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る③3月編

第9回「決戦前夜」

味方を増やし、石橋山の雪辱を晴らそうと盛り上がる頼朝軍。負けじと西からは清盛の孫・維盛を総大将に平家の軍が攻め上る。両者は駿河にて相対し、ここに世に名高い「富士川の戦い」が始まろうとしていた。

「決戦前夜」というタイトルでしたが、普通に戦の後までやり切った第9回。前半は頼朝を出し抜こうとする武田信義のこすからい策略が色々描かれてました。演じるは『新選組!』で武田観柳斎を演じた八島智仁人氏。今回もなかなかのうさん臭さです(失礼)。一説によるとこの戦い、頼朝が到着する前にほぼほぼ武田勢がカタをつけてしまった、なんて話もあるそうで。もしそうだとしたら武勲が現代にこれっぽっちも伝わってないのがいささか気の毒であります。

クライマックスにおける水鳥のはばたきの原因は、北条と三浦のおっさん同士のしょうもないケンカとアレンジされてました。このアホらしさに呆れた人が半分、大うけした人が半分というとこでしょうか。『修羅の刻』では陸奥鬼一が謎の拳法でもって驚かせた、ということになっています。

戦いに勝ったけど周りがついて来ず、落ち込む頼朝の前にやっとこ義経が到着。すぐさま感動の対面といかないのが三谷節。「顔そっくり!」のくだりは全国のお茶の間でツッコミの嵐が吹き荒れたことと思います。

この回の重要アイテム:平家を敗走に追いやった北条時政渾身のパンチと、安眠を妨げられた水鳥の皆さん

 

第10回「根拠なき自信」

平家の本軍を打ち破った鎌倉軍の前に、さらに多くの人材が集まってくる。切れ者、そうでもない者、うさん臭い者… そんな中義時は晴れてフリーとなった八重に果敢にアタックを試みるのだが。

ここにきてこの時点で生きていた頼朝の弟たちが勢ぞろい。少年漫画ならもうちょっとかっこいい絵面になるんでしょうけど、なんか当惑してる義経・怪しげな法力僧の全成・迷子でおろおろしてた範頼…といまひとつ締まりがありません。範頼さんはよく義経の話で引き立て役にさせられてますね。さらにいつに間にかいて勝手に場を取り仕切ってる足立遠元も登場。「一番得体が知れない」とか言われてましたが、一応十三人の一人で、平治の乱の頃からの歴戦の武将なんだそうです。

後半の山場は上総広常がメインとなった金砂城の戦い。直前に義経を「一人の勝手な振る舞いが」と諫めていたのにカっとなって話し合いを台無しにしちゃったのはわかりやすい特大ブーメランでした。このピンチを義経が解決する…のかと思いきやあっさり内通とかで勝ってしまう(笑) この辺の意表の突き具合というか予想を裏切るあたりが見事でした。

この回で激動の1180年が終了。第3回から8回もかけて扱ってたのですね。この次からもう少しまいていくペースとなります。

この回の重要でもないアイテム:三浦義村の腹をクラッシュさせた草餅と、和田義盛が捕まえてきた小鳥。なんつったっけアレ

 

第11回「許されざる嘘」

頼朝の今一人の弟である義円が鎌倉に到着。利発そうな義円がちはやほやされるのを見て、義経はどうも面白くない。一方京では巨星・平清盛が熱病により突然この世を去る。政子も再び懐妊し、いいことずくめの源さんご一家。しかしその裏で恐怖のアサシン・善児の影が再びちらつき始めていた。

『鎌倉殿』が始まって以来最もブラックな回。前半では義経が義円をだまくらかし、後半では頼朝がいったん許した伊東祐親親子を秘密裏に葬り去るという… このドラマの義経は天が二物(軍才・顔)を与えてしまったがゆえに、他が歪みまくりという大変困ったキャラになっております。ただ義円に関しては実際に頼朝と再会したという記録がなく、たぶん鎌倉には来てないんじゃないか…という説の方が有力のようです。それを思えばドラマに出られただけよかったのかもしれません。それくらい史劇で見かけない人物ですから。

そしてまたしても現れた『鎌倉殿』の死神・善児。彼が出てくる回は決まって誰かが血祭りにあげられるゆえ、オープニングでその名前が出てくるとTwitter上で悲鳴が沸き起こるようになってしまいました。鬼の監査役・梶原景時に拾われてしまったので、これからもいっぱい出番がありそうです(怖いなあ)。演じる梶原(笑)善さんは三谷さんの劇団時代からの盟友。『王様のレストラン』のひねたパティシエとか良かったんですが。

伊東の爺様が亡くなったのが1982年の初めとのこと。というわけで1981年はこの回だけで終わりとなりました。

この回のそこそこ重要なアイテム:梶原さんがセロテープで張り合わせた義円の別れのお手紙。

 

第12回「亀の前事件」

頼朝に待望の男児が誕生。政子がそちらにかかりきりなのをいいことに、鎌倉殿は愛妾・亀の前とますます懇ろになってしまう。このことを知った時政の妻・牧の方は、最近政子ばかりが目立っていることにいら立ちを覚えていたため、ストレス解消のため亀の前の「後妻打ち(うわなりうち=前妻が後妻の家を壊してもいいという京都の風習)」を決行しようとする。事態を収拾しようとするも右往左往するだけの義時は各方面にひたすら頭を下げ続ける。

ギャグ回(笑) 史実には確かに残ってる話ですが、要は頼朝の浮気がばれて政子が激怒した、という内容なので。その史実の合間を縫ってテンポのいい素っ頓狂なセリフの応酬が続きます。まさに三谷さんの脚本家としての真骨頂。これがあまりにも楽しかったせいか、ネット上では現時点の「ファンが選ぶベストエピソード」なんではないかという疑いすらあります。

で、台風の目たる亀さんが実にひょうひょうとしていて、自分を中心に周りがこじれまくっているのに、どこ吹く風とばかりにマイペースを貫く姿が痛快でした。家を燃やされて憔悴しちゃうのかと思いきや、意外と元気そうに上総殿の屋敷をふらついてたのでなんか安心いたしました。なんのかんの言いながら人死にの出ない回は平和でいいものです。

京都からさらにアドバイザーとして中原親能と大江広元が着任。苗字が違いますがこの二人はご兄弟で後の13人のメンバーであります。この回では大江さんが割と目立ってたのに対し、お兄さんの方は「いたの?」という感じでした。

この回のそこそこ重要なアイテム

見事に切断された牧宗親のモトドリ。この時代の社会人にとって髪を結ってる部分を切られるのは、公衆の面前でパンツを脱がされるようなものだったらしいですが… ホントか!?

 

次回からは木曾義仲が本格登場。いよいよ群雄割拠時代的に入り、平家との戦いも激化して参ります。がんばれ鎌倉殿とその一党。

 

 

 

 

 

 

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March 30, 2022

バットマン来るかとゴッサムの外れまで来てみたが マット・リーブス 『ザ・バットマン』

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世界有数の繁栄を誇りながら、犯罪や貧富の差など多くの闇を抱えた都市・ゴッサムシティ。選挙を目前に控えたその町で、市長がリドラーと名乗る愉快犯に惨殺されるという悲劇が起こる。2年ほど前から蝙蝠の装束に身を包み、自警団活動を続けていた富豪の青年ブルース・ウェインは、市警のゴードン警部と協力しながらリドラーを捕まえるべく奔走する。だが彼の捜査をあざ笑うかのように、リドラーは挑発めいたメッセージと共に第二、第三の犯行を繰り返すのだった。

1989年の『バットマン』から数えると、『バットマン・ビギンズ』(2005)、『バットマンVSスーパーマン』(2016)と来て、実写映画としては4度目の起点となる作品。今回の特色はまずバットマンであるブルース・ウェインが比較的「若い」ということ。『バットマン・ビギンズ』でも駆け出しのころは描かれてましたが、始めた時点で既にいい年だったのであまりヤングマンな印象はなく、むしろそれなりに落ち着いた感じでした。しかし今回のロバート・パティンソン演じるバットマンは自分の殻にこもりがちだったり、衝動のコントロールに苦労していたり…という面がこれまで以上に強調されていて、「大人」と呼ぶには未完成な若者として描かれております。自分を心配する執事のアルフレッドにまで心無い言葉を吐いたりして、まるで反抗期の中学二年生のよう。一方で子供や動物には気遣うそぶりを見せたりしていて、「根は悪くない子なんだな」と思わせられます。

もうひとつの特色はこれまでのシリーズの中で最も現実的である点。今回メインの悪役であるリドラーにせよ、町の顔役であるペンギンにしても実際に存在してそうなキャラであります。今回のリドラーのモデルは全米を震撼させた連続殺人鬼「ゾディアック」だそうですし、ペンギンにいたっては暗黒街の顔役にこんなタイプごろごろいそう。はっきり言っちゃうとバットマンが一番現実離れしております。…それはともかく、ブルースはリドラーとの戦いを通してゴッサムという町の抱える闇や社会問題とも対峙せざるを得なくなっていきます。この映画でいま一人バットマンの前に立ちふさがるのが、ペンギンのさらにボスであるファルコーネという男。コミックでは『イヤーワン』『ロング・ハロウィーン』などで重要人物として登場しますが、ぶっちゃけちゃうと名前の通りバットマン版ドン・コルレオーネ=ゴッドファーザーであります。警察内部も脅しと賄賂で掌握し、ブルースとゴードンを悩ませます。権力者の腐敗、それによりもたらされる不公正というのは、珍妙なヴィランよりよほどリアルで手ごわい相手であります。『ザ・バットマン』ではこれまで映画ではそんなに踏み込まれなかった、大都会のコンフィデンシャルに果敢に踏み込んでいきます。

いわゆるDCEUの作品ではスーパーマンと肩を並べ宇宙人と戦うバットマンが描かれました。自分はそういうのも嫌いじゃないですが、やはりバットマンって超自然や超科学の関わらない状況で、地道に町の問題に取り組んでいく姿が一番しっくり似合ってしまうんですよね… というわけでスーパーなヒーローとしてのバットマンはDCEUで、リアルな世界観で犯罪と戦うバットマンはこちらで…とユニバースを分けたのは賢明だと思いました。お子様たちに説明するのがちと難しいですけど。

「キャラクターが多くてストーリーがばらける」という批判もあるようです。しかし自分としては監督は「親を失ったブルース」「親に捨てられたセリーナ」「親のいないリドラー」の対比がやりたかったのかな…と思いました。家庭環境が恵まれなくても前向きに奮闘するものもいれば、ダークサイドに落ちてしまうものもいる。その狭間で揺れる者もいる…ということで。ただペンギンに関しては確かにいる意味そんなにあったかな?と思いました。この後スピンオフも作られるようですし、どうも監督のお気に入りキャラという疑いが晴れません。

ゴッサムについて調べていくうちに、父は本当に清廉だったのか信頼がゆらぎはじめるブルース。けれどもアルフレッドの言葉を信じて、父が目指していたものを自分なりに引き継ごうと成長していきます。バットマンといえば「取り締まる者」「制裁を加える者」というイメージがありますが、この映画では終盤「救出者」「奉仕者」としての面も描くことによってその成長を明らかにします。そういうバットマンってあまり観たことがなかったので、なんか新鮮でありました。

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さて、この時点でもう大概ネタバレですが、以下はさらにネタバレ大全開で好きな要素・ポイントを列挙してみます。

・夕焼け(朝焼け?)を背に浮かび上がるバットマンとセリーナの真っ黒なシルエット

・手持ちの武器が乏しくなった時、胸のシンボルをガチャッと取り外すバットマン。それ、着脱可能だったんだ…と

・警官たちに取り囲まれた際、「俺をなぐってカギを奪え」と小芝居でバットマンを逃がそうとするゴードン警部。自分の首が飛ぶかもわからんのに… おそらくこの前の2年間に色々あったんでしょうけど、そんな二人の絶対的な信頼関係が微笑ましゅうございました。

・その直後、ムササビスーツで滑空したものの、豪快に車両や地面にバウンドしてしまうバットマン。過去の映画でもそうでしたが、蝙蝠モチーフのくせに自由自在に飛べないんですよね。そんな不自由というか不器用なところが好きです。

・アルフレッドと言えばダークナイト三部作までは「じいや」、DCEUでは「叔父貴」という感じでしたが、今回は中二の青年を温かく包み込むようなオカンみに溢れていました。きつい言葉を言われてもじっと耐え、「ちゃんとバランスとってベリーも食べなさい」と健康の心配までする。演じるアンディ・サーキスはこれまでモーション・キャプチャーで怪獣・猛獣・妖怪を名演し、凶器と憤怒の権化みたいな方でしたが、人間体だとこんなに母性豊かになられるんだと…とその役者力に感服いたしました。あとこの人昨年『ヴェノム』続編の監督までやってましたよね。

・ラストシーン。バックミラーでつかの間セリーナの影を追い、きっとむきなおるブルース。こういう一抹の寂しさを感じながらも揺るがぬ決意を感じさせる描写がツボでありました。セリーナが口にしてた「ブルードヘイブン」は初代ロビン=ナイトウィングのホームグラウンドですが、ロビン登場の伏線でしょうか。

全米ではまたしても大ヒットを記録し、ほぼ続編も内定している『ザ・バットマン』。先に『猿の惑星』で神話を見事に完成に導いたマット・リーブスの手腕に期待してます。最後に映像作品を中心に各バットマンのキャラ付けをまとめた表をこしらえてみました。今回初めて闇の騎士に触れた方は今後の作品の鑑賞の参考になさってください。

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March 21, 2022

2022年2月に観た映画

☆『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

これは早くも記憶が薄れつつあるな…w 数年前全員女性キャストでリブートした『ゴーストバスターズ』ですが、今回は80年代のオリジナル版と直結した続編となっています(ややこしい)

これまでは大都会でドタバタお化け退治をする話だったのに対し、今回はさびれ気味の地方の町で、時にしんみりしながら子供たちががんばる話になっています。ぶっちゃけちゃうと「ゴーストバスターズ」というよりスティーブン・キングっぽいんです。その辺は親子の間柄ながらエンターテインメント職人で1・2作目を手掛けたお父さん(アイヴァン・ライトマン)と、等身大の人間ドラマを得意とする息子さん(ジェイソン・ライトマン=今回の監督)の資質の違いからくるものでしょうか。

この作品にとって不幸だったのは、ここ2,3年くらいの間にシリーズ総決算的な作品が続いたもんで、それらに比べると微妙に影が薄くなってしまったこと。少し前にも『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』や『マトリックス レザレクションズ』がありましたし…

個人的にツボだったポイントは専用車両から銃座がガコーン!と飛び出してくるギミック。あれはいい。

 

☆『大怪獣のあとしまつ』

これはちょっと感想が書きづらいな…w 突然死してしまった大怪獣の処理をめぐり日本政府が右往左往するお話です。監督が三木聡氏という時点でふざけた作品になるだろうと予想していたのですが、その独特のお笑いセンスにいら立った方が続出し、公開するやいなやネットでは怒りのコメントが殺到することとなりました。

ただまあわたしは料金分くらいは楽しみました。やっぱり大怪獣は大スクリーンで観た方がいいので。たとえ登場時から死んでいたとしてもです。

以下結末までネタバレで。

 

 

恐らく監督さんは「きちんと後片付けするウルトラマン」を描きたかったのかと憶測します。ウルトラマンっていつも怪獣倒したら速攻で帰っちゃいますからね。ただ最初から変身してさっさと後片付けすりゃいいのに、ラストまでそうしない。これはたぶん「人間体であらゆる努力を尽くしてからでないと変身できない」、『帰ってきたウルトラマン』(通称「新マン」)オマージュなんだと思います。だから主人公の名前が「アラタ」なのでは。どうでしょう。

 

☆『鹿の王 ユナと約束の旅』

東洋的ファンタジーの名手、上橋菜穂子先生の小説のアニメ映画化。『もののけ姫』に関わったスタッフの作品ということで、なるほど背景や美術は目を見張るものがありましたが、この個性的な世界観に入り込むのにいささか努力を要しました。これはいい悪いというより、私個人の好みに負うところが大きいかも。あるいは先に原作を読んで作品世界になじんでおけば、もっとすんなり没入できたのかな? …と言いながら、最後の方ではヒロイン?のユナが泣きじゃくる様が下の姪っ子とよく似てたので、ちょぼちょぼ鼻水が垂れたりしました。あと主人公ヴァンの岩壁のような顔面と、ユナの歯の抜けたキャラデザは割と好きです。

 

☆『さがす』

新鋭の片山慎三監督作品。「凶悪犯を見つけた。捕まえて懸賞金をもらう」と言って、姿を消した父。残された娘は父を懸命に探し求めるが。

力作でございます。ストーリーテーリング、脚本の構成・伏線、キャストの鬼気迫る演技、ラストに残された余韻、全てに深いため息をつかされました。もちろんがっかりして、ということではなく、しみじみ感じ入って…ということです。特にいつも福田雄一作品なのですっとぼけた姿を見せている佐藤二郎氏が苦悩したり闇を見せたりする場面などは、失礼ながら「こんなことも出来るんだ」と感服させられました。

監督はポン・ジュノ氏の助監督をつとめてたこともあるそうで。そのせいか近年の韓国ノワールに近い空気を強く感じました。一方で非情になりきれない作風に慰められたりもしました。

偶然にも『ドライブ・マイ・カー』と共通するところも幾つかあり。妻に先立たれた男が、娘(あるいは娘に似た存在)に救われたり、血の匂いのするイケメンに振り回されたり…などなど。

趣味の悪いところもあるので、そういうのが苦手な人にはすすめられませんが、もしかしたら今年はこれを越える邦画には出会えないかも。

 

☆『アンチャーテッド』

人気ゲームの映画化。これまた記憶がぼちぼちおぼろげ。そんなのど越し爽やかな生ビールのような作品です。

財宝を追って姿を消した兄を追い、トレジャーハンターの青年が怪しげな美術商のおっさんとコンビを組んで、冒険したりバトルしたり…という内容。前半はあまりにも『インディ・ジョーンズ』のそっくりで「もう少しひねろうよ」と思いましたが、クライマックスのシーンでは今まで見たことがないようなビジュアルを披露してくれて興奮いたしました。

 

☆『シラノ』

これまで何度も映像化されたり翻案化されてきた『シラノ・ド・ベルジュラック』の最新バージョン。先に上演された戯曲が元になっていて、シラノと言えば「鼻がでかい」というのが特徴だったのに、今回は小人症という設定になっております。主演は舞台版も務めたピーター・ディンクレイジ氏。様々な作品で名バイプレイヤーとして活躍されてきましたが、メジャー映画で堂々たる主役というのは初めてでは。その点でなにやらほっこりとさせられました。あとあの体でチャンバラとかできるのかな…と思ってましたがこれまた見事にアクションをこなしており、これまた心配ご無用でありました。

ジョー・ライト監督お得意の静謐で美しい舞台背景も堪能。今年のアカデミー賞では衣装デザイン部門にノミネートされています。

 

☆『ナイル殺人事件』

2017年に公開されたアガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』の続編…というか同じシリーズ。冬景色の列車旅行から、今回はトロピカルなエジプトの船旅を楽しむことができます。もちろん連続殺人込みで…

「背景があまりにもCGっぽい」という意見もありますが、こちとら合成ラインが浮きまくってるような特撮で育った世代なので、そういうのは全く気になりませんでした。むしろ少し前にプレイした『アサシンクリード オリジンズ』を思い出してワクワクさせられました。

探偵というのは基本傍観者・観察者であり、こちらの名探偵ポアロも前作ではそうだったのですが、今回は親友が事件に深く関わってしまったこともあって強い葛藤に苦しめられたりします。また、容疑者らの愛の情念を見せつけられて自身のつらい過去を思い出してしまったり。自分はそういう人間味の濃いポアロの方が好きですけど、そのために今回は色々傷ついてしまったようで何やら気の毒でありました。

ちなみに犯人ですが、見事に意表をつかれました。前作『オリエント~』の犯人はあまりにも有名なのでサプライズがありませんでしたが、今回は普通に驚かされました。ただひとつ犯人につっこませてもらえるならば、どうしてポアロを同じ船に乗せちゃったのかと言いたい。自分たちの計画に相当自信があったのかもしれませんが、「世界最高の探偵」を同行させちゃったらどうやったって真相を暴かれちゃうでしょうよ…

 

3月は『名付けようのない踊り』『ドリームプラン』『ザ・バットマン』『仮面ライダーオーズ』『SING ネクストステージ』と観ました。あと『ナイトメア・アリー』『ベルファスト』を鑑賞予定なので。次はその辺の感想を。

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March 02, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る②2月編

『鎌倉殿の13人』も本格的に戦が始まり、だいぶ大河ドラマらしくなってきました。そんな5~8話を振り返ってみます。

 

第5回「兄との約束」

平家方の代官・山木兼隆の襲撃に成功し、初戦を勝利で飾った頼朝軍。だが次なる相手・相模の大庭景親は数で勝る上に挑発合戦でも上を行き、源氏勢は敗走を強いられる。そしてふてくされた頼朝の命で単独行動を取っていた義時の兄・宗時に、不気味な影が迫っていた。

頼朝軍が最大のピンチを迎える「どん底編」の前編。お話が深刻になっていく中、源氏方には申し訳なかったのですが、この回はわたしのご近所の出番が多く大変はしゃいでおりました。特に政子たちが避難する「伊豆山権現(現・伊豆山神社)」は本当に家から近くで、そういえばむかーしの大河ドラマ『草燃える』でもロケに使われてたことを思い出したり。明治までは寺も兼ねてたそうで今は神社なんですけど、ドラマではお坊さんがちょろちょろうろついてましたね。

そして先週予告から死亡フラグを立てまくっていた片岡愛之助氏演じる北条宗時。頼朝とは別の方向で「調子のいいやつだなあ」と思っていましたが、胸の底では熱い思いを抱いていた人だったのですね… そして図らずも最後に交わした言葉が以後の義時のモチベーションになっていきます。

この回のそこそこ重要なアイテム。佐殿が髪飾りに使っていたミニチュア観音

 

第6回「悪い知らせ」

敵のはずの梶原景時に見逃してもらったりして平家の追撃を振り切り、なんとか安房までたどりついた頼朝たち。生き残っていた郎党たちも三々五々、その地に集まってくる。だがいつまで経っても宗時は姿を現さない。そして散々な目にあった頼朝はすっかり戦へのやる気を失っていた。

引き続き地元にスポットがあたっていた「どん底編」後編。佐殿たちがたどり着いた海岸もよく知ってるとこなんですが、あそこから千葉県まで小舟で渡っていくなんて到底無理な話です。それでも必死にこぎまくって渡り切ってしまう坂東武者たち。昔の武士の体力がすごいのか、命がかかっているから超人的な力をひねり出せたのか…

そんなドタバタ劇の最中描かれる、二組の子を失った親の姿に胸が締め付けられました。自分も今度千鶴丸のお墓探して弔ってきますかね…、いや、たぶんもうないか、「伊豆山神社に作った」というのはこのドラマの創作なんでしょうけど。

義時の説得に胸打たれ、思い直して再起を誓う佐殿。それを晴れやかに見つめる法皇様の生霊w 成仏したのか(生きてる)生霊コーナーはこの回でひとまずおしまいとなりました。

この回の重要でないアイテム:政子さんが八つ当たりに蹴っ飛ばしたバケツ

 

第7回「敵か、あるいは」

この辺からアニメ『平家物語』にどんどん追い抜かれていきます。まあちらは全11話なので… 巻き返しを図るには安房の豪族・上総広常を味方に引き入れることが必須と考えた頼朝は、義時と脳筋の和田義盛を使者に使わす。しかし大庭景親もそのことには気づいていて、一足先に梶原景時を広常のもとに送っていた。屋敷で鉢合わせした二組の使者は広常を自分の側につけるため知恵をめぐらす。

傲岸不遜そのものの上総広常を演じるは、三谷ドラマの常連佐藤浩市さん。まんま『新選組!』の芹沢鴨でございました。結局策をめぐらすのではなく、真正面から「面白いこと一緒にやりましょうよ!」と説き伏せる義時君。お兄ちゃんもあの世から喝采を送っていたことでしょう。

そしてこの回から変に神がかってくる佐殿。刺客の襲来を間男してたことで切り抜けたのには爆笑ものでした。そしてキャバクラ戦法では不興を被ることに気づいたのか、逆に一喝することで広常を感服させます。やはりこの男、「何か持ってる」と言わざるを得ません。

平行して登場する佐殿の二人の弟。一人は怪しげな妖術が不発に終わった全成(今若)。そのうち成功してくれることを願います。もう一人の弟はご存じ日本史きっての大スター・源義経。ちなみにこの時点で頼朝(三男)の兄弟は長男・次男・四男・五男が死んでいて、六~九男が反平家軍に加わることになります。

この回の重要でもないアイテム:和田義盛が剃ろうとした眉毛

 

第9回「いざ、鎌倉」

急激に膨れ上がった軍勢をひきつれ、本拠地と定めた鎌倉に乗り込んだ頼朝軍。すっかりいい気になった佐殿は前回知り合った亀の前といちゃつきまくり、郎党から「調子にのってね?」と心配される。そのころ兄の軍に加わろうと南下していた義経とその一党は、ついつい観光地に立ち寄ったりでなかなか合流できないでいた。

「なんかもってるわ」ということで勢いを増していく源氏側。梶原さんやイケメンの畠山重忠、これまでごねてた武田信義までその傘下に加わります。わずか一回でガラッと形勢が逆転してしまうのですから、現実というか歴史は怖いですね… 敵ながら大庭景親や伊東のじさまが気の毒になります。

これまでと違った視点で、しかも説得力ある人物像を描くのがテーマ(のような気がする)の三谷歴史劇。梶原景時などは義経を陥れた卑怯者…というイメージでしたが演じる中村獅童の迫力もあり、なかなか風格あるキャラクターになってます。『新選組!』の時はえらいかっこ悪かったので、その点佐藤さんとは対照的ですね。

そしていよいよ本格登場の九郎君は良くも悪くも空気を読まない衝動的な青年として描かれております。ウサギ一匹のために猟師をコロッとだまし討ちにしたり… Twitterでは「『火の鳥 乱世編』の義経を思い出す」と評判?でした。一方でその天真爛漫さが憎めなかったりもします。源氏と平家、政子と亀の前の激突を予感させてお話は次回へ。

この回の重要のような気がするアイテム:かの山で追われていたウサギと里芋の煮っころがし

 

そういえば平家の面々まだほとんど出てきませんね。3月はその辺を期待してます。

 

 

 

 

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February 28, 2022

2022年1月に観た映画

というわけで『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』以外の1月に観た映画の感想です。今年も一ヶ月遅れがデフォルトになりそうな感じです。

 

☆『レイジング・ファイア』

原題『怒火』。かつて警察組織に裏切られた男は復讐を果たし、同時に大金を得るため大胆かつ非道な犯行を繰り返す。その前に立ちはだかったのはかつて男が慕っていた先輩刑事だった。

この復讐と強盗の両方を一緒にやっちゃおうというのが少々無理があると思いました。案の定序盤こそジョーカーよろしく警察を翻弄していた男(ンゴウ)ですが、欲をかいたせいでどんどん追い詰められていきます。つか、アクション映画監督の皆さん、本当に『ヒート』お好きですよね。自分はたまたま地上波でやってた時片付けものしながら観てたので未だにその魅力があまりわかってないのですが。

ラストの対決場面、二人がえんえんとドつき合ってるのになかなか警官隊が到着しません。「思う存分戦わせてあげてから逮捕しよう」と物陰で待ってた疑いがあります。その優しさに涙しました。

 

☆『マークスマン』

☆『クライ・マッチョ』

2本まとめて。たまたま色々似通ってしまった映画です。メキシコ国境に住む老人があることから少年と共に旅をすることになり、自分の人生を見つめなおしたり、暴力沙汰に巻き込まれたり…というストーリー。

一応アクションもありますが、それぞれの主演(イーストウッドとリーアム・ニーソン)がお年を召されてるせいか、だいぶ控えめ。イーストウッドなんてもう90代ですから出来ることに限界があります。それに比べるとリーアムさんはもう少し動いてましたが、昨年暮れの『アイス・ロード』よりもいたわられてる感じでした。

でもまあお年寄りがよろよろしながら無頼漢を相手にがんばっているのを観てると、俄然応援したくなります。また「ジジイになったらもう家やカネに執着せず、断捨離して若い世代の助けになれや」みたいなメッセージがこめられています。自分はなかなかなモノが捨てられないタイプの人間なのでそんな風になれる自信は全くありませんが、そうできるよう努力はしてみたいです。

『マークスマン』はリーアムさんの去り際にホロホロと泣き、『クライ・マッチョ』は一昔前のメキシコの観光旅行を楽しませてもらいました。あと2作品見比べると今はものものしいメキシコ国境も、かつてはずいぶんのんびりしてたんだな…と感傷にふけってしまうのでした。

 

☆『サンダーバード55/GOGO』

60年大人気を博したSF人形劇『サンダーバード』。今回は残された朗読劇のレコードを元に、新たに3本の新エピソードをこしらえたというから驚きです。ビーグルよりもヒロインのペネロープの活躍が目立ってた気もしますが、まあよいでしょう。第1話の基地の超システムを社会科見学のように案内してくれるくだりなどは、自分の中の小学生がキュピーン!と目ざめて大興奮しちゃいましたし。そして何より「人形劇の映画」というのがワン・アンド・オンリーというかめちゃくちゃ貴重なのであります。

 

☆『ハウス・オブ・グッチ』

『フォックスキャッチャー』や『アメリカンスナイパー』のような「欧米の人々はみんな顛末を知ってるんだろうけど、我々は知らない」実録ものの1本。ブランドの帝王グッチ家の内部で、どんなドロドロしたスキャンダルが繰り広げられてたのだろう…と週刊文春のえぐい記事を読むようにワクワクして臨みました。で、大変面白かったのですが、そのあまりの無情さにどっと疲れました。やっぱ文春なんて読むもんじゃありません。

レディ・ガガ演じる嫁も、最初から富が欲しかったわけじゃないと思うのです。普通のアパートでのんびり暮らしてた時代はそれはそれでとても幸せそうでしたし。地位と莫大な財産が彼女を変えてしまったのか。やっぱお金は人を狂わせるな… でもお金欲しいな… でもお金は人を(繰り返し)

 

☆『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊』

タイトルなげええええええよ!! 熱心なファンを持つウェス・アンダーソン監督の最新作。「フレンチ・ディスパッチ」という架空の雑誌の1号分をまるごと映画化するという、これまたキテレツな作品。雑誌と言っても文〇みたいな下世話なものではなく、『BURUTUS』みたいな趣味の世界に没頭しているような本…かな?

相変わらずおもちゃ箱のような凝った絵作りに感心させられます。ただ彼のおもちゃ箱というのはとっちらかってなくて、配置とか構図とか綿密に計算されてるんですよね。そういうところはアートでもあるのですが、自分はやはり遊び心の方を強く感じます。

そんなわけで今回も十分に楽しませてもらいましたが、オムニバス形式ゆえかシャッキリしてる時に観ないと猛烈な眠気に襲われるやもしれません。

ちなみに自分のアンダーソンベスト3は『グランド・ブダペスト・ホテル』『ダージリン急行』『ファンタスティックMr.フォックス』。『フレンチ~』はその次くらいに気に入りました。

 

次回は『鎌倉殿』レビュー2回目。そのまた次に『ゴーストバスターズ/アフターライフ』『大怪獣のあとしまつ』『鹿の王』『さがす』『アンチャーテッド』『シラノ』『ナイル殺人事件』の感想を一気に書けたらよいのですが。

 

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February 15, 2022

僕の前に道はできる ジョン・ワッツ 『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』

Dsc_0130 一本の映画でひとつの記事を書くのもこれまた本当に久しぶり。本日ははやくも2022年の映画ベストワンになってしまいそうなMCU最新作にしてジョン・ワッツ版スパイダーマン完結編『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』を紹介いたします。

前作ラストでヴィランのミステリオにより正体を暴かれ、殺人の濡れぎぬまで着せられたスパイダーマン=ピーター・パーカーはメディアの猛バッシングを受けることに。そのせいで恋人MJや親友ネッドの大学進学まで絶望的になってしまい、責任を感じたピーターは戦友の魔術師ドクター・ストレンジに、魔法の力で人々の記憶から「スパイダーマンの正体」を除き去るよう頼み込む。願いを聞き入れたストレンジだったが、ピーターの注文が細かかったために魔法は失敗。それどころか平行世界からスパイダーマンを憎む者たちを呼び寄せることになってしまう。

以後、さらにどんどんネタバレしていくのでご了承ください。

今回の元ネタのひとつは2007年に発表されたコミック『スパイダーマン/ワン・モア・デイ』。「シビルウォー」事件において世界に正体を明かしたピーターですが、そのことがきっかけで彼に恨みを持つヴィランがメイおばさんを殺害するという悲劇が起きます。己の行為を悔やんだピーターは悪魔メフィストと取引をし、自分の正体を忘れさせることとメイおばさんを生き返らせることの代償として、MJとの結婚をなかったものにしてしまう…というストーリー。この作品は発表当時賛否両論…というか圧倒的不評を持って迎えられました。そんな黒歴史を巧みにアレンジして全米歴代3位はほぼ確定なほどにヒットさせてしまうMCUスタッフには恐れ入ります。

それはともかく、今回の『ノー・ウェイ・ホーム』はスパイダーマンというヒーローの特質をよく表していたと思います。そのひとつはスパイダーマンが「いつも犠牲を払っている」ヒーローだということ。軽口叩いて陽気なイメージのあるスパイディですが、映画作品ではどれも何かしらの悲劇に見舞われています。それは親しい人を辛い目に合わせたり、死なせてしまったり、あるいは私生活が忙殺されたり…ということです。それでいて彼がいい目を見ることはほんのちょびっとしかありません。ヒーローなんてやってても正当な報いを得ることなんてほとんどない。それでもピーターは自分の信念を曲げませんし、生き生きと活動を続けます。

もうひとつの特質はスパイダーマンはレスキューマンであること。アメコミヒーローも数多くいますし、その目的や動機も実に様々。で、スパイダーマンが活動するのは悪を倒すことや組織の命令ではなく、困っている人・死の危険に見舞われてる人を助けること。それがたとえヴィランであってもです。今回の事件なんてパニッシャーが当事者だったら秒速で箱のスイッチが押されてあっという間に解決する話です。ストレンジ先生も冷たく「それが運命だ」と言います。それでも断固として彼らの命をあきらめないピーター。簡単に人命が諦められてしまう今のご時世ならばこそ、そんな少年の純真な姿は胸を打ちます。

さて、これからがいよいよこの作品のキモとも言えるネタバレ部分ですが…

 

 

マルチバースの扉が開いてやってきたのは旧作品の悪役だけではなく、2002年から始まった元祖スパイダーマン(トビー・マグワイア)と、2012年から2014年にかけて作られたアメイジング・スパイダーマン(アンドリュー・ガーフィールド)までもが集結します。これ、公開前から噂にはなってましたが、本当に実現するとは思いませんでした。ガーフィールド君なんて「僕はその映画に出る予定ない」なんて公言してたし… だましやがったな!! いや、だましてくれて本当にありがとうw

第1作からリアルタイムでこのシリーズを追いかけてきた自分にとって、このコラボは本当に心躍るものでした。そしてこれ、今のスパイダーマンだからこそ成しえた企画かもしれません。トビーもアンドリューもまだ健在で、さらにヴィランの面々も含め、ファンが狂喜するであろうことを望んで出演を快諾してくれました。これがスーパーマンやバットマンだったら演者に故人もいますし、「大人の事情」で出てくれなそうな方もいます。

また、この映画が素晴らしいのは、好きだったのに中途半端に終わってしまった映画、続編のキャラたちも、私たちが知らない・見られないだけでどこかの時空で変わらず元気にやってるんだな、と実感させてくれたところです。スパイダーマンも元祖・アメイジング共に「この後大丈夫かな?」と不安が残る状態でシリーズ終了となっていました。それが久しぶりに「本人」がスクリーンに登場し、「なんとか元気でやってるよ」と安心させてくれたのですからこれが泣かずにおられましょうか。

泣かずにおれない、といえばトム・ホランド演じるピーターの最後の決断も胸を締め付けられました。またしても大きな犠牲を払わされるスパイダーマン。しかしその顔は意外にも晴れやかです。この世界の誰からも忘れられようと、平行世界で同じようにがんばってる兄弟がいることを知って励まされたのでしょうか。

アメコミ映画によくあるエピソードのひとつに「ヒーローが恋人にだけ正体を明かす」というものがあります。まあ東西を問わず中二少年の妄想がたぎるシチュエーションです。しかし前作でそれをやらかしたピーターは、今回MJのためを思いもう一度それを繰り返したりはしません。相手の平穏を願い自分の望みを捨てた時、人は大人になるのでしょう。スパイダーマン「ホーム3部作」は少年が幾つかの出会いと別れを繰り返し、大人に成長していく物語だったのだと思います。

このシリーズに欠かせないポッチャリ二人組、ネッドとハッピーにも大いに泣かされました。特に今までお笑いしか提供しかしてこなかったネッドに泣かされるとは思わなかった… そしてMCU1作目から登場しヒーローを支え続けてるハッピー。これでお別れみたいなムードが漂ってましたが、これからもこのユニバースの顔であってほしいものです。ただ中の人ジョン・ファブローも映画に出演する傍ら、監督作も待機しててスターウォーズのドラマのプロデューサーもやって料理番組も司会して、過労で死なないか本気で心配です。人のことは言えませんがなかなか不健康な体型してるし… もう少し健康に気を使って末永く活躍していただきたいものです。

果たしてこれから映画スパイダーマンはどこに向かっていくのか。トムホ君もソニー・マーベルの首脳陣もまだ具体的なことは言及してませんが、自分としては3作くらいソニーのヒーロー世界に出張させて、ヴェノムやマイルズ・モラレスとの共演作でも作れば盛り上がると思います。ソニーさん、この企画5千円くらいで買いません?

さしあたって再来月にはソニーのユニバースで『モーヴィウス』が、5月には今回やらかしてくれた『ドクター・ストレンジ』の新作が公開予定。秋にはアニメ作品『スパイダーバース』の続編が二部作で待機しています。スパイダーマンの世界はクモの巣のようにまだまだ広がっていくようです。

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February 06, 2022

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る①1月編

今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』があまりに楽しいので、実に『天地人』以来13年ぶりとなる大河レビューを書いてみます。途中で挫折する可能性大ですが… 

 

第1回「大いなる小競り合い」

時は西暦1175年。伊豆の豪族・北条時政が都での勤めを追え、数年ぶりに領地に戻ってくるところから話は始まります。その祝賀会の最中、伊東祐親の屋敷で養われていた流人・源頼朝が北条の屋敷を来訪。伊東の娘・八重に手を出して祐親の逆鱗に触れた頼朝は、北条にかくまってほしいと頼みこむのだが…

冒頭で義時が馬に誰かを乗せて走っている場面、妙に作り物っぽかったので頼朝に似せたダミー人形なのでは?と思っていましたが普通に本物でした。一話で一番印象に残ったシーンと言えばやはりこの大泉洋氏演じる頼朝が「姫」に扮して逃亡しようとするところ。コメディ作家三谷幸喜氏の本領とも言えるくだりであります。一方頼朝と八重の子どもである千鶴丸はあっさり…となってしまい、時代性とはいえその無情さに戦慄いたしました。題材が題材なのでこれからいくらでもえぐいエピソードが出てくると思うのですが、それにいかに調和よくユーモアをまぶしていくかがこのドラマの課題のひとつでしょう。北条氏・伊東氏・三浦氏の関係は全然わかっていなかったので勉強になりました。あとラストで各地の群雄が順々に紹介されてくところはテンションあがりました。

この回の重要でもないアイテム:時政が都から持ってきた定員割れのお土産

 

第2回「佐殿の腹」

北条と伊東の衝突は突如として現れた相模の豪族・大庭景親の仲裁により回避される。これにより頼朝は正式に北条の客人となることが決定。時政の娘・政子は雅な頼朝にすっかりぞっこんになってしまい、波乱を予感した弟の義時は頭を悩ませる。

このドラマでまず上手いな~と感じたのが、どこまで本気でどこまでノリで言ってんだかわからない、頼朝の実に適当な人物造形。これまで頼朝といえばくそ真面目で陰気そうに描かれるのが定番でしたが、斬新なうえにやけに説得力があります。で、風貌も性格もすっとぼけた感じなのになぜかよくもてる。こんな大泉さんかつてあったかしら?と思いましたが大河『真田丸』でも三角関係の一点にありました。

さんざんぶーたれてたのに「お前が頼りだ」と力強く言われるところっと心酔しちゃう義時君。この時まだ15歳なので純真なんでしょうね。近所の湯河原での入浴シーン(男のみ)、薄衣羽織って温泉につかるところが面白かったです。「13人」の一人である比企能員が初登場。この名前読めね~

この回の重要でもないアイテム:政子さんが丁寧に小骨をのぞいて作ったアジ料理。伊豆のアジの干物はおすすめです。

 

 

第3回「挙兵は慎重に」

あっというまに5年の月日が経ち(飛ばされた部分はアニメ『平家物語』でどうぞ)、頼朝は政子との間に一子をもうけ、すっかりマイホームパパとして落ち着いてしまっていた。ところが平清盛を苦々しく思う後白河法皇の息子・以仁王が打倒平家を掲げて挙兵。全国の反平家勢力にむけて参戦するよう文を送る。頼朝と北条は戦いに加わるべきか判断を迫られる。

この回も珍エピソードが色々ありました。まず『ステキな金縛り』よろしく頼朝の夢枕に立つ法皇様。このドラマは法皇様を超能力者か陰陽師とでも思っているのでしょうか。次いでうさんくさい山師丸出しの文覚上人。演じるは大河『風林火山』で武田信玄だった市川猿之助氏。だいぶ雰囲気が違います。この文覚さんも良く知らなかったんですが、調べたらかなり波乱の人生だったようですね。

そして頼朝に決起を促した一通の文。「慌て者の早とちりが歴史を動かすこともある」ということで。以仁王を演じたのは現ジャイアン木村昴君。「大河に出るのが夢だった」とのことですがその出番はあまりにも…

この回の重要でもないアイテム:文覚さんがもってた限りなく信頼性の薄い義朝公のしゃれこうべ。「他にもある」そうなので。あと堤さんが踏みにじった北条家自慢の夏野菜

 

 

第4回「矢のゆくえ」

ついに挙兵を決意した頼朝。だが集まるはずの兵は予想より大幅に少なく、不安は増すばかり。とりあえず初戦に勝てばおいおい人も増えるだろうということで、第1戦のターゲットを代官・山木兼隆に定める。討ち漏らさないよう山木が確実に屋敷にいる日を義時はなんとか探ろうとする。

最初はごねてたくせに、やってきた坂東武者たちに「あなただけが頼りなの」とハグしまくる佐殿。某所で「キャバクラ幕府」と揶揄されておりましたが、これ『吾妻鏡』にも記されてるれっきとした史実なんだそうです。それはともかく続々と味方に加わる陽気なヘンテコキャラたちがなかなか楽しい。三谷さんはこういうの得意ですよね。ただ数も質も頼りないことこの上なく、こんなんで天下の平家に勝てるとはとても思えず。わたしらは歴史知ってるからいいけれど、佐殿や義時の心細さが痛いほどに察せられました。

男たちが戦の準備の盛り上がっている裏で、頼朝のことを忘れられずなんとか助け出そうと苦慮する八重さん。地元紙では彼女を主人公にした小説が連載されてたこともありますが、ドラマでスポットがあたることは大変珍しいのでは。ガッキーこと新垣結衣さんがキツめの性格の役をふられるのもちょっと珍しいですね。

戦の前にびびる義時に声をかける父さん・兄さんのシーンが微笑ましくてようございました。これから首チョンパしにいくわけですけど。

この回の重要なアイテム:源平の戦の端緒となった二本の矢

 

…こんな感じで。根性が続けばまた来月。

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January 25, 2022

2021年12月後半に観た映画

年も改まりまして、ようやく今年最初の更新であります。内容はまだ昨年をひきずっておりますが… そんなわけで昨年どん詰まりに観賞してた5本の感想をさらっと。

 

☆『マトリックス:レザレクションズ』

これまでも度々噂されてた『マトリックス』シリーズの続編が、18年の歳月を経てついに実現。人類の都市「ザイオン」を守るため、宿敵とも言える「マトリックス」に自らを捧げたネオ。それから月日は経ち、別人としてある世界で暮らしていた彼は、最愛のパートナー・トリニティと再会を果たす。だが彼女は以前の記憶を持っていなかった…

今回の新作のためにがんばって前3作を復習いたしました。いやあ、小難しかった。それはさておき前までは「生きるか死ぬか・やるかやられるか」的な、殺伐としたムードに包まれていた本シリーズ。監督の心境の変化でもあったのか、今回はずいぶんと和やかなタッチになっておりました。不倶戴天の敵とも言えたエージェント・スミスとネオがジャンプの漫画のように共闘しちゃってるし、そもそも黒幕とも言えるマトリックスのプログラムが「ネオに死なれると困る」なんて言ったりしてます。

わたくしマトリックスというのは倒さなきゃいけないファシスト政権だとばかり思い込んでいたのですが、そうじゃなかったんですね。我々に夢を与えながらエネルギーを吸い取るような存在…娯楽産業のほうがよりその実態に近い。この二十年でネットとゲームが発達したことにより、ほとんど動かないで様々なエンターテインメントが楽しめるようになってしまいました。それにどっぷりつかりすぎると危険ですが、日々を生きていくための潤いでもあるわけです。というわけで今回も人類とマトリックスの関係は煮え切らない感じで終わってしまいましたが、不思議とそれが心地よかったです。

これをもって新たなシリーズが開始するとか、そういうことはなさそうです。シリーズを愛してきた人たちへの、二十年後のサプライズ・プレゼントのような作品でした。

 

☆『皮膚を売った男]

事情で故国シリアから欧州へ亡命してきた男が、恋人に会うために国境を越えようとするも金と法に阻まれてしまう。そこで彼はある芸術家の提案にのり、自らの背にタトゥーを彫らせ「美術作品」となって「展示」されることで願いをかなえようとする。

まるで現代のおとぎ話のような映画ですが、これ実話からインスパイアされたお話なんだそうです。アーティストって「芸術のためなら」と、時々えらく傲慢になることがありますよね。そんな傲慢さがよく現れた作品。そして被害者である彼も、その恋人も、芸術家の秘書もみんな自分のことばかり考えていて微妙に好きになれません。ところが最後の方になってくると、なぜかそれらの登場人物に愛着がわいてきてしまったりして。

ラスト数分は削った方が衝撃的だし政治的メッセージもよく伝わると思うのですが、さわやかな気持ちで映画館を出られるようにしてくれた監督に感謝です。

 

 

☆『キングスマン/ファーストエージェント』

当初の予定から2年も遅れて公開された悲劇の作品。マシュー・ボーンが生み出したトンでもスパイ組織「キングスマン」の成り立ちを描いた内容。当然いつものようなオチャラケバトルがえんえんと展開されるのかと思いきや、第一次大戦の前線のパートで突然笑うに笑えない沈うつなエピソードが入ってきます。まるで木多康昭先生の漫画みたいでした。

そんな風に戸惑うところもございましたが、この時代の実在の怪人たちがレトロな背景&アナログなガジェットで縦横無尽に暴れまわるのはやはり楽しい。特にリス・エヴァンス演じる怪僧ラスプーチンは本物そっくりでした(本物見たことないけど)。正編の第3作と同時に、この前日談の第二部も構想されてるとのこと。今度は第二次大戦が舞台となるのでしょうか。実現するといいですね…

 

 

☆『モスラ』(1961)

『ゴジラ』『ラドン』と並び称される伝説の怪獣映画。「午前10時の映画祭」のおかげで4K修復版をスクリーンで拝むことが出来ました。モスラが出てくるまでがなかなかに長いのですが、そこは秘境探検物として楽しむことが出来ました。

主演をつとめるフランキー堺氏が行動力抜群で、記者なのに悪漢を相手に引けをとらなかったりなかなかにかっこいい役回り。とはいえやっぱりその風貌のせいか、ユーモラスな空気を漂わせております。

ゴジラと違うのはモスラはアイドルであり愛でるべき存在ということですね。自衛隊の砲火が浴びせられたりするととても痛々しい気持ちにさせられます。ゴジラだったらあれくらい屁でもないのでしょうけど。一方でその機動力でもってアメリカ(劇中ではロシリカ)まで飛んでいって大暴れするあたりはさすがに大怪獣でした。

 

 

☆『劇場版 呪術廻戦0』

人気コミック『呪術廻戦』の前日談を劇場アニメ化。超ド級の怨霊「折本里香」に取りつかれていることで、同級生に重傷を負わせてしまった高校生・乙骨憂太は、その力を人の役に立てるよう使うため、また里香の呪いを解くために呪術を学ぶ「呪術高専」の門を叩く。

原作は読んでたのですが、取り立ててそれほどのインパクトは受けませんでした。だのに迫力ある効果と声優さんの力強い演技が加わるとまるで別物のように興奮・感動してしまうから面白いですね。それともやはりそれだけのポテンシャルを秘めた原作だったということでしょうか。

邦画の定番ジャンルに純愛ものとホラーがありますが、食い合わせが悪いようで、上手に掛け合わせるとお互いを引き立てるようなアクセントになるんだな…という発見がありました。

自分が特にひきつけられたのは正ヒロイン?である里香ちゃん。いわば主人公のバディであり恋人とも言える存在ですが、エイリアンじみた外見といい玉藻の前がモブに見えてしまうほどのパワーといい、何から何までが規格外です。本当にこんなキャラよく考え付いたなあ… ちょっと前例が見当たりません。このカップルに比べたらエディとヴェノムは全然普通でしたね。こちらはこちらで微笑ましくて好きですが。

おじさんですけど乙骨君の「あいつを倒したいんだ。その後はもう何もいらない」や、夏油さんの「最後くらい…」には涙と鼻水を搾り取られました。我ながらちょろい。ただその辺にやられた人は多いようでぼちぼち興行収入が100億円に達しそうです。

 

やっとこ昨年の宿題が終わりました。次回は『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』で1本書くか、『レイジング・ファイア』『マークスマン』『クライ・マッチョ』と抱き合わせで書くか…というところです。

 

 

 

 

 

 

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December 30, 2021

2021年、この映画がアレだ!!

はい、アレです。今年スクリーンで鑑賞した映画のうち上位30本とその他少々を振り返ってみます。まずは順序良くどん尻から。

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☆ワースト:『ビバリウム』

この映画が公開された時期は何本か主人公たちが無理ゲー的状態に追い詰められる作品があったのですが、それらには大体登場人物への「愛」がありました。対してこの映画には全くそれが感じられません。作品の出来や美術はともかくそういった意地悪極まりない視点が嫌いです。

ワーストで思いつくのはこれくらいかな… 

つづいて特別賞

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☆リバイバル部門 川本喜八郎・岡本忠成特集上映

人形アニメーションのレジェンドお二人のそれぞれ没後10年・30年を記念し、4K修復された作品群の特集上映。特に岡本先生の『チコタン』は改めてトラウマを刻みなおされ、『おこんじょうるり』は涙と鼻水を搾り取られました。本当に(いい意味で)ひどい。企画スタッフに感謝でございます。

 

では上位30本を下から順に

第30位 『夏への扉』 今年の猫映画ベスト

第29位 『ジャスト6.5 闘いの証し』 麻薬はイラン!

第28位 『モンスターハンター』 君たちの戦いはこれからだ!

第27位 『燃えよ剣』 試衛館から五稜郭まで2時間半1本勝負!

第26位 『ゴジラvsコング』 ウホッ いいゴジラ! 豪雨の中ビビりながら観に行きました…

第25位 『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』 風間くん、まだ生きてる!

第24位 『アイス・ロード』 リーアム・ニーソン寒冷地三部作完結編(かどうかは知らない)

第23位 『キーパー ある兵士の奇跡』 奇跡のあとはトラウマが待ってます…

第22位 『ガンズ・アキンボ』 ハリー・ポッターと死の遊戯

第21位 『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』 デッドショットさんのことも時々は思い出してください

第20位 『とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー』 ♪ぷいぷい~ かけまわれ~ ぷいぷい~ べそをかけ~

第19位 『クーリエ 最高機密の運び屋』 あの雑誌とは関係ありません

第18位 『ノマドランド』 本年度アカデミー作品賞受賞作。競った『ミナリ』も車がおうちの話でした

第17位 『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』 現場で足場を壊されると大変困ります!

第16位 『コンティニュー』 バトル・アクションとタイム・リープの見事な融合

第15位 『ドライブ・マイ・カー』 観ておいて、よかったとは思っているよ。やれやれだ

第14位 『東京リベンジャーズ』 ヤンキー・アクションとタイム・リープの見事な融合(またか) 日本でタイムリープすると大体青春が絡んできますね

第13位 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 2部の予定、はよ!!

第12位 『返校 言葉が消えた日』 かえってきた『ク―リンチェ少年殺人事件』。台湾も昔から和やかな国ではなかったという…

第11位 『シャン・チー』 つかもうぜ! ドラゴンリング!!

 

この辺は割と順位決め適当で特に16位~30位あたりは数日後考えたらまた順位変わってるかもしれません。

ではいよいよベスト10です。

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第10位 『マトリックス レザレクションズ』

色々ロングシリーズが終わった2021年。これもその1本…というか18年前に一応終わってたんですが、ひょっこり付けたしのように戻ってこられました。兄弟監督が姉妹監督になったり、そんで今回は姉のみが関わってたり、作風がずいぶん丸くなってたりするあたりに時の流れを感じました。

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第9位 『エターナルズ』

今年を代表する監督を一人選ぶとしたらクロエ・ジャオ監督になるかと思います。オスカーを獲得した『ノマドランド』や『ザ・ライダー』とはだいぶ毛色の違った作品のようで、根底に流れている暖かな視点や雄大な自然を背景とする美術には確かに通じるものを感じました。アメコミ映画の新たなる可能性を切り開いた1本でもあります。

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第8位 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

2006年から始まったダニエル・クレイグの007もこちらで完結となりました。コロナ禍で1年延期になってしまいましたが、じらされた分かえってこの結末が一層感慨深くなってしまった気はします。アマゾン・プライムで配信中のドキュメンタリー『ジェームズ・ボンドとして』と併せて観るとさらにこみ上げてくるものがあるかもしれません。ボンド役に彼が決まった時、本当に非難轟轟だったのですね… それを実力で跳ね返しシリーズに革新をもたらした功績に拍手。でも次回作でもクレイグさん続投を希望します。この際CGでもいいです。

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第7位 『DUNE/デューン 砂の惑星』

今年の秋は二時間半くらいのポンポさんが怒りそうな話題作が立て続けに公開されたのですけど、その中で自分が一番好みの作品を挙げるとするならこれかなあと。「続きは1作目の売上次第」という製作にもサンドウォームの襲撃と同じくらいスリルを感じました。またこれと併せて伝説の(笑)リンチ版も見たのですが、35年の技術の差と同じ話でこうも演出が変わるんだなあ…ということが感じられて大変面白い映画体験となりました。

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第6位 『ブラック・ウィドウ』

約2年の空白の後、ついにスクリーンに帰ってきたMCU。その間自分がいかにこのシリーズに支えられてるか…ということがよくわかりました。これを皮切りに下半期はどやどやとアメコミ映画が公開されましたが、「おかえりなさい」の感動が大きかった本作品が今年のアメコミムービー第1位です。スカーレット・ヨハンソン(スカヨはん)も卒業おめでとう&訴訟お疲れさまでした。

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第5位 『劇場版 呪術廻戦0』

昨日観たてホヤホヤの映画。それだけにまだ正式な評価があまり定まってない気もするのですが、今年の〆にふさわしい興奮と感動を与えてもらったので勢いで第5位。邦画お得意のジャンルにアニメ、純愛、伝奇アクション、ホラーがありますが、それらを全部混ぜ合わせてしかも面白い。原作既読の身でもそう感じました。

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第4位 『ラーヤと龍の王国』

公開時TOHOとデ〇ズニーが大喧嘩したためあおりをくって注目をあびなかった不遇の作品。最近のD社の作品は土壇場で「いい人が実は極悪だった」と明かされるパターンが多いですが、こちらはそれを前提としてるという新しい試み。ラーヤが「わたしが一歩を踏み出す」というシーンは思い出すだけで鼻水が垂れます。おじさんこういうのダメなんです。

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第3位 『竜とそばかすの姫』

本年度興行収益も第3位。細田監督の作品というのはいびつな部分も欠点もそれなりにあるんですが、不器用ながらもいま一番情熱と本音が伝わってくるアニメ作家であります。この作品を通じ中村佳穂さんの透き通る歌声にあえたのもよかったです。来年は新海監督の新作がスタンバイ。ジブリの衰退が著しい今、この二人に加えもう一人ビッグスターの登場が欲しい所です。そいで1年ごとにローテーションが組めたら理想なんですが。

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第2位 『JUNK HEAD』

ポッコリーノ ペッコリーナ ポッコリーノ ペッコリーナ サーイ ナーイ タイカイ ゼー ダンボー! ビンビンパンパン ビンビンパンパン ビンビンパンパン ビンビンパンパン…

 

そして2021年度のトップです。

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第1位 シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』

傷ついた友達さえ 置き去りにできるソルジャー…ってなかなかひどい歌詞ですよね。いや、そうじゃなくて。

やっぱりTVシリーズ1話からリアルタイムで観てた身からすると、このエヴァがちゃんと誰からも祝福される形で完結したというのが2021年の何よりもビッグイベントだったのでした。この25年間、「エヴァの完結編が微妙だった」という悪夢に何度悩まされたことか… 公開日の『エンドゲーム』以来の超殺伐としたネットの空気も懐かしく思い出されます。

『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』も控えている庵野監督。10年後くらいに『劇場版シン・シン・エヴァンゲリオン』でまたなつかしい面々に会えますように(やめましょう)

というわけで1~5位までがすべてアニメ作品になってしまいました。自分ももうかなりいい年ですしもう少し情操とか教養とか身に着けたいものです。

まだコロナウィルスが予断を許さないところではありますが、来年もいい映画、楽しい映画に出会えますように。では皆さまよいお年を。

 

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