July 20, 2021

4~6月に観た個性的なアニメ映画について

忘れたころのブログ更新… 今回は春ごろに観たアニメ映画4作品についての備忘録であります。

 

☆『RED LINE』

10年前に作られたSFアニメ。そんなにメジャーでもないのに今回10周年記念上映などやっていたので「それほどのものなのか…」と思い観てきました。手短に紹介すると宇宙を舞台にした『チキチキマシーン猛レース』ですね。それに恋愛と友情と怪物と国家の陰謀と男の意地やらなんやらが絡んで大したてんこ盛り状態でした。

とはいえメインとなるのはあくまでレース。多少の物理法則は気合と勢いで全てふっとばす、迫力に満ちた作画と動きを堪能させてもらいました。このノリ、いかにもTRIGGERっぽいな…と思ったらやっぱりスタッフに今石洋之氏やすしお氏の名前がありました。というわけでプレTRIGGER的な作品としても楽しめるかも。

 

☆『JUNK HEAD』

日本ではめずらしいストップモーションアニメ。製作に7年を費やしたそうです。人類が生殖能力と引替に無限の寿命を得た世界で、一人の青年の秘境と化した地下世界での冒険が描かれます。ギレルモ・デル・トロやシュバンクマイエル、『エイリアン』に通じるグロセンスに加え、それらに独特なキュートな造形も混じっているところに強い個性を感じました。

万人に受ける作品じゃないと思うんですが「お好きな人にはたまらない」ものがあり、自分などはついつい3回も観に行ってしまいました。そういう一種の中毒性を有しております。

ちなみに3部作構想とのことで今回はお話の途中で突然ぶつっと終わります。続編を待望する一方でこのまま終わったらそれはそれで美しいかな、とも

 

☆『トゥルーノース』

フルCGスタイルで北朝鮮の強制収容所の実態を描いた異色の作品。なんで実写でやらんのか…と思いましたが、実際に収容所のセット作ったりたくさんの朝鮮系のモブキャストを集めるよりかはこの方が安上がりだったからかもしれません。

どうしても戦後まもなくっぽいような印象を受けてしまいますが、これ21世紀に入ってからの時代設定のようで。父が反政府活動を行っていたために地獄のような環境に放りこまれながらも、純粋さを失わず他の人のために行動する兄妹の姿に心打たれます。

完全な実話ではないものの、多くの人の証言を元に作られた映画だそうで。希望を捨てないことがテーマとなってはおりますが、彼の地で苦しんでいる人たちがいつか解放される時代は来るのだろうか…と重い気分にさせられました。

 

☆『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

上半期最も楽しみにしていた作品のひとつ。日本を代表する大河アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズの最新作です。

鑑賞前に原作を読んだとき「これ、映像というか娯楽にはむかない話だよなあ…」と思いましたが、原作にかなり忠実であるにもかかわらず絵の美麗さに圧倒されてしまって、気がついたら1時間半経ってしまいました。ガンダム=ロボアニメの方式というより京アニの文法で作られております。

監督がインタビューで「ロケハンに行けてないので2作目の進行が遅れている」とおっしゃってたのですが、ガンダムにロケハンって必要なのか??と思わずにはいられませんでしたw まあこれまでのシリーズはされおいて、『ハサウェイ』はそれが必要不可欠なスタイルで作られているということですね。ですから宇宙空間の未来未来した光景はごくわずかで、あとの背景は我々の世界とそんなに変わりが無く。唯一の違いはその世界に時々モビルスーツが大暴れすることです。

主人公がいわゆる「テロリスト」である点も思い切った要素のひとつです。主人公は純粋なんですがその過激な行動は「2.26事件」か日本赤軍のそれを連想させます。対する連邦政府は連邦政府で骨の髄まで腐敗しきっていたり。そんなどこにも正義のない戦いにひきながらも、いきいきとしたキャラクターたちの躍動に目を奪われてしまいました。

これまた3部作の1作目。できれば「衝撃の結末」は変えてほしいんですが、これを見た限り監督さんは原作どおりやる気満々のようです。む~~~ん…

 

次回は4,5月に見た作品でまだ感想を書いてない『21ブリッジ』『ジェントルメン』『ファーザー』などについて書く予定です(いつのことやら)

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June 27, 2021

3~6月に観た無理ゲー映画

気が付けば今年もぼちぼち半分終了。春からなんだか平凡な男女が異常な無理ゲ―状況に追い込まれる映画を幾つか観たのでまとめて紹介します。

 

☆『ビバリウム』

これは前にも書いたんだけど。デンマーク・ベルギー・アイルランド合作の閉じ込められ系映画。ある若いカップルが建売住宅の見学にいったらその住宅地から出られなくなってしまう。赤子と共に届けられメッセージカードには、その子を育て上げれば解放されるとあるのだが…

藤子FとAを足して割ったような不気味なムード。

個人的面白さ…D 無理ゲ―度…C 監督の人の悪さ…A

 

☆『ガンズ・アキンボ』

元ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフ君のキワモノシリーズ?最新作。イギリス・ニュージーランド合作のデスゲーム系映画。オンラインゲームの荒らしを趣味にしていた青年がゲームの主催元から怒りを買い、両手に銃をくくりつけられて百戦錬磨の殺し屋ガールと戦わせられるという話。「両手に銃固定」ってかっこい気もしますけど日常生活には大変不便ということがよくわかるお話。絶体絶命勝ち目なしの状況からお笑い混じりで脱出する過程が楽しゅうございました。

個人的面白さ…A 無理ゲ―度…B 監督の人の悪さ…B

 

☆『パーム・スプリングス』

サンダンス映画祭で「史上最高の落札額」で買われたと評判の映画。タイムリープ系。それぞれ恋人と妹の結婚式でパームスプリングスに来た男女が、あることがきっかけでその日一日を無限に繰り返すことになってしまう。

死亡シーンはいっぱい出てきますが今回紹介した5作品の中では一番なごやか。ふわふわとした陽気な状況ならずっと繰り返したっていいじゃない…と思いつつやっぱり重苦しい気分にさせられます。

個人的面白さ…C 無理ゲ―度…C 監督の人の悪さ…E

 

☆『ザ・スイッチ』

タイムリープ系の傑作ホラー『ハッピー・デス・ディ』監督で名優マイケル・ランドンのご子息であるクリストファー・B・ランドン最新作。自分をいけてないと思っている女子高生とジェイソンみたいな連続殺人気が入れ替わってしまう話。

サイコキラーのお話なんですけど『ハッピー~』の監督だけあっていまいちお話に緊張感がない。というかむしろ笑えます。そんななんで最後はどうせうまいこと解決するんやろ~と安心して見てられました。それにしてもホラーと同時に恋愛・友情・親子の絆も描こうとしていくら何でも盛り付けすぎ。まあ面白かったからいいです。

個人的面白さ…B 無理ゲ―度…B 監督の人の悪さ…D

 

☆『コンティニュー』

『Aチーム』『THE GREY』のベテラン、ジョー・カーナハン監督最新作。タイムリープ系。お気楽な傭兵が元妻が陰謀に巻き込まれたことをきっかけに、謎の殺し屋集団とバトルする一日をえんえんと繰り返す話。

これだけ主人公が「平凡」とはいいがたい作品。普通タイムリープものって甘酸っぱい恋愛がらみで用いられることが多いですが、この映画の主人公はムキムキマッチョのおじさん。何回も殺し殺されをリピートしながら、だんだんと事件の真相と解決に近づいていきます。そしてなんでかコンセプトや小道具にテレビゲームの設定が色々用いられています。

こういう映画って大抵ラスボスを倒せばそれで終わりですが、こちらではその後にまだでかいヤマがひとつあり、その辺である事情で苦しむ主人公についホロリとさせられました。まさかこんなアホ映画に泣かされようとは…

個人的面白さ…A 無理ゲ―度…C 監督の人の悪さ…D

 

次回はやっぱりこの期間に見た個性的なアニメ作品…『RED LINE』『JUNK HEAD』『トゥルーノース』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』などについて書きます。 

 

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June 01, 2021

2021年3月に観た映画②

☆『ノマドランド』

☆『ミナリ』

今年のアカデミー賞をにぎわせた2作品。幾つか共通するところがあったので二つ並べて語ります。

まずアジア系の監督の手による作品で、事実を基にしているらしいという点。主人公たちがあまり裕福でないため「車がおうち」という状況。熟年の名女優の演技がオスカーを獲得したというとこも一緒ですね。

これからも苦労しながらなんとか生きていくしかないんだろうなあ…ということを思わせながら、きっといいこともあるだろうとあるかなしかの明るさを漂わせて幕を閉じるところも似ております。主人公らが差別を受けそうな境遇なのに意外と周りの人々がみな親切だったりするのも同じでした。

ただ『ノマドランド』が「流浪」をテーマにしてるのに対し、『ミナリ』は「定住」を目指す話な点は対照的でした。日本人はどっちかというとひとつところに落ち着く農耕民族だと思うのですが、その立場から色々考えさせられました。

『ミナリ』はわたしの母方のおばあちゃんもこんな風にガラッパチで暖かい人だったな…ということを思い出させてくれたことに感謝してます。

『ノマドランド』はジャック・ロンドンの小説的世界を期待して観にいったのですが、もう少し生活感の濃いシビアなお話でありました。それでもやはり「ノマド」たちが旅して求めるアメリカの美しい風景には心和ませられました。

コロナの影響でアジア人に対するヘイトも増えているとのことですが、映画業界では評価が高まっているようで不思議であります。『ミナリ』のリー・アイザック・チョン氏は『君の名は。』リメイクを、『ノマドランド』のクロエ・ジャオ氏はマーベルの『エターナルズ』を次に手がけるとのことでそれぞれ楽しみにしています。

 

3月後半にもう1本観たのは

☆『モンスターハンター』

ゲームはやったことありません。まあぶっちゃけちゃうとゾンビが怪獣になった『バイオハザード』ですね。スバらしい!!

今年上半期はこういういい意味でアホらしい大作洋画がほとんど入ってこなかったので、やっぱり世の中こういう映画も大切だよな…というありがたみをひしひしと感じました。永遠の中学二年生としては交差させるとジュッと赤熱化する剣や、巨大モンスターに蛮刀一丁で真正面からつっこんでくミラ・ジョボビッチさんにしびれました。ミラさんと言えば最初に脚光を浴びたのが23年前の『フィフス・エレメント』でしたが、そのころから変わらずアクション女優まっしぐらで、なお現役なことにひれ伏さざるを得ません。

続編を意識してるのか思いっきり「俺たちの戦いはこれからだ!!」で終わるところがまことにポール・W・S・アンダーソンらしくてほほえましゅうございました。

 

次回は『ガンズ・アキンボ』『パーム・スプリングス』『ザ・スイッチ』について書こうかと思います。

 

 

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May 31, 2021

2021年3月に観た映画①

☆『ラーヤと龍の王国』

ディズニー久々の劇場公開アニメ。東南アジアの雰囲気とかダンゴ虫みたいな動物とかいいな~くらいの気持ちで観にいったのですが、これが予想外にもドツボの大はまりでした。ここんとこディズニーの定番とも言える「親切な人が実は黒幕だった」パターンへのアンチテーゼ、ガリアンソードのような蛇腹剣のアクション、ラーヤと旅するそれぞれ二面性を持つ仲間たち…など意欲的で面白い要素がこれでもかというくらい詰めこまれております。そして何よりやられたのがクライマックスにてラーヤたちが下したある決断。マスク着用義務があってよかった…というくらいダラダラズビズビと泣かされました。そろそろディズニー+で普通料金で見られるはず。おすすめです。

 

☆『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

いわずと知れたあの超人気アニメシリーズの完結編(だいぶ前にも2回終わってるんですが…)。1月の延期から10日前の突然の公開決定。ネタバレを食らうのが嫌だったので初日の月曜日に疲れた体をひきずって観て来ましたが、その価値は十分にありました。

今年初めに復習の意味で旧劇場版を観ておいたのですが、けっこう同じ構図がある中で、精神のベクトルがまるで反対をむいているというか。前の時は「今の僕は14歳と変わらない」と言っていた庵野監督がちゃんと次世代にエールを向けられるような、そんな作品になっておりました。

この数年間、新劇場版の結末が微妙だった…という悪夢に度々悩まされていましたけど、これでようやくそのナイトメアから解放されそうです。そして次世代が作る新たなエヴァンゲリオンに期待してしまうのでした。

 

☆『ビバリウム』

アイルランド・デンマーク・ベルギー合作の「世にも奇妙な物語」。先に書いたアニメ2本にはとってもすがすがしい気持ちにさせられましたが、こちらは今のところ年間ワーストw 着想とか筋運びとかは悪くないと思います。ただ自分、こういうごく普通の悪くない人たちが、ゴリゴリ精神を削られていく話が大変苦手なので。ポスターとか予告編からはポップな印象を受けるんですけどねー でも観ておいて良かった気はします。観ずに後悔するよりは観て後悔する方を選びます。

 

あとこの月は地元で開かれた「第3回熱海怪獣映画祭」に参加し、『シン・ゴジラ』を先取りしたような『怪獣の日』と川北紘一監督の遺作『装甲巨人ガンボット』を鑑賞いたしました。抜き打ち的にウルトラマンアグルの高野八誠氏が登壇されたり、客席に樋口真嗣監督がひょっこりおられたりして色々たまげました。主催者側より「そろそろ熱海をネタにした怪獣映画が尽きてきた」とのお言葉がありましたが、別にご当地ネタなんて入って無くても全然かまわないのでまた4回、5回と続けていっていただきたいです。

 

次回は『ミナリ』『ノマドランド』『モンスターハンター』について書きます。

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April 28, 2021

2021年2月に観た映画

☆『ジャスト6.5 闘いの証』

イラン映画。イランは麻薬には厳しいお国みたいですが、その割には密売が横行しているようで。その組織をなりふり構わず摘発しようとする暴走刑事と、密売人のボスとの戦いが描かれます。といっても銃撃戦とかは割と控えめ。どっちかというと情報の入手や司法の手続きなんかで息をのむようなやり取りが繰り返されます。

どう考えても悪いのは密売人のボスですし作り手も彼の罪を糾弾してはいるんですが、全体的には同情させてしまうような語り口になっておりました。まあでも麻薬、ダメ、絶対、ですね。

自分は見逃したのですが同時期にカップリングで『ウォーデン 消えた死刑囚』というやはりイランの映画がかかっておりました。二作品とも「死刑」が重要なモチーフとなってて、「イランのイメージだいじょぶかな」などと思ったりしました。

 

☆『聖なる犯罪者』

ポーランド映画。少年院を出た若者が資格もないのに成り行きで神父を始めたら、これがけっこう評判になってしまい…という話。「実話を基にした」ということですが、公式サイトにも具体的なことはほとんど書かれてないので、恐らく「身分詐称で神父をやってた人がいた」くらいの話に「着想を得た」ってことなんだと思います。そういえば浦沢直樹先生の『パイナップルARMY』にも似たようなエピソードがありました。

とりあえずポーランドにはまだまだ信心深い人がたくさんいるんだな…ってことがよくわかりました。少年院の荒くれた若者ですら聖職にあこがれるほどにね。いつかはバレるということはわかっているので、その瞬間がいつかいつかと思いながら見守っているのはしんどかったです。

で、ちょっとネタバレなんですけど、この映画なかなかショッキングにズバッと断ち切るように終わってしまいます。それだけに映画の後も物語りはまだまだ続行中という気がしてなりません。

 

この2本は同じ日にハシゴして観たのですが、両方とも重ための作品ゆえすっかり暗い気分になってしまいました。で、翌週はあえて気分が明るくなりそうな2本をチョイスしました。

 

☆『どん底作家の人生に幸あれ!』

いかにも最近のハートウォーミングな洋画にありがちな邦題ですが、これ実はチャールズ・ディケンズの名作『デイヴィッド・コパフィールド』の映画化なんですね… もう少しなんとかならなかったんでしょうか。

原作は分厚い文庫本全4巻からなる大長編(未読)。それを約2時間でどうやって納めるんだろう…と思いましたが、編集の妙かあからさまに駆け足には感じられませんでした。恐らく捨てられたエピソードがいっぱいあるんでしょうけど。

不思議だったのはこの映画、「両親が白人なのに生まれた子供が黒人」みたいな遺伝子を超越した配役が多々見られるんですよね。こうすることで演劇的、かつ一種おとぎ話的なムードでも醸し出したかったのでしょうか。ディケンズの他のお話と同様、底辺でしたたかに生きる人たちへの温かいまなざしが感じられる作品でした。キャストがデブ・パテル、ティルダ・スウィントン、ベン・ウィショーとなかなか豪華

 

 

☆『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』

今年で45作品目を迎えるスーパー戦隊シリーズ。その歴代レッドがずらっと並ぶと聞いて見てまいりました。まあそのシーン、なかなかあっという間でございましたが…

内容はその記念作品『機界戦隊ゼンカイジャー』と、前作『魔進戦隊キラメイジャー』・前々作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』、3作の中編からなるオムニバス形式。

この少し前に折りよく「しくじり先生」という番組で戦隊の歴史についてざっと扱ってたんですが、戦隊には攻める年と守りに入る年があるそうで。そこいくと今年のゼンカイジャーは人間1名にロボ4名という構成なのでめちゃくちゃ攻めております。ロボコンみたいにユーモラスな要素もあってわたしが子供のころだったらきっと夢中になったと思います。近年戦隊は主力のロボ玩具の落ち込みが激しいようなので、ここらで一発盛り返せるといいのですが…

『キラメイジャー』『リュウソウジャー』は女優さんやスタントウーマンのアクションのキレのよさが目を引きました。

で、そこからつなげるわけでもないんですけどその翌週に観たのが

 

☆『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』

ドキュメンタリー。近年増加傾向にある女性によるアクションシーン。それを影で支えているスタントウーマンたちの日々の訓練や歴史、苦悩などが語られます。

現在第一線で活躍している方たちももちろん多く出てきますが、わたしが印象に残ったのはどちらかというと現役を退いたお姉さん方。もう昔のように動けなくて涙する方もいれば、会社を興したり監督になったりと別の形で活躍してる方もいたり。またある方は還暦過ぎてるのに華麗なドリフトをザザッと決めていて、思わず口をあんぐりあけてしまうほどに感服させられてしまいました。

もちろん常に危険は付き物ですが、日々の修練の積み重ねで難度の高いスタントを成功させることには言い知れぬほどの快感があるようで。そういうのはマンもウーマンも変わらないみたいですね。

知ってる映画のあんなシーンこんなシーンが次から次へと出て来るのも楽しゅうございました。あとこれももう配信で観られるようです。

 

次回は3月前半に観た『ラーヤと龍の王国』『シン・エヴァンゲリオン』『ビバリウム』および第3回熱海怪獣映画祭について書きます。

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April 19, 2021

2021年1月に観た映画②

またまたしても間が空いてしまいました… 約2ヶ月ぶりのブログ更新です。本日は今年1月後半に観た映画の雑な感想をざざっと

 

☆『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に』

タイトル長え… いよいよ完結という新劇場版『シン・エヴァンゲリオン』の前に23年前わたしにトラウマを植え付けてくれたこいつと向き合わねば…と少し足を伸ばして行ってきました。いやあ、グログロでしたねw

「サービスサービス♪」のセリフにあるように最高のエンターテインメントを目指していたはずの「エヴァ」が、どうしてここまで前衛的なアングラアートに行きついてしまったのか。面白くもあり謎でもあり。でもやっぱり趣味が悪いです。

この総集編+完結編での形式は初めて鑑賞したのですが、間にトイレ休憩があったのがありがたかったです。「よし! これで翌週からのシンエヴァの準備はバッチリ!」と悦に入っていたら二ヶ月ほど延期になったのは周知の通りです。

 

 

☆『ハニーランド 永遠の谷』

ドキュメンタリー。マケドニアで慎ましく養蜂を営んでいたある女性。しかし隣に「痛快! ビッグダディ!」のような一家が引っ越してきたことから、彼女の生活は大きな影響を受ける。

マケドニアといえばアレキサンダー大王の出身地だったでしょうか。あんまりよく知りませんが映画で見た限りでは荒涼としながらも雄大な風景が続くそんな土地でありました。「蜂のために半分蜜を残していく」という彼女のやり方に対し、ビッグダディは目先の利益に囚われていろいろ台無しにしてしまいます。そのはずかしいところもカメラは丁寧に追ってたりして、揉めなかったのかなあと思ったりしました。

色々大変な思いもしながらも彼女はまだその地で一人暮らしているとのこと。平穏で長生きできるように祈るばかりです。

 

 

☆『エイブのキッチンストーリー』

ニューヨークに住むエイブ少年の父親はイスラム系、母親はユダヤ系。そのためそれぞれの家族が集まると争いが絶えない。エイブ少年は両家を仲良くさせるために得意の料理の腕を振るってパーティーを催すのだが…

よくできた児童文学のような作品。だのにレーティングがPG12なのはなぜでしょう(もちろんエログロ描写は一切無し)。複雑な宗教問題とか絡んでくるからでしょうか。

それはともかく料理と家族を愛するエイブ君の純真さや、彼を見守る師匠的な料理人、そして画面を彩る数々の食べ物が心地よい映画でした。旧劇場版エヴァと新劇場版の延期で荒んだ心が心持ち癒された気がいたしました。ちなみにこれもう配信で観られます。

 

この月は5回目となる『羅小黒戦記』も鑑賞。アニメでは映画館で観た数が最多となりました。何度観てもよいですね。

次はもう少しペース上げていきたいところ… 『ジャスト6.5』『聖なる犯罪者』『どん底作家の人生に幸あれ!』『スーパー戦隊MOVIE2021』『スタントウーマン』などを取り上げる予定。

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February 22, 2021

2021年1月に観た映画①

50日ぶりの、そして本年最初の更新です… とりあえず年明け早々に見た映画の短い感想をば。

☆『燃ゆる女の肖像』

フランス製作。お見合い肖像?を描くために孤島の邸宅に呼ばれた女流画家が、そのモデルと恋に落ちて…というお話。おフランスは英国に比べると同性愛にも比較的寛容だったと聞きますが、この題材で時代物というのがちょっとめずらしい。監督(女性)はこの映画の撮影直前まで令嬢役の方と恋人同士だったのが、発展的にお別れしたとのこと。そういう話を聞くとなんかいろいろしんみりしてしまう内容でございました。ほとんどBGMがないため、ただ2回だけ音楽が流れるシーンがことさら印象に残ります。

監督さんは私が好きなコマ撮りアニメ『僕の名前はズッキーニ』の脚本も手がけておられるのですが、さびしげなムード以外これといって共通するものが見当たらず、そういうところがかえって面白かったりします。

 

☆『新感染半島 ファイナル・ステージ』

韓国製作。「韓流ゾンビもの」という新たなジャンルを切り開いた『新感染 ファイナル・エキスプレス』の続編。韓国映画ってどんなにヒットしても続編が作られることはほとんどないので、この点がまず異例。ただまっとうな続き物というよりかは、同じ設定を利用して作ったもう一つの物語…と言った方が正しいかも。

惜しむらくは前作が色々革新的だったのに対し、こちらはベタベタ王道のパニックアクションだったため、その分新味に欠けるというか印象が薄くなってしまったこと。前半の伏線を上手に回収していくとことか、正編と同じオチにしなかったとこは良かったと思いますけど。あと監督が『AKIRA』の大ファンで今回はかなりそれを意識して作ったとのこと。わかるようなわからないような。

 

☆『キーパー ある兵士の奇跡』

イギリス・ドイツ合作。実話に基づく映画。英国の捕虜となった元ナチス兵バート・トラウトマンが、収容所近くの草サッカーで助っ人に呼ばれたことから注目を浴び、そのまま有名クラブにスカウトされることに。しかしまだ終戦直後だったため、当然彼の起用は多くの国民からブーイングを浴びることになります。そんな逆境も奥さんの愛とひたむきながんばりで乗り越えていく…という綺麗ごとで押し切るような作りかと思いきや、ちゃんと彼の犯した罪も突きつけるプロットになっていました。そんなわけで後半は見ていて凹みましたが、鑑賞後の後味は悪くなかったです。凹んだといえば「困難を夫婦の力で乗り越えた」という感じで終わってるのに、調べたら「その後別れてた」という実話映画に時々あるパターン、これもなかなか凹みます。

 

次回は『エヴァンゲリオン』旧劇場版、『ハニーランド』、『エイブのキッチンストーリー』などについて書きます。

 

 

 

 

 

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December 30, 2020

2020年、この映画がアレだ!!

今年は中盤さぼりまくった当ブログですが、なんとか恒例の映画ベストにたどり着くことができました… それでは張り切ってまいります。順序よくどん尻から。

☆ワースト

…と書いたけどワーストと言えるほどのワーストはないな。強いて言うなら『デ〇ド・ド〇ト・ダイ』とか『狂〇蔵』がちょっとアレでした。

 

☆リバイバル部門

320

今年は新作供給が少ないこともあって色々リバイバル企画がございましたが、そのうちの

●『機動戦士ガンダム』3部作

●クリストファー・ノーラン祭り

に賞をあげます。

『ガンダム』は子供のころ映画館で観られなかった悔しさを解消すると共にまた新たな発見がありました。ノーラン祭りも大画面で彼の特異な才能を再認識させられました。特に『インターステラー』と『ダークナイト』は初見時より今回の方がなんか感動しちゃいましたね。

 

では続いてキリ悪く27位から11位までバババッと発表いたします。

●27位 『音楽』 古武術対古美術!

●26位 『9人の翻訳家』 あったらいいなホンヤクコンニャク!

●25位 『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』 鼻より男子!

●24位 『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』 一人でもできるアンコールワット!

●23位 『2分の1の魔法』 わけもわからずに らんまらんまで日が暮れる!?

●22位 劇場版『メイド・イン・アビス 深き魂の黎明』 人の心が無い

●21位 『ウルフウォーカー』 夜歩く!

●20位 『フォードvsフェラーリ』 上層部VS現場!

●19位 『とんかつDJアゲ太郎』 ノーライフ・ノーとんかつ!

●18位 『初恋』 で、どの辺が「初恋」だったんですかね?

●17位 『マーティン・エデン』 君も純文作家になれる!

●16位 『ソニック・ザ・ムービー』 青い稲妻がハゲを攻める!

●15位 『ある画家の数奇な運命』 事実はフィクションよりも奇なり!?

●14位 『ワンダーウーマン1984』 好きな人と64年くらい続きますように!

●13位 『エクストリーム・ジョブ』 作ってみたいカルビ風チキン!

●12位 『ミッドサマー』 日本語版主題歌はTUBEが良かった

●11位 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』 今年の「タイトルは長いけど面白かった」大賞!

 

さて、いよいよトップ10の発表です。

●10位『ストレイ・ドッグ』

Std

いかにもハードボイルドと思わせておいて、確かにそうなんだけど、それだけでは終わらない上質のミステリー映画。普段綺麗なだけにニコール・キッドマンの痛々しさが半端ないです。

 

●9位『レ・ミゼラブル』

Rmzb

本年度社会派部門大賞。そして「ラストシーンが突き刺さる」部門大賞。タイトルがアレですがユーゴー原作のあの小説とはほぼ関係ありません。ちょこっとオマージュはしてるそうですけど。

 

●8位『ドロステのはてで僕ら』

Dshb

本年度実写邦画大賞。ぶっちゃけTV画面で見ても支障ないというか、むしろTVサイズの方が臨場感高まりそうな映画なんですが、とにかく多くの人に観てほしい。これ以上は言えない。

 

●7位 『パラサイト 半地下の家族』

Parasait

ま、これは今更持ち上げるまでもないというか。本年度アカデミー作品賞受賞作。初の韓国映画受賞ということで映画史の歴史を塗り替えちゃったマイルストーン的な作品になってしまいました。来年早々には金曜ロードショーにも登場。あのシーンは大丈夫なのか!?

 

●6位 『盲目のメロディ』

Mmmd

今年は脚本に唸らせられる映画に色々出会えたのですが、ベスト1となるとコレ。お話が二転三転どころじゃなく七転び八起きくらいする恐ろしさ。そういえば日本でも佐村河内さんなんて人がいたなあ…なんてことも思い出したり。

 

●5位『マロナの幻想的な物語り』

Mngm

車で1時間40分くらいかけて観に行ったのですけど、十分その甲斐があった素晴らしいアニメーション。アート的にもぶっ飛んでますがやはり心に残るのは犬という動物の健気さ。種類は違えどわたしももっと猫を大事にしようと心に固く誓うのでした。

 

●4位 『TENET』

Tenet

本年度SF大賞。やっぱり三日戻るには三日かかる、みたいな恐ろしく効率の悪いタイムトラベルを思いついたところがすごい。『ダンケルク』でそのまま文芸畑に行っちゃうのかな…とも思ったノーランがちゃんとこっちの方に戻って来てくれたのも嬉しかったですね。

 

●3位 劇場版『鬼滅の刃』無限列車編

Kmym

20年ぶりの日本映画興行記録更新、まことにおめでとうございます。そこそこ売れるだろうとは予想してましたが、まさか『千と千尋』を越えるとは夢にも思いませんでした。これ原作読んだときはそれほど泣かされたわけじゃなかったんですが、映像と音楽の力で見事に持っていかれてしまいました。これが映画の力ってやつですかね。

 

●2位『野性の呼び声』

Ysyg

今年はジャック・ロンドン作品が2本も日本で映画公開されるという、長年のファンには大変嬉しい年でした。こちらは原作からはアレンジされてる部分も少々ありますが、これはこれでアリです。ロンドン世界でよく描かれる20世紀初頭のクロンダイクを映像で観られたのに本当に興奮いたしました。主人公バックの成長ぶりも痛快です。

 

そして本年度のトップ1。

●1位『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』

Epansbcueaaxvor

昨年の原語版に続き、今年吹替版が公開された本作品。ポスターは本国版なんですけどこのデザイン好きなんであえてこっちを貼りました。昨年は4位に選びましたけど、日本語版の方が良かったというわけではなく、バージョン関係なく見れば見るほど好きになるという本当に不思議で素敵な作品です。現在まだ一部で絶賛公開中。コロナで心が沈みがちな今だからこそ多くの人に届いてほしい映画です。

 

映画館が一時完全休業してしまうという異例な年であった2020年ですが、例年と変わらずいっぱいいい映画に出会えました。早くこの状況が良くなって、心おきなく劇場に行けるようになりますように。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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December 28, 2020

2020年12月に観た映画を振り返り②

今年の感想、今年のうちに…というわけで本年度最後の振り返りです。つい先週見てきたばかりのほやほやの4作品です。

☆『ミッシング・リンク 英国紳士の秘密の相棒』

ストップモーションアニメの王者ライカスタジオ最新作。007のようなモンスターハンターのような紳士が友達の雪男とともに世界を駆け回る破天荒な物語。大人が主人公だったりホラーテイストが弱めだったり、これまでのスタイルから脱却しようと試みてる感があります。ただこの種のバディものはピクサーのお家芸ですし、最近雪男物のアニメが2本作られたこともあってインパクトはやや弱め。冒頭のあの怪物との対決や客船での大バトルとかは本当に楽しかったですけど。

結局一番すげえのはエンドロールで早送りで見せてくれるメイキング風景。『ボックストロール』でもそうでしたが恐ろしいほどの手間隙のかけっぷりに気が遠くなります。

☆『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』

原題はシンプルに「Edmond」。戯曲の最高傑作のひとつである『シラノ・ドベルジュラック』。その誕生の瞬間が作者エドモン・ロスタンの苦闘と共に描かれます。と言っても感動的に、というより『チコちゃん』の「たぶんこうだったんじゃないか劇場」的にふんだんにユーモアをまぶした作風。いい時の三谷幸喜作品のようでもありますが、三谷さんと比べると登場人物の「いい人」度が高いです。

そんなドタバタ調ではありますけど、困難を乗り越えて無事上演されるくだりにたどりつくと苦楽をともにしてきたような感動に包まれます。原典はジェラール・ドパルデュー版を観た事がありますが再観賞したくなっちゃいましたね。

☆『劇場版仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』

あ、去年も映画締めに観たのが仮面ライダーだった… 同時上映で現在放映中の『仮面ライダーセイバー』の短編もありましたがそっちはほとんどPV。『ゼロワン』では滅亡迅雷NETとの戦いに決着がついたあとの、主人公たちの新たな試練が描かれます。本編ではAIがテーマだったのに対し、劇場版ではまた別のテクノロジーがモチーフとして使われててうまいところに目をつけたな、と思いました。思い返せば『ゼロワン』ってシリーズの中でも特に現実的なお話でしたし。

あとTVシリーズは途中ややダレたこともあってそんなに思い入れが強くなかったんですが、その終盤で起きた悲劇にもう一度向き合うくだりにはちょっともらい泣きいたしました。我ながらちょろいです。

☆『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』

キアヌ・リーブス若き日の傑作が時空を越えてカムバック。過去や地獄を旅したお気楽コンビの、おっさん・子持ちになってからの新冒険がえがれます。前2作は「なんか面白いらしい」ということしか知りません。あと『レディプレイヤー1』でちょこっと引用がありましたっけ。とりあえずいきなりの3作目でも十分面白かったのですが、やっぱ予習しといた方がもっと楽しめたかなーという感は否めません。ダメオヤジたちにも優しい娘たちが健気でかわいく、高性能なはずなのにウッカリミスを連発する殺人ロボが愉快でした。にしても『バッドボーイズ』とか『ゴーストバスターズ』とか久しぶりの3作目が続きますね

よっしゃー! なんとか全部まとめきった! あとは年内ベストを決めるだけ。明日か明後日にはUPしたいところですが…

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December 25, 2020

2020年12月に観た映画を振り返る①

今年も残すところあと6日… 今年の感想、今年のうちにということで師走に見た映画を早めにまとめておきます。

☆『魔女がいっぱい』

ロアルド・ダール原作、ロバート・ゼメキス監督、アン・ハサウェイ出演という超豪華な布陣のファンタジー映画。突然の事故で両親を失い、祖母に引き取られた少年と魔女軍団の奇妙な戦いの物語。ダール原作の映画はその珍奇さ・狂気が特徴でありますが、こちらは珍奇ながらもやや大人しめになってしまったのはなぜなんだろう… アン・ハサウェイは美貌をかなぐり捨ててがんばってたんですが。あと「それでいいんだ!?」という結末も驚きでした。ここは原作どおりだそうです。

 

☆『新解釈・三国志』

福田雄一作品初チャレンジ。あの長大な原作をどうやって二時間に収めたんだろうと思って観て来ました。まあ上手にはしょりながら赤壁の戦いまでがダイジェスト風に語られていきます。自分は『風雲児たち』のファンなのでこういうベタなギャグで歴史をパロっていくスタイルも嫌いではないです。ただ福田氏のギャグセンスがどうにも癇に障る人たちも少なくないようで。自分も渡辺直美さんのダンスに関してはポカーンとしてましたが場内ではけっこうウケてたり。ギャグって難しいですね…

 

☆『ウルフウォーカー』

『ブレンダンとケルズの秘密』『ソング・オブ・ザ・シー』などケルトの伝説を可愛らしい絵柄でアニメ化し続けるカートゥーン・サルーン最新作。父親に連れられてアイルランドにやってきた少女ロビンは森で暮らす狼少女メイヴと仲良くなるが、領土を広げようとする統治者は狼たちを森から根絶しようと目論む。

寝てる間に狼になってしまうという設定が面白いし、弱さと強さを併せ持つヒロインの造形がまたよい。あとカートゥーン・サルーンの作品ではこれまでで一番エンタメ調というか手に汗にぎってハラハラさせられる作品でした。ケモナー的少女や城壁に囲まれたコミュニテイというところは『ブレンダン~』にも見られたモチーフ。ただ『ブレンダン~』では肯定的に描かれていたキリスト教が、こちらでは狂信的に使われていたり。信仰は人を成長させることもあれば、狂わせることもある…ということでしょうか。

こちら江ノ島近くの『シネコヤ』という映画館で観ました。ブックカフェがそのまんま映画館になったようなとこで、作品の雰囲気に大変マッチしておりました。

 

☆『ワンダーウーマン1984』

DCユニバース最新作。スーパーヒロインダイアナが80年代を舞台に懐かしい恋人と再会したり、超パワーを手にした石油王と戦ったりします。

事件の発端となるアイテムがなかなかにぶっ飛んでおり、最初はちょっとひきましたが、この話ってもともとおとぎ話みたいなもんだったんだよな…と脳内調整したら楽しむことができました。

自分はやはりつかの間のトレバー大尉との逢瀬とか、80年代の思い出深い風俗・事件などがツボにはまりました。あとペドロ・パスカル氏の必死の演技もたいしたものでありました。メインキャストで一番輝いていたのは彼だったと思います。

それにしても「儲けにならんから」と各社が及び腰になる中で(それもよくわかりますが)、何とかこの作品や『魔女がいっぱい』『テネット』などを映画館でかけてくれるワーナーさんには感謝しかありません。これからはなるべくひいきにしていこうと堅く誓うのでした。

今年は既にあと2本観てて明日もう2本観賞してくる予定ですが果たしてまとめきれるか… ご期待(しないで)ください。

 

 

 

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December 24, 2020

第17回SGA屋漫画文化賞

2020年もあとわずか。本日は17年も続いてるのに誰も知らない漫画賞「SGA屋漫画文化賞」を開催します。例によって賞品も賞金もありません。むしろわたしがほしい。では参ります

 

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☆スポーツ漫画部門 コージィ城倉(原案:ちばあきお)『プレイボール2』

今年の「またか」案件その1。巨星ちばあきおの遺産を直球で引き継ぐこのシリーズも10巻目となりました。この巻ではいよいよ第1部ラストでケチョンケチョンに負けた谷原高校と公式戦にて相対することになります。果たして墨谷は甲子園に行けるのか… ってか、行かんでどうする。同時進行で連載されてる『キャプテン2』の単行本化も早くお願いします。

 

 

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☆アクション漫画部門 原泰久『キングダム』

今年の「またか」案件その2。長寿連載となったこの漫画も、ここに来て大きな節目を迎えます。宿敵であった龐煖との決着。そして主人公信にとうとう姓が与えられます。もしかしてやはりライバルである李牧が由来に関わってくるのかな?と予想してましたが全然違いました。中華統一まであとどれくらいかかるかなー

 

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☆恋愛漫画部門 をの ひなお『明日、私は誰かのカノジョ』

日がなスマホばかり見ていると広告につられて漫画を読み始めてしまうことがしばしばあります。これもそのうちの1作。正直自分には似つかわしくない作品ではありますが、恋愛と執着と商売のわかりやすそうでわかりにくい境界が非常に丁寧に描かれています。あとろくなオッサンが出てこないので反面教師として勉強させていただいてます。

 

 

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☆格闘漫画部門 丸山恭右 『TSYYOSHI 誰も勝てない、アイツには』

スマホ広告につられて読み始めた漫画その2。一見オタク風の冴えないコンビニ店員が、実は世界各国が垂涎して求める神にも等しい格闘者だった…というストーリー。第1部はほとんどギャグでしたが第2部に入ると彼をめぐって対決する選手たちの過去がどれも重苦しく、それだけに応援したい気持ちがたかまっていきます。そしてそれをただ傍観している主人公…というちょっと異様な状況。でもこれが何でかすごく面白い! 年明けから始まる第3部にも大いに期待してます。

 

 

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☆ドラマ漫画部門 吉田秋生『詩歌川百景』

一昨年堂々の完結を迎えた『海街diary』。海の次は山だ!とばかりに今度は山間の温泉街を舞台とした一人の青年の成長ドラマが描かれます。ドラマ言うてもお話の起伏はさらに淡々としていて、どこにでもあるような人々の哀歓が実につつましく綴られていきます。だけどこの静かさ、シンプルさが非常にいいんですよね… 人情の機微を描写することには定評のある吉田先生のひとつの到達点。

 

 

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☆SF漫画部門 松本直也『怪獣8号』

これまたウェブで話題を呼んでる作品ですが、ジャンププラスにて掲載された第1話からTwitterトレンドでバズリまくった異例中の異例とも言えるコミック。怪獣が災害として普通に跋扈する世界で、超常の力を手にしてしまった男の戦いと友情。恐らく『デビルマン』『寄生獣』「新劇の巨人』と続く「異形系」の系譜に連なる漫画でありながら、それらにありがちな暗いムードが(今のところは)ほとんどありません。『仮面ライダークウガ』や『パシフィック・リム』の影響も見受けられますが、ちゃんと自分の個性の中にそれらを落とし込んでるのが見事。間違いなくいま最も面白い漫画のひとつ!です!!

 

そして今年のベストワンであります。

 

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☆大賞 吾峠呼世晴 『鬼滅の刃』

まったく面白くもなくすこぶる順当な結果でありますが、大賞は2020年列島を騒がせまくったこの作品といたします。大正時代、母のように優しい主人公という少年漫画にしては異例の設定でありながら読む人を次々と虜にしていく魔性のコミックであります。

私自身も今年は鬼滅に踊らされた一年でありました。ほぼ年明けくらいに読み始め、あっという間に単行本を買いそろえ、五月に完結を目撃し、秋に映画に涙し、年末に最終巻をゲット…という。「漫画・本屋・紙の本はオワコン」という声が囁かれる中それらをバコーンとひっくり返してくれたのが誠に痛快でありました。願わくばこの作品をきっかけに本・漫画・書店の隆盛がもう少し続きますように。

 

 

今年は停滞しまくった当ブログですが、もう少ししたら恒例の映画ベストを書きます。誰にも求められてなくとも(笑) それをもって2020年の締めくくりといたします。

 

 

 

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December 15, 2020

2020年11月に観た映画を振り返る

師走もあと半分。今年のうちに振り返りきろうとがんばって更新いたします。今日は先月11月に観た映画のまとめをば。

 

☆『ある画家の数奇な運命』

『ローマ』とヴェネツィア金獅子賞を争ったドイツ映画。序盤はなかなか画家の話にならず、ナチス支配下で悲劇に見舞われたある女性の半生が描かれます。で、その女性の甥が画家になるわけですが、序盤のお話はどういう意味があったのだろう…と考えていたら思わぬところでズバーン!!とつながってきてたまげました。

まさに「数奇な運命」の物語なのですが、あまりにも偶然が過ぎるゆえにてっきりフィクションだと思い込んでいたら、これ実在の芸術家がモデルになってるそうで(ゲルハルト・リヒターさん)。まあ創作部分もいっぱい混じってるでしょうけどね… ちなみに当初協力的だったリヒターさんは完成品を観るや大激怒されたとか。

戦後まもなくのドイツの流れや前衛芸術の黎明期については良く知らなかったので、その辺は面白く勉強させてもらいました。

 

☆『異端の鳥』

こちらは『ジョーカー』と金獅子賞を争ったチェコ・スロバキア・ウクライナ映画。映画祭の上映中退出者が続出したといういわくつきの作品。

第二次大戦下の東欧のどこか。保護者である祖母を失ったユダヤ人の少年は、たった一人で戦火と虐殺が跋扈する地獄の世界をさまよい続ける。

いやあ、聞きしに勝るひどい映画でした。年端もいかぬいたいけな子供が行く先々でひたすら痛くてひどい目に遭い続ける話なので… モノクロ作品で刺激が抑えられているのがせめてもの救いです。でもきっと今も世界のあちこちでこういう惨状が繰り広げられているのでしょうね。

原作は1972年にイェジー・コシンスキーという作家が書いた小説で、作者の経験を元にして書いたのでは、なんてことが言われてます。で、作者のその後を調べるとまたなんとも切なくなります。

 

☆『とんかつDJアゲ太郎』

前の作品との落差がアレすぎる… 直前に二人の逮捕者を出しながらもなんとか公開を実現させた奇跡の作品。一発芸的なネタ映画かと思いきや、それなりにちゃんとした青春音楽ムービーとなってました。アホ丸出しの元気な若者が失敗を重ねて、仲間と恩師たちに助けられ、成長しながら周りをハッピーにしていく… そんなお話です。

特筆すべきはクライマックスにおけるクラブのグルーブ感と、揚げたてのトンカツのジューシー感。五感をフルに刺激してきます。

あと映画版『バクマン』そうでしたが、「女の子に好かれるために始めたのに、いつの間にか純粋にその魅力に取り付かれていく」という『スラムダンク』パターンにわたし弱いんです。

 

☆『ストレイ・ドッグ』

「ニコール・キッドマンが美貌をかなぐり捨てた」ということで話題を呼んだ作品。LAのはぐれ刑事エリンにはかつて潜入捜査において凶悪犯を取り逃がし、犠牲者を出してしまった苦い過去があった。十数年を経て因縁の標的が戻ってきたことを知った彼女は自分の手で決着をつけようとする。

女刑事のハードボイルドものであると同時に、よく練られたミステリーでもあったり。あまり書くとネタバレになってしまうのでやめときますが、この脚本のテクニシャンぶりにはうならされました。またびっくりするだけでなく、表題のようなヒロインの傷だらけの人生に胸がヒリヒリとさせられます。

邦題は邦題でいいと思うんですが、原題は『DESTROYER』となっております。観終った直後は「?」となりましたが今はなんとなくわかるような。

 

あとこの月は吹き替え版で全国公開となった『羅小黒戦記』を2回観ました(通常版と4DX版)。字幕版とあわせて1年の間に通算4回観たことになるわけですが、このアニメ、観れば観るほど好きになりますね。拡大公開されたことでさらに多くの人々の目にふれ絶賛されてるのが嬉しい限りです。

 

 

 

 

 

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December 14, 2020

2020年10月に観た映画を振り返る

10月は4本しか新作を観られなかったのですが、うち3本がアニメというちょっとアレな月間でした。

☆『マロナの幻想的な物語り』

ルーマニア・フランス・ベルギーの3カ国製作。家から車で1時間45分くらいかかる厚木の映画館まで観にいって来ました。マロナという1匹の犬の生涯を追ったアニメーション。限りなく優しく、切なく、無限の円環を感じさせる作品。

主人公のマロナがあまりかわいいデザインではないのですが、それがかえっていじらしさを引き立てます。『この世界の片隅で』で名演をみせていた「のん」さんの語り口がまたよかった。ストーリーは誰にでも共感できるシンプルなものですが、背景や人間はラリッたような大胆な画風で描かれており「幻想的な」というタイトルを裏切らないものとなっております。

 

☆『小さなバイキング ビッケ』

ドイツ・フランス・ベルギー合作。日本でも昔アニメ化された名作童話が、本国でCGアニメとなって帰ってきました。ただこちらの方が発祥が古いのにも関わらずCG化されるとことごとく『ヒックとドラゴン』とかぶってしまうのが辛いところです。伏線とか丁寧に張られてるあたりは感心したのですが。

あと何年か前やはりドイツで二部作で作られた実写版(!)はかなり旧アニメに忠実に作られている上にアクションも豪快でおすすめです。

 

☆劇場版『鬼滅の刃』無限列車編

いますごいブームですよね… 本日もあと少しで歴代一位の『千と千尋の神隠し』興収を越えそう、なんてニュースを目にしました。

わたしも『鬼滅』には年明けからはまっており、このエピソードも既に読んでいる状態で観賞したのですが、いやあ、まざまざと映画の力強さを見せ付けられました。というのは原作を読んだ時は「アラアラ切ないねえ」くらいの印象だったのに、スクリーンでド迫力のアクションを見せられたり、役者さんたちの肉声を聞いたりしますと押し寄せてくる感情の圧がまるで違うのですね。まんまとそれにあおられて大量の鼻水を噴出させられました。

あと夜の森をひた走る汽車のビジュアルも良かったです。『鬼滅』についてはそのうちじっくり一つの記事で書きたいところですが今の私には少々根性が必要です。

 

☆『マーティン・エデン』

米作家ジャック・ロンドンの自伝的小説をイタリアに置き換えて映画化。荒くれ水夫だった青年マーティンは、上流階級の令嬢と恋に落ちた影響で小説家になることを志すのだが… そいで実際に小説家として大成しちゃうからすごいのですが、そしたらそしたで新たな悩みに苛まれるのが文学的なところです。

原作ではまだあどけなさが残る少年だった主人公が、映画では堂々たる美丈夫が演じるので少々イメージが異なります。それ以外は概ねオリジナルに忠実でした。なぜわざわざ物語の舞台をアメリカからイタリアンに変えたのかはよくわかりませんが、こうした貧しい青年がかなわぬ恋をきっかけに徐々に憔悴していくというのは、どこの国にもいつの時代にもある普遍的なストーリーなんじゃないでしょうか。

わたしもそれなりに長いこと映画ファンとジャック・ロンドンファンをやってますが、彼の作品をスクリーンで観たのは今年が初めてでした。しかも2本も(もう1本は『野性の呼び声』)。そういう点でも今年は映画的に変わった年でした。これを機にさらに色々映画化されるといいなあ。

 

 

あとこの月はたまたま静岡県は草薙で開催されてた「富野由悠季の世界展」にも行って来ました。おびただしい展示品を目で追いながら、やっぱ御大のお仕事は

・草創期(海のトリトン~ダイターン3)

・成熟期(ガンダム~エルガイム)

・ガンダムに縛られ期(Zガンダム~Vガンダム)

・健康嗜好期(ブレンパワード~現在)

に分けられると思いました。展示で特に見入ってしまったのは劇場版『イデオン』のラストシーンや『ターンエーガンダム』の最終回など。

 

次回は11月に観た『ある画家の数奇な運命』『異端の鳥』『とんかつDJアゲ太郎』『ストレイ・ドッグ』などについて書きます。

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December 11, 2020

漫画実写化邦画ベスト

人気ブログ『男の魂に火をつけろ!』 で毎年開催されてるジャンル別映画ベスト。今年は面白そうなテーマだったので2,3年ぶりに参加してみます。何かと風当たりの強い「漫画実写化邦画ベスト10」。では参ります。

 

 

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1位 『寄生獣 完結編』

原作既読。邦画監督の中でも風当たりの強さでは上位ランカーの山崎貴監督。でも自分は彼の作品、わりかし好きなものが多いんですよね… そんな山崎作品のマイベスト。10巻に及ぶ原作を上手に取捨選択し、ラストは美しく忠実に映像化。血しぶき飛び交うモンスター映画なのに、同時に底知れぬ優しさが込められていて鼻水がブシュッと噴出したのでした。

 

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2位 『キングダム』

原作既読。作品によって評価が極端に上下する佐藤信介監督。これはどっちかというと邦画の悪いところがけっこう出ちゃった例なんですが、ツボにはまる場面がいっぱいあって昨年のベスト2位にあげました。特に蓑虫みたいな橋本環奈さんが「立ってよ! 天下の大将軍になるんだろ!」と叫ぶ場面はいい意味でダメでした。

 

 

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3位 『ピンポン』

原作未読。『IWGP』『GO』に続くクドカン×クボヅカシリーズ第3弾。自分の好きな映画ってあんまり人に勧められないことが多いのですが、これは自信をもって推奨できます。若さ弾けてたころの井浦新や異様な迫力を放つ中村獅童、さらには神技「一人卓球」を披露する竹中直人など、主要人物がどなたも忘れがたい魅力を有しております。

 

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4位 『デスノート THE LAST NAME』

原作既読。このラインナップの中では最も安定したベテラン監督の金子修介氏。これまた原作を忠実・巧みにアレンジして、結末に至ってはオリジナルを超えたカタルシス・寂寥感を生み出しておりました。ヒロインは昨日結婚されたばかりの戸田恵梨香さん。心よりお祝い申し上げます。

 

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5位 『魁!! クロマティ高校 THE MOVIE』

原作既読。ギャグの実写化というのもなかなか難しいものですが、コチラはオリジナルのシュールなテイストをドタバタ風に改変し、それはそれで面白く仕上げた稀有な例。ただ同監督の『珍遊記』はものの見事に失敗してたのでやっぱりギャグの実写化はハードルが高いです。

 

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6位 『ちはやふる 上の句』

原作15巻くらいまで既読。「上の句」「下の句」「結び」とありどれも良かったですが、普通の作品ならモブになりそうな「机君」の葛藤がまぶしかった第1作が最も好みです。あと3作通じて天然なんだか計算ずくなんだかわからない、ちはやちゃんのあざとさが気になりました。

 

 

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7位 『いぬやしき』

原作既読。にもかかわらずあまり思い入れが無く、ラストに関してはイラッとしたくらいなのですが、その中でわりと気に入ってたシーンを映画では順序を入れ替えて大変いいところで使ってくれたので好感度が爆上がりしました。すいません、奥先生、こちらに限っては原作より映画の方が傑作と自信を持って言えます。

 

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8位『猫なんてよんでもこない』

原作既読。これは猫好きにはあるあるすぎてランクインさせざるを得ませんでした。主につらいシーンで。嗚咽をこらえて観ていたら後ろのおばさんが豪快に「ごぶっ」とえずいていたのが忘れられません。猫さんたちの名演技も実にお見事。

 

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9位 『アイアムアヒーロー』

原作は最終回だけ既読。佐藤信介作品3つ目でえこひいきもいいとこですね… で、今回あげた3作の中では最も完成度が高い作品かと。大泉洋氏が普段の変な人ぶりを完全封印し限りなく普通の人を演じてるのが面白い。プリンで作ったという精巧な脳みそもみどころ。

 

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10位 『進撃の巨人』

原作5巻まで既読。今回あげた10本の中で一番「へ?」といわれそうな作品。でもなんかこれ好きなんですよね… 少なくとも「個性的な作品」であることは確かかと。ただ樋口監督はやっぱり特撮に徹して、お話は別の総監督にやらせた方がいいのでは…ということがよくわかります。

 

惜しくも入らなかったのは『カイジ』『少年時代』『無限の住人』『ブリーチ』『GANTZ』『ヒメアノ~ル』など。地雷率も多いですが、映画館をにぎわせてくれるのはこういう「漫画実写化邦画」であることも確かなので、引き続きこのジャンルにも期待しております。

 

 

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December 02, 2020

2020年9月に観た映画を振り返る

そんなわけで今年もとうとう師走に突入です… 本日は9月に観た映画を振り返ってみます。この月は久々にハリウッドからのアクション大作の供給がありました。そうです。『TENET テネット』です。

時間の巻き戻し現象が起きている世界で、破滅から未来を救うべく奮闘するスパイとその組織の物語…とでも言えばいいのか。予告の時点でちんぷんかんぷんでしたが、本編を見てもなかなかよくわかりません。全体の大まかなストーリーがつかめるだけ。その後色んな解説を読んで2回目に臨むと、もう少し色々理解できるようになります。

わたしが感心したのはやはり「時間を空間のようにみなす」という思いつきそうでつかないアイデア。秘密装置を使えば過去に遡ることも可能なんですけど、3日前に戻るには同じ3日分の時間がかかるという。ドラえもんのタイムマシンに比べるとえらい不便ですが、この「手間と犠牲を伴う超科学」というのがノーラン作品の醍醐味ですね。

あと特にひかれたのは名前すら明かされない主人公の人物造形と主題。「テネット」には「主義」という意味があるそうですが、自身の利益等一切求めず目的を果たすため、また罪無き人を守るため、迷い無く戦い続ける「プロタゴニスト」にスパイというより現代のサムライの姿を見た気がしました。

7月からこの『テネット』にあわせてクリストファー・ノーラン作品のリバイバルが相次ぎました。『ダンケルク』(これのみ見逃し)、『ダークナイト』、『インセプション』、『インターステラー』… 実はわたしそんなにノーラン監督に思い入れがあった方じゃないんですけど、大作洋画が少ない時期にこうやってスクリーンをにぎわしてくれたことには大変感謝しましたし、ぐっと好感度が上がりました。また前は

『インセプション』>『ダークナイト』・『インターステラー』

だった自分の評価がこの度のリバイバルで

『ダークナイト』『インターステラー』>『インセプション』

と逆転してしまったのは意外でした。『インセプション』ももちろん大傑作なんですけどね。

 

 

この月にはもう一本洋画大作で『ミッドウェイ』がありました。

先の大戦において日本が敗北したのは物量や人員の差もありましたが、まずこの戦いで制海権を奪われてしまったから…ということがよくわかる映画。情や悲惨さを訴える映画はいっぱいありますが、この辺の理屈を描いた作品ってあまり見かけなかったので勉強になりました。

制海権を奪うにはより多く敵方の空母を沈めなきゃいけない。で、空母を沈めるには先に敵の位置をつかんで看板に爆弾を落として来なきゃいけない…という流れが上手に物語を通して説明されます。ただ人工衛星もドローン兵器もなかった時代なので、今となってはもう使われることのない戦法でありますね。

日本でのヒットも期待していたのか、旧日本軍を露骨に悪役に描かないあたり「気を使ってるなあ」というのが偲ばれました。

 

戦争関連では大林宣彦監督の遺作となってしまった。『海辺の映画館 キネマの玉手箱』もありました。舞台となる街がそれほど前面に出ていないものの、大胆でファンタジックな演出と力強い反戦メッセージは晩年発表された「戦争3部作」の第4作と言えるかもしれません。

高橋幸宏氏が短パンで宇宙船に乗ってるオープニングには目が点になりますが、その後はユーモアも交えながら戦争の悲劇がオムニバスっぽく語られていきます。監督自身遠からぬ死を予期していたのか、しばしばおっかない死神の少女が登場して不安な気持ちにさせられました。また監督お気に入りの常盤貴子さん、山崎紘菜さん、成海璃子さんといった女優陣が華やかで儚いヒロインたちを好演してました。

 

この月もう一本?観たのが『人体のサバイバル!/がんばれいわ!!ロボコン』。前者は学研漫画ひみつシリーズをそのまんまアニメ化したような、「ためになる」学習マンガでした。わたしの目的は後者のロボコンの方。公開されるや否や「不条理と狂気の乱れ撃ち」的な感想が散見されてましたが、評判どおりのシュールで不可解な作品でした。旧作ののんびりしたムードはかけらもありません。ただ原作はロボコンのサービス精神が暴走して、家主家族に迷惑をかけまくるブラックユーモアの濃い漫画だったので、そういう意味では忠実な実写化と言えるかも。ひとつ不満を言わせてもらうと目当てだったのに30分しかなかったこと。変に話題になったので続編にも(あれば)期待してます。

 

 

 

 

 

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November 26, 2020

2020年8月に観た映画の振り返り

というわけでコロナも夏も真っ盛りだった8月の映画について。ハリウッドの新作供給が乏しかったから仕方ないんですけど、アニメを除けばアジア映画ばかり観てた月でした。

☆『ドロステの果てでぼくら』

とあるカフェの店長が2階の自室でくつろいでいると、突然モニターから話しかける声が。その声の主はほかならぬ店長自身で、彼は2分後の未来から語りかけてるというのだが…

いやー、この脚本には本当にうならされた。タイミングとチャンスさえあれば一昨年の『カメラを止めるな!』に匹敵するほどのブームになったと思うのですが、コロナ下であったのが不幸というほかありません。というわけでそのうち配信されたら多くの人にぜひ見てほしい一本です。ちゃんとアイデアの元ネタについて劇中で言及してるのにも好感が持てました。

 

☆『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

7月にファースト3部作を制覇した後、折りよく4DXでリバイバルされたので観てきました。これも劇場では初観賞。これ、間に『Z』『ZZ』を挟まないほうがシャアとアムロ二人に焦点が絞られてすんなりつながる気がします。

二十年ウンぶりに見返して特に印象に残ったのはシャアの老獪な政治手腕とか、主要キャラたちの超あっさりした死にっぷりなど。特にこれで死亡したことにされてる主役二人ですが、突然ぴかっと光ってそのままエンディングになってしまうのであれじゃ何がどうなったんだかよくわかりません。

前の記事にも書きましたが、これはやっぱりファーストの後の「幾つかある未来のひとつ」として考えたいなあ。ちなみに一番感動したのは最後に流れ出したTMネットワーク主題歌「BEYOND THE TIME」でした。

 

☆『イップマン 完結』

香港製。ドニー・イェン氏がハマリ役を演じた人気シリーズ、今度こその完結編。愛妻を看取ったイップ師匠に残された最後の試練はドラ息子の更正。師匠は彼に広い世界を見せるべくアメリカへ留学先を探しに行きます。

世界中どこででもチャイナタウンをこしらえてしまうたくましき中国人。でもそれにはやっぱり色々な苦労があるんだなあ…ということがわかります。本当ならイップ師匠この映画の時点で70代なんですが、「異様に若作りだった」と考えて見過ごすことにします。

特にテンションが上がったのは序盤のブルース・リー大活躍のシーン。4部作どれも面白かったですけど、自分はやはり最初の2本がお気に入りです。

 

☆『2分の1の魔法』

春から公開を待たされていたピクサー最新作がようやくお目見え。妖精たちが魔法を忘れ、科学文明の元で暮らす世界の物語。『ロード・オブ・ザ・リング』の未来の話…とも見られなくもないですが、人間だけが登場しません(絶滅したのか?)

これの予告で「父さんは二度と生き返れない!」というセリフを聞く度、「いや… 普通はいっぺんだって生き返れねーだろ」とつっこんでました。が、本編を見るとだいぶ印象が変わります。「せっかく生き返ったのに24時間限定なうえ、下半身しかない」という実に面白絶望的な設定なんですね。そんなわけでリミットが来る前に上半身も蘇らせようとする妖精兄弟の奮闘が描かれます。

あんまり期待してなかったんですけど、それも手伝ってラストの意外な決着には大変感動いたしました。慣れない魔法を少しずつ使っていくうちにだんだん上手になっていく過程も面白かったです。

 

☆『悪人伝』

韓国製。いまをときめく筋肉スター、マ・ドンソクが、犬猿の仲の悪徳刑事と手を組んで、自分を襲ったサイコキラーをふん捕まえようとする話。

普通サイコキラーというのはか弱い女子供を狙うものですが、この映画では地球最強といってもいい男をしとめようとするあたりイカレっぷりが天元突破しています。刃物をがあれば何とかなると思ったのかな?

これまた大変面白い映画でしたが、なぜか覚えてることがあんまりありません。あ、終盤の二転三転ぶりはなかなか巧みな脚本でした。

 

☆『狂武蔵』

日本製。日本で有数のアクション俳優坂口拓氏が、宮本武蔵最大の死闘である「一乗寺下り松の決闘」を映画化。武蔵が100人以上の相手をほぼワンカットでバッタバッタと切りまくるのですが、観ている内に坂口さんも観客もどんどん疲弊していきます。えー… とりあえず坂口さんお疲れ様でした! 以上。

 

次は9月に観た映画と7月から続いていた「ノーランIMAX祭り」について適当に書きます。

 

 

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November 19, 2020

2020年7月に観た映画を振り返る

本日はコロナがちょっと落ち着いたころの7月に観た映画について書き記してみます。

☆『ドクター・ドリトル』

ホームズ、アイアンマンと演じてきたロバート・ダウニーJr氏が3度目に挑んだ天才は、動物の言葉を解するドクター・ドリトル。おそらくこれまででで最も子供向けの作品かと。

謎の病に倒れた女王陛下を救うため、引きこもり気味だった先生は一念発起してゆかいな仲間たちと特効薬を探す旅に出ます。これ、普通に楽しかったんですがあんまし印象に残ってるものがありません。強いてあげるならシャアの声でゴロニャンする虎とか、一度撃たれかけてPTSD気味になってるリスくらいでしょうか。あと水槽の中だけで事件解決に貢献してたタコもよかった。

 

☆『ソニック・ザ・ムービー』

SEGAの名物キャラクター「ソニック」を『E.T.』風味で映画化した作品。トレイラーのCGの評判があまりにもひどくて急遽作り直されたという曰くつきの映画だったのですが、これが意外とツボにはまりました。まあどう見てもソニックが漫画で縫いぐるみなんですけど、「今まで寂しかったんだ」みたいないじらしい事を言ったり、仲間のために傷だらけになったりしてると中年の涙腺はそれだけでズキューンと刺激されてしまうんですね(ちょろい)。ジム・キャリー演じる悪の博士(名前忘れた)もモラルのかけらもないトニー・スタークみたいで愉快でした。

ちなみにこの翌月に観た『2分の1の魔法』でも青い顔のキャラが「やりたいことリスト」をチェックしてたんですが、流行りなんでしょうか。

 

☆『WAVES/ウエイブス』

意欲作を次々と送り出しているA24スタジオ製作。フロリダを舞台に若い兄妹の青春と苦しみを描いた作品。ポスターを見ますといかにも純愛ストーリーみたいな感じですけど、これが中々の詐欺案件でした。前半は部活や恋人との関係がうまくいかない兄のストーリーが描かれるのですが、「こうなってほしくないなあ」という方向に面白いように進んでいきます。後半はその兄の犯した罪のために自分を責める妹がメインとなって語られていきます。この主人公が途中でスイッチする構成が独特ではありますね。

予告では「新たな音楽映画の傑作誕生!」とかうたわれてたんですが、お話があまりに重苦しくてスコアが全然頭にはいってきませんでした。ともあれ「犯罪者の家族」というものについて色々考えさせられる1本。

 

☆劇場版『メイド・イン・アビス ー深き魂の黎明ー』

つくしあきひと氏のコミックを原作としたアニメ映画。これに先立つ全13話のTVシリーズがあります。巨大な縦穴「アビス」が中心となっている世界で、アビスの底へ母を追い求め秘境に挑む少女リコと、その相棒のロボットレグの冒険が描かれます。

これが滅法面白くて感動するんですけど、同時に恐ろしく残酷で、とても作り手に人の血が通ってるとはとても思えません(すいません)。まずアビスの設定がどうしたって生きて帰れない地獄そのものであり、今回リコたちが相対する敵?ボンドルドは子供たちを研究素材としか考えてない筋金入りの人非人であります。その毒牙にかかった子供たちは数知れず。唯一の長所はすごい褒め上手で、自分の目的を妨げるリコたちでさえ「素晴らしい素晴らしい」と語彙の限りを尽くして褒めまくることくらい。

今大ヒット中の『鬼滅』映画が子供に見せるべきか、ということが議論されてますが本当に見せていけないのはこっち。というかPG15指定なので小さなお子様は見られません。

ちなみに原作がまだ絶賛連載中なので劇場版も普通に途中で終わります。この先またしんどい描写が待ってるんだろうけど続きが気になって仕方ないのでした。

 

この月は先月に引き続いて『機動戦士ガンダム』の劇場版ⅡとⅢも観ました。映画館では初鑑賞。子供のころから何度も観てるアニメではありますが、観るたびに新しい発見があり、同時にノスタルジックな気分にも浸らせてくれます。

今回改めて感じたのは、この「ファーストガンダム」は偶然居合わせた若者たちが衝突したり協力したりを繰り返して「家族」になっていく話だったんだな、ということ。実は最終決戦においてほとんどのメンバーは無理してついていくことないんですけど、苦労を共にした仲間を見捨てられず激戦地まで付き合うのですよね。ご存じのようにこの後もキャラクターたちの苦労は続いていくのですが、ここで世界が平和になってアムロたちが幸せに暮らす平行世界があってもいいよな~~~と思いました。ていうか、あれ。

 

二日連続更新に成功したのでなんとか年末までにまとめ切れるかな? 次は8月に観た映画について書きます。

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November 18, 2020

2020年5・6月に観た映画を振り返る

いやあ、ブログ書くの何ヶ月ぶりだろう… なんか緊張しますね! 今年もぼちぼち終わりそうなんで今のうちに記録を残しておこうと思います。とりあえずコロナ一波から映画館が再開した5月後半と6月に観た映画から。

☆『スピリット・オブ・ジ・エア』

『ダークシティ』『キング・オブ・エジプト』などで知られる鬼才アレックス・プロヤス監督のデビュー作。荒廃した地で飛行機作りに夢中になっている発明家と、その妹。ある日そこへなぞめいた風来坊がやってきて、二人の間に波風を立て始める…というお話。予算ゆえか今の監督のような派手さは全くなく、よくいえば詩的、悪く言えばあっさりした話。ただ独特の美術センスはこのころから光るものがあり、それが評価されたからこそ今の地位があるんだろうなあ…と思います。ていうかキンエジから4年経ってるんですけど次回作はまだですかね、プロヤス

 

☆『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』

実話。19世紀から20世紀にかけて、フランスの片田舎で郵便配達をしながらコツコツコツコツ33年かけて、アンコール・ワット風の宮殿を建てた男の半生。このシュヴァルさん、奥さんが亡くなった時でさえ涙もろくにこぼさないくらい感情に乏しい人なのですが、後妻が産んだ娘にだけはメロメロになっていて幼女って最強だなあと思いました。そしてその前にこさえた長男はとっとと丁稚にやられてろくにケアもしてないのですが、この長男がまた大変出来た青年でして。普通だったらグレますよ… それはともかくフランスの田園や自然の風景、徐々に風格を増していく「理想宮」が目を楽しませてくれる1本。

 

☆『盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲』

音感を高めるために盲目のふりをしているピアニストのアーカーシュは、ひょんなことから殺人直後の現場に立ち入ってしまう。「死体は見てないだろう」ということで犯人から口封じされずに済んだアーカーシュだったが、事態は予想外の方向へ進んで行き…

単なるワンアイデアものかと思いきやファーストシーンからラストシーンに至るまで様々な仕掛けが張り巡らされ、ストーリーも二転三転どころでなく五転六転くらいころがっていく見事な工芸品のような映画。あんまり話題になりませんでしたが、これはもっと脚光を浴びても良かったんじゃないでしょうかねー インド映画にしては珍しくほとんど踊るシーンがないのですが、それでいてボリウッドの重要な特色である「音楽」に深い愛情を込めた作品でもあります。

 

☆『デッド・ドント・ダイ』

まったりしたアート映画で長年活躍しておられるジム・ジャームッシュが驚くべきことにゾンビものに挑んだ作品。予告を見ると滅法面白そうで、小奇麗な田舎の町並みに、人を食った風で憎めなさそうな住人たち。どっちかというとウェス・アンダーソンが撮りそうなビジュアル。そんな材料で『ゾンビランド』か『ショーン・オブ・ザ・デッド』みたいなお話をやるのかな…と思いきや半分あたり、半分はずれでした。結末を見るにやっぱジャームッシュさんはアート畑の人だなあと思いましたがああいうラスト自分は嫌いです。同じくアダム・ドライバーが出てる前作『パターソン』の方が好き。

 

6月は新作が少ないためにリバイバル作品も多く上映されていて、自分も『シビルウォー』、『パシフィック・リム』(5回目)、『ハンターキラー』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(3回目)、『機動戦士ガンダムⅠ』(映画館では初見)、『千と千尋の神隠し』など観賞したりしてました。次は7月に観た映画について書きます。っていうか続くかどうか。

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June 24, 2020

4月前半に観た映画の振り返り 『AKIRA』『新喜劇王』『レ・ミゼラブル(2019)』『ピーナッツバター・ファルコン』

それではコロナでバタバタ映画館が休業していった4月前半に観た映画を振り返ってみます。

 

☆『AKIRA』

21世紀の預言書とまで噂されている大友克洋氏の超名作アニメ(コミック)。映画も漫画も断片的にしか観てなかったので、この度ようやくきちんとした形で鑑賞いたしました。ネットなどでみんなの印象に残っているのはどちらかというとこの映画版のような気がします。

舞台や設定はやたらスケールがでかいですが、核となっているのは金田と鉄雄の関係なんだろうなあと。危険を冒して鉄雄を助けにきたのに、「お前なんかいらない」と言われた途端躊躇なく彼を殺そうとする金やん。かと思えばパニックに陥った友達が頼ってきたらすぐにまたお助けモードに切り替わるという… そんな金田君の割り切りの良さがかえって小気味良かったです。

ムードが全然異なる『天空の城ラピュタ』『天気の子』『羅小黒戦記』にも重なるところが色々あって楽しかったです。オタクはそういうリンクを見つけると勝手にウヒウヒ喜ぶのです。

 

☆『新喜劇王』

『少林サッカー』のチャウ・シンチーが自身の作品『喜劇王』をリメイクした映画。エキストラでさんざんな扱いを受けながらもいつかは大女優に…と夢見るヒロインの奮闘が描かれます。まあとにかく主人公の忍耐するパートというか我慢タイムがとっても長い。その中でシンチーお得意のギャグも色々盛り込まれるんですが、とにかく彼女がかわいそうで笑えない。シンチー作品なのでかわいそうなまま終わらないであろうことは予想つくのですが… 主演女優さんが本当に無名に近かったのにこの映画で一躍脚光を浴びたというエピソードには心温まりましたけど。

 

☆『レ・ミゼラブル(2019)』

このタイトルなのですが、ビクトル・ユーゴーの名作とは全然違うお話。では完全に無関係かというと微妙にオマージュを捧げているという… ああ! まぎわらしい! アフリカ系の住民が多く住む現代フランスの団地を舞台に、そこに赴任した刑事が「悲惨な人々」との関わりの中でキリキリ舞いするというストーリー。フランス・団地・犯罪社会という三要素は少し前の『ディーパンの戦い』を彷彿とさせます。

ネタバレになっちゃうかもしれませんが

 

 

 

 

まるでこちらに真の結末を放りつけてくるような、それでいて弾丸さながらに心を打ちぬいてくる実に衝撃的な幕切れでありました。精一杯の善意も、人種間の軋轢や皮肉な運命の前には何の力もないのだなあ…と深く打ちのめされます。それだけにズシンと心に残る映画。

 

 

☆『ピーナッツバター・ファルコン』

レスラーを夢見る障害者の青年と、おいたをやらかして故郷を飛び出してきたおっさんが、二人で南部アメリカを旅していくロードムービー。『レインマン』やマキャモンの小説『遥か南へ』なども思い出させますが、わたしが特にツボだったのは(たぶん)ミシシッピ川をゆるゆると川下りしていくというマーク・トウェイン的な世界。実際はいろいろ大変なこともあるでしょうけど、毎日ちまちまと世知辛い仕事をしている身としては二人の「冒険」がとってもまぶしく見えまして。

先の「レ・ミゼ」じゃない『レ・ミゼ』とは対照的に「嘘とも思えるような夢も、願い続ければもしかしたら…」というファンタジックなお話がコロナ疲れでまいっているハートに沁みました。

 

 

次回は映画館再開後に観た『スピリッツ・オブ・ジ・エア』『シュヴァㇽの理想宮』『盲目のメロディ』『デッド・ドント・ダイ』について書く予定です。

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June 18, 2020

3月後半に観た映画を振り返る 『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』『サーホー』『彼らは生きていた』『スウィング・キッズ』

いよいよコロナ禍が迫ってきた3月後半に観た映画についてダラダラと書きます

 

☆『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』

あれこれまだ上映してるんじゃないの… コロナが押し寄せる前に公開された最後の洋画大作。DCユニバースで近年人気が急上昇してるヴィラン「ハーレイ・クイン」(ずっと俺、「ハーレクイン」だと思ってたよ…)を中心に、ゴッサムシティの女傑たちが事件に巻き込まれた少女を守って戦うストーリー。バーズ・オブ・プレイというのは確かバットガールとブラック・キャナリーが中心のヒーロー色の濃いチームだと思ったのですが、この度はハーレイを目立たせるためかバットガールは不在で、どっちかというとアウトロー寄りのグループとして描かれてます。

ので、ハーレイは基本的に正義の味方ではなく、自分の欲望の赴くままに行動してるだけなのですが、「ま、子供くらいは守ってあげないと」というなけなしの倫理観でもってさらに悪どいやつらと対決することになります。この子悪党と悪ガキのコンビの奇妙なパートナーシップがなんだかツボにはまりました。

ポリコレ的な観点で絶賛される本作ですが、それを抜きにしても「ひねりまくった構成」「立ち位置の違うメンバーたち」「決戦の舞台」などなど十分面白い映画だと思いました。あと死んだと思ってたアレが生きていたのが大変高ポイントです。

 

☆『サーホー』

『バーフバリ』でインドの映画記録を塗り替えたプラバースが、今度は現代の暗黒街で大暴れするお話。

得体の知れない風来坊が実は…という遠山の金さん的なキャラは今回も健在であります。まあこの無邪気で親しみやすい青年と、周囲を圧倒するカリスマの両方を自然に表現できるところがプラバースさんのスターたるゆえんなのでしょう。

わたしがこの映画を観ようと思った動機のひとつは、プラさんがジェットパックでビル街をギュイーンと飛んでく姿を予告で観てテンションが上がったからです。その辺は決して長くはありませんでしたが期待通りの映像でした。

あとインド映画で度々みられるように、この映画もお父さんを慕うお話なんですね。日本ではいい年こいた男が「やっと離れ離れのおとうさんと一緒に住める」とかあまりないと思うのですが(母親だったらありそう)、インドではそういう父孝行がむしろ普通なようですね。

 

☆『彼らは生きていた』

『ロード・オブ・ザ・リング』などで知られるピーター・ジャクソンが第一次世界大戦の記録映像をカラー化し編集したもの。約100年前の実際に存在していた人々が色彩を伴って蘇ってくるというだけでも価値ある作品。戦争なんでもちろん色々シビアだし人もいっぱい死んでるんですけど、現代のそれと比べると少々のんきな部分もあり。逆にたった100年で殺し合いはここまで進化してしまったのか…と考えると空恐ろしいものがあります。

とりわけきついな~と思ったのが衛生面に関することですね。しょっちゅう涌くシラミに悩まされたとか、紙がないから手で拭いた、とかね。あとなんか面白かったのが捕虜にした兵士が虐待されることもなく、すぐ仲良くなっちゃったとか。これも第一次大戦のちょっと独特なとこだと思いました。

 

☆『スウィングキッズ』

朝鮮戦争終結後の韓国側の捕虜収容所という変わったところが舞台の作品。北の思想に心酔し反抗を繰り返す青年ロ・ギスが、米軍の兵士から教わったタップダンスにひかれていき、チームを組んで公演するまでになるのですが

まず主人公たちの躍動する姿がまことに力強く、美しく、こぎみよい。加えてダンスチームのメンバーが最初こそ珍妙に見えるのですが、彼らの事情を知るにつれどんどん愛おしくなっていきます。

ただねー 楽しいのは本当に前半までなのですよ。後半はダンスを楽しみたい思いと、北側の仲間の圧力とで板挟みになるギスが見ていてつろうてつろうてつろうて… こんだけ前半と後半のトーンが切り替わる映画は『ライフ・イズ・ビューティフル』以来のような気がします。

最強の人間兵器みたいに噂されてたギスの兄が、どんなモンスターかと思いきやいざ登場したら… この辺も微笑ましい反面なんとも痛切なエピソードでした。やっぱイデオロギーが全部悪いね…

 

 

次回は『AKIRA』、『新・喜劇王』、『レ・ミゼラブル』(2019)、『ピーナッツバター・ファルコン』について書く予定。

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