2025年8月に観た映画
君といた夏は遠い夢の中… この時期は子供向けの作品を多くみてました。
☆『国宝』
今や歴代実写邦画1位にも迫る大ヒット作。歌舞伎に情熱を燃やす二人の役者の一生を描いた作品。
自分はもういい年なので子供もいないのに若い子が一生懸命がんばってるとつい保護者目線になってしまうというか、舞台のシーンでいちいち「こけるなよ! とちるなよ!」とハラハラしたり胸をなでおろしたりしてました。そういう点ではアクション映画と同じくらいスリルがありました。
『べらぼう』以外で初めて横浜流星君の演技を拝見しましたが、大河では主役らしい絶対的なオーラを放ってるのに対し、こちらではちゃんと引き立て役というか副主人公にふさわしいくらいの光り方でありました。主役を太陽とすれば月くらいの。その辺は映画の撮り方によるものか、彼の演技力によるものか。
おネエ言葉もぞくっとするくらい似合う田中泯さんや、最初二人と大喧嘩しながら、その後は何くれと世話を焼いてくれる三浦貴大氏の役どころもよかったです。
☆『星つなぎのエリオ』
CGアニメ本家のピクサー最新作。宇宙へ旅立つことを夢見ている少年が偶然にも異星人との交渉に成功。自分が地球の代表と見栄を張ったためにピンチに陥ってしまう…というストーリー。
予告でおおよそかわいいとはとても思えない芋虫のエイリアンが登場するのですけど、なんとこの芋虫とエリオ君の友情が重要な要素となっております。うーん、悪趣味…と最初は思いますが、子役君のかわいい声のおかげでだんだんキュートに感じられてくるから不思議です。考えてみれば不気味芋虫に愛情が湧いてくるSF、前例が幾つかありました。風の谷のナウシカ、DUNE、今年ではミッキー17もそうでした。
ハッタリかました主人公が機転と運で難題を乗り切っていく様子は植木等さんの「無責任シリーズ」に通じるところもあり。
☆『ジュラシック・ワールド 復活の大地』
シリーズ7作目。過去シリーズの登場人物が一切出てこない仕切り直し的な作品。
今回は新薬に必要な恐竜・翼竜・海トカゲ竜の遺伝子をゲットしてくるというミッションに、旅行中恐竜無法地帯に迷い込んでしまった親子が合流してしまい…という流れ。とりあえず「3つのアイテムを集める」ってわかりやすいゲーム的なコンセプトはよかったです。あとラスボスはなんじゃこりゃ、という感じでしたが、既存?の恐竜たちは概ね見せ方がうまく魅力的に描かれてました。ティラノさんの活躍シーンに関しては「ティラノさん、それじゃ追いついちゃうよ! もっとセーブして!」という監督のダメ出しが聞こえたような気もしましたけど。
自分はもっと人間社会の中に恐竜が闊歩してるような映像が観たいので、冒頭のアパトサウルスが大都市で渋滞を引き起こしてるような映像も楽しかった。次回作ではもっとそういうのお願いしたい。あといまだシリーズに登場してない首長竜をなんとか。
☆『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』
毎年恒例のクレヨンしんちゃん映画シリーズ。今回はしんちゃん一行がインド旅行に行った際に、レギュラーのぼーちゃんに異変が生じるという内容。しんちゃん映画は観たり観なかったりなのですが、今回はインド映画のパロディがちりばめられてると聞き面白そうだな、と。
しんちゃん映画のキモってドラえもんのような子供の好きな王道(冒険とか恐竜とか)的題材ではなく、庶民的・不条理的なモチーフをひっぱってきてヘンテコなお笑いで観客を包み込み、ついでにあるかなしかの教訓を残してくようなところだと思うのです。そこいくと今回はそのヘンテコなぶっ飛び具合が少し足りなかったかな…と。ただこれ言うのは簡単だけどかなりの高等テクニックが求められるわけで。しんちゃん映画のスタッフって本当に大変だと思います。もっとも興行成績は昨年より劣るものの普通に20億を突破してるので商売的には悪くない模様。
クライマックスでインドの食材「チャパティ」が大暴れするところはよかった。チャパティってお茶かなんかだと思ってたので勉強になりました。
☆『大長編 タローマン 万博大爆発』
NHKで3年前突然製作されたいかれた特撮番組『タローマン』。芸術家岡本太郎の作品・メッセージをふんだんにとりこんで無理やりウルトラマンのパロディにしたてあげたべらぼうででたらめな作品なのですが、その奇天烈さに一度はまるとドラッグのような中毒性があり、自分も社会復帰するのに相当苦労させられました。
その『タローマン』が105分の映画になって帰ってくるという。元々が1話5分のものを一度にそんなに摂取したらオーバードーズで昇天してしまうのでは…と決死の覚悟で臨みましたが、無事生還いたしました。
まあ今回作るにあたり監督はちゃんと「1本の映画らしいものを作ろう」と心がけておられたそうで、奇天烈なデザインはそのままに、約一時間半にふさわしいストーリーが用意されていました。ひたすら「でたらめ」「べらぼう」を主張してきた本シリーズですけど、劇場版を観ると「やはり生きていく上には多少の常識も必要では。最低限の常識があったればこそでたらめは輝くのでは?」という気がしてきます。こんなことを書くと草葉の影から岡本太郎先生に怒られそうですが。
ひとつ気になったのは監督のつぶやきによるとどうもやる前から赤字が確定してるみたいなこと。っていうかそれで映画って公開できるものなんですか??? ある意味大爆死した方が「マイナスに飛び込め」という岡本太郎イズムにふさわしい気もするのですが、監督が胃潰瘍にならないためにもせめてプラマイゼロくらいにはなってほしいところです。
次回は『Chao』『8番出口』『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』『ヒックとドラゴン』『チェンソーマン レゼ編』『ボーイ・キルズ・ワールド』などについて書きます。


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