May 06, 2024

2024年2月に観た映画を振り返る

GWも終わりですね… そんなころになって三ヶ月くらい前に観た映画を振り返ります。

☆『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』

平成ライダー初期の人気作『555』の20周年記念作品。主人公・乾巧の死を匂わせて終わったTVシリーズ。果たして彼はその後どうなったのか… 普通に考えれば生きてるわけないのですが、そこは剛腕脚本家・井上敏樹。「こまけえこたいんだよ」とばかりに令和の時代に「555」の復活を描いて見せてくれました。予想に反して希望のもてる終わり方だったのも良かったです。

ただ昨年の劇場版『000』の時にも感じたのですけど、せっかくの〇周年記念作品なのになぜきちんと予算をかけて2時間やってくれないのか。同じ20年ぶりの『ガンダムSEED』がド派手にやってるのを見てるとついついそう思ってしまいます。

 

☆『哀れなるものたち』

本年度のアカデミー賞をにぎわせた作品。女性版フランケンシュタインのような主人公が自我に目覚めてヨーロッパ世界を旅し、成長する話…なのか? 一風変わった童話のような趣があるのですが、セクシャルな描写が多いのでちょっとお子様には見せられません。エマ・ストーンも人気女優なんだからそこまでがんばらなくてもよかろうに…と思いましたけど、その熱演ゆえにオスカー主演女優部門をゲット。おめでとうございました。

いにしえのチェコの特撮監督カレル・ゼマンをほうふつとさせる背景美術はなかなか好みでした。

 

☆『ボーはおそれている』

『哀れなるものたち』と同じく毒親の支配下にあった子供が成長して奇妙な旅に出るストーリー。こちらはより悪趣味で不条理で意地悪な感じでした。ただアリ・アスター作品ってだんだんホラー味が減ってお笑い味が増していってるところがあるので、私のような臆病者には観やすくなって助かります。

昨年末『ナポレオン』で稀代のカリスマを演じたホアキン・フェミックスがこちらでは母の影に怯える冴えない男を好演していて、さすが名優…というか役のふり幅広すぎ、と思いました

 

次の3本は同じ日にハシゴして観ました。わたしも若くないのでそういうのはなるたけ避けたいのですが、年に1,2回スケジュールの都合でそうなってしまう時があります。

☆『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』

『ハイキュー!!』はアニメのシーズンワンを観てた程度なんですけど、一昨年のスラムダンク』のような感動を期待して行って参りました。スポーツ漫画なのにそんなに熱血熱血してないのが持ち味だと思いました。そりゃもちろん双方勝利を目指して全力でプレイしているわけですが、激戦の最中でも笑いあったりふざけあったりしてとても楽しそう。負けた側もさわやかな笑顔と共にコートを去っていきます。選手たちも個性様々であるけど嫌味なやつは一人もいない。こういうのもいいですね。

現在なおも公開中で興行収入も100億を突破したとか。おめでとうございます。

 

☆『コヴェナント 約束の救出』

今年上半期ベストの一本。お洒落なユーモアを混ぜたアクションものを得意とするガイ・リッチーが自分の個性を封印して、男たちの友情をシンプルに物語った社会派サスペンスであります。実話を基にした話かと思ったら「実話を材にしたフィクション」でございましたが、評価に変わりはありません。

ジェイク・ギレンホール演じる米国曹長キンリーは自分を命がけで助けてくれた通訳の窮地を救うため、せっかく拾った命を危険にさらしてまた戦地へ戻っていく…というストーリー。「状況がどうしようもないのだから、恩に報いたいけど無理」と誰もが諦めそうなところで、キンリーはなおも手段を探します。「恩返しというよりむしろ呪い」と語ってやせ細っていく彼の姿が印象的でした。政治とか国の事情はおいといて、誰かに何かしてやった時見返りは求めないけど、自分が何かしてもらったらなるたけ恩は返したいものです。

こんなにいい映画なのに製作費5500万$に対し約2100万$しか売り上げがなかったためか、日本では公開が一年遅れました。配給さん、公開
してくれてありがとう。
☆『マダム・ウェブ』
ソニー独自のスパイダーマンのキャラを使用したユニバース、「SSMU」の通算4本目。消火作業的な気持ちで観に行きましたが、なかなかどうして傑作でした。不完全な予知能力しか持たない主人公が、スーパーパワーを持つヴィラン相手に3人の少女を守り抜くというコンセプトがまず面白い。あと時代設定が20年前なのですが、最後まで観ると、あるキャラがある呼ばれ方をするところでその理由が判明します。
ただこちらも売り上げ的には苦戦気味。続く『クレイブン・ザ・ハンター』や『ヴェノム』3作目で巻き返すことはできるでしょうか。がんばれSSMU。
次回はまたいつになるかわかりませんが、『アーガイル』『ネクスト・ゴール・ウィンズ』『DUNE2』『名探偵ホームズ』『オッペンハイマー』『瞳をとじて』について書きます。

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March 31, 2024

2024年1月に観た映画

またしても3ヶ月ばかり観た映画の感想がたまってしまいました。いつも以上にやっつけで参ります

☆『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』

今年初鑑賞作品。原作は全部読んでおります。令和のこの時代に東西冷戦スパイもののパロディ漫画が子供たちにまで人気を博すとは、いったい誰が予想しえたでしょう。

ただ劇場版の方は普通に楽しみましたけど本当に印象が薄いというか可も不可もない…といった出来栄えで、すでに記憶が薄れかけております。姪っ子二人と楽しんで鑑賞できたのはよかった。上の子はもう中一なのでそろそろおじさんと映画につきあってもらえなくなるかも。

脚本は『コードギアス』や『水星の魔女』などドロドロした人間ドラマが多い大河内一楼氏。こういううっかりちゃっかりした作品も書けるのですね

 

☆『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

今年初洋画。『チャーリーとチョコレート工場』の前日談で、若き日のウォリー・ウォンカがサクセスするまでを描いた作品。ただバートン版は原作にややアレンジを加えているため、あちらとは微妙につながらなかったりします。明らかにウォンカが変人だったバートン版に対してこちらはさわやかな美青年だったりしますし。まあ面白ければよいのです。

大好きな『パディントン』のポール・キング監督ということで観てきました。多少はじけぶりが大人しい気はしましたが楽しませていただきました。最近のヒュー・グラントはどんどんコメディアンになっていってますが、これでさらに芸域が広がった気がします(コメディアンとしての)。あとこの監督はお話の中に主人公が辛酸をなめる「我慢パート」を設けるのが好きですね

 

☆『市子』

今年初実写邦画。プロポーズされて幸せの絶頂だったその直後、突然恋人の前から姿を消したヒロイン「市子」の謎を追うストーリー。「謎を追う」と書きましたが、ミステリー的な面白さよりも「戸籍」というものの有無がもたらす悲劇の方が強調されていて、観終わった後どんよりとしたやるせなさが胸に残りました。

『ちはやふる』3部作で「机くん」を好演した俳優さんが、そのまんまっぽいキャラで出てきてます。これがまた色んな意味で悲しい青年でして。自分に通じるところもあるので鑑賞後彼についてもっとこうできなかったのか…とウダウダ考え続けてしまいました。無償の愛で終われれば一番かっこいいのだけど、払った犠牲が大きければ大きいほどそう簡単にはいかなくなるというか

 

☆『アクアマン/失われた王国』

今年初アメコミ映画。2013年から続いたDC映画ユニバースの最終作となる作品。手練れのジェームズ・ワン監督が撮っているゆえ一定のレベルには達しているのですが、なんかいろいろ不満が感じられてしまいまして。

・前作と比べスケール的に広がったわけでもなく、そんなに目新しい要素もなかった。作中でアーサーも「ロキ」とか言っちゃってたけど既存のあれこれともかぶってたり

・これ前作でも思ったけど地球規模のピンチなのにどうしてジャスティス・リーグの面々は助けに来ないのか。ワン監督がユニバース設定とか嫌いなんでしょうか

・約10年続いた映画シリーズのラストが「〇〇食べて終わり」というのはあまりにもさびしい

あんまり映画の愚痴言うの好きじゃないんですが… いいところはなんかなかったかな… あ、タコは良かった。

ジェームズ・ガン(似ていて紛らわしい)のもとDC映画は一新されるとのことですけど、10年後くらいにこちらのユニバースもパラレルワールドということで再利用されそうな気がします

 

☆『カラオケ行こ!』

和山やま原作の漫画を山下敦弘監督&野木亜紀子脚本で映画化。合唱部の中学生である聡実くんとヤクザの青年狂児の奇妙な友情ストーリー…だとずっと思ってたんですけど、この劇場版や続編の『ファミレス行こ。』を読むと、アレ?これもしかして恋愛ものだったのか?と思えて来たり。堅気の男の子がアウトローの相方にひかれてしまうという粗筋はほんわかした『BANANA FISH』のようでもあります。

原作にないキャラであったやたら面倒くさい聡実君の後輩とか、同級生の映画部の部長とか脇役の子たちもみんなキラキラ?していてよかったです。珍しくコメディエンヌをやってた芳根京子の「ももちゃん先生」も大層かわいらしかったです。

この映画に影響されて先日カラオケで「紅」歌ってきました。1回目でのどが死にました

 

☆『ゴールデンカムイ』

野田サトル原作の人気漫画を映画化…ってこの月、漫画関連の映画ばかり観てるなー 映画化発表当時はブーイングがかなり多かった印象ですが、出来上がったものを見ますと原作の悪の強いキャラたちが非常に見事に再現されていて絶賛ムードに好転。やっぱり映画というのは出来てみないといろいろわからないものですね。

実写になってよかったのは、やはり北海道の雄大な雪景色が持つ圧倒的な説得力でしょうか。あと実写になったことで作品の持つ西部劇感が一層増した気がします。

原作は全部で31巻あるのですが、今回扱ってるのは2巻少々。これ続きどうすんだろ…と思ったらWOWOWのドラマ配信でやっていくそうです。映画の企画も引き続きあるそうなので、ヤマ場だけ劇場でやっていく感じでしょうか。大長編漫画の完全実写化って中途半端な形で終わることが多いので、こういう取り組み方もありかと思います。

 

☆『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

長年生きてたんだか死んでたんだか不明だった『機動戦士ガンダムSEED』の映画化企画が昨年突然復活。めでたく20年越しの実現となりました。いや、めでたい。なつかしの忘れ去られたようなあんなキャラこんなキャラも取りこぼしなくみんな顔を見せてくれて、さながらよく出来た同窓会のようでした。

内容の方はともうしますとTVシリーズはそれなりに戦争と平和について真面目に考えていたと思うんですけど、新作劇場版は(特に後半)ラブ&ピースに走り過ぎてドラッグをキメているような印象でありました。ただこれも脚本を務めていた監督夫人の故・両澤千晶さんへのレクイエムなのだとしたら、ちょっと感慨深いものがあります。

シンエヴァ上映終了時はしみじみとした感動が場内を包んでいたのに対し、今回はまったりとした照れ笑いが占めていたように感じます。そんなところもオタクたちの「同窓会」的なところがありました。

ガンダムって超メジャーでロングセラーなコンテンツでありながら、こと映画となると今ひとつ突き抜けにくいところがあります。しかし今回はガンダム史上最高の売上となる40億以上を達成いたしました。さらなるSEEDの続きが出来てしまいそうで楽しみなような、不安なような

 

次回は『哀れなるものたち』『劇場版仮面ライダー555』『ボーはおそれている』『劇場版ハイキュー!!』『コヴェナント』『マダム・ウェブ』について書きます

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March 03, 2024

2023年12月に観た映画

2024年ももう3月に入ったというのに、いまごろ年末の映画の感想をまとめてみます。今年もこんな感じでダラダラと続くのか、それともとうとう更新が止まるのか…

師走は前半は醜い権力争いの映画を、後半はハートウォーミングな映画を観てました。

☆『首』

実は北野武作品を映画館で観るのは初めて。家でも『アウトレイジ』1作目くらいです。彼の映画ってこうじくじくぐちぐち痛そうな描写が多くて、それでつい敬遠してしまうのですよね。この作品にもやっぱりちらほらありました。ただ残酷には残酷だったけど、意外にもコメディタッチだったので思ったより観やすかったです。時に見苦しく、時にあっけらかんと有名無名の武士たちが片っ端からバタバタ死んでいく流れは仕事明けに疲れた体をひきずって観に行ったせいもあって、どんよりと虚しさがつのりました。

明智光秀の首を前にした秀吉のシーンは大河ドラマ『どうする家康』でもあったのですが、どっちもとても印象的で良かったです。

 

☆『ナポレオン』

リドリー・スコット×ホアキン・フェニックスの『グラディエーター』コンビが送る王道史劇。ナポレオンの波乱過ぎる人生を2時間半で収めるのは厳しかったと思いますが、最初の妻ジョゼフィーヌとのドラマを中心に据えることで良いダイジェストになっておりました。

リドスコはナポレオンを決してかっこよくも肯定的にも描いてはいないのですが、それでもなんとなく親しみを感じてしまうのはホアキンさんのキャラ・演技によるものでしょうか。

この時代戦争の決め手となるのは主に大砲の使い方だったようで。そんな19世紀ごろの戦いを知る上で勉強になりました。

 

☆『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』

魔夜峰央先生の漫画を派手に映像化して大ヒットを飛ばした『翔んで埼玉』の続編。最近漫画の映像化に関して痛ましい事件がありましたが、こちらは二作ともオープニングで魔夜先生が楽しそうに出演してらしたので、お互いにとって良い実写化だったのかな…と。

内容的には前作の埼玉を滋賀に置き換えたくらいの感じで、面白いっちゃ面白いんですけどどうにも二番煎じ的な印象はぬぐえませんでした。『チャーリーとチョコレート工場』のパロディをやったら江戸川乱歩の『パノラマ島奇譚』みたくなってしまったのは強烈でしたが。

『キングダム』3作目に『TOKYO MER』、そして本作品と杏さんは昨年邦画の売上に最も貢献された女優さんだったと思います。

 

☆『窓ぎわのトットちゃん』

黒柳徹子さんの自伝をアニメ化。自分ずっと黒柳さんが仕事がなくて悩む…みたいな話だと思い込んでいたのですが、全然違いました。当初は全く観る気がなかったのですけど、あまりに評判が良かったので鑑賞して参りました。

トットちゃんがトモエ学園で過ごす楽しい日々に、やがて戦争の影がしのびより、彼女の大切なものがひとつ、またひとつと消えていくその様子があまりにも切ない。消えた理由をはっきり描かないあたりがまたしんどいです(駅員さんやお父さん、ペットの犬など)

特にハラハラと泣けたのは戦争と関係ないけど縁日でトットちゃんが買ってもらったひよこのエピソードと、ラストでトットちゃんが立派なお姉さんになって弟(妹?)をあやしてる姿。自由奔放だった彼女まだ子供なのに、厳しい環境のため無理やり大人にさせられてしまったようで、なんだか無性に悲しかったのでした。

 

☆『PERFECT DAYS』

巨匠ティム・ヴェンダースが役所広司を主演に据え、東京でトイレ清掃員として働く男の生きざまを描いた作品。第96回アカデミー賞、国際映画長編部門にノミネートされております。

日々の些細なことに喜びを見出し、様々な趣味を楽しむ主人公・平山の姿は漫画『ハンチョウ』のようで確かに微笑ましく、ちょっと羨ましいなと思います。ただ映画ではトイレの匂いまでは伝わって来ませんし、途中同僚がトンズラしたことからもわかるように実際やったらきつい仕事なんでしょうね。自分も以前体力勝負のルーチンワークをやっていましたが、精神的には楽でしたけどやはり肉体的には厳しかったです。両方とも楽で儲かる仕事があれば一番いいんですけど、世の中そんなに甘くはありません。

ひとつ気になったのは平山さん写真も本も音楽も好きなのに、映像にはほとんど興味なさそうなんですよね。単に好みの問題かもしれませんが、これ映画なんだから映画も少しくらいネタにしてほしかったかも。平山さんのあの部屋にTVが置いてあったらちょっと高尚さが薄れる気もしますが… 映画館は映画館でちょっとお金かかるしね

 

☆『屋根裏のラジャー』

ジブリ亡き?後日本のアニメを盛り上げるべく結成されたスタジオポノック最新作。ただこのスタジオ世間的にいまいち知名度が低く、今作品がコケたら解散となるかも…という状況で放たれた最後の勝負的な1本。けれど去年の暮れは鬼太郎、トットちゃん、スパイファミリーとアニメの傑作・人気作がひしめいていてあまりにもタイミングが悪かった… 当初の予定通り夏に公開されていたらそれはそれで本家『君たちはどう生きるか』とぶつかることになったわけですが。しかしその後の情報によりますとポノックはネットフリックスのサポートが入ったようでひとまず消滅は免れたようです。良かったですね!

で、作品の内容の方はピクサー『インサイドヘッド』を思わせる設定。子供の想像上の友達「イマジナリー」とヒロインの友情が描かれます。美術は申し分ない美麗さで個々のアイデアの独創性、見せ方もとても良かったですが、クライマックスの盛り上げがもう少し欲しかったかな… とはいえスタッフの真摯な姿勢には心から感銘を受けました。

安藤サクラさんの出演作は昨年3本観たのですが、どれも未亡人役だったのはちょっとどうかと思いました。旦那さんの健康を願わずにはいられません。

 

今月もちいと忙しいのですがなんとか1月の感想くらいはまとめたいところ。次回は『スパイファミリー』『ウォンカ』『市子』『アクアマン 失われた王国』『カラオケ行こ!』『ゴールデンカムイ』『ガンダムSEED FREEDOM』について書きます。

 

 

 

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February 18, 2024

第20回SGA屋漫画文化賞

うわ… もう20回目なのか…

本来なら何か記念で特別企画でもいたすところなのですが、自己満足でメモ代わりに書いている記事なので今回も淡々となげやりにいきます。

2023年わたしが読んで特に励まされた・感銘を受けた漫画作品に与えられる「SGA屋漫画文化賞」。例によって賞金も賞品もありません。

まずここ数年の間ずっとわたしの支えとなってくれている3作品をまとめて

 

萩原天晴・上原求・新井和也 『1日外出録ハンチョウ』

コージィ城倉(原案:ちばあきお)『キャプテン2』

☆丸山恭右 『TSYYOSHI 誰も勝てない、アイツには』

昨年も辛い時苦しい時気分転換となってくれてありがとうございました。出来ることならまだまだ終わらず向こう10年は楽しませてください。

 

2023bc1 続いて「ずっと前から評判でしたが昨年初めて読み始めた部門」

☆南勝久 『ザ・ファブル』

映画2部作は観てましたが、原作にしかないとてもくだらないエピソードが大変良かったです。主人公佐藤を師と慕うクロちゃんが「きつ☆キャン」に音を上げるくだりがとりわけお気に入り。

 

2023bc2 さらに続いて「昨年とうとうめでたく完結した部門」

☆をの ひなお『明日、私は誰かのカノジョ』

私のような老醜をさらしたおっさんが読むと色々と心苦しいところもある漫画でしたが、それでもひきつけられるところがあり最後まで愛読させていただきました。特に嬉しかったのはさえないオタク風だけど気は優しい「正之さん」が人気投票でぶっちぎりのトップだったこと。やっぱり優しさは大事です。たとえモテなくても。

 

2023bc3 さらにさらに続いて「昨年連載が始まった新星部門」

☆平井大橋 『ダイヤモンドの功罪』

スポーツ漫画の主人公は誰だって「強くなりたい・相手に勝ちたい」と願うもの。しかしこの作品の綾瀬川君はとんでもない才能と計り知れない優しさをもつゆえ「相手が負けて傷ついたらどうしよう」とか考えてしまうのです。なんていい子なんでしょう。ですが彼がどんなに気を回してもその輝きは同い年の子たちを傷付けてしまう。とてもイヤな話ですがこれがどうしたことかめちゃくちゃ面白いんだ… 後日談のようなパラレルストーリー『ゴーストライト』がまた泣けます。

 

2023ba1 2023ba2アニメからは2作品

☆『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

☆『GAMERA REBIRTH』

どちらも少年少女たちのまっすぐな心意気にいやされた作品でした。『水星~』はMSが、『GAMERA~』は怪獣がちゃんとかっこよかったり迫力があったのも高いポイントです。劇場アニメの『BLUE GIANT』もとても良かったです。

 

では大賞です。

2023bcb

☆ナガノ 『ちいかわ』

最初は「また狙いすましたような可愛いキャラで金儲けしやがって。ケッ」と思っていたのです。しかし昨年中ずっと展開されていた暗黒版『ガンバの冒険』とも言うべき「セイレーン編」にすっかり心奪われてしまったのでした。繰り返される愛憎の連鎖の果てに匂わされる永遠の哀しみと不思議な安らぎ。このエピソードに限っては文芸作品といっても過言ではない完成度でございました。今はまたちょっと変わったグルメ漫画に戻ってしまいましたが、それはそれで良きです。

 

2024年もいい漫画にたくさん出会えますように。それではまた。

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December 30, 2023

2023年、この映画がアレだ!

というわけでアレです。ベスト発表に移る前にリバイバル、えこひいき、ワースト各部門から参ります。

 

☆リバイバル賞:『空の大怪獣 ラドン』

今年のリバイバルは『ラドン』『地球防衛軍』『キングコング対ゴジラ』と東宝特撮しか観てないのですが(わかりやすい)、その中で頭一つ抜けて「面白い」と感じられたのが『ラドン』でした。どうですか、東宝さん。ここらで一発『ラドン-1.0』とか…(無茶よ!)

 

☆えこひいき賞:『聖闘士星矢 The Beginning』

「ちょっとアレなんだけど何らかの賞をあげたい」という作品に贈られます。どんなにアレな実写化にも常に全力で挑む新田真剣佑氏。『ワンピース』実写化でようやく評価されておじさんは嬉しいです。

 

☆ワースト:『イノセンツ』

これは映画自体は見応えありましたが、やはり「〇がひどい死に方をする」という時点でダメでした。監督は呪われなさい

 

ではベスト発表に移ります。よさげだった作品をチョイスしていったら大体30本だったので今年はベスト30で。まずは同率25位の作品を6本。

・インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

・雄獅少年/ライオン少年

・グランツーリスモ

・名探偵ポアロ ベネチアの亡霊

・キリエのうた

・マーベルズ

なんとなく少年少女が過酷な現実に抗うような作品が並んでしまいました(『インディ』は老年ですが)。獅子舞、レース、路上ライブ、スーパーヒーロー… みんなそれぞれがんばってください。

 

続きまして同率19位の作品を6本。

・バビロン

・アントマン&ワスプ クアントマニア

・逆転のトライアングル

・怪物

・窓ぎわのトットちゃん

・PERFECT DAYS

最初の2本はネットで評判イマイチ…というか悪かったですけど、わたしは好きです。安藤サクラ、柄本佑、役所広司、杏各氏の活躍が目立つ年だったなあと。

 

以下ははっきり順位をつけて18~11位まで

☆18位 『かがみの孤城』 厳密には昨年公開作品。ことし最初に観た映画でした。

☆17位 『君たちはどう生きるか』 本当に…どう生きたらいいのでしょう

☆16位 『ザ・クリエイター/創造者』 今調べたらちょっと赤字っぽい。負けるな、ギャレス!

☆15位 『マイ・エレメント』 久々のピクサー大爆発。『インサイド・ヘッド2』も期待していいか?

☆14位 『イニシェリン島の精霊』 指切りげんまんを地で行くような話でしたねえ…

☆13位 『グリッドマンユニバース』 今年のマルチバース映画四天王の、円谷代表。続き期待しとるで

☆12位 『クリード 過去の逆襲』 マイケル・B・ジョーダンのアニメオマージュが炸裂した1本。いつか幕ノ内一歩と戦ってほしい

☆11位 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』 確実に名コメディアンへの道を歩み続けているヒュー・グラント。それでいいのよ!

 

それではいよいよベスト10です。

☆10位 『世界の終わりから』 紀里谷和明監督引退記念。でもいつでも軽率に復帰していいから

☆9位 『イコライザー THE FINAL』 今年度「なめてたおじさんが殺人マシンだった」映画大賞。とりわけ悪役に同情したくなった1本

☆8位 『しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』 これまた「ネットでは評判悪かったんだけど俺は好きだぜ!」な1本。シリーズの興行成績最高記録を更新したそうでおめでとうございます。

☆7位 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』 いまやってるコミケでは人気が大爆発でコーナーに超長蛇の列が出来てるとか。世の中何が突然ブレイクするかわかりません。

☆6位 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』 今年度MCU大賞。動物の可哀そうな話で感動させようとするのは反則だと思います。国際法で取り締まるべきかと。でもよかった…

☆5位 『ザ・フラッシュ』 今年度DC大賞。内容モロかぶりの『スパイダーバース』と日本公開日までかぶってしまったのは愉快なお祭りでございました。

☆4位 『BLUE GIANT』 今年度アニメ大賞。『どうする家康』に『ゴジラ-1.0』と山田裕貴君の活躍が目立った一年でした。ジャズっていいよね! よくわかってないけど!

☆3位 『シン・仮面ライダー』 荒野を渡る風 ひょうひょうと ひとりゆく ひとりゆく 仮面ライダー 2016年から続いたシン・シリーズもこれで終わりなのでしょうか! イヤ!!

☆2位 『仕掛人・藤枝梅安』(2部作) 江戸を舞台にしたフィルム・ノワールであると同時にご飯がとてもおいしそうというグルメ映画の側面もあるシリーズ。あまり儲からなかったようですが来年連動企画として『鬼平犯科帳』も映画化される模様。大丈夫か!(応援してます!)

 

そして栄えある1位は

『ゴジラ-1.0』

でございます。浜辺美波さんの出演作がベスト3中2作品入ってしまいましたが、べ、別にファンってわけじゃないんだからね!

普通に大好きですし楽しんだ映画ですけど、久々に実写邦画が北米で高く評価されたということも記念して。庵野監督も太鼓判押してましたがなんとか次につながりそうでよかったよかった。

「次は誰の『ゴジラ』がいいですか?」と問われて「次も俺がやる!」と息巻く山崎監督。その意気や良し。ただこの作品の主人公カップルはもうそっとしておいてあげましょう。ゴジラさんも今度こそ空気を読みましょう。

 

上位3作品が全て実写邦画という異例の事態となりました。ストライキやフランチャイズ疲れなどもあったかと思いますが、来年はもっと洋画も頑張りましょう。それではみなさん良いお年を。

 

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December 29, 2023

2023年11月に観た映画

2023年も残すところあと数日。やばいぜ… 悪あがきのように11月に観た映画の寸評を書いてみます。

☆『オオカミの家』

チリ製作のストップモーション・アニメ。かの国でかつて栄えた「コロニア・ディグニダ」というカルト組織をモチーフにしております。この教団に関してはエマ・ワトソン主演の『コロニア』という映画を観ていてちょっとだけ知っておりました。

ホラーの名手アリ・アスターが大絶賛したということで「そんなに怖いのか…」とビクビクもので臨みましたが、トラウマになるほどではなかったです。でもまあ確かに話といいグニャグニャした画風といい趣味は悪い。単に絵的なセンスだけだと『ポプテピピック』内で多くの視聴者を当惑させた「ボブネミミッミ」とちょっと似てます。

この映画は久しぶりに鎌倉方面のパン屋さんと兼用で営業されてるミニシアター「シネコヤ」さんで観ました。席数が限られてるとはいえなかなか盛況だったのでなんか嬉しかったです。

 

☆『ゴジラ-1.0』

すいません、大体ネタバレで… 本年度邦画界における最大の話題作の1本。舞台は初代ゴジラが現れた1954年より数年前。ライバル怪獣も超兵器もなさそげな中、あの怪獣王をどうやって倒すのか…というのが大事なポイントのひとつです。もう一つの重要ポイントは神木隆之介君演じる主人公が特攻隊の生き残りだということ。こないだの『クリエイター』もそうでしたが、やっぱりみんな「誰かが身を犠牲にしてみんなを守る」という話が好きなんですよね。日本だけでなく世界的に。しかしそれを元特攻兵にやらせるのはとてもイヤだな…と思っていたので、一応否定する形で終わったのにとても満足しました。

満足したといえばクライマックスにおいて〇が吹っ飛んだゴジラのビジュアルが見られたのも良かったです。映画館に何故行くかといえば、でかいものがでかく見えるからであります。今回はビッグスターゴジラさんの初めて見るあんな映像、こんな映像がいっぱいあったのでそれだけで大興奮でした。あと決戦における「やったか!」「ダメか…」の繰り返しは3ループくらいがベストですね。それより少ないと物足りないし多いとダレる。この辺は洋画の子たる山崎貴監督の真骨頂でありました。

ただいかにも朝ドラ然とした丁寧な?お芝居、脚本が苦手に思った方も多数おられるようです。自分は朝ドラにも慣れてるからいいけれど、この辺やっぱりどんなに白米(映像)が上級でも、上に納豆をかけられちゃうと拒否反応が出ちゃう人もいるということなんでしょうね。

一方でこの作品、既に米国でも公開され、売り上げも評価も邦画としては近年稀に見る数字をたたき出しています。日本人からするとくどく見えるお芝居も、向こうの方々にはあまり気にならないようで。自分も欧米や韓国の映画観てる時、あまり「おおげさだなあ」とは感じませんしね。むしろ「向こうの人だったらやっぱこれくらい怒るよな」とか思います。

 

☆『キリエのうた』

長年映画ファンを自認している身ではありますが、実は岩井俊二作品初挑戦。岩井ファンに言わせるとこれは彼のキャリアの中でもイレギュラー的な映画だそうで。現役シンガーが主演ということで勝手に流しギタリストロードムービーみたいなものを予想してました。が、だいぶ違いました。ずっと集中して観てられたのですが、何故か体感時間は『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』より長く感じました。個人的には主人公二人が砂浜で寝そべってるところで終わった方がいいんじゃないか…と思いましたがまあこれは好みの問題ということで。

ベスト恋愛映画に『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』をあげていた岩井さん。そういえば先のガンダム最新作もシスターフッドの話で主題歌がアイナ・ジ・エンドさんでした。単なる偶然だとは思うのですが

 

☆『マーベルズ』

マーベル・シネマティック・ユニバース最新作。スーパーヒロイン3人組が宇宙をまたにかけて活躍するお話。心身共に人間離れしたキャプテン・マーベルと、彼女に憧れるキャピキャピした女子高生のミズ・マーベル、そしてそんな二人に挟まれて色々苦労するモニカ・ランボーさんという取り合わせが観ていて愉快でした。能力を使うたびに彼女らの座標がという設定も独特でよかったです。

ただこの作品、ディズニープラスのドラマのあれやこれやを観てないと色々脳内補完が必要だったりします。全部観てる自分のような者からすれば「これがあれにつながるのか!」とご褒美が満載なのですが、ライトな映画だけしか観てないファンにとっては「ついていけんわー」となってしまった模様。

今年はアメコミ映画の(主に商売的な面で)衰退が強く感じられた年でした。自分は最後の瞬間までつきあいますけどね… あとドラマ『ミズ・マーベル』はパキスタンのこちらではあまり知られてない歴史をわかりやすく説明してくれるのでおすすめです。

 

☆『スラムドッグズ』

ひどい飼い主に捨てられたワンコが、愉快な仲間たちを得て主人に復讐する話。全編にワンコのモノローグが流れながら進行していくのですが、とにかく下ネタが多い。あと製作にフィル・ロードとクリス・ミラーが入ってるので当然のようにドラッグネタがあります。

もしかしてワンコを捨てた後で人間がその大切さに気付いたりするのかな…と甘っちょろい期待を抱いていましたが、そんなことは全くなく。映画史上最低最悪の飼い主と言っても過言ではないかと。毒親を愛していた子供が自分の思いに踏ん切りをつけて、その呪いから自由にされる話なのかもしれません。そんな毒親を下半身丸出しで熱演してたのはコメディアンでもあるウィル・フォーテ。『ネブラスカ』では親を思う優しい息子を好演していたのに…

あとマギーという雌犬の声を上品そうな女性が声をあてておられました。下ネタの多い脚本だったので大変だったのではなかろうか…と労りの気持ちで日本語版エンドロールを確認したらモデルのマギーさんでした。お疲れさまでした。

 

☆『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

この児童書のようなタイトルに「どうしよっかなー」と鑑賞をためらっていたのですが、観てみてびっくり。「鬼太郎」を題材にしながらも、まるでパルプフィクションのように絶望的かつ美しい友情物語に仕上がっておりました。大沢在昌先生は「ハードボイルドというのは自分にとっては無関係だった二人がつかの間に触れ合い,そして別れていく物語」とおっしゃってましたが、そういう意味では上質のハードボイルドとも言えます。

パルプフィクションといえば戦争の影がまだ色濃く残る時代に、心に傷を負った男が権力者たちのスキャンダルに入り込んでいく…というところも共通しています。ルックスはだいぶ違いますが自身戦争で筆舌に尽くしがたい経験をされた水木先生の人生も「水木」に反映されております。

自分は鬼太郎関連でいうと元祖とも言える『墓場鬼太郎』が好きなのですが、あれはけっこう「水木」が悲惨な役回りなのでこちらを観た後に「墓場」を鑑賞するときついかも。「墓場」は完全なる別ギャグバージョンとして楽しみましょう。

 

12月の記録を年内にまとめるのはあきらめました。明日は2023年の映画ベストを発表いたします。そうできたらいいなあ(弱気)

 

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December 03, 2023

2023年10月に観た映画

暦の上ではディセンバーとなりました。今年の記録、今年のうちに…ということでまず10月に観た映画の覚書です。

 

☆『キングコング対ゴジラ』

1962年公開作品。秋に行われた「熱海怪獣映画祭」にて鑑賞。シリアスなムードだった前2作と比べてややのんきなムードが漂う映画です。たぶん人間たちがゴジラを倒すのをキングコングさんに丸投げしちゃってるのでどこか他人事感があるんでしょうね。割り切って観ればなかなか楽しい作品です。

ゲストに4K版修復を行われた方が来られたのですが、お話によると状態のいいフィルムをあちこちからパズルのようにつなぎあわせ、「これが限界かなあ」というところでまたどこかから欲しかった部分が見つかり… そんなことの繰り返しだったようです。ドラマですね。

企業の新発明が解決の糸口になったり、最後ゴジラが相模湾に沈んでくところは現在公開中の「マイナスワン」へのオマージュかもしれません(可能性薄)。

 

☆『イコライザー THE FINAL』

元秘密工作員のマッコールさんが必殺スキルでボランティアにいそしむシリーズ第3作。今回は舞台が風光明媚なイタリアの漁村となっております。アクション映画なのにあえてカタルシスよりも情緒を優先してるようなところがあり、そこが評価の分かれ目かと。自分はもちろん肯定派です。

 これまでもちょっと怖い所があったマッコールさんですが、今回は正義の味方であることは変わりないもののサイコパス的な部分がだいぶ前面に出てきてびびります。ただそんなマッコールさんを村の人が普通にうけいれちゃうのが心和みます。わたしもこれくらい広い懐を持ちづづけていたいもの。

先の『ジョン・ウィック』シリーズに比べればこちらは「FINAL」とついてるものの一応続編が出来そう。フークア監督によれば「デンゼルがやる気になることがあれば」とのことです。

 

☆『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

マーティン・スコセッシ渾身の3時間30分作品。1920年代、油田の利権がらみで起きたネイティブ・アメリカンの連続殺人事件が題材となっております。予告からネイティブの女性とディカプリオの『ロミオとジュリエット』的な悲恋物語を想像してたのですが、全然違いました。むしろ調子こいた男が犯罪に手を染めてだんだん転落していく、松本清張的なお話であります。そういう暗い話を長時間観ているのは辛くはありましたが、つまらなくはなかったです。自分、この時代のアメリカの風景・風俗が好きなもので。あと尿意も大丈夫でした。

それにしても前作『アイリッシュマン』(配信作品)も長尺だったゆえ「最後まで視聴した人が全体の18%しかいなかった」という結果が出たにも関わらず、全く懲りずに同じ尺の映画をぶっこんで来るスコセッシはさすがだと思いました。引き続きお元気で。

 

☆『ザ・クリエイター/創造者』

ウェットなSFドラマを得意とするギャレス・エドワーズ監督最新作。AIを仲間と信じるアジア系と、人類の敵とみなす北米系の勢力とでいつ果てるともわからぬ戦いが続けられている近未来。その戦いで傷を負った主人公が、AIたちの救世主と呼ばれる存在の捕獲を命じられて…というストーリー。欧米では基本的に人工知能というのは「得体の知れないモンスター」ととらえられてるフシがありますが、アジアではド〇えもんひとつとっても「愉快なお友達」というポジションなんですよね。なぜそのような違いが生じるのか… 一考してみようかと思いましたが面倒くさいのでやめます。

ギャレスさんってこう、その場その場の思い付きでストーリー進めてるんじゃないか?という傾向がありましたが、この作品では伏線とか小道具の使い方が突然うまくなっていて感心しました。あと同時期にシネコンで親子主演の作品がかぶっていた(デンゼルさんが『イコライザー』で、ジョン・デイビッドがこちらで)のは珍しい事例だと思います。

 

☆『SISU/シス 不死身の男』

幸福度の高いフィンランドでロッテントマト満足度98%をたたき出したバイオレンス・アクション。終戦間際の彼の地でナチスに狙われたおじいさんが何度も何度も殺されかけるのですが、これがなぜかどうやっても死なない。超能力とか持ってるわけでもないのに… ある方が『装甲騎兵ボトムズ』のキリコに例えていましたが、まさにそんな感じです。

自分、監督の前作『ビッグゲーム』をたまたま観ていたのですが、あちらは子供が主人公なせいかアクションなのにだいぶソフトな印象でした。その時色々やりたりなかったんでしょうか。今回は人体バラバラがほぼ一時間半切れ目なく続きやりたい放題でした。また前作の主人公の男の子が非常にしょぼい役で出ていてちょっと複雑な気持ちになりました。

 

☆『ドミノ』

ロバート・ロドリゲス監督、ベン・アフレック主演のSFがかったサスペンス作品。予告からとにかくかく「どんでん返し&どんでん返し! あなたは絶対だまされる!」ということが強調されていたのですが、本国での評判が芳しくないあたり、「意表を突く展開を連発したはいいけど着地に失敗した感じかな」と予想しておりました。大体そんな感じでしたw これ、20代の頃の自分だったら「すげえ映画だ! 面白過ぎる!」と驚喜したと思うのです。おっさんになった今では「うん。なかなか面白かったし頑張ったよね」という感じ。おっさんっていやですね。あと何気に今年ベンアフレック3本目でした。

 

次回は11月に観た『ゴジラ-1.0』『オオカミの家』『マーベルズ』『キリエのうた』『鬼太郎誕生』『スラムドッグス』について書きます。

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November 12, 2023

2023年9月に観た映画

バディーヤバーディヤ バディヤバーディヤ。セプテンバーに観た映画の覚書です。

 

☆『マイ・エレメント』

8月の宿題第1弾。予告の時「『インサイドヘッド』の二番煎じ的な…」と感じたのですが、これは観てみないと面白さが伝わらないタイプの作品。久々にピクサーのアイデア百連発乱れ打ちを楽しませていただきました。火・水・気体・植物の各種族が暮らす都会を舞台にした童話的な設定ながら、人種差別や移民の問題もしっかりと描かれていて、さらにお話が痛快でラストもすっきりする。今年度有数のエンターテインメントのお手本のようなアニメでした。とりわけ面白かったのは気体集団のフットボールみたいな競技。本当にああいうの、どういう頭してたら思いつくのだろう

 

☆『バービー』

8月の宿題第二弾。というかこれ、先月末に観てたら映画館で上映トラブルが起きてしまい、翌週にもう一回見直したというね… 毎週のように劇場に行ってる自分ですが、こんなことは小学生の時以来です。

玩具の国バービーランドに暮らすバービーが、ある悩みをきっかけに現実世界を訪れ…というストーリー。私の観る映画だと大抵傷だらけ・泥だらけになってるマーゴット・ロビーが終始キラキラしてて和みました。玩具映画・ウィル・フェレルが出てる・現実に玩具世界が侵食してくる・タイトル末尾にビーが付く、というところで『レゴムービー』を思い出したり。

おっさんなのでバービーについてはほとんど知らなかったので、その歴史をざざっと学べたのが収穫でした。あとこの映画、恐らく本国では今年度トップクラスのヒット作品になる模様。こういう独創的なアイデアのオリジナル作品が売れるのはいいことです。

 

☆『ホーンテッド・マンション』

ディズニーランドの有名アトラクションをモチーフにした作品。20年前のエディ・マーフィー主演のバージョンは未鑑賞。

世間のはみだし者的な面々が奇妙な因果で伝説のお化け屋敷に集まり、強大な怨霊と戦うことになるというお話。おおまかなプロットがたまたま少し前にやってた『ヴァチカンのエクソシスト』ともろかぶりしてしまいましたが、こちらは子供達でも安心して観られるのがよきところかと。主人公チームそれぞれにちょっと悲しい過去があったりして、『ゴーストバスターズ』よりもややしんみりしたところもあります。

この映画、もうディズニープラスで配信で観られるんですよね。いくらなんでも早すぎだよー

 

☆『アステロイド・シティ』

箱庭的・絵本的な絵作りで多くのファンの支持を集めているウェス・アンダーソン最新作。1955年、ある砂漠の町にUFOがやってくる…というお芝居が演じられてる…というちょっとややこしい設定の作品。一応ウェス作品好きのわたしではありますが、ごめんなさい、今回のこれはちょっと眠くなった… 前作『フレンチ・ディスパッチ』ですでに観念的・抽象的な空気が濃くはなってはいましたが、今回さらにそれが加速した感があります。こういう毒にも薬にもならない作風、確かに彼らしくはあるんですが。ただ一点感心したのは宇宙人役をジェフ・ゴールドブラムがやっていたところ。さすがはSF大将のジェフ。えらい

 

☆『グランツーリスモ』

だいぶ脚色が効いてるようですが、一応は「事実を基にした」物語。凄腕ゲーマーのウェールズの青年が、その技術を見込まれて本物のレーサーにスカウトされるというストーリー。無名で何の後ろ盾もない若者が、度胸と腕で瞬く間にサクセスしていくのは本当に観ていて気持ちが良い。ただ、あまりにサクセスが早すぎると中盤あたりで「…これ、もしかしてこれからでっかい落とし穴が待ち受けているのでは」と思っちゃうんですよね。案の定でした。そんな風にレースに興奮するというよりは終始お父さん目線で、「順位とかどうでもいいから頼むから事故らずに完走してくれ」という気持ちで鑑賞しておりました。

お父さんといえば主人公の父役のジャイモン・フンスーの瞳がムダにキラキラキラキラしてたのが印象的でした。さすがホームレスしてた時にモデルにスカウトされただけのことはあります。

 

☆『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』

ケネス・ブラナー監督・主演の「ポアロ」シリーズ第3作。殺人事件と一緒に風光明媚な観光名所を堪能する…というコンセプトは前二作と共通してますが、今回はどこまでが霊の仕業で、どこまでが現実かわからないというちょっとオカルトめいた趣向が施されています。そういう演出はクリスティというよりポーや島田荘司先生の提唱する「本格ミステリー」に近かったりして。

一応理詰めの回答が最後には明かされるんですが、やんわり霊の存在の可能性も残されていて、なかなか上手な落としどころだとおもいました。好きか嫌いかといえばまあまあ好きな作品ですけど、難点をふたつばかし。『ナイル殺人事件』でもそうでしたが、これから犯行に及ぼうって時に世界最高の名探偵を現場に招き入れちゃダメです。あと急に椅子がぐるぐる回り出したトリックがわからなかった。何か自分見落としてるんだろうか。

 

☆『ミュータント・タートルズ ミュータントパニック!』

少し前実写版二部作が公開されてた人気アメコミキャラ「ミュータントタートルズ」のアニメ版。今回は「普通の高校生活を送りたいけど、外見があまりにもアレなんで無理だよね…」というタートルズの「ティーンエイジ」特有の悩みが強調されていました。「それはいつ、どこで生まれたのか誰も知らない」「醜い体には正義の魂が宿っていた」そんなフレーズが思い出されます。タートルズってけっこう『妖怪人間ベム』に近いキャラだったんですねえ。

一方で彼らの哀しみと裏腹に休む間もなく繰り出されるバッチィ系のネタの数々。この辺は製作・出演でばっちり絡んでるセス・ローゲンの趣味かと思われます。先の『スパイダーバース』同様、落書きのようなペンキ絵のような独特のアートが見事でした

 

☆『ジョン・ウィック コンセクエンス』

キアヌ・リーブス演じる「伝説の殺し屋ジョン・ウィック」を主人公としたシリーズの第4作。以下、ラストまでネタバレで

 

 

 

今回予告でも「最後」とうたってなかったし、「5作目以降も構想あり」なんて噂を聞いてたので、「やんわり次回への展開を匂わせて終わるんだろうなあ。もうこのシリーズにつきあうのもここまでにしようかな」と思いながら臨んだのですが、普通にウィックさんがあっさり死んでしまったのでたまげました。正当な理由があったとはいえ無数の命をバタバタと葬ってきたウィックさん。これが「コンセクエンス(報い)」ってことなのかもしれませんが、それじゃ今まで彼がずっと必死で生き延びてきたのは何の意味があったのかな…とむなしくなってしまいました。新しくひきとってきたワンちゃんと穏やかな生活を送ることになって幕…というのが自分の希望だったんですけどね。

ただなんかあまりにあっさりしすぎて、あのウィックさんがあれくらいで死んだとは思えないのも事実。死を装って続編で普通に出てきそうな気もします。彼には気の毒ですがもう一戦派手にドンパチをやって、改めてハッピーエンドを迎えてほしいものです。

 

次回は10月に観た映画ということで、『キングコング対ゴジラ』『イコライザー THE FINAL』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『ザ・クリエイター』『ドミノ』『SISU 不死身の男』について書きます。

 

 

 

 

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October 29, 2023

2023年8月に観た映画

さよなら夏の日 いつまでも忘れないよ~

というわけで8月に観た映画を思い出していきます。

☆『地球防衛軍』

1957年の東宝作品。「午前10時の映画祭」で観てきました。日本の山村にいつの間にか宇宙人の侵略基地が作られてた…という出だしから始まるこの映画、たぶん東宝なりの『宇宙戦争』みたいなものを作りたかったんだと思います。ただ注目がいってしまうのはそういうSFドラマ的な部分よりも、独特な造形が愛らしい?ロボット怪獣モゲラ。全体的に面白く観ましたがモゲラの出番がもっと多かったらもっとよかった。

クライマックスは富士山麓のドーム状基地を世界各国の兵器が集中攻撃してぶっ壊す…という流れ。『エヴァンゲリオン』の「ヤシマ作戦」ってこの辺が元ネタだったりして。

 

☆『トランスフォーマー/ビースト覚醒』

日本の玩具から生まれた人気SFシリーズの最新作。また1から設定を刷新したのか、と思い込んでいたのですが、どうもひとつ前の『バンブルビー』とはつながってる模様。

今回の売りはアニメ版の中興の祖とも言える『ビーストウォーズ』の面々が一部参戦していること。他にもロボがアーマー状になって主人公の青年が着こむようなギミックが登場したり、ラストであのシリーズとの関連性が示唆されたりと新要素を色々盛り込んでがんばってました。

でもやっぱりリアルタイムでアニメ版『ビースト』を観てた世代としては、あの声優さんたちの無茶苦茶なアドリブを期待してしまうのです。いや、それを映画でもやらかしたら本国からとっても怒られるであろうことは百も承知なんですが。お目こぼしいただいた?アニメ版声優陣の予告編がまたとっても面白く出来てたし… これはあの当時暴走しまくってた子安さんや千葉繁さんの責任ですね。責任とってください。

 

☆『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』

映画『クレヨンしんちゃん』の最新作。今回は構想を含めると7年もの歳月を有したというフルCG作品。「とべとべ手巻き寿司」に7年もかけるなよなw

で、なぜこの作品がフルCGかと申しますと、恐らくシリーズ屈指の作中作キャラ「カンタムロボ」の質感をリアルに再現するためではと思われます。確かに「カンタムロボ」の存在感・重量感は十二分に反映されておりました。それにしてもこのネーミング、そろそろ某アニメ制作会社から訴えられるのでは…

そんなわけでロボ描写だけでも満足しましたが、今回良かったのはこれがかつて「しんちゃん」が大好きだった青年たちに向けられた作品だったということですね。家庭と社会の不幸ゆえにねじくれまがって青年にも、やさしく手を差し伸べるしんちゃんにおじさんは鼻水が駄々洩れでございました。ネット上の評判とかは決してよくはないのですが、「しんちゃん」映画史上最高の興行収入を達成したとのことでホッとしました。

 

上記3本は同じ日に観たのですがいずれも「地球が未知の力により滅亡の危機を迎える」という内容でした。地球も大変です。

 

☆『リトル・マーメイド』

ディズニー100周年で作られた名作アニメの実写バージョン。夏休みで来ていた姪っ子たちのリクエストで観てきました。上の姪っ子は幼稚園のお遊戯で魔女役をノリノリで演じたことがあるのですが、本当はアリエルがやりたかったことをおじさんは知っています。そんな悲しい思い出を抱えていた姪と一緒に観られて、そして「面白かった」という感想を聞けて大変楽しい一日となりました。個人的にはラスト近くで波間を海坊主のように漂っていたハビエル・バルデムがシュールで笑えました。

 

☆『イノセンツ』

北欧4国の合作による不気味SF映画。ちなみに『イノセント』は1975年のヴィスコンティ作品で『イノセンス』は押井守監督のアニメです。

ある公営集団住宅に家族と越してきた少女。そこで出会った友達は、微かながら超能力を有していた。最初はそれでたわいもない悪戯を楽しんでいた子供たちだったが、次第に一人が暴走していき…というストーリー。

「大友克洋の『童夢』っぽい」という前評判を聞いていたのですが、なるほど、想像以上に『童夢』でした。実際監督もかなり影響を受けているようです。あと愛していた者が突然人格が変わってしまう恐ろしさなど、楳図かずお作品によく見られるモチーフも見られました。まず無理だとは思いますが、コミカライズされることがあれば楳図先生に描いていただきたいです。

前もって「猫が死ぬ」という情報を得ていて覚悟をもって臨んだのですが、やっぱりそこは大変きつかったです。作品は面白く観ましたが、その一点だけで本年度のワーストかも。

 

☆『MEG ザ・モンスターズ2』

5年前公開され好評を博した巨大ザメ映画『MEG ザ・モンスター』の続編。前よりもスケールアップしたぞ!とばかりに今回は巨大ザメMEGが3匹登場、さらには海中から陸上にやってきたヴェロキラプトルみたいな連中と、オオ蛸怪獣まで出てきます。本当にごちそうさまです。

終盤ではこれらの怪獣軍団とステイサム、さらに彼を仇と狙う悪漢がくんずほぐれつのバトルロイヤルを繰り広げます。悪役さんなんかわざわざこれに参戦しなくても、ステイサムが怪獣にやられるのを黙って見てればいいのに…と思うんですが、たぶん怪獣さんたちだけだと不安だったんでしょうね。実際全部敵に回して全部勝っちゃったし… あ。ネタバレごめんなさい。

そんな風に今回も無敵のステイサム。深海で素潜りまでやってのけます。水圧で潰されないのか?とツッコまれると「魚は服なんか黄てない!」とかわします。そんなアホな…と思いましたが確かに長年の疑問ではあるんです。なぜ深海魚は鉄の船でもつぶれてしまう水圧地獄の中でちょろちょろ平気で泳いでいられるのか。詳しい方いたら教えてください。

 

次回は『バービー』『マイ・エレメンツ』『ホーンテッド・マンション』『アステロイド・シティ』『グランツーリスモ』『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』『ジョン・ウィック コンセクエンス』『ミュータント・タートルズ ミュータントパニック!』について書く予定

 

 

 

 

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October 01, 2023

2023年7月に観た映画

というわけで続けて7月もいきます。この月は1本を除いてもっぱらメジャー系の大作映画ばかり観ていました。

☆『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

ハリソン・フォード演じるインディ・ジョーンズ、驚きのカムバック。しかもほぼ若返りCGのない役者さんそのままの年齢で。物語より中の人が大丈夫かハラハラしました(実際怪我したみたいだし)が、無事作品が完成したことを祝したいです。

この映画で感心したのはアイテムとタイムスリップの理屈でしょうか。よくそんなとんでも設定思いつくなあと。でも映画の中ではなんとなく説得力があるように感じられるのです。

終盤のインディの決断で「あ、これで本当にこのシリーズを終わらせるんだな」と思ったのですが、残念ながら博士の意思は強行的に中断させられてしまいました。ちょっとかわいそうな気もしましましたが、あれで良かったんだと思います。作ろうと思えばまた続き作れちゃいそうですけど。

 

☆『君たちはどう生きるか』

宮崎駿、驚愕のカムバック。公開前一切の情報がシャットダウンされ、提示させられたのは鳥人間のような男のイラストのみ。その内容が気になって公開2日目に観てきました。…まあ変な映画でしたね。たださすがは御大と言うべきか変であっても品があります。

特に近いと思ったのは『不思議の国のアリス』でしょうか。あれも不条理で難解なお話ではありますが、一応児童文学としても成立している。だから幼児は厳しいだろうけど児童ならある程度楽しめるかと思います。

宮崎御大が自分の人格を幾つかに分けて複数のキャラに投影してるように見えるのが面白いですね。主人公の少年はもちろんそうだろうし、閉ざされた世界の王のような老人にもその影が見えます。しかし監督が特に自分に近いと言及してるキャラはインコ大王なんだそうで… 謎です。

『千と千尋』が好きな自分にとっては幕切れが似た感じだったのがホッコリしました。

 

☆『ミッション・インポッシブル:デッドレコニングPART ONE』

トム・クルーズ主演のドル箱シリーズ最新作…にして完結編の前編。この映画の難点は予告でトムが崖からバイクごとダイビングするシーンを繰り返し見せられていたために、他がほぼ印象に残らなくなってしまったことですね… ヘイリー・アトウェル演じるほぼ峰不二子のような新ヒロインとか、サブレギュラーの悲しい退場などもありましたけど。

で、この映画のメイキングをIMAXの本編前に流してた時がありまして。スタッフがめちゃくちゃ緊張してる中、無事ダイビングの撮影が終わりみんなホッとしたのもつかの間、トムトムが「よかったけど直したいところがもう一回」とか言い出すわけです。そんなんCGで直せばいいじゃん! いや、出来てもそうしないのがトムトムなんでしょうけど… 後編が完成してシリーズが完結したらトムトムの「無茶アクションに挑みたがり病」も落ち着くのでしょうか。お願いですから無茶はほどほどにして天寿を全うされてください。世界中が心配してます。

 

☆『ヴァチカンのエクソシスト』

スルー予定だったのですが、ネットでの一部の異様な盛り上がりにひかれてビビりながら観に行ってしまいました。一応ホラーものに類する映画なのでしょうけど、エクソシストであるラッセル・クロウが抜群の頼もしさを発揮してたのであまり怖くありませんでした。あー、よかった。このおどろおどろしい現場に飄々と現れてユーモアを振りまいていく姿、石坂浩二演じる金田一耕助と似たものがあります。そう、どんなピンチにおいても忘れてはいけないもの、それはユーモアなのですよね。

もうひとついいなあ、と思ったのは事件の依頼者が解放されたらエクソシストコンビは大急ぎで彼らを逃して、またすぐ悪魔と対峙するのですけど、恐らくこの時お礼を言われてる暇もないのですよ。見返りなど何もないだろうし、せめてお礼くらい…と思います。でも彼らはそんなこと全く気にしてなさそうなのですよね。そんなどこまでも無私の精神を示す仏のような(クリスチャンだけど)師弟コンビに心温まりました。

 

☆『キングダム 運命の炎』

漫画原作の人気シリーズ第3作。今回は秦国の強敵である「趙」との因縁と合戦が描かれます。自分原作を大体読んでるので鑑賞しながら「このペースでいくと、思いっきりキリの悪いところで終わって『続く』となるんじゃないか?」と思っていたのですが、予想的中でした。本当に… 最近そういうの多いよ!! なぜでしょう。年を取るごとにそういうのが嫌いになっていきます。ちなみにこの2つ前に書いた『ミッション・インポッシブル』はそれなり一区切り付けてたしそもそも「PART ONE」となってたので多少は印象が良いです。

おまけに終わってからも次作の予告もなにもない(笑) 最近になってようやく第4作製作の発表がありましたが、あそこで終わっちゃったら本当にシャレになりません。

ともあれ、3作目も興行収入が無事50億を突破したそうで、実写邦画としては貴重なドル箱シリーズとなりました。でもまだまだ先は長いので(そもそも原作がまだ終わってない)どこら辺までやるかが難しいところではあります。

文句をたらたら書きましたが杏さん演じる紫夏のエピソードには鼻水が垂れました。杏さんは『TOKYO MER』もあったし、『翔んで埼玉』続編もたぶんヒットするので今年の邦画界に最も貢献した女優さんとなるでしょう。

 

次回は8月に観た『地球防衛軍』『トランスフォーマー ビースト覚醒』『しん次元 クレヨンしんちゃん』『リトルマーメイド』『イノセンツ』『MEG2』について書きます。いつになるか… 年内には何とか書きたいですね

 

 

 

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2023年6月に観た映画

実に3ヶ月ぶりの更新であります… ああ… では前の続きで6月に観た映画の覚書をば

☆『怪物』

その時によって観たり観なかったりする是枝裕和作品。こちらはなにやらミステリーっぽいということで鑑賞してきました。行きつ戻りつする時間軸。その繰り返しによって当初見えなかったものが見えてきたり、思っていたことが真実とは違っていたり…という構成になっています。絶えず空気が張り詰めているような繊細なムードと、透明感のある少年たちが織り成すドラマは萩尾望都先生の漫画を思い出させました。

ラストは現実だったのか、幻想だったのか、それともあの世だったのか。自分は少年たちの見ていた夢なのでは、と思っていますが。瑛太氏演じる若先生は悪い人じゃないのにあまりにも気の毒。

 

☆『フリークスアウト』

イタリア映画。サーカスで糊口をしのいでいた超能力者たち4人が、その力に目を付けたナチス高官から追われて、決死の戦いに挑むというお話。ただサーカス団の面々の珍妙さ故か、全体的にのんびりした空気が漂っています。で、監督さんの愛情が特に注がれているな…と感じたのが悪役のナチス将校。残酷なことをたくさんやってるんですが、先天的な不幸や、かなわぬ夢を追い求める姿を悲哀たっぷりに描かれるとついつい同情してしまったりして。おまけにピアノがめちゃくちゃ上手。真の主人公はどう考えてもこの人だと思います。

 

☆『ザ・フラッシュ』

☆『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

DCとマーベルの人気ヒーローが、自分の大切な人を守るため、平行世界の出来事を塗り替えてしまったために世界の崩壊が始まる…というストーリー。片や実写、片やアニメという違いはありますが、こんなにもかぶりまくってしまった2本が日本では同日公開になってしまったから驚きです。せめてどっちか一週ずらせや…!と思いましたが、今振り返ればこれはこれで滅多にないタフなお祭りでした。

で、共通点は多々あれどそれぞれ導き出した答えは正反対なところも興味深かったり。「家族を救うためなら世界を変えてしまってもかまわない」という結論と、「世界を救うために『家族の死』をあえてそのままにしておく」という答え。自分はどっちもアリだと思います。生ぬるい人間なので。

『ザ・フラッシュ』はヒーロー映画なのにクライマックスがヴィランを倒すのではなく、「お母さんにキチンと別れを告げる」というところに鼻水が垂れました。想像を超えたラストのカメオ出演にも度肝を抜かされました。

『スパイダーバース』は完結編が一応来年公開予定なのでそれから評価を定めたいと思います。最近多いね、こういうパターン…

 

☆『雄獅少年/ライオン少年』

現代中国を舞台にしたCGアニメ。獅子舞に憧れる少年たちが都会で行われる大会への出場を目指すのですが、その前に多くの困難が立ちはだかります。面白いのが中国における獅子舞という競技の独特さ。獅子の前部と後部、そしてなぜか太鼓係の3人でチームが構成されます。躍動感とリズム感溢れるその描写には思わず息を吞みました。しかし悲しいかなこの競技、それほどに人気を誇るにも関わらずほとんど儲からないようで… 大会の賞金とかないんでしょうか。というわけで彼らの障壁となるのは主に金欠というか貧乏だったりします。世界有数の華やかな都市の影で、食うや食わずの暮らしを続けている出稼ぎ労働者たち。そんな社会の厳しい現実の中で、ライオン少年たちには幸せをつかんで欲しいと願ってやみません。

 

3ヶ月ぶりなので気合が抜けなければ続けて7月の分もまとめます。

 

 

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June 25, 2023

2023年5月に観た映画

気が付けば今年もあと半分終わり… ああ…

とりあえず先月観た映画の覚書をば

☆『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』

9年の長きに渡ったGotGシリーズひとまずの完結編。一時ジェームズ・ガン監督が離脱か…ということになりかけましたが、無事彼の手で幕が閉められることになりました。

今回ちょっと驚いたのは、知性のかけらもなさそうなロケットが超インテリキャラだったということ。ただそうなったのには非常に悲しい過去があり… いたいけな動物をかわいそうな目に会わせて泣かせようとするのは反則だと思うのですが、まあ良かったので良しとします。

以下ネタバレで良かった点を列挙

・死亡フラグまき散らかしてたやつらが全員無事だった ・原作と全然違うアダム・ウォーロックのトンチキ具合 ・〆のカムゲチャラッカムゲチャラッカムゲチャラッラッ♪

『BLUE GIANT』のようにたまたま偶然で集まった連中が、絆を深めながらもまたそれぞれ自分の道を歩んでいくところも最高に良かったです。さよならだけが人生だけど、生きていれば再会出来る日も来るのでしょう。

 

☆『ザ・スーパーマリオブラザーズ ムービー』

言わずと知れた任天堂の大スター・マリオブラザーズのCG映画版。ゲームってのは必ずしも映画にしやすいわけではない…というか難しい場合の方が多いと思うのですが、これはひとつの理想形と言ってもいいのでは。

自分忘れてたんですけど、マリオって実は同業者なんですよね。だもんで冒頭で修理にいったのに壊して帰ってくるエピソードはとても身につまされました。あとはクッパ渾身の弾き語りくらいしか強烈に覚えてる箇所がないんですけど、GWに姪っ子二人と観たのが滅法楽しかったので良かったです。任天堂ありがとう!

 

☆『TAR』

本年度アカデミー賞6部門にノミネート。ケイト・ブランシェットを主演に迎え、カリスマ的マエストロの華麗なる転落を描いた作品…なのかな? とにかく思わせぶりというかはっきりしない描写が多く、どこまでが現実なのか彼女の錯覚なのかがわかりづらい話。それがかえって作品に深みや観客に考えさせる余地を与えております。

GotGのとこでも似たことを書きましたが、人の縁というのは切れる時にはスパスパあっさり切れていくものだな…ということを痛感させられます。それでもさすがはケイト様と言うべきか、どれだけ逆境に面してもおのが道を歩んでいく姿は大した説得力でありました。これを機に引退、なんて話も出てるようですが…

オーケストラを題材にした映画なのに本番の演奏場面がほとんどないのは狙いなんでしょうか? それもまたよくわからなかったりして。

 

☆『世界の終わりから』

『CASSHERN』で脚光を浴びた?紀里谷和明監督の引退作。監督初の完全オリジナルストーリーであり、これまでと違って現代社会への嘆き・怒りがふんだんに込められた作品となっておりました。自分ももういい年ですけど、世の中をよくするためにこれまでなんか出来たことがあったかと言えば無に等しく、色々生きづらい時代になってしまった令和の若者たちには少々申し訳ない気持ちがあります。たぶん紀里谷監督も同じ気持ちではなかろうかと。

童話調の本筋に社会問題、『デビルマン』的クライマックスは正直違和感なく溶け合ってるとは言い難いのですが、自分はやっぱり監督の作風が好きなので、軽率にまた復帰して『CASSHERN』みたいな映画を撮ってほしいです(それにはお金がかかりますが)。

主演の伊東蒼さんはこないだの大河や『さがす』でもしんどい役ばかり演じられてるので、次はさわやかなイケメンと軽いラブコメでもやってほしいですね。

 

☆『ワイルドスピード ファイヤーブースト』

言わずと知れた(2回目)超人気カーアクションシリーズ最新作…にして完結編二部作(三になるかも)の前編。最後の敵はジェイソン・モモア演じる仇敵の息子。父の復讐のためにドミニク・ファミリーを巧妙な罠に誘い込みます。

前にも書いたけど、ワイスピシリーズって昔の少年ジャンプなんですよね。一度戦うと仲間になるし、死んだはずのキャラはあっさり生き返るし。ですので今回亡くなったように見えるあいつもあいつも次ではさわやかに笑いながら生き返ってくるでしょう。ついでにミニ・ブライアンのお母さんも生き返って「みんな生きてた!! 超ハッピー!!」となればこれ以上ないくらいふさわしいワイスピのラストになるのでは。

観てる間は普通に楽しみましたが、一週間後観たのを思い出すのに5分くらいかかったりして。そんな映画です。ただこれにはわたしの記憶力低下もかなり関わっております。

 

☆『65』

こらまたなんつーシンプルなタイトル… ハリウッドに時々ある、大物俳優を起用したはいいけどなんか地味な仕上がりになってしまってぶっこけた類のSF作品。他に例を挙げると『パッセンジャー』とか『カオスウォーキング』とか『アフターアース』とか。やっぱり人のいない荒廃した世界をやろうとすると地味になりがちなんですよ。今年公開のギャレス・エドワーズの新作『ザ・クリエイター』も確実に同じ轍を踏む予感がします。

でもまあシリーズもの・原作ものばっかりの時代にあえてオリジナルSFに挑もうという気概は素晴らしいし、何よりも恐竜が出てくるのでそれだけで応援しなくてはいけません。もう公開終わっちゃったけど。

 

☆『クリード 過去の逆襲』

『ロッキー』のスピンオフである新世代ボクサー、アドニス・クリードの物語3作目。開始早々に引退を決めたアドニスの前に、ややこしい関係の親友が訪ねてきたところからお話は始まります。この親友デイミアンがなかなか一筋縄ではいかない。アドニスが好きなようでもあるし、恨みを抱いてるようでもあるし、一体彼の狙いがなんなのか前半はハラハラしながら見守ることになります。

結局リングの上で全力でぶつかることにより友情は回復します。『Gガンダム』並みにベタベタな解決法ですが、自分昭和生まれなのでこういうのに弱いんですよ… あと今回「出ない」とアナウンスされてたロッキー、その後どうなったのか全く触れられてませんでしたが遠くで元気にやってるってことでいいんでしょうか。

監督・主演マイケル・B・ジョーダン氏が「日本のアニメをリスペクトした」と嬉しいことを言ってくれたのに、初週から圏外だったのは本当に残念。我が国を代表して土下座してお詫びしたいです。

 

次回は『フリークスアウト』『怪物』『ザ・フラッシュ』『アクロス・ザ・スパイダーバース』『雄獅少年』について書きます。

 

 

 

 

 

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May 28, 2023

2023年4月に観た映画を振り返る

近年まれに見る更新スピードです。がんばれ俺

☆『逆転のトライアングル』

第75回カンヌ映画祭において最高賞のパルムドールに輝いた作品…の割に、わかりやすく所々お下品。一組のカップルのバカンス旅行を通じて格差社会の問題を描いている…わけではないか。突発的なアクシデントにより立場が「逆転」してしまった人たちの、「運命の皮肉」が主なテーマかと。

「三角形」と呼応してるのか、三幕構成となっております。一幕目は知らん美形カップルの痴話げんかに巻き込まれてるようであまり面白くないのですが、二幕目で舞台が豪華客船に移ると「趣味悪いなあ」と思いつつそのアナーキーな展開に楽しませてもらいました。お下劣な『タイタニック』のようでした。三幕目に入っても面白さは持続しますが、こちらは同時に物寂しくなったり、緊張感溢れる人間関係にハラハラしたり。

セレブモデルのヤヤ役の女優さんはこの出演後ほどなくして不慮の病で亡くなったそうで。そんなところにも運命の皮肉を感じます。

 

☆『仕掛人・藤枝梅安 弐』

2月に1作目が公開された『藤枝梅安』二部作の第二弾。前作はずっと江戸が舞台でしたが、こちらは半ば過ぎまで京までの旅物語となっております。またそこはかとない慰めが感じられた1作目と比べると、こちらは無常感が強調されていて観終わった後ひしひしと虚しさが押し寄せてきました。「梅安」はハードボイルドでもヒーローものでもなく、ノワールなんだなあ…ということを改めて感じ入りました。

そんなニヒルなムードの癒しとなるのが、梅安を世話する近所のおばさん役の高畑淳子さん。彼女が出るとものすごくホッとします。高畑さんのベストアクトと言ってもいいかと。あとクライマックスの「卵かけごはん」VS「醤油焼きおにぎり」の息詰まる対決。ある著名料理家は料理対決の時塩むすびで挑んだそうですが、究極のグルメというのは限りなくシンプルになっていくものなのかも。

死への願望を抱きつつもギリギリのところで生を選んでしまう梅安さん。そういうところは「いいことをしながら悪いことをする」池波正太郎の矛盾した人間観をうかがわせます。

 

☆『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』

「梅安」と同じ日に観ました。図らずもアウトローつながり。長年親しまれてるテーブルトークのRPGを原作としたファンタジー映画。ぱっと見世界観やガジェットはそんなに目新しくないのですが、陽気で能天気なキャラクターたちと、魔法のアイテムの使い方・見せ方でべら棒に面白い映画となっていました。難点をあげると観てる間の面白さに全力を注いだため、観終わったあとほとんど残るものがないということ。まあたまにはこういう映画も必要です。

出番があまりないキャラがTwitter上で大人気というのも面白い点。最初はセクシーさが駄々洩れしてるパラディンさんがぶっちぎりだったのですが、さらに登場時間が少ない「ジャーナサン」という鳥人間の人気がだんだん肉薄しつつあります。謎です。

 

☆『AIR』

ベン・アフレック久々の監督作。盟友マット・デイモンを主演に据えて、NBAの伝説的プレイヤー、マイケル・ジョーダンとナイキが契約を結ぶまでの苦労を描いた「実話を基にした」作品。サスペンスやアクションばかり撮っていたベンアフですが、こちらは血が一滴もも流れない、平和でほっこりする映画となっております。

OPから矢継ぎ早に繰り出される80年代の音楽・風俗に懐かしさで死にそうになりました。ここで「この頃はよかったな…」とか感じてしまうと老人の仲間入りを果たすことになってしまいます。危ないところでした。あとスポーツ用品の製造会社にとっては、有名プレイヤーと契約を結ぶことが社運を左右するほどの一大事になるのですねえ。

Amazon製作のせいか1か月ほど公開した後間髪入れずにすぐAmazonプライムビデオで配信が始まりました。これからはこういう例も増えていくのですかね。

 

☆『聖闘士星矢 The Beginning』

80年代人気を博した少年漫画『聖闘士星矢』をハリウッドが実写化!…したはいいのですが、興行的には近年まれに見る爆死作品となってしまいました。何がいけなかったのでしょう。

個人的にはそれほど悪くなかったと思うのです。監督の原作愛も伝わって来るし、誠実に作られてます。ただ、アクション大作というのは「悪くない」だけでは良くないのです。巨額の製作費を回収できなくなってしまうので。

副題からわかるように何部作かに分けて、少しずつキャラを増やしていく予定だったのでしょうか。しかし『星矢』の魅力ってカラフルなキャラが勢ぞろいするところにあると思うのです。メンバーを出し惜しみした結果画面が地味になってしまったのが敗因かなあ…

ファムケ・ヤンセンやニック・スタールといった久しぶりに見る俳優さんたちが元気そうにしてたのは良かったんですが。

 

次回は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』『スーパーマリオブラザーズ』『TAR』『世界の終わりから』『ワイルドスピード ファイヤーブースト』『65』『クリード 過去の逆襲』あたりの感想を書きます。

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May 21, 2023

2023年3月に観た映画を振り返る

というわけで続けざまに3月に観た映画のまとめ記事です。アカデミー賞の時期でした。

☆『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

昨今流行りの「マルチバース」を題材にした1本。死体がおならをひりまくる『スイス・アーミーマン』の監督コンビがこの映画で作品・監督部門を含む7部門を受賞するようになるとは… 世の中本当にわからないものです。

正直自分この映画ぶっとびすぎててちゃんと理解できてるか怪しいのですが、そんなにむずかしく考えるようなものでもないのかも。とりあえず劇中で市井の主婦から世界の映画スターまで違和感なく演じてるのはさすがのミシェル・ヨー様でした。

以下好きだったポイントを列挙すると「セクシーコマンドーの映像化」「『レミーの美味しいレストラン』リスペクト(そしてアライグマが無事だった)」「岩の会話」「相手を幸せにして戦意をなくさせる攻撃」などです。

 

☆『フェイブルマンズ』

これまたアカデミー賞関連作品。スピルバーグ監督の自伝的内容で、監督が幼少期に影響を受けた映画が次から次へと登場するのかな…と予想してたのですが、主題となってるのはどちらかというと彼の両親の複雑な事情だったり。

スピルバーグと思しきサミー少年の両親には共通のベニーという気さくな友人がいるのですが、3人が3人ともお互いのことがすごく好きなために、「結婚できるのはうち二人だけ」という現実がのしかかってきてしまうのです。この辺ちょっと『タッチ』を思い出させます。

一度彼らと離れることに同意したベニーおじさん(演セス・ローゲン)が、サミーに押し付けるように高いカメラをプレゼントするシーンが好きです。

 

☆『シン・仮面ライダー』

今年最も待望していた1本。これに関してはひとつの記事で書きたかった気もするけどいかんせん映画の感想をため過ぎた…

現代を舞台にしてるのにまるで70年代のようなムード。一言でいうと、これ(東西冷戦のころを意識した)スパイものですよね。社会の影で人知れず戦い、人知れず散っていくエージェントたち。そんな名もなき彼ら彼女らにも人並みに人の温もりを欲する気持ちがあり。ラストに敵のアジトに乗り込んでいくのは007の名残かも。石ノ森先生には『009ノ1』というスパイ漫画もありますが。

そんな感じで映画全体を覆う寂寥感や荒漠としたムードや、わずかながら差し込まれるホッとするようなシーンが好みでした。『仮面ライダー』は漫画版とTV版でけっこうかけ離れた要素があり、今回はなんとかそれを融合できないだろうか…という意図があったように思います。結果として漫画版6:TV版4くらいの配合だったかと。すべて綺麗に混ぜ合わさったわけではありませんでしたが、そうした歪さもまた「シン・シリーズ」の特色だと思います。

 

☆『シャザム! 神々の怒り』

新体制への移行が決まったDCユニバース。今年はその前に決まった作品を消化すべく実に4本の公開が予定されてます(出来んのか…)が、第一弾がこの作品。姿は大人、心は子供のシャザムを主人公とした映画の続編となります。アメコミ版『ハリー・ポッター』のようなところもあるこのシリーズ、とりあえず子供たちがでかくなりすぎる前にもう一本撮れたのはよかったですよね。あと先の『アントマン』や『エブエブ』もそうですけど、映画にもかっこいいアクションを決めるおばあさんが増えたなあ…と感じました。

昨年末の『ブラックアダム』と深い関わりのあるキャラだけにそちらへの言及とかあるかな…と楽しみにしてたら何もなかったのは残念。逆にラスト付近での予想外のカメオ出演には素直にびっくり。またお茶らけが続く中で、ビリーと家族たちの絆が描かれるくだりにはホロリと来ました。もういい年なのでこういうのがあるのと条件反射的に涙腺に来てしまうんです。やめてください。

 

☆『グリッドマンユニバース』

TVアニメシリーズ『SSSS.グリッドマン』と『SSSS.ダイナゼノン』がとうとうクロスオーバーを果たした劇場オリジナル作品。これに関しては主題歌「ユニバース」が素晴らしすぎて… これだけ観てくれれば自分の野暮な感想などいらないかと思います。https://www.youtube.com/watch?v=m4vjI6InDJM

『ダイナゼノン』ラストで切ないお別れをしたガウマさんが超あっさり復活したのはアレですが良しとします。監督さんによりますと「初日3日間の興行で今後の続行が決まる」とのことでしたが、結局どうだったのだろう… もしあるとすれば次は原点である『電光超人グリッドマン』にもっと踏み込んだ話が観たいです。

 

☆『ベネデッタ』

エログロの巨匠?ポール・パーホーベンの新作。イタリアに実在した「キリストを見た」という修道女の騒動を描いた作品。戒律でがんじがらめのはずの身が、こっそり隠れて背徳的なことをしてる…というストーリーはヴァン・サン・カッセルのマイナーな映画『モンク 破戒僧』を思い出したり。どう考えても破滅にしか向かわなそうな暗いお話なのに、時折なぜかクスっと笑ってしまいそうなところがあるのは「これこれ、パーホーベンだよね」という感じでした。あと予想に反してそこまでバッドエンドでもなかったような…?

 

☆『アラビアンナイト 三千年の願い』

『マッドマックス 怒りのデスロード』から8年。ジョージ・ミラー待望の新作…のはずが話題も規模もこぢんまりしたような? それはそれとして現代のおとぎ話としてはまあそこそこ面白かったです。もうだいぶいい年のはずなのにティルダ・スィントンさんも相変わらずの美しさでしたし。ベネデッタ』と「バイオレンスな作風で人気を得た監督が老いて撮った、メロメロな愛の物語(でもちょっと変)」という点で共通してました。まあ無味乾燥な毎日を送ってますとたまにはいいですよね。メロメロな話

 

なんとか3月分まで書けました。次は一ヶ月以内に4月に観た映画…『逆転のトライアングル』『仕掛人・藤枝梅安 弐』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』『AIR』『聖闘士星矢』の感想を書ければと思います。

 

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2023年2月に観た映画を振り返る

いまごろ3ヶ月前に観た映画のことを書くとか、このブログもいよいよ末期だな…と感じるこの頃です。でもあがくだけあがいてみましょう。

 

☆『鬼滅の刃 上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』

ご存じ『鬼滅の刃』の劇場版…というかTV放送の特別上映。『遊郭編』のクライマックスと『刀鍛冶の里編』の第一話を強引に1本の映画にした構成となっています。

ただやはりufotableさんの超作画は大画面でこそ生きてくるものなので、本来この状態で鑑賞するのがふさわしいのかもしれません。あと妓夫太郎&堕妃の最後のくだりは、TV放送の時は泣きませんでしたが映画館で観たらけっこう鼻水が垂れました。ちょろいです。

 

☆『仕掛人・藤枝梅安』(1作目)

池波正太郎生誕100年記念の映画化プロジェクト第1弾。『藤枝梅安』シリーズは何度か映像化されてきましたが、これまでで最もけれんみを排し、リアルにこっそりと暗殺を遂行する描写に力が入れられてます。

もう一点力の入ってるところは、池波作品特有の江戸グルメ。そんなに凝った料理は出てこない(肉禁止の世ですし)んですが、どれもシンプルながらめちゃくちゃおいしそう。そんな描写から梅安さんと一緒に江戸で生活してるような気分を味わえます。

プロットが偶然に頼りすぎるところが玉に瑕ですけど、これは原作がそういう話なんでしょうがないといえばしょうがない(笑)

それにしてもこの日たまたまチョイスした二本が両方とも「貧困ゆえに哀しい運命に見舞われる兄妹の話」だったのはちょっとびっくりでした。

 

☆『バビロン』

デミアン・チャゼルによるハリウッド草創期の青春物語。監督の代表作『ラ・ラ・ランド』とテーマは同じなんですが、こちらの方はかなり趣味が悪いです。これまでチャゼルさんの作品は上品というかお洒落嗜好が強かったのに、一体何があったのでしょう。

ともあれ、序盤の無声映画の撮影シーンなどは何でもありの時代ゆえのでたらめさがべら棒に楽しい。で、その後トーキーが導入されたことで登場人物たちが、どんどん追い詰められていく様子がしんどい。つまり全体の2/3はしんどいパートなのがしんどい映画でした。でもまあこういう失われた青春をしみじみ思い出す話は嫌いになれないんです。あとトビー・マグワイア、なかなかの怪演でした。

 

☆『アントマン&ワスプ クアントマニア』

MCUフェイズ5の第一弾。超ミクロの量子世界に迷い込んだアントマンと仲間たちの活躍が描かれます。自分としては「ぷにぷにした量子世界の風景・生物」「さばけた性格になったダレン」「メタルヒーローみたいな3アントマンそろい踏み」「クライマックスの蟻とジャイアントマン大暴れ」など十分に楽しませてもらったのですが、世間的には評価はイマイチみたいで。前二作みたいな現実世界のこぢんまりした期待されたということでしょうか。

とりあえずラストの「オレ、もしかしてやらかした…? でもいまんとこ大丈夫だし大丈夫だろ♪」的なマインドは大いに見習いたいものです。

 

☆『BLUE GIANT』

「なんかすごい熱くて感動するらしい」という評判だけで鑑賞を決めたアニメ映画。ジャズに情熱を燃やす三人の若者のお話(漫画原作)。ジャズのことなど何もわかりませんが、「一見さんに魅力を伝えたい」という作品のポリシーのせいか、「なんかすげえな」ということはよく伝わって来ました。上原ひろみさんが監修されてるだけのことはあります。あとやはり原作あっての映画なんでしょうけど、「本当に音が聞こえてくる」というのは漫画にはない強みだと思います。

三人のうち主人公の大は最初から最後まで全くブレないのですが、脇の二人が色々葛藤するというのが独特です。特にずぶの素人からドラムを始める玉田君は我々凡人に一番近いキャラなので共感させられることしきり。また、田舎から出てきた若者が貧しいながらも東京に馴染んでいくあたりは先ごろ完結した『イチジョウ』を思わせてほっこりしました。

 

気力が持てばこのあと続けざまに3月観た映画のまとめも書きます。もつかなー

 

 

 

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March 05, 2023

2023年1月に観た映画を振り返る

ようやく今年最初の映画まとめ記事であります。

 

☆『空の大怪獣ラドン』

本当は昨年に「午前十時の映画祭」で観ました。近年リバイバルで『ゴジラ(1954)』『モスラ(1961)』も鑑賞しましたが、その中ではこの作品が一番面白かったように思えます。ミステリーのような導入部、今は失われた炭鉱の風景、メガヌロンのホラー的な描写、そしてラドンの大暴れ…などなど楽しめる要素が色々詰まってまして。まだ先の話ですが今年の年末は『地球防衛軍』をかけるようでこれまた楽しみです。

 

☆『かがみの孤城』

『オトナ帝国』の原恵一監督最新作。前作『ハッピバースデー・ワンダーランド』が氏にしてはかなりファンタジー要素の強い作品で、いまいちその持ち味が感じられなかったのに対し、今回はしんどい現実に立ち向かわざるを得ない子供たちの姿にその本領を見ました。というわけでけっこう見ていて辛い・切ないところもありますけれど、最後には爽やかな後味を残してくれるところも原テイストでした。

ストーリー上のある「仕掛け」に関しては私にしては割と早々に気づきました。ただこれは自分が鋭いというよりは少し前に同じ発想のアニメを見ていたから。

 

☆『仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル』

良かった点…『龍騎』関連はみな良かったです。

悪かった点…ラスト付近、一輝が願いをかなえられる場面で「何もないよ」と微笑んで言うところ。そこはバイスの復活を願ってあげるべきではないのか… 

 

☆『ケイコ 目を澄ませて』

耳の聞こえない女子プロボクサー・ケイコと彼女を支える人々の物語。ただスポ根的ムードはなく、主人公が属するジムの閉鎖がストーリー上最も大きなヤマ場であったりします。現在の都会を舞台にした作品であるのに、出てくる風景がいちいち郷愁を誘うような懐かしさに溢れています。あと彼女が会長と行うミット打ちの「バシュ!」という音がとても心地良いのですが、それも本当は彼女の耳には届いていないわけで。

最後の試合はどうしてこんな風にもってったんだろ…と思いましたが、これ、一応実話を下敷きにした作品だったのですね。現実の結果に倣ったというとこでしょうか。

 

☆『ノースマン 導かれし復讐者』

西暦9世紀の北欧が舞台。叔父に父を殺され、母を奪われた男の復讐譚。『ハムレット』の原型となった「アムレート」という人物の叙事詩を元にしてるそうです。

復讐ものには2通りあります。復讐が遂げられてスカっとする話と、復讐の陰惨さにゲンナリする話です。こちらはどっちかというと後者。ラスボスのおじさんがあまり強くなさそうなところからもそれはうかがえます。ただそんなカタルシスの乏しそうなお話ではありましたが、ストーリー自体は意外にも面白く観ることが出来ました。これまで「脇の人」という印象が強かったアレクサンダー・スカルスガルドさんは、これで堂々たる主演の「代表作」をゲットできたのでは。

 

☆『エンドロールのつづき』

インド版『ニュー・シネマ・パラダイス』。いつものインド映画と雰囲気が少々違うな…と思ったらフランスとの合作でした。

主人公の少年のものすごい行動力にとにかく圧倒されます。映画を自分で上映したい…という目的のために平気で盗みまでしたりして、悪い方向に進んだら犯罪組織のボスにまで上りつめてしまうのでは…と心配になりました。

劇中に登場するお母さんのお弁当が肉とかあまり入ってなくてほぼ香辛料と野菜が主体なのですが、それでもすごくおいしそうで、晩御飯を後回しにしたお腹には少々堪えました。

 

☆『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』

少し前リバイバルがあった『HEAVEN AND EARTH』の直後の物語。つまり『蒼穹のファフナー』シリーズの中で最も平和だったころのお話。その後のエピソードで散ったキャラ達もまだ元気な姿を見せていて、戦闘シーンはなく、よってロボの出番もほぼないのですが、ファンの満足度はめちゃくちゃ高いという不思議な作品。もうこれが真の完結編ということにして、『EXODUS』以降はなかったことにしませんか… 真壁指令の中の人のつぶやきによると、竜宮島のモデルはやっぱり尾道みたいですね。そんなわけで尾道観光の疑似体験もできる一本

 

☆『イニシェリン島の精霊』

『スリー・ビルボード』監督による今年のアカデミー賞作品部門候補の1本。前日まで仲良くしていた友人から突然絶縁を迫られた男が、狭い島の中で悩みまくるというお話。ほかの映画でアクの強い役を多く演じているコリン・ファレルが「退屈極まりない男」を演じているのが無理があるんですけど、まあそれは置いといて交友関係・対人関係において色々勉強になるお話です。できるだけ他の人を楽しませたい・面白いやつだと思われたい…という願望は誰にでもあると思うのですが、これがなかなか難しいのですよね… あとリアルではあまりないけれど、ネットではいきなりバサッと縁を切られてしまうというのは時々あること。あれはこちらでは唐突に感じられるけど、向こうにしてみれば積もり積もった「こいつうざいな」メーターがとうとう極に達したということなのかもしれません。

最後の方すごい状態になってしまったコリンの友人と、平然と学生さんたちがセッションしてるのは明らかに無理があると思いました。

 

次回は『仕掛け人 藤枝梅安』『鬼滅の刃 ワールドツアー』『バビロン』『アントマン&ワスプ クアントマニア』『BLUE GIANT』についてちょっとずつ書きます。

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February 27, 2023

第19回SGA屋漫画文化賞

例年であれば映画ベストと共に年末に発表する年間漫画ベスト。今年は怠け癖が働いていつもより二か月遅れの発表となりました。ははは…

ま、誰も注目してなくて限りない自己満足で決めてる賞なので何の問題もないのですが。

それではさらに投げやりに発表してまいります。

 

☆少年漫画部門 松井優征 『逃げ上手の若君』 佳境に入りつつある松井版『太平記』。楠木正成も登場しますます盛り上がりを見せています。

☆少女漫画部門 田村由美 『ミステリと言う勿れ』 僕は常々思うんですが、ミステリー漫画久々の新星ヒット作ですよね…

☆青年漫画部門 野田サトル 『ゴールデンカムイ』 ダレルことなく要所要所を盛り上げながら、最大のクライマックスを迎えて堂々の完結。これが出来る例ってごくごくわずかなんですよね。

☆中年漫画部門 萩原天晴・三好智樹・瀬戸義明 『上京生活録イチジョウ』 これまた先日完結。青年が主人公ですが、これ中年が在りし日を懐かしむ漫画なんですよ

☆海外漫画部門 ヴィレッジブックスの翻訳事業に対して 長年名作をたくさん紹介してくださり本当にありがとうございました。翻訳飢饉にあえいでいたころ、『バットマン:ロング・ハロウィーン』を出してくれたことは忘れません。

 

★大賞 井上雄彦 『スラムダンク』

昨年末映画を観て久しぶりに埃をかぶった原作本を読み返してみたら、これがもうべら棒に面白くて。25年経っても色あせないそのエネルギーに脱帽しました。というわけで今頃勝手に大賞を差し上げます。

 

果たしてまた次回があるかどうか… いや、諦めてしまったらそこで試合終了なのです。

 

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February 06, 2023

『鎌倉殿の13人』を雑に振り返る⑫ やっとこ12月編

すでに『どうする家康』が始まって一月以上。いまさら感が半端ないですが、マイBEST大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の感想を〆とうございます。

 

第45回「八幡宮の階段」

雪の中行われた実朝の右大臣拝賀式。階段を下りていく彼を物陰から狙う公暁。目の前で今まさに将軍暗殺が実行されようとしていることを知りながら、しかしそれを止めようとはしない義時。そして運命の時が訪れた。

ある意味『鎌倉殿』の真のクライマックスとも言える回。頼朝の血筋が絶え、名実ともに北条が武家社会の頂点に立つことになります。刀を下げた公暁を前に、あえて逆らわず命を投げ出す実朝。血を血で洗い生き馬の目を抜く鎌倉にあって、彼は勝ち残るにはあまりに優しすぎたのでしょう。実朝登場からこの回が来るまで毎週が本当にしんどかったですが、シリーズ最大の悲劇が終わってなんだかホッとしてしまったのも事実です。

一方で素っ頓狂な散り際を見せてくれた源仲章氏。やけくそに「寒いんだよおお!!」とがなる姿はジーパン刑事の最後を彷彿とさせました。

こんなに大事な回なのにワールドカップの日本ーコスタリカ戦と重なってしまったために視聴率が最低だったというのもまた悲劇でした。

終わりに登場する運慶×義時の会話も印象深かったです。「お前は俗物だ。だからお前の作るものは人の心を打つ」

この回の重要なアイテム:血で読めなくなった公暁の弾劾文とポイ捨てされた実朝の小太刀

 

第46回「将軍になった女」

1219年。鎌倉では次なる暗闘が始まっていた。自分の息子阿野時元を次の将軍に据えようとした実衣だったが、その陰謀はもろくも崩れ去る。絶体絶命の彼女を救うべく立ち上がったのは子供をすべて失い悲嘆に暮れていた政子だった。

『鎌倉殿』最終章の開幕にしていわゆる「尼将軍」誕生の回。政子のことを「稀代の悪女」と評する向きもあるようですが、1人でも十分つらいのに4人もの子供に先立たれた心情を思えばあまりに気の毒でありません。そしてどん底から妹を助けるためもう一度立ち上がるその姿が凛々しくもやはり悲しい。「田舎の行き遅れが」と連呼されてたのもちょっと悲しく、少し笑えました。

実衣の方はなんというか自業自得だし懲りないしであまり同情できないのですが、耳たぶひとつ切られず無事で済んだのはまあよかったですね。

この回の重要アイテム:無事だったミイさんの鼻と耳たぶ

 

第47回「ある朝敵、ある演説」

1221年。鎌倉で最高権力者となった義時に、ついに後鳥羽上皇が刃を向ける。彼一人を引き渡せば兵は出さないと諸将に文を送る上皇。幕府を守るため自ら朝廷に身柄を預けようとする義時だったが、姉はそんな彼を見捨てなかった。

義時と言う人も本当に不思議な人で、ここに至るまでに権力欲にとりつかれたマックロクロスケのような男になり果ててしまいましたが、彼の欲って金とかスケベ心とかにはいかないんですよね。あくまで主導権を握ることだけに邁進し続け、他に熱心に取り組んでることといえば仏像や寺を作ることくらい。ある意味めちゃくちゃストイックな男とも言えます。そんな彼だからこそ鎌倉(そして息子)を救うためには迷いなく命を投げ出します。「あの親子はぶつかり合うほどに絆を強くしていく」というのえさんの評、聞いてる方は微笑ましいんですけど、彼女にとってはねたましくてしかたなかったのでしょうね。

『東京リベンジャーズ』の如く坂東武者に「ひよってるやつはいるかああ!!」とぶちかます政子。非道をつくしてきた自分でさえまだかばってくれる人たちがいる… 涙する義時の姿にちょっぴり白味が戻ったラストでした。

この回の重要なアイテム:「記念にほしい」とトキューサに言わせた上皇様のお手紙

 

第48回「報いの時」

そして始まる承久の乱。尼将軍パワーに奮い立たされた坂東武者に雅な京の侍たちはなすすべもなく、戦いは短期間のうちに幕を閉じた。これで今度こそ歯向かうものは誰もなくなった北条義時であったが、死は意外なところから忍び寄っていた。

「アガサ・クリスティの作品からヒントを得た」と三谷さんが言っていたラストシーン(結局どの作品だったの?)。小栗さんも小池さんも特番で「すげえすげえ」と興奮していたその終幕はどんなものだったのだろう…と固唾を飲んで見守っておりましたが、予想を上回る衝撃に打ちのめされました。ちなみにこの放送時間、自分は某宅で忘年会に呼ばれていて、酒盛りに一人背を向けてTVに見入っておりました。

前回助けてくれた姉にとどめをさされてしまう義時があまりにやるせない。でもあれは復讐や処刑ではなく、永くない弟にこれ以上罪を重ねさせないための処置だったのでは。思わず駆け寄ってしまうところとか、「もっと似てる人がいるわ」という言葉からそれを感じますし、宮沢りえさんも全く同じ意見だったのに慰められました。

もう少し余韻とか残された人たちの反応とか見たかったところですが、あそこでバサッと終わるのがやはり美しいのかも。脳内を「ゴッドファーザー 愛のテーマ」がただただ流れていきました。

この回の重要なアイテム:書き上げられた御成敗式目・毒(キノコ由来?)

 

最後こそ遅れましたが無事全話感想書き上げられてホッと一息です。ただ「13」が強調されたドラマだったので、あともう一回くらいなんか書きたいですねえ(挫折する可能性高し)

 

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December 29, 2022

2022年、この映画がアレだ!!

年々投げやりになっていく年間映画ベスト。腐乱死体のように見苦しいですが、今年もやります。まずはどん尻から。

 

ワースト:『仮面ライダー〇〇〇 10th 復活のコアメダル』

伏字になってるようななってないような。でもあんまりこの映画の悪口言いたくないんです。主演の渡部秀君がこれで満足されてるのだったらそれでいいです。三浦君は怒ってましたが。

 

リバイバル部門:『ロード・オブ・ザ・リング』三部作IMAX上映

公開からはや20年。色々忘れてたので新鮮な気持ちで感動出来ました。

 

ではBEST25を一気に発表いたします。

第25位 『ハウス・オブ・グッチ』 お金って怖いよね。でも欲しいよね

第24位 『バブル』 ネトフリ同時公開とか、やめよう

第23位 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』 次は「時間よ、止まれ」の映画化よろしく

第22位 『FLEE』 ジャン・クロード・ヴァンダム再評価映画

第21位 『ソー ラブ&サンダー』 2年ぶりに会った友人と一緒に観たのが大変楽しかったので

第20位 『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』 電〇は悪

第19位 『ベイビーブローカー』 かつてないくらい優しいソン・ガンホ

第18位 『SING ネクストステージ』 稲葉さんのU2が良かった

第17位 『鋼の錬金術師 完結編』2部作 今年の「そこまで悪く言われることなかったんじゃないか」賞

第16位 『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』 二代目はシュリチャン

第15位 『コーダ あいのうた』 無音演出が斬新でした

第14位 『神々の山嶺』 フランスのお洒落なセンスで描かれる昭和風景

第13位 『ドクターストレンジ マッドネス・オブ・マルチバース』 ラストのアレは『三つ目がとおる』のオマージュでしょうか

第12位 『ノープ/NOPE』 みんな『AKIRA』好きだよね

第11位 『トップガン マーヴェリック』 今までで映画館で一番多く予告編を見た映画。4DXSCREENは壁際に座ると片っぽの横画面がほとんど見えません。

第10位 『マークスマン』 今年ナンバー1のリーアム・ニーソン映画(これしかないけど)

第9位 『キングダムⅡ 遥かなる大地へ』 良かったけど、このペースじゃ最後まで映画化とか無理だよね…

第8位 『DCがんばれ! スーパーペット』 クリプトたちだけじゃなく、DC映画は全体的にがんばろう

第7位 『さがす』 さがし さがしもとめて~ ラストシーンがすごく好き

第6位 『ザ・バットマン』 東京コミコンでアンディ・サーキスに会いに行きたかった…

第5位 『すずめの戸締り』 「人間椅子」も新海誠が手掛けるとこんなにさわやか?

第4位 『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』 観たてのほやほや。今年はどん詰まりに来てツボな作品がラッシュして来ました

第3位 『THE FIRST SLAM DUNK』 今年の「公開されるや否やみんなの手の平がひっくり返った」大賞。ワールドカップ日本代表の姿とダブりました。

ラストは2作品同率で

『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

『シン・ウルトラマン』

東西を代表するヒーローの総決算的な作品を並んで1位といたします。誰に強いられてでもなく、好きな人たちを守るために笑顔で自分を犠牲にする、彼らの姿に涙と鼻水を搾り取られました。片や10代、片やウン千才?という開きはありますが。それにしてもアンドリュー・ガーフィールド、騙してくれてありがとう。許さないけど許す。

 

振り返りみれば今年もいい映画いっぱいありました。来年も『シン・仮面ライダー』『スパイダーバース』などに期待しております。それでは良いお年を。

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December 27, 2022

2022 年12月に観た映画

今月は後『ラドン』の4Kリバイバルを観る予定なのですが、とりあえずここで締めます。

☆『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』

そのまんまですね。ギレルモさんがストップモーションアニメで表現した「ピノッキオ」。ネットフリックス製作ですが、幸い近くの映画館でもちょっとだけかけてくれました。ピノキオといえば去年の生々しく、原作に忠実な実写版が記憶に新しいところ。デルトロさんが差別化を意識されたのかはわかりませんが、今回はかなり独自のアレンジが効いておりました。戦時下のイタリアが舞台となっているので、戦争の悲しさや恐ろしさが強く伝わってくる内容となっております。キュートでコミカルなところもたくさんありますけどね。

思えばギレルモ氏が純粋に子供向けの映画を手がけたのはこれが初めてかも。観客に「あとはご自分で想像してください」と委ねるような結末は『パンズラ・ビリンス』や『シェイプ・オブ・ウォーター』を思い出しました。

 

☆『ブラック・アダム』

揺れ動き続ける(笑)DC映画ユニバース最新作。ブラック・アダムさんといえば『シャザム!』の名悪役の一人なのですが、今回はビリー君ちとは関係なく映画化。代わりにホークマンやドクターフェイトといったコミックでは古参なのにいまいちメジャーになりきれないヒーローたちがチーム「JSA」を組んで登場してきてたのしゅうございました。特にドクターフェイトのデザインはもろ好みでフィギュアが欲しくなります。

印象に残ったのはJSAが「ヒーローとかいう割に中東の問題は全く解決してくれない」とか皮肉られるところですね。これ、現実の米軍へのかなり痛烈な皮肉になっているのでは。あと『フライト・ゲーム』や『ロスト・バケーション』といった限定空間でのサスペンスを得意とするジャウム・コレット・セラ氏が監督でしたが、彼の持ち味はあまり生きてなかったような。題材が題材だけに仕方ないところでしょうか。

 

☆『THE FIRST SLAM DUNK』

90年代の名作スポーツ漫画を、原作者自らが映画化。この「原作者自ら」ということを知った時はたまげて記事を二度見しました。井上先生ってあんましアニメに興味ない人だと勝手に思ってたので…

正直あまり期待はしてなく、大好きな漫画だったのでまあ一応観とこう…くらいの気持ちでした。でもまあ、何度も読み返したあの場面、あのセリフが出てくると感極まって条件反射的に鼻水がブシューッと噴き出てしまうんですよね。今回のメインは湘北5で最も地味な宮城君で、出番が最も多いのは彼なのですが、自分はやっぱり桜木花道がここぞというところで活躍するところにテンション上がってました。

宮城君の性格が原作とはちょっと違っていて、原作者が作っているのに二次創作みたいなところがあります。多分先生はこのアニメを1本の映画、あるいは「現実(リアル)に近い作品」として仕上げたかったのでしょうね。ギャグ含めてコミックをそのまんま再現するとそこからかけ離れてしまう恐れがある。その辺を考慮に入れての改変だったのだと思います。

懐かしい面々にまた会えてよかった(あまり期待してなかったくせに)。大変でしょうけどぜひともTHE SECONDも作っていただきたい。こんなタイトルにしたんだからその辺責任とってください。

 

☆『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』

この十年間ずっと「やるやる」詐欺を繰り返していた『アバター』待望の続編。今回は惑星パンドラの海が中心となっていて、この水の3D表現が本当にすごい。デビュー作『殺人魚フライングキラー』から、『アビス』そして『タイタニック』と、キャメロンはやっぱり海を扱うのが本領の人…という思いを新たにしました。3D旋風を巻き起こした前作ですが、その後「すげえ立体映像を見せてやるぜ!」というのを第一目標として作られた映画が何かあったかというと、『怪盗グルーの月泥棒』くらいしかなかったんではないかと。「ゲーム画面みたい」という評価も聞きましたが、ゲーム画面はいかに美麗であろうと飛び出してはこないし、なにより大スクリーンでは観られないのです。

映像以外には海で活躍する悪役のメカ群とか、長男ばかりひいきされてないがしろにされる次男、その次男とクジラとの友情などもツボでした。しかしキャメロンは本当に̪シガ二ーと大佐が好きですねえ。この二人への肩入れがあからさまで今回前回の主人公ジェイクの影がちょっと薄かったです。

「3作目は何がなんでもやる」とのことなので、興行がたとえアレな結果になったとしても責任とって続けてください。

 

☆『MEN 同じ顔の男たち』

『エクスマキナ』のアレックス・ガーランド監督と聞いて観ました。あちらが一応条理的なSFだったのに対し、今回はかなり不条理なお話。タイトル通り同じ役者さんが管理人、牧師、警官、ホームレス…と風体を変えてヒロインの前に何度も現れるのですけど、そのことに関しては特につっこまない主人公。神経のまいってしまった人が見た幻覚とも、田舎の変な妖怪を目覚めさせちゃった話とも取れます。リンゴがいっせいに落ちるシーンとか、ヒロインが逃げ惑う中、背景の夜空がめちゃくちゃ綺麗だったりするところが印象に残りました。

 

☆『MAD GOD』

『スターウォーズ』『ロボコップ』『ジュラシックパーク』など名だたる娯楽巨編に関わってきたクリーチャー操演の神様フィル・ティペットが、一からオリジナルで作り上げたストップモーションアニメ。で、これがかなりシュールで難解でえぐい。アニメといえど子供に見せちゃいけない作品です。『JUNK HEAD』とかぶってるところも色々あるんですけど、こちらにはあちらにあった「かわいらしさ」というものが一片もありません。

その映像の力強さや作りこみには圧倒されながらも、共感を拒絶するような作りに「ポカーン」としてしまったのも事実。実はこれクリスマス・イブに一人で見たのですが、なんだか寒さとやるせなさが一層募った気がしました。

 

おお、なんとか超雑ではありますが、年内観た新作映画の一言メモを全部書き切りました。次は誰も注目してないであろう2022年映画ベストについて書きます。

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